皆さん、こんにちは。大津です。

6時台の風景もだいぶ変わって来ました。
日がもうのぼっています。寒さも前ほどでは
ありません。


身を挺して患者さんを守った南三陸町志津川
病院の看護師さんの記事を見つけました。
↓↓↓
こちら

3人の看護師と看護助手が、最後まで患者さん
を逃がそうとして、亡くなられたそうです。

深く哀悼の意を表します。本当に・・医療者の鑑です。

現場で高いプロ意識のもとに、自らの身を
省みずに亡くなられた市職員の方や警察官の方、
その他たくさんの方々の話が出てきて
おりますが、本当に皆さんは立派であられたと
思います。何を言っても、その働きに相応する
言葉とは思えませんが、彼らの仕事に生者は
頭を垂れるしかありません。そして感謝の祈り
をささげるよりほかはありません。

今も過酷な現場で頑張られている方々のうえにも、
どうか幸いがあらんことを。
特定の宗教を信じていなくても、ただ願い、
ただ祈りたい気持ちになります。


危惧していましたが、やはり心の病が各地で
増悪しているようです。

有名な精神科医の中井久夫先生が、心のケア
について、毎日新聞で仰られていました。

記事はこちらです。
転載します。



東日本大震災:被災者の心のケア 精神科医・中井久夫さんに聞く

 東日本大震災でつらい思いをしている人々に、私たちはどのように接すればいいのか。また、何ができるのか。1995年の阪神大震災の際、被災者の心のケアに当たった精神科医の中井久夫さん(77)に話を聞いた。【手塚さや香】

 ◇無力さ感じずに、今は力蓄える時
 かつてない地震と津波の被害に直面し、多くの人は被災した人たちにかける言葉を失っているかもしれない。「おかわいそうに」といった言い方は、言われた方はみじめに感じ、自尊心が損なわれる。自尊心は病気の治療においても災害時においても、絶対に必要で大事にしなくてはならないものだ。

 「がんばれ」と言うのも、どうだろう。「がんばれ」は英語で「Do your best」と訳されたりするが、言われた方は「今もベストを尽くしているのに」と感じないだろうか。「幸運をお祈りします」といったニュアンスを感じる「Good Luck」という言葉が一番いいかもしれないそれをどのように自分の言葉にするか悩み、工夫して伝えようとすることに意味があるし、その思いは伝わるだろう。大切なのは表面的な言葉の表現ではない。

 大災害や大きな事件・事故に伴って起こる症状を表す医学用語「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」を新聞やテレビでよく見聞きするが、わが国では16年前の阪神大震災を機に広く知られるようになった。不眠や悪夢を見るなどの症状が長い期間続く。阪神大震災の時は医療従事者もそのような症例を診察した経験がなく、被災者も自分たちの心の中で処理すべき問題だと思って、口に出すことを避けてきた部分もあるだろう。それゆえか、さまざまな心身症状の中で最も遅く症状が現れてきた。

 PTSDは、被災者が「自分たちの存在が忘れられていく」と感じることと深い関係がある。阪神大震災時には、誰かがそばに「いてくれる」ことがいかにありがたいことかを、被災者となった私自身が再認識した。だから、被災者のそばに「いること」こそが最大の安心を与える、と折に触れて言ってきた。

 自衛隊など特別な訓練を受けている人たちの忍耐力は別にして、自らも被災しながら救援に当たっている人やボランティアの場合、水だけで頑張れるのは1日、食べ物でも冷えたものだとせいぜい3日くらいだ。加えて、温かい食事をとれないでいると、新しい発想で物事に対処したり、臨機応変に対応することが、次第に困難になってくる。それが2週間もすると、毎日が同じことの繰り返しになり、体調を崩す人が増えてくるようになる。

