皆さん、こんにちは。大津です。


11月。

めっきり秋らしくなりましたね。

日曜、盛岡から在来線区間に入ったこまちの車窓から、深山幽谷の美と紅葉を堪能しました。


明日はヨミドクターの更新日です。

先週の記事はこちらです。
↓↓
闘病だけで終わらないことが大事


本日、ある亡くなられた患者さんのご家族にばったりとお会いしました。

いつも「ありがとう」とちゃんと家族に伝える方であったようですが、最後に「幸せだった」とお伝えになって逝かれたということでした。

またご自身の葬儀一切を決めての旅立ちであったということでした。


誰も生きたいものです。

私たちも死病に侵された時に、その真の気持ちを知ることになるでしょう。生きたくて、それで心が占められてしまうのも無理からぬものです。

しかし中には、この方のように、「その一方で」ができる方がいらっしゃいます。

誰もが簡単にできないからこそ、「闘病だけで終わらない」生き方をされる方のすごさを感じます。

その根底にあるのは、ご家族など自分につながり、そして自らの死後を生きてゆく存在への深い愛と思いやりなのだと思います。


私はホスピスでも在宅でも患者さんをお受けさせて頂く側でした。

今ではホスピスや在宅に送る側です。

見送る側の気持ちも複雑です。


見送った後も

いい時間を過ごせたかな

やりたいとおっしゃっていたことができたかな

家族水入らずで過ごせたかな

そして大切な人に言葉を残せたかな

そのような気持ちを覚えます。

だからその方の今生の仕事をしっかりと果たして旅立たれたと聞いた時は、嬉しくなります。

さすがだな、と今一度頭を垂れる気持ちになるのです。

もうご本人にはお礼はできませんから、ご家族に頭を下げるのです。「ありがとうございました」と。

ご家族の中で、ご本人は生きているのでしょうから、これで良いのだと思います。


さて、2013年最終号の雑誌致知12月号p148で『傾聴力』の書評を頂きました。

「相手の苦しみやその根本にあるものを掴む傾聴力がこれからの社会で必要だと著者は述べる」

「『聴く』技術だけでなく、誤解される、気の利いたことが言えないなどの傾聴の悩みにも答える」


人は聴くことで救われます。

緩和ケアの臨床の場で、被災地で、私が学んだことを記したのが『傾聴力』です。そして緩和ケアの偉大なる先輩方が考え実践してきたこと(そして私も支えになっていること)も紹介しています。いずれも苦悩する方たちの話を聴く者に大きな強さを与えてくれるはずであろう考えや言葉たちです。

苦悩する人と接する立場にいる方には、この本の伝えたいことがきっとわかって頂けると思います。


ヨミドクターも緩和ケアの紹介の内容に入っていきます。

役立つ実践的なものにしたいと思っていますからどうぞよろしくお願いします。


それでは皆さん、また。
季節の変わり目、急な寒さに体調を崩しやすいので気をつけてくださいね。
失礼します。