これまで普通に生活していた人が
すっといなくなってしまう。
すると、まるでぽっかりと心に穴が
あいたような、そんな気がするものです。

祖父とはいっても、僕にとっては
非常に関係が深かった存在なので、
彼の家に行っても、彼の定位置だった
テーブルの手前側に彼がいて、
「おう、秀」
と話しかけてくれることは、もう二度と
ないのだなと、そのように思うと
とても不思議な気持ちがすると同時に
小さくない欠落の存在を自分の胸に感じます。

もっとも仕事上、たくさんの方々を看取り、
出来るだけ残される方たちの気持ちも理解できる
ように、ひたすらにやってきましたし、
家族を亡くすのはこれが初めてではないので、
強い悲嘆に襲われることは幸いにしてない
のですが、「ああ、もう、二度と会えないのか・・」
それを思うたびに、笑顔や彼が持っていた匂いや
雰囲気など、すべてが懐かしく、遠くに感じます。
骨となってしまった彼と、記憶の中の彼が
なかなか結びつかないような気もします。

とはいえ、人は誰でも死ぬわけですから、
それをどうとらえていくか、そこが大事なのだと
思いますし、それなりの欠落を感じるくらいに思えた
家族がいたことに、僕は今とても感謝をしています。

いよいよ、
『感動を与えて逝った12人の物語』
も出ました。亡き人を、会いたい人を、
思いながら、読んでいただけると幸いです。
僕がもう一度会いたいと思う患者さんたち、
しかしもう二度と会うことが出来ない
患者さんたちのお話です。

それではよき週末を。
寒くなってきたので、皆さんもお体には
お気を付け下さいね。