皆さん、こんにちは。大津です。


今日は印象に残った記事からです。



皆さんはF1の名ドライバーである故アイルトン・セナのことはご存知でしょうか?



記録よりも記憶に残る不世出のドライバーです。



セナが亡くなって20年が経過します。


同じチームで戦ったことのある日本が誇る名ドライバーの中嶋悟さんが、セナのすごさを語りました。



ところで皆さん、中嶋悟さんはセナと一般的な名ドライバーの違いをどう述べられたでしょうか?


はたしてセナの速さの秘密とは・・・?


(以下引用)


セナは運転がうまかったですが、何か特別なドライビングをしているのかといえば、決してそうではありません。僕の運転の仕方とも変わりありません。


(以上引用)


中嶋さんの言葉です。

ドライビングは同じ、と語られています。


では一体何が違うのでしょうか?


ぜひ予想しながら読んでみてください。


なお記事は下記です。
↓↓
【F1】没後20年。中嶋悟が語る「セナの速さの秘密」


(以下引用)


「レーサーは反射神経がよいので速く走れるんじゃないですか」と言われますが、そうじゃないんです。反射神経は僕もセナもそんなに変わりませんし、F1のレースではパッと目の前の状況を見て、それに反応するのではとても間に合いません。


たとえば、F1ドライバーはモナコGPが開催される市街地コースのトンネルを280キロ以上のスピードで駆け抜けていきます。トンネルを抜けてパッと視界が明るくなり、次のコーナーの入り口が見えます。でもコーナーが見えたあとに反応しても遅いんです。コンマ数秒で壁にゴンッとぶつかって終わりです。見えてから反応するのではなく、レーシングカーの運転では自分で時間をつくっていくんです。


(以上引用)


モナコはトンネルの後に急なコーナーがあるんです。


しかし、「見えて」反応しているんじゃないんですね。


それだと遅すぎる。だからどのドライバーも、見えないうちに反応しているんだそうです。



ところで中嶋さんとセナは反射神経も変わらない、と述べられています。


ドライビングも反射神経も大きく変わりはない。では何が?



(以下引用)

きっと彼の目には、物事の動きが現実よりもすごくゆったりと見えていたと思います。そうじゃないと、ガードレールに囲まれた狭いモナコの市街地コースをあんなに速いタイムで走ることなどできるわけがありません。理屈が合わないんです。実際にモナコを走ると、次から次へとブラインドコーナーが迫ってきて、それに対応するだけで精いっぱいです。でもきっとセナは周りがよく見えていて、僕が想像もつかないところまでちゃんと絵を描けているんです。だから、見えない壁の向こうにものすごいスピードで突っ込んでいくことができるのだと思います。

(以上引用)


これを読んで、ああ名医と同じだなと思いました。


これまで幾多の優れた臨床医と仕事をともにさせて頂きましたが、優れた臨床医ほど先を見て、一歩先や二歩先どころかもっと先を読んでいます。



また、緩和ケアのWHOの定義に下のようにあります。


「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善するアプローチである」


皆さん、気がつかれたでしょうか?


そう、「予防」という文字が入っているのです。


苦しみが出てから、あるいは本格化してから対処するのではなくて、「予防」するのです。


しかしこの「予防」という文字は、普段の緩和ケアの仕事と考え合わせると、とても腑に落ちるものです。


私たち緩和ケアの担い手は、先を読んで、身体的のみならず精神的、社会的な苦痛の「予防」に努めているからです。


コーナーの先の先を読んで、ぶつからないようにゴールへと進める、それは優れたドライバーも、優れた臨床医も、そして緩和ケア医も同じだと感じました。


先が見えていれば、予測して動けば、ハイスピードで急カーブを迎えても怖くないのです。



今日は雨ですね。
どうかお足元にお気をつけて。


それではまた。
失礼します。