10月29日(日)に行われた二次予選グループC@Bunyodkor Stadium(ウズベキスタン)。

BS-1(サブCH)

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なでしこJAPANのシステムは4-3-3。
初戦90分フル出場したメンバーはベンチスタートで、連続で先発するのは4熊谷選手12高橋選手のみ。
先発メンバーは大きく変えたが、やはり4熊谷選手をアンカーに入れた形。
9植木選手は初戦不出場だったし、この試合は登録が外れている。怪我でもしたのだろうか?



対するウズベキスタン代表は、FIFA Ranking 50位。
アジア大会で4位に入り、この二次予選も初戦でランキング上位のベトナムに勝利。
アジアの2ndグループに入って来て、今注目すべきチーム。
本田監督が就任後規律から改革。だいぶメンバーも変わったようで、キャップ数は多い選手でも10程度。
システムは4-2-3-1。



 

前半早々に危ないシーンも有ったが、なでしこJAPANが序盤の間に2点を取る。その後は、ボールを回してHT。
後半も、なでしこJAPANがボールを回し、ウズベキスタン代表も取りに来ないままで、双方シュート無しで、終了している。

 

ボール支配率: ウズベキスタン代表 9%-91% なでしこJAPAN(Yahoo) (Footystats.org)

シュート状況は下図の通り。



 

なでしこJAPANに関しては言うことが無い。、
書いておかなければならないのは、ウズベキスタン代表の規律が守られていたこと。

1年半前、練習時間通りに来たのが3人だけだったチームには、とても思えない。
さすが、本田監督、しっかりまとめ上げている。



さて、なでしこJAPANが、ボール回しを続けたことで、物議を醸すことになった。

「見ていてつまらん」と言う意見は、ごもっともだが、それはさて置いて、
2月の最終予選で、オーストラリア代表との対戦(特に第2節を夏のアウェーで戦うこと)を避けたいと、池田監督はおっしゃっているのだが・・・。

 

なでしこJAPAN vs オーストラリア代表になるのは、

第3節で、フィリピン代表勝ち、中国vs韓国が引き分け、ウズベキスタン代表が引き分け以下の場合で、私のイメージだと10%くらい。

もし、ウズベキスタン代表とフィリピン代表の得失点差がひっくり返っていれば、

フィリピン代表勝ち、中国vs韓国引き分けが条件となって、同20%くらい。

[私のイメージ(予想確率、妄想)の詳細は文末に。お好きな方は、お読みください。]

このボール回しには、その差の分の意味は確かにあったのだろう。


でも、直前合宿を海外(か沖縄)でやれば良いことだし、

オーストラリア代表の主力は真冬のヨーロッパのクラブチーム所属だということを考えると、そんなに有利不利は無いと思う。

 

また、最終予選で最も可能性が高いのは、北朝鮮だが、上記の差:10%分が乗っかって、50%のイメージになっている。

難敵だし、プレーが荒く、アウェーで乗り込んだときの待遇面も心配。

(北朝鮮はAFCからアジア大会でのペナルティーがあるかも?)
余計な事で気を遣うことを考えると、五輪本大会出場の確率は、そんなに大きく変わらないと思う。

 

今回のパス回しの一番大きなメリットは、怪我する可能性を回避したこと。

一方で主に代表歴の浅い選手たちの訓練機会:75分をフル活用出来なかったことは、マイナスだ。

そのメリットとデメリットを天秤に掛けた議論をすべきことだと思う。



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制


ウズベキスタン代表は、2-4-2(+2)のゾーンディフェンス。
なでしこJAPANは、守備機会無し。



なでしこJAPANを背の順に並べると以下の様になる。



 

ウズベキスタン代表は1人として身長の調べが付かず。

ただ、入場の際やセットプレーのマッチアップ状況を見ていると、なでしこJAPANの方が、やや優勢のように見える。


(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.ウズベキスタン代表のコーナーキック

攻撃機会無し。



B.なでしこJAPANのコーナーキック

a)体制

キッカーは13遠藤選手(左利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 17清家選手
・正面からファーへ: 4熊谷選手12高橋選手3南選手
・GK脇: 22千葉選手
・ショートコーナー: 7宮澤選手
・コボレ狙い: 10長野選手16林選手
・セーフティー: 2清水選手


b)結果概要

1本目 (03:49) 左CK 13遠藤選手3南選手ヘディング折り返し→22千葉選手GKジョニムクロヴァ選手キャッチ。
2本目 (09:15) 左CK 13遠藤選手3南選手ヘディングシュート。ゴール!!



