患者さんの言葉。


「やんちゃもたくさんやって、・・幸せだったからさ」


心に風が吹きこむような笑顔。


彼が見ているのは、おそらく過ぎ去ったいつかの景色。そこには病室には吹かない風が吹くのでしょう。



心にざわめきがあった日は、なぜかそれに相応する何かが起こったりするのも事実であって。


たまたまYouTubeで見かけた「渡良瀬橋」


数年前、私の耳に「渡良瀬橋」が流れてきて、それは確かにすごく「渡良瀬橋」なんだけれども、ちょっとだけ違う渡良瀬橋。


そう松浦亜弥さんの歌う「渡良瀬橋」だったのでした。



何年経って聴いてもその都度に歌詞が新しく響き、また様々な世代の心を捉え続けるのが名曲と呼ぶのならば、その範疇に入るでしょう。実際、カバーも多くの歌い手によって為され、愛されています。


本家の森高千里さんの公式YouTubeページがあってPVも視聴できるのですね。
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森高千里さんの「渡良瀬橋」


この曲が出たのは1993年。夏の日のほうの1993年ではなく冬の日の1993年です。

その頃私は17歳。

この歌詞の意味を掬い上げることができずに、その他の曲と同じようにそれは流れました。

しかしそれから20年あまり経って、今一度詞を読むと。

なるほど、と気づくことがあります。


ー私は今もあの頃を忘れられず生きてます

ー願い事一つ叶うならあの頃に戻りたい


その字面と裏腹に、なつかしさを底に湛えつつも確実に前を向いて、先へと、ゆるやかに流れるように歌い上げられている詞と私は感じます。


もう戻れないことは誰よりもよくわかっているのだけれども、心の中の美しい場所にいつでもある。それでも確かに時は流れた。


「やんちゃもたくさんやって、・・幸せだったからさ」とそれは同じ響き。


森高千里さんの松浦亜弥さんの、あるいは河口恭吾さんの「渡良瀬橋」がそれぞれ微妙な差異を持って描かれるように、人の数だけ渡良瀬橋はあるのでしょう。人の数だけ「やんちゃ」もあるかもしれません。


「僕より若い人たちには悔いなく生きてもらいたいね」


笑顔で言った彼の言葉は、これからそれぞれの渡良瀬橋を渡る者たちへのエール。


もっともこのブログの読者さんは、きっと私と同じように仰ぎ見る「渡良瀬橋」がある皆さんだと思いますから、時にはそんな景色を思い出してみるのはいかがでしょうか?


ー広い空と遠くの山々 二人で歩いた街 夕日がきれいな街


それでは皆さん、また。