私も本を書いていますから、出版界が本が売れなくて大変なことは知っています。



それでもやって良いことと、悪いことがある。



許容できることと、許容できないことがある。



法律で罰せられなくても、もちろんやってはいけないことが世の中にあります。



ところが今回、様々な人がしてしまったことは、一線を超えてしまうものであったと思います。



私のブログもたくさんの方がご覧になってくださいましたが、皆さんもそうお感じになられたからだと思います。


人としてやるべきではないことの一つ。


それはひと言で言えば、亡くなった有名人を商機と捉えることです。


あんまりです。


確かに一見、言葉の慰めは散りばめられています。


しかし私のように、終末期医療に従事する身から読むと、それは形式だけの「冥福」、うわべだけの修辞であり、亡くなる方やご家族の気持ちを真に思いやる気持ちに欠けていることを感じます。


私たちは大切な人を悼む時、容易に言葉が出てこないことを知ります。


真に誰かの逝きし後の幸いを祈る人間が、公的な場所で、死後間もなくに「手術をしなかったらあれほど痩せなかった」と語るでしょうか。規定がないから守秘義務に抵触しないと、診療内容を語るでしょうか? 「自分のところにも来ていたんですよ」とみんなに言うでしょうか?


一人の人間の死を悼む気持ち、それよりも(出版社は)いかにして売るか、(論者は)自分の主張を認めさせるか、そんな欲望が渦巻いていることは、一般の読者さんにはすでに見抜かれていると捉えるべきでしょう。


そして前者のそれを裏付けるような資料も出て来ています。


書店で働くこけしさんが、ツイッターで貴重な資料を共有してくださっています。


ぜひご覧ください。


画像に注目です。


どちらの出版社がどう情報をやりとりしたかわかりませんが、今回の文藝春秋、次号の週刊文春で近藤さんの記事が載ることを知った『医者に殺されない47の心得』の出版元であるアスコムが書店に送っている文書です。


「女優・川島なお美さん、タレント・北斗晶さんなど 相次ぐ芸能人のがん治療により近藤理論が再注目!!」


「がん治療が話題になっている今こそ再展開で売り上げが見込めます!!」


・・・。


”ここが売れるポイント!”との軽やかな文言もあります。


『医者に殺されない47の心得』は文書によると「健康書」なのだそうです(実用・健康書ご担当者様、とあるので)。



いずれにせよ、この文書に関係している方たちが何を考えているのか、それを雄弁に物語っている文書だと思います。



今後私たちが判断したり行動したりする時の参考になりそうです。



有名人の方も一人の人間です。


病苦が利用されることなく、穏やかに療養でき、またご本人・ご家族ともに静かに過ごさせてあげてほしい、そう思います。