続けてこんにちは。大津です。


最近この本を読みました。

$大津秀一 オフィシャルブログ 「医療の一隅と、人の生を照らす」 Powered by Ameba

日本の一面の真実を知るために
ぜひともお読み頂けるとお役に
立つのではないかと思います。

古賀さんは経済産業省の官僚で、
行政改革に力を注いでこられた
方です。最近は退職に追いやられ
ようとしています。

前著の『日本中枢の崩壊』
(以前紹介させて頂きました)
↓↓↓
こちら

が新書版になったようなもの
でもありますので、読みやすい
と思います。

古賀さんは、優秀で国の役に
立ちたいと願う官僚がいかにして
変容してしまうかを描いています。

でもこれ、至る所で見かけるもの
です。

医学生や看護学生の頃にきらきら
していた瞳が、数年を経てまるで
死した魚の目のようになってしまい、
患者さんやご家族にひどい言葉を
投げつける医者や看護師になって
しまったり・・。

しかし一人ひとりは良心があります。
酷い戦争犯罪を犯したナチスの将校
や医者も、一家庭人としては優しい
父であり夫でありました。しかし
筆舌に尽くしがたい残虐を働いたのです。

僕が思うに、劣悪すぎる環境やシステム
が人を変えていってしまう、そういう
ことが数多くあると思うのです。

ですから僕は、何か問題が起きた時に、
人にだけ問題を帰するような組織(
あるいは問題解決策)はいけないと
思っています。その人を生む土壌が、
その問題を頻発させる土壌があること
を見過ごしてはならないのです。
システム上の欠陥があることは少なく
ありません。

組織には古賀さんのような、組織の
意味をもう一度考えなおさせてくれる
存在が必要不可欠です。そしてなぜ
問題が頻発するのかまで突き止めよう
とする人が不可欠です。そのような
存在は、しかし、老朽化した組織では
遠ざけられ、いつしか組織に完全順応
し、組織の理屈を最優先する人ばかり
となってしまいます。そして起こるのが
取り返しのつかない問題や事故なのです。

厚生労働省にも村重直子さんや木村盛世
さんという古賀さんのような存在がいま
した(います)。彼女らの奮闘と、そし
て組織においてどのような対応を受けた
のかは著書を読めば痛いほど伝わってきます。

時代は常に変わっていきます。
ですから営利企業のように真剣に、
非営利組織も、医療組織も、どんどん
新しいシステムを試してゆく必要がある
と思います。内なる改革者と、外部の
視点を持つ者が協働してことにあたって
ゆくということが重要だと思います。

聞いた話です。

ある仕事場ではいじめが横行していました。
興味深いのは、誰かがいじめられて辞める
と、必ずまた次のターゲットが出て来ることです。

しかし当事者はもっともらしい理屈をつける
のです。「Aさんは仕事ができないから
やられて当然だ」「Bさんは態度が悪いから
怒られても仕方ない」「Cさんはミスばかり
だから相手にされないのもしょうがないんじゃ」
・・。Aさんが辞めるとBさんが、Bさんが
辞めるとCさんが激しいいじめの対象となり
ました。まるで修羅界で、これがいつまでも
続いているのですが、多くがそう思わないの
です。あくまで悪いのは人だと思っています。

何のことはない、誰かをいじめることで
内的不満を解消している組織なのです。

こういう場合に、人の問題に帰していると
いつまでも問題は解決しません。

そんな仕事場の中の心ある一部の人と、
管理者が取った対策は3つでした。

「とにかく人の悪口を許さない」
管理者はこれを認めないことにしました。
形からでも大切だと思ったのです。
悪口を言うことで、益々職場に悪い雰囲気
が満ちます。形だけでもまず笑顔を作る
ことを大切にしようと考えたのです。

もう一つは
「仕事の流動性を増やしたこと」
つまり、しばしば言われるように、半径数メートル
内の職場のいじめはもっとも陰湿・苛烈になりがちです。
同じ顔がいつも顔を合わせていると些細なことでも気に
なりはじめ、そのうちあれやこれやとアラを
探し出してしまいます。それをうまくシステムを
変えて、チームの流動性を増しました。

そして最後の一つは
「組織の社会的要請を明らかにしたこと」です。
初心に立ち返り、自分たちは社会にどのような
価値を創造すべきかを再認識・共有しようとした
のです。

・・こうしていじめは消失しました。

肌に合わないいじめっこは辞めていったようです。
人をいじめるより、スキルアップに熱心な
スタッフが集まりその仕事場は見違えたそうです。


問題はしばしばそのような「改革者」が揃わないことです。
こういう改革者がどんどん改革をしないと、日本は
どんな領域でもいずれ没落していってしまうと思います。


誰にでもできることがあります。
まず一人ひとりが考えてゆくことが重要なのだと思います。

それではまた。
失礼します。