今やたくさんの医療行為が在宅で行われるようになりました。

私の勤務する病院の近くでは、腹水濃縮再静注という、腹水(がんなどの病気によってお腹に溜まった水)から蛋白質を抜き出して点滴で静脈に戻すということまで在宅で積極的にやっていらっしゃる先生がいます。


それくらいの高レベルのものまでお家でできるわけですから、普通の点滴などはお手のものです。


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実はこういう家のものを点滴に活かすセンスなども在宅医の力量が問われるもので、私はいつも先輩凄腕在宅医の点滴等の組み立ての「美しさ」と「速さ」に舌を巻いていました。やはり名人はどんなところにもいるんですよね。

ちなみに写真は私の自作なので「美しい」という例ではないですから、ご勘違いなきようにご容赦のほどお願いいたします。


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意外に点滴の落ちが悪かったので、白いハンガーの上の黄色いハンガーを除きました。

これで滴下は良好。


点滴、やられているほうは長いんですよね。

だからできるだけストレスを少なくできるような工夫が重要です。


やはり本質的に縛られている(物理的にも心理的にも)というのがあるわけであって、高齢の患者さんや状態が悪い患者さんにやみくもに持続点滴を継続するとストレスなどからせん妄につながってきやすい印象があるのは、病者の視点からは容易にわかり得ようものです。


在宅で、必要な時に点滴する。

終末期の患者さんにはそれで十分以上であることも多く、健常者の視点から生まれがちな「水がないから苦しいのではないか」などという誤解をしっかり取り除いて、患者さんが負担の少ない良い時間を過ごせるように配慮したいものですね。