【共通】


「緩和ケア病棟で遺族が恩返しコンサート」という記事を読みました。
↓↓
こちらです

滋賀県守山市の県立成人病センターのお話です。


先日のエントリーでも
↓↓
緩和ケア病棟の良さを知ってほしい

緩和ケア病棟がQOL(生活の質、生命の質)を大切にケアに当たっていることを述べました。


その中でも音楽の占めていた役割は少なくないものがありました。


私がかつて働いていたホスピスでも、音楽はとても大切にされていました。

ホスピスに入院していた余命わずかなお父さんのために、病棟のピアノで娘さんが演奏してあげたこともありました。

音楽療法士も週に1回病棟をまわり、ベッド上から動けない患者さんのためにお部屋で音楽を演奏していました。

音楽がQOLのために寄与していたところは時に大でした。



記事も良かったですが、この記事にコメントを付けている方のコメントが素晴らしかったので転載させて頂きます。


(以下引用)

親を緩和ケア専門医のもとで見送った。
ほんとうにあのまま外科だけで終わっていたら
苦しみの中で悲しい別れだったと思う。

ガンの壮絶な痛みに対して適切な疼痛コントロールを専門医と専門看護師や薬剤師のもとでしてもらえることは、体調も精神面も大きく違っていった。

延命につながるし、本人のガンへの考え方も大きく変わった。
そして、本人のみではなく第二の患者でもある家族全体の精神や
肉体の治療にもなっている。

すばらしい医療だ。

ちなみに、この記事について1つ言いたいのは
「治療が困難となった人が苦痛を和らげるために入院する施設」
という表現が違うんだよなぁと!

緩和ケアは「あきらめの医療」でも「敗北の医療」でもない!

死という約束の場所に穏やかにたどりつくための医療をするところだ。
上手く言えないけど、死を避けることだけが医療ではないんだと
知っている医師が増えたらいいのになぁと思う。

(以上引用)


まさにその通りだと思います。

このように緩和ケア病棟の良さをわかって下さっている方がいるのは心強いことです。

「延命につながるし、本人のガンへの考え方も大きく変わった。
そして、本人のみではなく第二の患者でもある家族全体の精神や
肉体の治療にもなっている」

これらの言葉に緩和ケアの良さが凝縮されていると思います。

特に「本人のガンへの考え方も大きく変わった」「第二の患者でもある家族全体の精神や肉体の治療にもなっている」という点が重要だと思います。


最後の最後までQOLを上げることを「あきらめない」医療である緩和ケアは、誰にとっても必要なものですが、その「本当の」緩和ケアを大病院で行うのは容易なことではありません。ソフト面でもハード面でもホスピス・緩和ケア病棟は一段上を行っており、利用できる方には私はぜひ利用してもらいたいと思います。


生きるということは何も長さだけを意味しません。

ある一日のことが一生心に残ることもあります。

素晴らしい一日を持てれば、それがいつまでも色褪せず、自らを救い続けることがあります。

そんな一日を多く持てれば、生きる意味を感じるのではないかと思います。

けして長さだけが人生の素晴らしさを物語るわけではありません。

もし残り時間が短かったとしてもその時間のQOLを出来る限り上げることでそんな素晴らしい日が持てるように、また最後の最後まで人間らしく生きられるようにする医療である緩和ケアは「生をあきらめること」の対極にあります。

もちろんその良さを存分に活かすには、他力本願ではない患者さんやご家族の主体的な努力も必要となるでしょう。

上記のコメントの方は、きっと親御さんと一緒にそんな努力を為された方であったのではないかと思います。

誰もがよく生きて、今生における「やるべきこと」を終えて旅立てる。

そんな世の中になれば本当に素晴らしいと思います。


実家に帰られた方、これから帰られる方も多いでしょう。

あるいはご家族で家以外でゆっくりと過ごされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ご家族とのお時間を大切に、また普段話せない色々なことをぜひお話しください。

どうか良きお休みをお過ごしください。