皆さん、こんにちは。大津です。
なんと昨日はTV出演の時以外で初めて
1000PVを記録しました。
とても嬉しかったです。ありがとうございます。
新宿の講義にもたくさんの方が来てくださって
ありがとうございました。旧知のご縁もあり、
嬉しかったです。
さて今日はちょっと気になったことを。
人は自らのフィルターを通して物事を見ます。
完全に中立、というのは多くの場合難しいものです。
それにしても、批判的な目で見るのは大事ですが、すぐに
これは嘘だ、浅はかだと判断するのではなく、じっくりと
考える、時には即断を留保するという作業も必要なのでは
ないかと考えます。
考えさせられることがありました。
某サイトに、『死ぬときに後悔すること25』の感想で
「読んで後悔しました。(略)
医師としてもうちょっと勉強して下さい。
著者としてもうちょっと経験を積んでから書いて下さい」
という厳しいお言葉がありました。
続けて書いてあるのは、以下
「一例をあげると、日本人は癌で亡くなる人がもっとも多く、2位の心疾患(これはメタボに関連する)のほぼダブルスコアであるから、メタボ対策で健康でいられるかというのは疑わしいというようなことを書いているのだが、2007年の統計であるが、 悪性新生物 30.7% 心疾患 15.3% 脳血管疾患 13.8% 肺炎 9.0% 不慮の事故 4.1% 自殺 3.1% 老衰 2.2% 慢性閉塞性肺疾 1.8% 腎不全 1.5% 糖尿病 1.2% メタボに関係ありそうなものは、心疾患、脳血管疾患、腎不全、糖尿病あわせると31.8%。医師でなくとも常識のある人であったらご存知であると思う」
とのことです。「ほかにもつっこみどころが満載」と書かれています。
おそらく『死ぬときに後悔すること25』のP20の記載をそう捉えたのでしょうが、
原文は「現在もっとも多い死因はずばり『がん』であり、死者数は三十四万人超である。死因の第二位が『心疾患』(これはメタボが原因となることもあるが)の十八万人超だから、実にダブルスコアに近い。ここからも『メタボに気を遣っていれば、健康な生活を送れる』のは疑わしいとわかる」です。メタボに気を遣うことと、メタボ対策というのもまた違った用語だと思いますが、それに対する僕の見解は下記の通りです。
当然のことながら、心疾患には慢性心不全があり、脳血管疾患にはくも膜下出血があり、腎不全には慢性腎炎からの(糖尿病性腎症からではない)腎不全があり、これらはメタボとはあまり関係ありませんから、心疾患・脳血管疾患・腎不全・糖尿病を合わせたのがメタボの総数ではありません。
またメタボ健診には、受診者が指導で改善されない場合、健保組合に罰則が与えられ、国からの補助金が減るという仕掛けがあります。医療費削減を狙った施策の一つです。
最近のコレステロール値は高いほうが良いのか、そうでないのか論争もありましたし、日本独自のメタボ基準にも批判が相次ぐなど、不透明な部分が少なくありません。
さらに『治療をためらうあなたは案外正しい』という良い本があるのですが、読まれると驚かれると思います。著者は名郷直樹先生で「証拠に基づいた医療(Evidence-Based Medicine;EBM)」の専門家です。
例えば高血圧。高血圧があっても、実は70歳代の高血圧の場合も「降圧剤を飲まなくても90%の人は脳卒中にならない」のです。70歳代の高血圧の場合「薬を飲まないと10%脳卒中になります」しかし「薬を飲んでも6%脳卒中になります」つまり「薬剤は脳卒中になる人を4%減らすことができる」のです。けれども「そもそも90%の人は脳卒中にならない」のです。
10%の脳卒中を6%に減らすならいいじゃないか、そうお考えになる方もいるでしょう。けれども、ここに医療費がかかります。200円の薬剤を1種類毎日飲むと、年間3割負担で20000円強です。他にも診察料や検査料がかかります。そうやって飲んでいても、6%の人は脳卒中になるのです。もっと若い世代の場合は3%の脳卒中が2%に下がるのだそうです。その差は1%です。
