現地7月31日(水)に行われたパリ五輪グループC@ボジョワール競技場(ナント)。

Eテレ


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パリ五輪の第3戦目。
なでしこJAPANは1勝1敗で向かえたこの試合で、引き分け以上なら、決勝トーナメント進出が決まる。
他グループの状況も見れば、負けても1点差なら、なんとかなりそうな気もするが、
キックオフが3グループの中で最も早いこともあって、
この試合で決めておきたいところである。

2清水選手の離脱、15藤野選手の怪我に加え、6古賀選手も前日練習を回避し、この試合登録外。怪我人だらけになって来たが、13北川選手がやっと初登録。

システムは定番の3-4-2-1。
13北川選手16林選手21石川選手が先発で初出場。やっと先発各選手が慣れたポジションに着いた配置になった。
2試合連続先発した3南選手7宮澤選手10長野選手ベンチスタート。


対するナイジェリア代表は、ここまで2連敗だが、ブラジル代表・スペイン代表相手にいずれも0-1。
守備に粘りが出て、イメージが変わったように見える。
ナイジェリア代表が決勝Tに進出するためには、
勝っても2点差以上付けないと、総得点でなでしこJAPANを上回れないなど、
条件が厳しくて、攻撃的に来ることが想定される。
この春まで、マイ仙台だった5オケケ選手が左SBで出場している。



 

前半から、なでしこJAPANが優勢に進め、3得点。ナイジェリア代表も反撃し1得点。
後半は、最初ナイジェリア代表が少し良い流れだったが、なでしこJAPANも押し返す。そのまま終了している。

ボール支配率: なでしこJAPAN 46%-54% ナイジェリア代表 (Footystats)

シュート状況は下図の通り。



 

しっかり勝ちました。
17浜野選手は好調だし、11田中選手にも点が付いた。
13北川選手のフリーキックは美し過ぎ。1点取られて悪くなった空気を入れ換えたのも価値があった。

内容的にも、やはりWBの専門家が2枚揃うと良い攻撃が出来ますね。幅を広く使って、なでしこJAPANらしい攻撃が出来ていた。
失点を招いた21石川選手と、決定機でシュートを外していたFW陣には、反省してもらわないといけないが、その他は全体的にも良かったと思います。


これで、次はアメリカ代表。もう12年半も勝っていなくて、その間4分け9敗。
東京五輪と2023W杯で早い段階での敗退後、チームは若返って、後半「簡単なガス欠」はしにくくなっている。勝つのは相当難しいでしょう。
ただ、立ち上がりのプレッシャーを凌いで、前半同点で行ければ、勝機はあると思います。
後半遅くや、延長になれば、なでしこJAPANの選手たちの方が走れるだろうし、活路も見えるだろうと。
ただ、PKとなるとねえ・・・。


ところで、スペイン代表は鬼ですね。
引き分けても1位通過だし、ブラジル代表も決勝T進出が確定する。
怪我や疲労も考えれば、双方納得の上でボール回しを延々やる「緩い試合」にする選択肢もあった。
だが、メンバーは落としたが、プレーは本気でやっていた。
終盤あと1点取れば、ブラジル代表が予選で敗退する可能性がさらに大きくなるので、それを取りに行っていた様だった。結果的には3点目を奪えず、ブラジル代表は得失点差で決勝トーナメントに進めたが、非常に「辛い」采配だったと思う。
同じことがアメリカ代表にも言える。

過去何度も世界から批判を受けた「前科持ち」の男女日本代表なら、どうしていただろう?



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制。

なでしこJAPANはいつもの、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。

ナイジェリア代表はマンツーマンディフェンスで、4人のゾーン固定配置。
2本目以降は、3人ゾーン固定配置。



 

下表に、スタメンを身長順に並べる。



 

