皆さん、こんにちは。大津です


毎日凄まじく暑いですね。

皆さん、どうかお身体には十分お気をつけください。


Reiさんからメッセージを頂きましたので紹介いたします。


(以下紹介です)


はじめまして

いつもブログを読ませていただいております読者です。

先生の本を、「がん治療の虚実」ブログにて知り、購入して、

緩和ケアーの本二冊読ませていただきました。

現役看護師の卵巣がんⅣ期の患者です。

ダグラス窩腫瘍&腹膜播種の腫瘍浸潤で、右足の動きが悪くなっていたところ、

転院先の先生から、「ステロイドには、抵抗があるだろうけど・・・」と、

ステロイドを提案されて、その時、先生の本を読んでいたので、納得して処方

してもらい、服用開始しました。

神経圧迫が取れ、右足が動くようになり、腹膜播種のあちこちに生じていた

腸管の浮腫?痛みなども取れ、大変楽になりました。

ありがとうございました。


(以上紹介です)


Reiさん、メッセージありがとうございました。

ステロイドを使いこなしてくださっている先生の存在と、その処方の意味をしっかり理解して服用されているReiさん、双方のことが嬉しかったです。

腫瘍周囲には浮腫(むくみ)が存在し、あるいは炎症の周囲への波及から、実際の腫瘍の存在範囲以上の傷害が出現することがあります。

例えば脳転移にステロイドを使用すると、画像上でも著明に腫瘍の周囲の浮腫(むくみ)が減ることが確かめられますが、それと同様なことが内臓の腫瘍の場合も起こっていると推測されます。

Reiさんの場合のように骨盤内のダグラス窩に病変がある場合は、骨盤神経叢という骨盤内の神経が密に集合している部分を傷害することからの諸症状が起こり得るわけですが、それがステロイドの使用で、腫瘍周囲浮腫が軽減され、ひいては神経障害が解除されたものと考えられます。

もちろん主治医の先生ではないので、細かくはわかりませんが、お話を聞いて推測した機序はそのようになります。すなわちReiさんの考えてらっしゃる通りだと思います。

腹膜播種巣の周囲浮腫軽減も期待できますから、腸管の圧排が解除されて、それによる腹痛も改善されたものと考えられます。これも同様に、Reiさんの考えてらっしゃる通りだと思います。


ステロイドには様々な誤解がありますが、特にタイミングと病態が合致すれば、強力な治療薬として作用します。

正しい緩和医療の知識が普及することはとても嬉しいことです。

緩和医療というとまだまだ終末期医療という観念がありますが、そうではなくて、緩和医療は強力な苦痛緩和の治療であり、それを通してQOL(生活の質)の向上を提供するものです。

このような事例が益々増えてくれることを願っています。

Reiさん、ありがとうございました。



それでは皆さん、また。
部屋の温度と、水分補給にご留意くださいね。
失礼いたします。