どれだけ対策をしても、人は必ず一定の確率で病気になります。そして対策をしたから、病気にならない、というわけではありません。メタボ系の疾患でも、対策をしたからと言って劇的に変わるわけではありません。人生のプライオリティを「絶対病気にならないこと」におくのだったら1%でも確率を減らすために薬剤を使用することになると思いますが、それでも脳卒中の場合だと6%は薬を飲んでいてもなります。10%が6%になるだけだったら、年間数万円の負担や受診のストレスを回避したい、それもまた立派な選択なのです。
『治療をためらうあなたは案外正しい』には高コレステロール血症にも興味深い記載があります。そもそも日本は心筋梗塞が世界でももっとも少ない国の部類なのです。高コレステロール血症の日本人にコレステロールを下げる薬剤を使用したところ、発症率0.5%だった心筋梗塞が0.33%に下がりました。そして高血圧の時と同じく、0.17%減らすために薬剤費や受診料がかかります。また、薬剤を飲んでいても0.33%は心筋梗塞になるのです。
以上のように、メタボ対策をやったからどれくらい違うのか、というとそれはさほど変わりがないように私には思えます。もっとも何を最上の価値とするかは人によって違いますから、1%でも減らしたいという人からはそんなことはない、と思うことでしょう。
ただ、以上のように、「メタボに気を遣っていれば、健康な生活を送れる」のは疑わしいことはわかって頂けるのではないかと思います。メタボに気を遣っていても病気になります。行政が打ち出したメタボ対策も、医療費削減の効果や学会の考えなど様々な思惑が絡んだ代物であり、本当に有効かどうかは議論があります。ひょっとすると、メタボに過剰に気を遣いすぎたり神経質になったりすることで、ストレスが蓄積し、生活の質どころか生命の長さまで縮小してしまうかもしれないのです。何が良いのか、これは簡単に判断できないものなのです。
またAという結論のデータがあれば、-Aという結論のデータも多くの場合存在します。自らが好きなほうを、論を補強する目的でそれぞれが選びがちです。それを防ぐのがEBMなのですが、それでも100%というものはありません。
そしてそもそも、メタボ系疾患とははっきりと言えない病気である「がん」が死因の一位です。そこから「も」メタボだけをケアしていても仕方ないんじゃないの、という意味で「ここからも『メタボに気を遣っていれば、健康な生活を送れる』のは疑わしいとわかる」と書きました。
では最初からこれだけの事を書いてほしい、と仰る方もいるかもしれません。
けれども僕は『死ぬときに後悔すること25』に必要以上の医療知識を記載することをしませんでした。亡くなってゆく方々が残した声から、生者が学び、生かすことがあるのではないか、というのがこの本のテーマです。ゆえに、医療知識を細部まで書きこむことは、読者の皆さんの大意に対する理解をむしろ妨げてしまうのではないかと思いました。医療にもあまり興味がない読者さんにも大意が届くようにと、そのように考えて記した本です。努めて簡単に記すようにしているので、網羅的ではない部分もあるでしょう。
けれどもそれをもって、著者が若いからとか未熟とか、というのはいささか残念なことです。若いと言っても10年しっかりと訓練を受け、何千もの症例を経験して参りました。どうしても死を語る年齢として若いと判断されてしまいますから、仕方がないことだと思っております。それにしても普段から「常識を疑うこと」の大切さを説いている身として、残念です。
医療者と一般の方の病気に対する知識には壁があり、それがゆえに円滑なコミュニケーションが妨げられていることや妙なヒエラルキーを生み易いことなど、様々な問題があります。だからこそ、一般の方にもっと医療や終末期、死について知ってほしいと願い一般向けの本を書き続けています。全ての方に理解してもらえることは残念ながら難しいと分かっておりますが、一部の文言を取り上げられて「若い」「未熟」「勉強を」等々と書かれると非常に残念です。某大手ネット書店のレビューにもそのようなものが散見され、時にがっかりします(『死ぬときに人はどうなる』ではおそらく僕より若いお医者さんから「死生を語るにはあまりに歳浅すぎる著者」と書かれてしまいました。笑)。
