皆さん、こんにちは。大津です。



例えばがんの告知をする技術を磨くために、ロールプレイを行うという訓練があります。


第三者として見ているととてもよくわかるのですが、人は焦れば焦るほど、一方的に話をしてしまいます。

はたから見ていると、相手に「ここまでお話ししてきましたが、わからないところはありますか?」と聴いてあげれば良いのに・・とよくわかるのですが、当事者はなかなか気がつきません。かくして話し続け、後で「よくわからなかった」「何も言えなかった」との感想を言われることにつながってしまいます。

時に、雄弁は恐怖の裏返しでもあり、沈黙は勇気の表れだと痛感します。


焦って話し続け悪循環に陥る。

そうならないための、『傾聴力』であります。




興味深い記事を見つけました。

いっけん「自分をアピールする場」と捉えがちな就活の場でも、実は聴く力が重要だと言うのです。
↓↓
「コミュ力」って何だろう? 取り違える就活学生が急増


(以下引用。水色文字筆者)


 (1)話す力 「話す力」とは、自分の考えや思いを相手に分かりやすく伝える力のことである。就職活動でいうと、面接やグループディスカッションなどで発揮されるスキルだ。学生は、この「話す力」を最も鍛えたがる。なぜなら、多くの学生が「コミュニケーション能力=話す力」と思い込んでいるからだ。しかも、話せるようになるという結果がついてくるので分かりやすい。一方で、下記で説明する「聴く力」や「読む力」は、ほとんどといっていいほど重視していない。コミュニケーション能力は、決して「話す力」だけではないことを理解する必要がある。

 (2)聴く力 「聴く力」とは、人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾ける力のことである。しばしば、傾聴力といわれることもある。この「聴く力」が弱い学生が非常に多い。就職活動で例えるのであれば、説明会や面接のシーンで現れることがある。説明会であれば、司会者が会社の話をしているにも関わらず、傍観者になってしまい単に話を聞いているだけの学生がほとんどである。面接であれば、面接官の質問には必死に答えるが、面接官が話しているときには頷くことさえしない。相手に伝えることだけに必死になりがちで、相手の話している動作にリアクションできないのだ。

(以上引用)


記事では「読む力」についても触れられていますが、それは「相手が聞いてくる質問の意図や背景を理解する力のことである」(前掲記事)と定義されています。本を「読む」の読む、ではなくて、背景や流れを「読む」の読むなのですね。

拙著『傾聴力』で述べたように、傾聴を通して相手の背景を知って支える、それが傾聴力によるケアの本態です。つまり前掲の記事での「聴く力」+「読む力」=『傾聴力』そのものなのです。

そして以前もブログで触れましたように、『傾聴力』とはビジネスシーンや就活、日常の円滑なコミュニケーションにのみ寄与するものにあらず、超高齢化社会を迎え苦悩者の話を聴く機会が増えるのが必須な日本社会において、「誰かを支える」「誰かをケアする」際に重要かつ有効なものであるのです。

『傾聴力』という言葉、少しずつ流布し始めています。

もっともっと広まってほしいですし、単にビジネス等のスキルというものではない、「傾聴」の真なる力を知ってもらえればと願っております。


それでは皆さん、また。

大切な方のお話、心を落ち着けて聴くことができていますか?


いつもありがとうございます。
失礼いたします。







ささやかながら、傾聴力で話を聴き、患者さんから生きることについて学ばせて頂いた軌跡です。

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