皆さん、こんにちは。大津です。


寒い日々が続きますね。

特に北日本の皆さんは
大変なことと拝察いたします。
本当にお疲れさまです。


さて、最近朝日新聞の医療サイト
アピタルで長尾和宏先生が
連載をされています。これがまた
公平な内容で素晴らしいものです。
↓↓
http://apital.asahi.com/keyword/author.html?author=2012101700001


その長尾先生の以前の記事が
最近話題になっているので共有
いたします。
↓↓
こちらです


私も再三取り上げている
施設の看取りの問題です。


ところで
おかげさまで、私の講義も明日で
15回を迎え、参加下さった方は
のべで約1000人に及ばんとして
おります。

緩和医療・緩和ケアに興味を
もって下さっている医療者が増えていること
がよく理解されます。ありがとうございます。


私がこの地域向けの連続講義を企画
したのは、もちろん緩和ケアの
知識・技術の普及が第一の目的では
ありますが、その動機の中に
「以前NHKのテレビ番組で取り上げられた
大田区で素晴らしい在宅終末期ケアをしていた
事例において、介護職の方々が”病院
だったらもっと生きられたかもしれない
のに・・”と悔やんでらっしゃったこと」
(そんなことはありません!)ともうひとつ、
長尾先生が取り上げてらっしゃる施設の看取りの
問題をどうにか変えてゆく小さな力と
なれば・・というものも含まれています。
それは取りも直さず、長尾先生が経験
したのと同じような事例を私も経験し
何とかしなければと思っているからです。

私は介護職の方にも、もっと多く
緩和ケアや終末期ケア(念のためですが、
緩和ケア≠終末期ケアですよ)について
知ってもらって、自信をもって施設で
看取りをしてもらいたいと思うのです。

現場が大変なことは、私も施設の方と
以前お仕事をさせて頂きましたから
よく知っています。
けれども終末期ケアは、やり方さえ
わかってしまえば、とりわけ他の時期
と比べて極めて大変なわけではありません。
やり方を知ればまったく怖くないですし、
群を抜いた大きな労力も不要なのです。

また「最後まで看ますよ」と伝えて
入所してもらって、ご本人もご家族も
最後までそこで過ごすことを希望して
いるのに、ろくに意向も聞かずに
食べられなければ胃ろう造設転院、
最後が近づけば「栄養が補給できない
から」「点滴ができないから」「責任を
持てないから」と転院させてしまうという
事例をそれこそしばしば見て参りました。
私はこれでは嘘つきだと思うのです。
実際、施設職員の心が傷ついていることが
あります。「本当は看取りたかったのに」
「最後までいさせてあげたかったのに」と。

大丈夫なんです。いくらでもそれは
可能なんですよ。

私の経験では、そのように望まれる方を
きちんと施設で看取ってゆくと、
「これでよかったのだろうか」という
施設職員の迷いや悩みも減ってゆくことを
感じています。入所者さんの思いに沿って
いるわけですから、無理やり病院に
転院させるよりもよほど自らに納得がいく
わけです。

さてこのように、すぐに転院させたり
胃ろう造設を勧奨したりする原因。

私は大きな原因が2つあると考えています。

1つは現場の方が、終末期の方を
看ることに慣れていないからです。
しかし先に述べましたように
終末期の方に、とりわけ濃厚な
医療行為が必要なわけではもちろん
ありません。最小限の加療で十分なことも
しばしばです。そのことを知らないので
まるで施設でみてゆくことが命を
縮めてしまう(=職員としてやっては
いけない行為である)と思ってしまうのです。


もう1つは施設の運営側の問題です。
私はこれが実は無視しえないものと考えます。

どういうことでしょうか?


それはこういうことです。

もちろん
施設によっても異なりますが、
外部から入っている医者をまるで
下請けのように扱う(あるいは
考えている)施設上層や運営がいます。

一緒に良い医療を創る・・という
のではなく、施設から医者にお金を
払っているのだから施設側の言うことを
聞きなさい、というのに近い対応を
していることがままあります。

また
とにかく問題が起こることのみを恐れ、
「うちで亡くなったら責任を持てない」
とそれこそ「最後までみます」と
謳っているのに、間際になってあたふたし
その力学の中で転院を強いられるような
事例も散見されました。何か施設で
入居者さんが亡くなるのは、本来為される
べきである医療が為されなかったという
ことになりかねず問題になると思っている
ようなのです(これは問題にはなりません。
もしかすると病院のほうが、せん妄等を
増悪させて早く亡くなってしまうかもしれない
のです。単純に医療行為の多さで、このような
場合の見通しを推し量ることはできません)。

私は、ゆえに、
現場の方も施設上層も運営側も
仮にもそのような仕事をしているわけ
ですから
きちんと終末期のことについて
勉強してほしいと考えます。
そうすれば現場の職員も、自信をもって
最小限の医学的加療と、今まで通りの
介護ケアで最後まで慣れ親しんだ入居者の
方を看ることができるはずです。

また施設上層や運営側も、終末期のことを
知ることで、建前で振る舞う
ことが減り、本当に入居者さんのことを
考えた決断ができるようになるに
違いありません。あるいは例えば
「ここで看取ってあげたい」という現場の職員の
熱い思いを無視するようなことがなくなる
はずです。

そのためにどうかもっと終末期ケアのことを
知っていただきたいと願います。


緩和ケアの対象疾患はがんだけではありません。
しかし現状、がんだけでも必ずしも行き届いている
とは言い難い状況の中で、非がんの緩和ケアへの
道はまだまだ遠いです。

明日の「栄養と輸液」の講義も、基本的には
がんの患者さんへの内容です。
けれども次回の「臨死期のケア」と並んで
がんではない患者さんへも参考になるものだと
思います。

がん以外の病気においても、亡くなる数ヶ月
前は次第に、十分な栄養が投与されていても、
体重減少が進行してゆくことが知られています。
いくら栄養を入れても、最期は必ず来ます。

その時に、無理に栄養を入れ続けようと
医療に頼るのではなくて、
そこで最後まで過ごしたかった入居者さんの
ことを、入居者さんのこれまでの人生を
よく知っている施設職員が看てゆくのが一番
入居者さんにとって幸せなのではないでしょうか。



さて
今週も頑張って参りましょう。

3月は神戸、山梨、神奈川と所々に講演に
行かせて頂いて、また緩和ケアや終末期ケア
のことについて皆さんにお話させて頂きます。


それでは皆さん、また。
失礼いたします。