皆さん、こんにちは。大津です。


今日は当院主催医師向け緩和ケア研修会の
初日でした。

目いっぱいのプログラムにも関わらず
皆さん熱心に取り組んでらっしゃいました。
素晴らしいことです。


さて、医療者の皆さん、

医療用麻薬は痛みが取れるまで
どんどん増量して良い


・・と思ってませんか?

あるいは
臨時で使った分の
医療用麻薬量を定時量に上乗せする


・・と思ってませんか?

これ、
間違いではありませんが、
正解でもないですよ。


当院では繰り返しの情報提供の結果で減りましたが、
医療用麻薬を痛みが取れないからといって
増量し続けるのは間違いのもとです。


まず、
痛みの性状をしっかり聴きましょう。

体動時に痛い、骨の痛み。

ちりちりぴりぴりとした
異常感覚がある
神経の痛み。


これらは医療用麻薬を増量し続ける
よりもまずやることがあります。

例えば
骨の痛みだったら、非オピオイドの強化、
ビスフォスフォネートの投与、
放射線治療の考慮、レスキューの適正化。

後者だったら鎮痛補助薬の使用や
神経ブロックの考慮等々。

そして大事なことは
緩和ケアチームがある病院さんは
緩和ケアチームへの依頼!


最近減りましたが、
かつてはありました。

デュロテップパッチ
50.4mg(!)/3日


フェントステープ24mg(!)/日

この「!」の意味が
わからない方はぜひ
下記拙著を読んでください。




いずれにせよデュロテップパッチの
8.4mgやフェントステープの4mg以上と
なっても緩和されないような痛みを
無理やりオピオイドでねじ伏せようとするのは
過ちのもとです。

いわんや
デュロテップ1枚の最大用量16.8mgや
フェントステープ8mgでも取れないような
痛みは「なにかおかしい」「これだけでは
だめなんじゃないか?」と思うことが必要です。

それを2枚も3枚も重ねても取れないような
痛みは、実は副作用ばかり出している可能性が
あります。

医療用麻薬は入り口はけして狭くありませんが、
かなりうまく使いこなすのには専門知識が
必要です。専門家を頼るに足る量は
デュロテップパッチの8.4mg
フェントステープの4mg以上

ととりあえずは思って頂いて良いでしょう。

副作用が少ないからこそぺたぺた張りがちな
フェンタニルパッチ。
実は副作用、結構出していること、少なく
ありませんよ。
なにせデュロテップ1枚の
最大用量16.8mgや
フェントステープ8mgは
内服モルヒネ換算の240mg/日。
オプソ5mgを1日48袋飲むのに
等しいのですから!



それでは皆さん、また。
失礼します。