大津秀一です。

マスクの売れ行きが良いようですね。

又聞きですが、あるお医者さんは患者さんに
マスクはどこに行ったら売っているのか、
医療者ばかりがマスクをしているのはずるいのではないか、
そのように詰め寄られたようです。

マスクを60日だとか120日だとか買い占めました
などという話も聞こえてきています。

ご存じの方も多いと思いますが、
通常のマスクで
インフルエンザを予防することは
出来ません。


マスクは元々、
自分の咳やくしゃみで病原体が拡散するのを防ぐもので
あって、外の病原体から
自分を守るものではない
のです。

下の表をご覧下さい。
http://www.san-m.co.jp/mask.html#mask5
のページから拝借しました。

生と死の詩 ~世田谷の緩和医療医・大津秀一のブログ~

各粒子の大きさは
花粉:10~100μ
細菌:0.5~5μm
SARS:0.08~0.18μm
鳥インフルエンザ:0.08~0.12μm
ノロウィルス:0.03~0.04μm
だそうですが、
一般的なマスクの孔は
3μmくらいのようです。
花粉は除去出来ても、径によっては
細菌すらも除去が難しく
ましてやウイルスはやすやすと
マスクの孔を通過する
でしょう。

ではN95マスクだったら
安全かというと、N95の95は
微粒子を95%以上除去出来るという
意味のようですから、当然100%の
除去は困難で、インフルエンザが該当する
大きさの微粒子も完全には除去出来ない
でしょう。

いずれにせよ、通常のマスクを
買い占めたり、皆で取り合うのは
ばかげています。


下のページにも書いてありますが
http://www.jstm.gr.jp/kanren.html

ーマスクの着用は、ウィルス性疾患の感染予防に効果があるとして日本では推奨されているが、英国では一般市民がマスクを使用することの有効性については懐疑的であり、公衆衛生勧告からも、マスクの着用は削除された。

ー(アメリカ)CDC(疾病管理センター)は、マスク着用に大きな効果があるという科学的根拠はあまりないと述べ、一般市民のマスクの着用を推奨しない姿勢を明らかにした。新型インフルエンザの感染経路は、季節性インフルエンザとほぼ同様と考えられている。すなわち、ウィルスが付着したものに触り、その手で口や鼻に触れたことによる感染や、咳やくしゃみによる感染などである。

とあり、他国は極めてまっとうな対応です。

とはいえ僕も感染症専門家ではないので、
僕の言うことを無批判に信じてはいけません(笑)
きちんとした経験のある臨床家で、かつ
感染症専門の医者以外の言うことは
たやすく信じないことです。
僕も前者は当てはまりますが、後者は
当てはまりません。しかし、両方当てはまらない
のに独自理論を語っている人が多すぎます。

それでも、僕は新型ではないインフルエンザの
患者さんはそれこそ山のように診療してきましたから、
実体験としてマスクの如何で感染の有無が
別れることはないと経験上実感できます。

どうかマスクの取り合いなどと言う
悲しい事態に発展しないように祈ります。
マスクより、とにかく手洗いが重要です。
思考停止した人間の集団こそが、
いつでも最大の恐怖であり
脅威だと僕は思っています。
それは歴史が証明している通りです。