流行りものに便乗するのは好きではないのですが、
ふと気になって話題になっているという
スーザン・ボイルさんの「夢やぶれて」を
聴いてみました(You Tubeで)。

ポール・ポッツ氏を見出した
イギリスのオーディション番組で一夜にしてスターと
なった47歳女性のスーザンさん。

どんなものかと聞いてみると・・・
これは素晴らしい。

僕はヘイリー(TVドラマ「白い巨塔」の
アメイジング・グレースを歌った女性)
の「夢やぶれて」が、好きなのですが、
この二者の歌の違い。

こちらが
ヘイリーの歌

そしてこちらが
スーザンの歌

ヘイリー(当時14歳)の透き通る歌声は美しく、
そしてまた悔恨というよりは
未来を夢見る少女のような響きがあるのに対して、
スーザンの歌は、・・・これもまた素晴らしい。
もちろん僕は専門的なことは何もわかりませんが、
不思議と心に迫るものがあります。

スーザンさんは、9人兄妹の末っ子。
お父さんは90年代に亡くなり、
2年前に病弱だったお母さんが他界するまで、
介護に人生の大半をささげてきたのだそうです。そして
番組への出演は、亡きお母さんとの約束だったとのことです。

不思議と「夢やぶれて」の歌詞と、その人生が重なります。

歌い出しの直前の笑顔と、

でもかなわぬ夢もある
But there are dreams that cannot be
避けきれぬ嵐もある
And there are storms we cannot weather

と歌った後のうなずく笑顔が本当に素晴らしいです。

歌詞のような挫折を味わったからこそ
歌に説得力があり、そしてまたそれを乗り越えたからこそ
後ろ向きではない力強い表現が可能となっているのではないかと
思いました。ヘイリーの歌にはない、実体験のある歌だからこそ
巧拙を超えて心に響くものがあるのでしょう。

最近の、人生経験豊富な歌手の活躍は
本当に素晴らしいことだと思います。

僕も医療現場にいて、家族の介護がどんなに大変か
それをいつも見ているので、スーザンさんのような方が
活躍してくれるのはとても胸がすく思いがします。
彼女のように、家族を介護してきた、あるいは現在介護している
方々も彼女の歌声に勇気づけられるのではないでしょうか。

夢は持ち続ける限り、破られることはないのだと思います。


夢やぶれて<歌詞>

過ぎ去りし日の夢
希望に満ちていたあの頃
とわの愛を夢みて
神もお許しになろうと
若さゆえの 怖さ知らず
夢は はかなく破れ
何もない 私はここに
歌は歌い尽くし
酒も飲み干した
でも 虎は夜やって来る
雷のように低くうなりながら
希望を八つ裂きにし
夢も恥と変わる
私は夢見る あの人が
共に人生を歩んでくれると
でも かなわぬ夢もある
避けきれぬ嵐もある
こんなはずじゃなかった
こんな地獄で暮らすとは
こんな哀れな姿で
夢やぶれし 我が人生