皆さん、こんにちは。大津です。


毎日寒いですね。

皆さんもお身体には十分お気をつけくださいね。

インフルエンザもノロウイルスも風疹も
流行っているようです。
手洗い、うがい、予防注射(風疹)にご留意
くださいね。


さて、ある方からメッセージを頂きました。

了承を得て、ご紹介させて頂きます。


(以下、メッセージ)


大津先生、「終末患者からの3つのメッセージ」をkindleで読ませて頂きました。
今、横には、末期がんに冒されてしまった、妻が、すうすうと呼吸をしながら寝ています。
先生の本を読んでいくうちに、変な感じですが、彼女の死を受け入れる気持ちになり、
彼女の痛みに苦しむ姿に、もっと優しく接してあげられるような気持ちになりました。

今、彼女は、ホスピスのベッドが空くのを待ちながら、自宅で療養中です。
子供のいない夫婦二人暮らしなので、私がすべてを見ていて、緊張の毎日に疲れ切っていました。
先生の本を読んでいると、なぜ、もっと早くにホスピスの事を知り、早く準備をしてやれなかったのか、後悔する気持ちもあります。
が、反面、私自身が考え、彼女の死とまともに正面から対峙することになり、思考停止に陥らず、人のせいにすることなく、納得できる看病だとも思えます。

今後も、ホスピスの普及に、ご活躍されることを、心より期待しています。
私もこの経験を少しでも世の中をよくするために使い、一隅を照らす行動に繫げていきたいと考えています。

ありがとうございました。

東京都
Sさん


以上です。


Sさん、メッセージありがとうございました。

きっとブログの読者さんの中にも
今Sさんと同じようなお立場の方や、Sさんの奥様の
立場である方、また過去に同じような経験をなさった
方もいらっしゃることでしょう。

皆さんのお心安きことを心から願っております。

願うことしかできません。
けれども、どうか皆さんに良き時間が訪れる
ことを願います。まずはそれが私にできること
だからです。


もう一つできることがありました。

Sさんが「一隅を照らす」と書いて下さったように
誰にでもその人なりの方法でできることがあります。
Sさんも今、奥様の苦しむ傍にあって、奥様を
支えています。それはできることです。
そしてSさんにしかできないことです。
ご主人だからこそ、できることなのです。

私もやることをやらねばなりません。
私もできることを突き詰めて、また新しいものを
作り上げました。

現在2つの新著がデビューの時を待っています。

どちらも緩和ケア及び緩和ケアの心を示している本です。


とりわけ、『世界イチ簡単な緩和ケアの本』以来となる
緩和ケアの実践本(医療者向け)には心血を注ぎました。

ゆえに最近ブログの更新が滞って失礼いたしました。

ただ寝食を忘れて取り組んだだけのものにはなったと
思います。
どうかお楽しみにして頂けたら幸いです。


前著『世界イチ簡単な緩和ケアの本』も
一般臨床家の方々に愛されており、著者としては
本当に嬉しく思っております。

緩和ケアをしたい。
けれども周囲に緩和ケアを教えてくれる人がいない。

そんな医療者の方、たくさんいらっしゃると思います。
私もかつてそうでした。
『最新緩和医療学』<恒藤暁先生著>を片手に
(ちょっとこの本は重いですが!)初めて緩和医療を
行った日のことを私は忘れることができません。
私も、緩和を誰も教えてくれる人がいない中での
試行錯誤の日々でした。

同じように、緩和医療をしたくても、一歩が踏み出せない。
あるいは薬剤をひと通り使えるけれども、緩和ケアの
専門家のような処方が出したい。
そんな熱心な皆さんの、その背中をそっと、時に力強く
押せますように。

かつて
そう願って記した『世界イチ簡単な緩和ケアの本』は
おかげさまで緩和ケアを専門としない医療者の方に
多く読んで頂いて、実際の臨床に供してくださっている
とのお話を多数頂いております。本当に嬉しいことです。

『世界イチ簡単な緩和ケアの本』を書き上げた時は
私は在宅診療所で勤務していました。
在宅でできる、在宅でも十分に緩和できる、それを
反映しようと意図しました。

おかげで在宅の先生にも使って頂けているようです。
有り難いことです。


今度の新しい本は
大学病院での緩和ケアチーム経験がさらに反映されました。

在宅では自らが最前線で緩和ケアを行います。
これは自らが名人になれば良いということでもあります。
己の技を極めればいいわけです。

しかし大学病院の緩和ケアチームでは、主治医の先生にも
緩和ケアをしてもらわねばなりません。
ゆえに、極め尽くした専門的処方、というよりも
誰にでもできる、効果が実感できる、易しくしかし
効果が高い処方をお勧めしなければなりません。

有り体に言ってしまうと、「処方しやすい」薬剤・方法を
提案しなければ十分ではありません。

でなければ、主治医の先生に却下されてしまうかも
しれないからです。

そのような「簡便な」「施行しやすい」という処方。
それを磨きに磨いていったこと。
その経験が新著には反映されたと思います。


もうホスピスや緩和ケア病棟だけで優れた緩和ケアが
提供されているのでは、たくさんの方を救いきれません。
一人でも多くの医療者が、緩和ケアを専門としない
医療者が、緩和ケアを行う必要があります。

一般病院、大学病院、在宅でこそ、どんどん緩和医療
がなされなければなりません。

そのためには、医療者の多くに理解できる簡単な
緩和ケアの本が不可欠です。
『世界イチ簡単な緩和ケアの本』で半分は成し得た
と思います。今度の新しい本で、もう半分が完成すると
思います。

一般病院の一般病棟でも、あるいは在宅でも
苦痛少なく過ごせるような社会のために、
ぜひとも『世界イチ簡単な緩和ケアの本』を
ご愛顧頂いたように、新著も一般医療者の皆さんや
先生方のおそばにあって頂くことを願うばかりです。

一日で読める。
それを目指して書き上げました。
また書名等が決まりましたらお伝えしたいと思います。

ホスピス・緩和ケア病棟に入る時間を待つまでにも
しっかりとした緩和ケアが為される社会を願って。
私にできることが、また一つ形になりそうで、
嬉しく思っております。


それでは皆さん、また。
いつも読んでくださってありがとうございます。
失礼します。