皆さん、こんにちは。大津です。


更新頻度がはかどらないにも関わらず、
いつも読者登録、メッセージ、ペタ等で
応援くださり本当にありがとうございます。

寒暖の差が激しいですね。皆さまも
お身体には十分お気をつけください。

今年もあっという間に6分の5が終了!
早いですね・・。光陰矢のごとしで、また、
少年老い易く学成り難し、の文字をかみ
しめる日々であります。


さて、東京都大田区大森地区で50年に
わたって診療をされ、今も診療され続けて
らっしゃる鈴木荘一先生が、その貴重な
ご経験を「ひとはなぜ、人の死を看とるのか」
というご本にまとめられました。

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さっそく売り切れになってしまったのか、
11/2現在、アマゾンでも高価な中古本しか
買えません。

拝読して思ったのは、
「本当にこんなご本を世に出してくださって
ありがとうございます」という深い感謝その
ものでした。50年の在宅医としての経験が
込められていて、それを追体験することが
できるというだけで無類の価値があると思います。
若い医者は必読だと思いますね。

特に感動したのは、次の2点でした。

一つは近代ホスピスの体現者と言える
シシリー・ソンダース先生(イギリスの女性医師)
とのご交流をはじめとする「歴史の証人」として
ご覧になって来られたことが余すところなく記され
ている点です。鈴木先生は1977年(僕が
生まれた翌年です)、彼女に会いに行って、日本に
ホスピスとその医療について紹介なさっておられます。
その経緯が余すところなく書かれていました。

日本におけるホスピスケアの黎明期、揺籃期の
「空気」を感じることができるという点で
比類がない文献であると感じました。

今でもホスピス・緩和ケアを正確に理解している
医療者は残念ながら多くありません。34年が経過
した今でも、です。にも関わらず34年前にそれを
紹介し、実践されたということがどれだけ困難で
あったことか・・と考えると頭が上がりませんでした。

そしてまた、1960年代から、「患者さんと
ご家族に意思決定に関わってもらう」という21世紀
の今でも真になされているのかどうかわからないこと
を実践されていたシシリー・ソンダースのすごさに
心を打たれました。時代を半世紀も先取りしていたの
ですね。

感動したことの
もう一点は、在宅医としての半世紀を超えるご活動
から生み出されたお言葉の数々です。
死について誰よりも考えて来た東西の賢人たちの
言葉も紹介されていて、それもまたずっしりと響いて
くるものでした。

僕もよく講演で、

「もうできることはありません、とはけして言わない」
(できることは必ずある)

「答えは患者さん自身が見つけ出す」
(支え手はそのお手伝いをするのが仕事)

「緩和ケアの担い手は『同行二人』でゆく」

と言い続けて来たのですが、それらも既に偉い方たち
がかつて述べて来たことなのだ! ということがわかり、
驚くと同時に、普遍的なものなのだ、ということが実感
されました。

医療者には特にお勧めの本です。ぜひともお読みください。


さて、金曜は秋田県湯沢市で講演会です。

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青年会議所の主催です。
頑張って終末期のことや緩和医療のことを
伝えてきたいと思います。


それでは皆さん、また。
失礼します。