こんにちは。大津です。


今日は学会に行って来ました。
死の臨床学会です。

名前だけ聞くと、一般の方は
怖そうな印象を持ってしまうかも
しれませんが、さにあらず、
実は日本緩和医療学会よりも歴史
が古い、生と死の現場で、特に
終末期の現場で働いている多職種
の方々の関与する学会です。

相変わらず大会場は人でいっぱいでした。

講演者の先生の話にも感動しましたが、
何よりこの大会場で話を聴いている
方々(特に看護師さんが多かったと
思います)が、終末期の方々の声を
一人ひとりが傾聴すれば、これから死を
迎えようとする方たちにとってどれだけの
力となるか・・とそんなことを思いました。

なにせ大きな会議場が満杯になるくらいの医療者が
いるわけですから、一人ひとりの心がけ次第で、
たくさんの「傾聴」を広く提供することが出来る
でしょう。


私の看取ったある患者さんは、かつてホスピスには
3つの宝があると言いました。
皆さんは何かわかりますか?

答えは『感動を与えて逝った12人の物語』で
描きましたが、彼が言ったのは結局病気は
「人が治す」ということだったんだなと思います。

「自分が治す」そして「医療者が治す」

ただ後半の「医療者が治す」というのは、
「医療者が」「薬を使って」「治す」のではなく、
「医療者『自身が』」患者さんを「治す」のです。
このことはまた改めて話したいと思いますが、
逃げずにそばにいること、答えが出ない問いに
居合わせ続けること、患者さん自身に向けられている
ような話を聴き続けること、これらは皆「医療者」と
いう存在そのものが患者さんを癒すことだと思うのです。

学会にあれだけの人が集まるのですから、その皆が
よき実践家であれば、そしてそれぞれが心がけてよき
傾聴やケアを行えば、もっともっと多くの方が救われて
ゆくことでしょう。素晴らしいことだと思います。


余談ではありますが、若き緩和医療医もどんどん
育っています。かつて何回か手紙をくれ、ホスピスに
研修に行った気鋭の医師も、経験を積んで大きくなって
いました。かつて日本一若かったであろうホスピス医の
私もすっかり追いぬかれ(?)ました。これも本当に良
いことです。若いお医者さんにはこれからもどんどんホ
スピス・緩和ケア病棟の経験を、そして「在宅医療」の
経験を積んでもらいたいと思います。


一般の方には、良きニュースだと思います。
あれだけの数の医療者が(特に看護師さんが)
終末期ケアに目を向けており、そして若い世代での
良き実践家もどんどん増えているだけですから。
これからの充実も期待できることでしょう。

私も引き続き自分に出来ることを頑張って参りたいと思います。
尊敬すべき先輩たちからまた多くを学びつつ、
精進していきたいところです。


それでは皆さん、また。
失礼します。