皆さん、こんにちは。大津です。



今日は本年度最後の緩和ケアのセミナーです。



内容は臨死期のケア、看取りのケアです。



頂いたメッセージから一つ紹介します。


なお今日は喜ばしい報告ではありませんので、心身の不調がある方はまた元気な時にお読み頂くと良いと思います。


(以下引用)


私の勤務している病院では、がん医療を行っている先生が、例えば、腹水を抜くにしても腹水濃縮再静注をするならば他院にかかることになる、紹介状を書く代わりにもうその後は主治医はしない、何かあっても今後は診ないと言います。

当院以外でも、近隣のとある大病院では、患者さんがもう緩和医療のみしたい、治療を終了したいと主治医に泣く泣く伝えたところ、治験があったのか許さない(紹介状を書かない)と言われ主治医の変更すらできなかったと聞きました。

「腹水を抜いてもらいたい」「苦しい」「治療を止めたい」と言っているのに耳を傾けてもらえない、他に紹介をお願いしたいと言っても「紹介状は書かない」「あとはどうなっても知りませんよ」と言われ途方に暮れている様子があまりにかわいそうです。

そんな方々に、緩和ケアを有している病院の連携室に事情を話して診てもらうようにお願いしてはどうかと伝えても、診療情報提供書がないから無理と全例お断りをされてしまいます。

連携室での門前払いが多くあるのです。

緩和ケア病床をお持ちの病院は限られています。そうした場合はどのようにしたらよいのでしょうか・・・。

私の病院では、緩和ケアを患者さんが受けたくても、このように医師が患者さんを手放さないケースが多く、そうした方でも何とか治療が受けられないものでしょうか。

緩和ケアは主治医の診療情報提供書が必要になるので、そこでアウトになってしまいます。

先生に診てもらえる患者さんがうらやましくてなりません・・・。

例えば、私の家族ががんになってもきっと先生のようなチームに会うことはできないでしょう・・・。


(以上引用)


つらい報告です。


残念ながらこのようなケースが厳然とあるのが事実です。


どうすればよいのか、これは容易ではないことですが、やはり何とか紹介状を書いてもらうしかないと思います。


治療中ならば、緩和ケアチームや緩和ケア外来がある病院の、主診療科への紹介状が必要となるでしょう。緩和ケア科への紹介状も、可能ならば用意して頂くにこしたことはありません。

私の知るある方(進行がんで痛みがあった)はA病院B科で主担当の先生がどうしても緩和ケア科に依頼しないので(その病院にはちゃんと緩和ケア科があるのに依頼しないのです)、主担当の先生にC病院のB科と緩和ケア科に紹介状を書いてもらって病院を変わりました。その後C病院でがんの治療と、緩和ケアを両方受けています。いくら言っても変わらないことを悟られた後の動きは早かったですが、それより前も主担当医に何とか苦痛を緩和してもらうように頼み続けたことも注目に値します。まずは伝えなければ始まりません。

治療がもう終了した状況(抗がん剤治療をもうやらないということになっている)ならば、ホスピス・緩和ケア病棟宛の紹介状を用意してもらうのが良いと思います。ただそれまでの間は(ホスピス・緩和ケア病棟は待ち時間が一般にあるので)、何とかおかかりの病院で診てもらうことはお願いしなければならないでしょう。

”巡り合わせ”がありますので、はっきりと何回も苦痛緩和してもらうようにお願いし、それでもどうしてもダメだと感じたら、やはり病院を移るしかないと思います。そしてその時は、何とか患者さんやご家族も、先述した方のように積極的に動いてゆかれることもとても重要なことです。

安易な医師替えはよくありませんし、それを勧めるものではありませんが、何度も自分から、家族から伝えてもどうにもならないのであれば、それ以外の方法には乏しいかもしれません。

なお苦痛緩和ができる在宅医、クリニックに病院と併行してお世話になるという方法もあると思いますので、地域の医療資源の情報に敏感になっておくことも重要だと思います。


Tさん、貴重な報告ありがとうございました。


苦痛緩和が必要とされている方が、何とか苦痛緩和ができる医療資源とつながることを、心から願っております。


それでは皆さん、また。
失礼します。