もっとも、これからも頑張っていこうと思います。
日本人は自国を褒めないと聞いたことがあります。
たしかに毎日色々なアラを探しているようにも見えます。
非常にストイックなのだとも言えますが、もう少し良いところを
見てゆくという訓練が必要なのではないかとも思います。
これは自戒も込めて、ですし、僕を褒めてという意味ではありません(笑)
微に入り細に入る批判ではなく、全体を見定めてどうなのか、
それを判断してゆく大人の視点が重要なのだと思います。
それではまた。
失礼します。
追伸 日本の医師や看護師は、言われているように、世界でも有数の
素晴らしさを持っていると思います。医師の専門的知識は深いですし、
看護師の患者への接し方も(他国より)優れていると言われています。
僕は、その素晴らしさが伝わらない、説明や態度の貧困さが一つ大きな
問題としてあるのではないかと考えております。もっともそれは、医療
現場の現在の環境があまりに多忙であることと不可分とも思っております。
僕は患者さん・ご家族と医療者双方の味方です。患者さんとご家族には
医療の真実に対する理解があれば良いと思いますし(ゆえに
本を書いております)、医療者にはとにかく懇切丁寧な説明と、
患者さんとご家族の気持ちに少しでも寄り添って行動することが必要
だと思います。一般の方には、ぜひとも上手に医療者の力を使いこな
して頂けたらと思います。専門家の言うことの一部だけを捉えて
揚げ足を取るのではなく、どうしたら協力して良い作業ができるのか
そこを考えてゆくことが重要なのだと思います。3、4年目の医師とは
言え、医師はかなりの専門的知識を有しています。それを引きだせる
人もいますが、そうでない人もいます。お互いに対するリスペクト、
それも重要な要素だと思います。揚げ足ではなく、双方の協力、これは
医療ばかりではなく、一つ社会全体に問いかけられている大きな課題で
あると考えます。
なんと昨日はTV出演の時以外で初めて
1000PVを記録しました。
とても嬉しかったです。ありがとうございます。
新宿の講義にもたくさんの方が来てくださって
ありがとうございました。旧知のご縁もあり、
嬉しかったです。
さて今日はちょっと気になったことを。
人は自らのフィルターを通して物事を見ます。
完全に中立、というのは多くの場合難しいものです。
それにしても、批判的な目で見るのは大事ですが、すぐに
これは嘘だ、浅はかだと判断するのではなく、じっくりと
考える、時には即断を留保するという作業も必要なのでは
ないかと考えます。
考えさせられることがありました。
某サイトに、『死ぬときに後悔すること25』の感想で
「読んで後悔しました。(略)
医師としてもうちょっと勉強して下さい。
著者としてもうちょっと経験を積んでから書いて下さい」
という厳しいお言葉がありました。
続けて書いてあるのは、以下
「一例をあげると、日本人は癌で亡くなる人がもっとも多く、2位の心疾患(これはメタボに関連する)のほぼダブルスコアであるから、メタボ対策で健康でいられるかというのは疑わしいというようなことを書いているのだが、2007年の統計であるが、 悪性新生物 30.7% 心疾患 15.3% 脳血管疾患 13.8% 肺炎 9.0% 不慮の事故 4.1% 自殺 3.1% 老衰 2.2% 慢性閉塞性肺疾 1.8% 腎不全 1.5% 糖尿病 1.2% メタボに関係ありそうなものは、心疾患、脳血管疾患、腎不全、糖尿病あわせると31.8%。医師でなくとも常識のある人であったらご存知であると思う」
とのことです。「ほかにもつっこみどころが満載」と書かれています。
おそらく『死ぬときに後悔すること25』のP20の記載をそう捉えたのでしょうが、
原文は「現在もっとも多い死因はずばり『がん』であり、死者数は三十四万人超である。死因の第二位が『心疾患』(これはメタボが原因となることもあるが)の十八万人超だから、実にダブルスコアに近い。ここからも『メタボに気を遣っていれば、健康な生活を送れる』のは疑わしいとわかる」です。メタボに気を遣うことと、メタボ対策というのもまた違った用語だと思いますが、それに対する僕の見解は下記の通りです。
