皆さん、こんにちは。大津です。

今日は雨でしたね。
昨日は夏日だったのに、今日は一気に時計が戻ったよう。
皆さんも温度調節に気をつけてくださいね。

さて、表題です。

今年8月発売の赤本(懐かしい! 受験生のバイブルです)
に著作物からの引用が掲載されますと連絡が来て、
どれどれと拝読してみたら、
何と東京医科歯科大学の医学部保健衛生学科看護学専攻の
小論文問題にどこかで見たような文章が・・!

そう、『死ぬときに後悔すること25』からの引用が問題
文で、死にゆく人をどのように見守るかという設問などが
2問なされているのでした。

赤本の「模擬問題」に選ばれるとは光栄なことだなというふ
うに思いながら、調査してみると、なんと「模擬問題」では
なく、実際に本年度の前期日程(2011年2月25日)で
出題されたものと聞いてなおびっくり。

とうとう入試問題にもなっていたんですね。

でも、看護学を志望される受験生が、どんな答えを書いて
いたのか、それがとても気になります。
受験の場ですから、皆必死で、問題文を堪能するどころでは
なかったでしょうが、幸運にも合格したみんなも良かったら
また全文を読んでもらえたらなと思います。

実は僕にとっても、かつて試験問題は新しい本との出会いの場でも
ありました。

昔のことですが、僕は試験問題で続きがとても気になる文章と出会っ
たことがあります。試験に必死で、出典を見逃してしまい、今のよう
にネットで検索する時代ではありませんでしたから(僕の高校時代は
インターネットの広範な普及前です)、どの本なのかを見つけるの
にとても時間がかかりました。見つけた頃にはもう大学生になってい
たのではないでしょうか。

そしてとうとう見つけたのが、南木佳士さんの「ダイヤモンドダスト」
です。

僕が惹きつけられた文章は、「ダイヤモンドダスト」からの引用で、
浪人した主人公と、進学した彼女のせつない別れを描いたものでした
が、僕が驚いたことは、一つはこの繊細な文章を書かれたのがお医者
さん(南木佳士さんは芥川賞作家でもありますが、現役のお医者さん
でもあります)で、もう一つはこの物語の結末が・・とこれ以上饒舌
に書くとネタバレになってしまうので取っておきますが、このお話で
は後年主人公がその元・彼女と思わぬ再会をすることになります。
その場面の数々が僕の心を深く捉えたのでした。

まるで僕が今している仕事を暗示するような展開(とまで書くと
勘の良い方はわかってしまいますね)、けれどもこういうことは
のちのちわかることなんですよね。そして奇跡のような、様々な
巡り合わせ、運命の交錯がある。

道は振り返った時に見えるもので、目の前にはいつだって未開の
沃野が横たわっているのだと思います。こんな話は、致知からまた
夏に新作が出るのでそこでお話ししたいと思います。筑摩書房から
も新作が出るので、たまたまですが、二作が近接して発売されるこ
とになろうかと思います。どうかどちらも可愛がってくだされば
幸いです(復興書店、島田雅彦さんの書店のほうも、どうかまた
皆さん、よろしくお願いいたします。全額寄付になっております)。

いずれにせよ、南木佳士さんの「ダイヤモンドダスト」は
試験で初めて出会ってからずっと僕の愛読書です。皆さんも
良かったら読んでみてください。

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被災地の皆さんも、変わらず大変な日々を歩まれていることと
思います。どうか無理し過ぎず、そして誰かが皆さんのことを
心から思っていること、それが届いてくれたらと願います。

それでは皆さんまた。
失礼します。