昨日の記事についてまさママさんからメッセージを頂きましたので紹介します。


(以下メッセージ)


ここのところ、
怪しい記事が、Facebookで流れてきて
本当に辛い思いをしました。

でも、先生の記事を読んで
ほんの少し気持ちが晴れました。
ありがとうございます。

人の命なんて、
人間の手で、自由に操れるものではない。
だから、治療して
100%死なないなんてあり得ない事で…。

でも、私のように
三大治療のうちの2つ(抗がん剤と放射線)を使って
Ⅳ期bから、完全寛解に至り
5年間維持している人間も
ちゃんと存在しているのに…。

西洋医学で認められていない
代替医療を受けて、効かなくて止めて
手遅れになって病院に担ぎ込まれて、
不幸にも亡くなられて…
という方も多いと、友人の医師から聞きました。

そういう方たちの治療成績は、
代替医療の方には、ちゃんと計上されておらず、
という事実が公表されてない事に
本当に悔しい思いをしています。

本気で、その治療法を信じて
ご自身の信念で受けられるのは良いのです。
でも、マスコミに惑わされて
今まさに治療の選択を迫られている方々が
治療を躊躇しているうちに
手遅れになってしまう事が心配です。

先生のような、専門医の方々が
正しい情報を
もっともっと発信してくださる事を
切に希望します。
今後とも、よろしくお願いいたします。

ちなみに…
私は痛みが最初の自覚症状でした。
がん細胞自体は痛くないかもしれないけど、
がん細胞のせいで、
意識を失うほどの痛みがありました。


(以上メッセージ)


まさママさん、メッセージありがとうございました。


確かに、全てのがんの患者さんが痛いわけではありません。


例えば全身の骨転移があっても、まったく疼痛がない方も中にはいます。


けれどもその反対に、僅かな骨転移でも強い痛みを訴える方もいます。


直腸周囲などは神経叢がある部分であり、直腸がんはサイズが小さい浸潤でも激しく痛まれる方もいます。


基本的には、がんによる全身倦怠感や食欲不振よりも、痛みは多い頻度で「より早い段階から」出現することが知られています。


私からすると、「がん治療しなければ痛くない」系のことを堂々と語る専門家は、おそらく相当限られた層の患者さんしかご覧になっていないか、自身のセンサーに蓋をしているのだと思います。


このようなことを書くと、がんの多くが痛いと主張する先生の見方こそが偏っているなどの指摘が時にありますが、誰も「全例痛い」とは言っていません。原則「痛くない」と決めてかかる態度と、事例をよく観察して評価する、痛みはある場合もない場合もある、というように決めつけを排除して判断する態度は大きく違います。


ただ自分がかかるお医者さんが、「痛みはない」と決めてかかっているというのはとてもおそろしいことです。


普通の病院にはいませんが、しばしば怪しいセカンドオピニオン、怪しい免疫治療クリニック、怪しい食事治療クリニックなどにはいるようですので、お気をつけください。


ただこれだけがんを患っている方がいる時代に、先日の終末期医療系の話の時もそうでしたが、実際に見聞したことがない方が、想像だけで語ってしまう世の中というものが少しですが心配になります。


だからまさママさんのように真実を知っている方が、非経験者のどこからか持ってきたしたり顔の言説がSNSにまで侵食し、嫌な気持ちを味わうということがあるのです。


経験していないから語れない、あるいは語るな、とは言いません。


しかし何とか大学の何とか先生とかの書いた本を有り難がって即信じるよりも、もっと現場の人の話を聞いてみるべきなのではないでしょうか。


もちろん、私も専門分野以外のことについては、もしかするとそのような誤りをおかす危険があると思います。


「がんは治療しないと痛くない」などというあり得ない言説が広範に伝播するのをみて、世の中を見つめるときは本当に注意しなければいけないとつくづく感じます。


私にとっても、医療以外の分野に本だけで判断すると、同じようになるよ、というそれは警告とも言えます。気をつけなければなりません。


患者さんの気持ちは患者さんしかわかりませんが、しかし現場でその努力をみている心ある医療者は、まさママさんや皆さんの決断の重さや、その頑張りをきっとわかっていると思います。大丈夫ですよ。


それではまた。いつも皆さん、メッセージ等々ありがとうございます。失礼します。