当然のことながら、心疾患には慢性心不全があり、脳血管疾患にはくも膜下出血があり、腎不全には慢性腎炎からの(糖尿病性腎症からではない)腎不全があり、これらはメタボとはあまり関係ありませんから、心疾患・脳血管疾患・腎不全・糖尿病を合わせたのがメタボの総数ではありません。
またメタボ健診には、受診者が指導で改善されない場合、健保組合に罰則が与えられ、国からの補助金が減るという仕掛けがあります。医療費削減を狙った施策の一つです。
最近のコレステロール値は高いほうが良いのか、そうでないのか論争もありましたし、日本独自のメタボ基準にも批判が相次ぐなど、不透明な部分が少なくありません。
さらに『治療をためらうあなたは案外正しい』という良い本があるのですが、読まれると驚かれると思います。著者は名郷直樹先生で「証拠に基づいた医療(Evidence-Based Medicine;EBM)」の専門家です。
例えば高血圧。高血圧があっても、実は70歳代の高血圧の場合も「降圧剤を飲まなくても90%の人は脳卒中にならない」のです。70歳代の高血圧の場合「薬を飲まないと10%脳卒中になります」しかし「薬を飲んでも6%脳卒中になります」つまり「薬剤は脳卒中になる人を4%減らすことができる」のです。けれども「そもそも90%の人は脳卒中にならない」のです。
10%の脳卒中を6%に減らすならいいじゃないか、そうお考えになる方もいるでしょう。けれども、ここに医療費がかかります。200円の薬剤を1種類毎日飲むと、年間3割負担で20000円強です。他にも診察料や検査料がかかります。そうやって飲んでいても、6%の人は脳卒中になるのです。もっと若い世代の場合は3%の脳卒中が2%に下がるのだそうです。その差は1%です。
どれだけ対策をしても、人は必ず一定の確率で病気になります。そして対策をしたから、病気にならない、というわけではありません。メタボ系の疾患でも、対策をしたからと言って劇的に変わるわけではありません。人生のプライオリティを「絶対病気にならないこと」におくのだったら1%でも確率を減らすために薬剤を使用することになると思いますが、それでも脳卒中の場合だと6%は薬を飲んでいてもなります。10%が6%になるだけだったら、年間数万円の負担や受診のストレスを回避したい、それもまた立派な選択なのです。
『治療をためらうあなたは案外正しい』には高コレステロール血症にも興味深い記載があります。そもそも日本は心筋梗塞が世界でももっとも少ない国の部類なのです。高コレステロール血症の日本人にコレステロールを下げる薬剤を使用したところ、発症率0.5%だった心筋梗塞が0.33%に下がりました。そして高血圧の時と同じく、0.17%減らすために薬剤費や受診料がかかります。また、薬剤を飲んでいても0.33%は心筋梗塞になるのです。
以上のように、メタボ対策をやったからどれくらい違うのか、というとそれはさほど変わりがないように私には思えます。もっとも何を最上の価値とするかは人によって違いますから、1%でも減らしたいという人からはそんなことはない、と思うことでしょう。
ただ、以上のように、「メタボに気を遣っていれば、健康な生活を送れる」のは疑わしいことはわかって頂けるのではないかと思います。メタボに気を遣っていても病気になります。行政が打ち出したメタボ対策も、医療費削減の効果や学会の考えなど様々な思惑が絡んだ代物であり、本当に有効かどうかは議論があります。ひょっとすると、メタボに過剰に気を遣いすぎたり神経質になったりすることで、ストレスが蓄積し、生活の質どころか生命の長さまで縮小してしまうかもしれないのです。何が良いのか、これは簡単に判断できないものなのです。
またAという結論のデータがあれば、-Aという結論のデータも多くの場合存在します。自らが好きなほうを、論を補強する目的でそれぞれが選びがちです。それを防ぐのがEBMなのですが、それでも100%というものはありません。