 阪神大震災の際も、このくらいの時期に風邪をひいて倒れる医師が多かった。しかし、当時はこの時期に九州の大学から救援が来てくれたことで、士気を立て直すことができた。その次は40~50日以内にやるべきことをやってしまわないと、人間のスタミナはそれ以上なかなか続かないものだ。

 ボランティアで被災地に入る人たちは、たとえ大々的に活動する機会がなかったとしても、存在することに意味があるのだと思ってほしい。一方で、阪神大震災では土地勘のない神戸に地図も持たずにきたボランティアが大勢いて混乱した。被災状況を調査するための各種機関や報道陣も押し寄せる中で、地元住民が案内役を務めなくてはならなくなり、救援や復興の妨げになった。

 このたびの大震災は国民的な一致が得られるチャンスだと言ったら、不謹慎であろうか。しかし、精神科医による治療でも言えることなのだが、悲観的な予言は事態の悪化をもたらすことにしかならない。私たちは今、全国民が等しく被災者であるという認識に立ちながら、それでも少し楽観的になろう。被災者に対して何もできないのだ、と無力感を抱くことはない。日本が立ち直るには時間がかかる。今、自分は力を蓄える時だと考えよう。何度も言うが、私たちは被災者のことを忘れてはならない。歴史に終わりはない。今は試練の時だ。
(赤字強調:ブログ著者)


阪神大震災のケアにも携わった77歳の先生ですから、
その言葉は重いです。

テレビで繰り返し壮絶な映像が流され、街の風景も
どこか違って見え、時折揺れがあるたびに名状しがたい
好ましくない感覚を呼び起こされる。
こういう経験が続くことは、感受性の強い人には
大きなストレスとなって降りかかってくるでしょう。

助けてあげたい、なのに、なにも出来ない。
もどかしい。
そういった無力感や自責の念も自らを蝕んでいきます。

スピッツの草野マサムネさんが急性ストレス障害を
患われたという記事を皮切りに、都内でも心の病の悪化
が散見されるというような記事も出て来ています。皆に
かなりの負荷がかかっているのではないかと感じます。

それゆえ、僕もなるべくまずは自分の心のマネジメント
を・・と述べて参りました。
私のように終末期ケアに携わる人間は、何とか心の
やりくりをつけなければ長く働くことはできません。
そのマネジメント法のひとつは、厳しい環境にあっても、
楽しむことを見つけ、その時間は自分が楽しむことを
第一にすることです。そうしないと体がもちません。
喜びや希望がなくては、人は生きていけないのです。


そして、思い出して頂けると幸いです。
その全ては記事にはなっていないけれども、亡くなった
被災地の看護師さんや市職員さん、警察官の方、その他
の職種の方々、みんな自らのやるべきことをやり、その
使命に殉じたということです。

彼らは、自らの仕事を、困難な環境の中で、最大限に
行ったのです。仕事に求められているものを、最後まで
実行したのです。
私たちが見習うべきはそこでしょう。

私たちも彼らと同じく、自らに与えられている仕事を
通して一隅を照らすことが、求められていることであり、
真の被災地支援となり、亡くなられた魂に心から供養する
ことになるのではないかと思います。

一人も、心が壊れてしまってはいけません。
一人ひとりが試されているのだと思います。
苦難に負けない心のバランス感覚を。
そして一人ひとりがどれだけつながれるのか、ということを。
中井先生の文章の最後はまさにそういうこと
だと思います。

歴史は何度も人類に過酷な経験を強いてきました。
それでも人類はここまで発展してきました。
試練を通して、乗り越えてきたのが人間ですし、
乗り越えるのが人間です。

自らのやるべきことは、誰かの文句を言うことでは
ないはずです。高ストレス下で、どうやりくりを
付けて、良好で肯定的・楽観的な精神状態を保つの
か、それぞれが考えて、良い人生を引き続き過ごして
頂きたいと切に願います。


一週間も中日。
ぼちぼちやって参りましょう。
それでは皆さん、また。
失礼します。