ナイジェリア代表は大きいですね。なでしこJAPANは厳しいマッチアップ関係。


(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.なでしこJAPANのコーナーキック

キッカーは13北川選手(左利き)14長谷川選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 11田中選手5高橋選手
・正面からファーへ: 21石川選手9植木選手4熊谷選手
・GK脇: -
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 16林選手14長谷川選手17浜野選手
・セーフティー: 20守屋選手


b)結果概要

1本目 (20:18) 右CK ショートコーナー 13北川選手11田中選手16林選手ミドルシュート。右へ外れてGキック。
2本目 (24:28) 左CK 14長谷川選手9植木選手ヘディングシュート・10ユチェイベ選手ブロック。再CK。
3本目 (24:54) 左CK 14長谷川選手GKナドジー選手パンチング→8オショアラ選手クリア
20守屋選手回収・フィード→3オハレ選手ヘディングクリア→4熊谷選手トラップ・14デメヒン選手クリア→8オショアラ選手10ユチェイベ選手2アロジー選手。組み立て。




c)全般的な印象と特記すべきプレー

1本目 (20:18)、ショートコーナーから16林選手がミドルシュートを打ったプレー。



おそらく、ナイジェリア代表が4人ゾーン固定配置する情報を得て、外側が空くと言うことを想定していたのだと思う。
配置を見て、「行けそうならミドルシュートを狙って、難しそうなら普通に蹴ろう」くらいの算段だったのだと予想する。
と言うのは普段ショートコーナーに備えて、ライン際に配置される14長谷川選手の位置を変えただけのシンプルなプレーだったから。

ミドルシュートを狙うとき、浦和は配置を変えてから、ピックプレーを使うし、
AC長野なら、見破られにくい配置から3つ・4つの揺動をかけて、ミドルシュートのスペースを確保する。
それらに比較すると見劣りするが、ちゃんとスカウティングした情報を元に、準備をしていたと認識できたのは、池田体制で初めてだと思う。

結果2本目以降、ナイジェリア代表はゾーン固定配置を1枚削ったので、有効なプレーだったと思う。



ところで、2本目・3本目を見ていると、ナイジェリア代表の選手は、マークが甘いですね。
特に9植木選手をマークしていた5オケケ選手は、本当にいい加減。
この2プレーと、17浜野選手に走り負けた先制点のシーンを見ただけで、マイ仙台で試合に出してもらえなくなったのも、解るような気がします。
15アジバデ選手5高橋選手マーク)や11エチェギニ選手4熊谷選手マーク)は、「普通に」頑張っているんですけれど・・・。

 

5オケケ選手は、WEリーグの1年間で何を学んだのだろうか?

それより、マイ仙台やWEリーグは、何を彼女に伝えたのだろう?

 

日本は明らかにJリーグ発足時に(バブルの金に任せて呼んだ)外国人選手から多くを学んだ。ジーコ・リティー・ブッフバルト・・・・・。

その後も海外で活躍した選手たちが得たモノを男子日本代表に確実に還元し続けている。

それが僅か20年くらいで、五輪やW杯でグループリーグを突破できる力に繋がっている。

 

WEリーグや海外で活躍する日本人女子選手も、いつか「国の女子サッカーを強くした」と感謝してもらえるようになりたいものである。

また、そうしないと、WEリーグは、円安で良い外国人選手を呼べない状況が、続いてしまうのだと思う。




B.ナイジェリア代表のコーナーキック

a) 体制

キッカーは7Tペイン選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。
ただ、密集陣形とショートコーナーの2本だったので、通常形態が不明。

・ゴール前: 11エチェギニ選手15アジバデ選手3オハレ選手5オケケ選手14デメヒン選手8オショアラ選手
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: -
・セーフティー: 2アロジー選手10ユチェイベ選手13アビオドゥン選手

b)結果概要

1本目 (00:57) 左CK 密集陣形 7Tペイン選手→。キックミスでGキック。
2本目 (85:20) 右CK ショートコーナー 7Tペイン選手2アロジー選手クロス。キックミスでGキック。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

キックミス2本では、特記事項は無し。



以上です。



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関連記事など、外部リンク

Tver
ハイライト 浜野まいかのゴールなどナイジェリアに3発快勝 準々決勝進出
https://tver.jp/olympic/paris2024/video/6359695601112/

Yahoo
女子五輪 グループC 第3節7/31(水)24:00スタッド ド ラ ボージョワール ルイ フォントノー 日本
3-1ナイジェリア
https://soccer.yahoo.co.jp/japan/category/women/game/2024073106/summary?gk=32

Footystats.org
2024年8月1日 - 0時00分 (Asia/Tokyo)日本女子代表対ナイジェリア女子代表
https://footystats.org/jp/international/nigeria-womens-national-team-vs-japan-womens-national-team-h2h-stats#7419235

JFA_HP
【Match Report】なでしこジャパンが3-1でナイジェリアに勝利し、グループ2位でノックアウトステージへ 第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)
https://www.jfa.jp/nadeshikojapan/news/00034195/