そしてそもそも、メタボ系疾患とははっきりと言えない病気である「がん」が死因の一位です。そこから「も」メタボだけをケアしていても仕方ないんじゃないの、という意味で「ここからも『メタボに気を遣っていれば、健康な生活を送れる』のは疑わしいとわかる」と書きました。
では最初からこれだけの事を書いてほしい、と仰る方もいるかもしれません。
けれども僕は『死ぬときに後悔すること25』に必要以上の医療知識を記載することをしませんでした。亡くなってゆく方々が残した声から、生者が学び、生かすことがあるのではないか、というのがこの本のテーマです。ゆえに、医療知識を細部まで書きこむことは、読者の皆さんの大意に対する理解をむしろ妨げてしまうのではないかと思いました。医療にもあまり興味がない読者さんにも大意が届くようにと、そのように考えて記した本です。努めて簡単に記すようにしているので、網羅的ではない部分もあるでしょう。
けれどもそれをもって、著者が若いからとか未熟とか、というのはいささか残念なことです。若いと言っても10年しっかりと訓練を受け、何千もの症例を経験して参りました。どうしても死を語る年齢として若いと判断されてしまいますから、仕方がないことだと思っております。それにしても普段から「常識を疑うこと」の大切さを説いている身として、残念です。
医療者と一般の方の病気に対する知識には壁があり、それがゆえに円滑なコミュニケーションが妨げられていることや妙なヒエラルキーを生み易いことなど、様々な問題があります。だからこそ、一般の方にもっと医療や終末期、死について知ってほしいと願い一般向けの本を書き続けています。全ての方に理解してもらえることは残念ながら難しいと分かっておりますが、一部の文言を取り上げられて「若い」「未熟」「勉強を」等々と書かれると非常に残念です。某大手ネット書店のレビューにもそのようなものが散見され、時にがっかりします(『死ぬときに人はどうなる』ではおそらく僕より若いお医者さんから「死生を語るにはあまりに歳浅すぎる著者」と書かれてしまいました。笑)。
もっとも、これからも頑張っていこうと思います。
日本人は自国を褒めないと聞いたことがあります。
たしかに毎日色々なアラを探しているようにも見えます。
非常にストイックなのだとも言えますが、もう少し良いところを
見てゆくという訓練が必要なのではないかとも思います。
これは自戒も込めて、ですし、僕を褒めてという意味ではありません(笑)
微に入り細に入る批判ではなく、全体を見定めてどうなのか、
それを判断してゆく大人の視点が重要なのだと思います。
それではまた。
失礼します。
追伸 日本の医師や看護師は、言われているように、世界でも有数の
素晴らしさを持っていると思います。医師の専門的知識は深いですし、
看護師の患者への接し方も(他国より)優れていると言われています。
僕は、その素晴らしさが伝わらない、説明や態度の貧困さが一つ大きな
問題としてあるのではないかと考えております。もっともそれは、医療
現場の現在の環境があまりに多忙であることと不可分とも思っております。
僕は患者さん・ご家族と医療者双方の味方です。患者さんとご家族には
医療の真実に対する理解があれば良いと思いますし(ゆえに
本を書いております)、医療者にはとにかく懇切丁寧な説明と、
患者さんとご家族の気持ちに少しでも寄り添って行動することが必要
だと思います。一般の方には、ぜひとも上手に医療者の力を使いこな
して頂けたらと思います。専門家の言うことの一部だけを捉えて
揚げ足を取るのではなく、どうしたら協力して良い作業ができるのか
そこを考えてゆくことが重要なのだと思います。3、4年目の医師とは
言え、医師はかなりの専門的知識を有しています。それを引きだせる
人もいますが、そうでない人もいます。お互いに対するリスペクト、
それも重要な要素だと思います。揚げ足ではなく、双方の協力、これは
医療ばかりではなく、一つ社会全体に問いかけられている大きな課題で
あると考えます。