c)全般的な印象と特記すべきプレー

2本目 (09:15) に得点しているので、図にしておく。

典型的なファーサイドパターンで、3南選手がヘディングで決めている。

 

 

3南選手はよく溜めてから動き出し、ディフェンスの前(ニア側)に入ってのヘディングシュート。22クチコロヴァ選手が、身長が低い分、落下点をファー側に目測したとは言え、見事な得点だった。

 

実は、4熊谷選手が場所を取る形になって、GKジョニムクロヴァ選手は、シュートに反応出来ていない。また、派手にブロックしていないので、ファールにもなっていない。

4熊谷選手が意図したかどうかは不明だが、地味に「Nice Play」である。

 

 

ところで、なでしこJAPANのコーナーキックでは、このところの8猶本選手は曲げてニアを狙っていて、13遠藤選手はストレート系(時々アウトサイド気味)でファーサイドを狙っている。

監督コーチの指示なのか、キッカーの好みの問題かは不明だが、

ゴール正面周辺に走り込む4熊谷選手の動きを見ていると、その狙いを意識しているようであり、良い傾向だと思う。

 



以上です。



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ブログ内関連記事

目次 1.概要(アメブロ版)



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関連記事など、外部リンク

JFA_HP
【Match Report】なでしこジャパン、ウズベキスタンに2-0で勝利し、最終予選進出に大きく前進 女子オリンピック サッカートーナメント パリ 2024 アジア2次予選
http://www.jfa.jp/nadeshikojapan/news/00033132/
 

Yahoo_Sports Navi
女子五輪2次予選 第2節 10/29(日)21:00 ブニョドコル スタジアム
https://soccer.yahoo.co.jp/japan/category/women/game/2023102917/summary?gk=32

日刊スポーツ 2023/04/18
女子ウズベキスタン代表の本田美登里監督「日本の失点は何十年見ている」なでしことの対戦心待ち
https://www.nikkansports.com/soccer/world/news/202304180000789.html

Yahoo_松原渓 2023/10/29
本田美登里監督率いるウズベキスタンの飛躍。「サッカー文化を育む」スペシャリストが同国にもたらしたもの
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5b62249eff0555cb688c2ccfc4c4076a2e247405
2023/10/30

なでしこジャパンはなぜ攻めなかったのか?五輪2枠をかけた複雑なレギュレーションの背景
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/569ddbc09952106a7739618f43b14ddc884721a3


Soccer Digest Web 2023/10/30
「ゴールを目指さないサッカーはまことにつまらないな」現役副審の投稿にコメント続々!「ずーっと何を見せられていたんだ」
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=142111

「前半の内容は悪くなかった」日本に敗れたウズベキスタンの日本人指揮官は得失点差を計算「もし攻撃を続けていたら...」
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=142104

「醜い日本サッカー。暗黙の了解だ」75分間シュートを打たず...なでしこJの“予想外の戦い方”を中国メディアが辛辣批判!「スポーツを完全に汚した」「我々が犠牲に」
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=142076

Football Zone 2023/10/30
ウズベキスタン女子監督、なでしこJとの“異例パス回し”を説明 レギュレーション考慮「次に進むために非常に重要だった」
https://www.football-zone.net/archives/484982

日本女子サッカー「暗黙の了解が発覚」 ボール支配→消極プレーに海外厳しい目「中国の努力が水の泡に…」
https://www.football-zone.net/archives/485057



****** 追記   *****

 

最終予選で、なでしこJAPAN vs オーストラリア代表になる確率

(あくまでもイメージ:妄想)

 

 

29日の試合結果から、まず、最終予選の対戦カードを整理する。

 

ア)グループAで、フィリピン代表は第3節のイラン戦を勝って勝ち点6になるだろう(その確率は66%くらいとする)。が、オーストラリアに大敗したため、得失点差-5となっている。

イ)次に、ウズベキスタン代表は得失点差-1。第3戦でインド代表に勝つ(勝ち点6)という前提(その可能性は66%をイメージしている)に立つと、フィリピンより上になる公算が極めて高い。


ウ)その際の勝ち抜けと最終予選の組み合わせは、ほぼ以下の3通りになる。

グループBの中国・韓国戦が最大のキーになる。

最近の戦いぶりと今大会の出来を見ていると、中国勝ちが40%、韓国勝ちが30%、引き分け30%くらいだろう。


Case1  韓国 vs オーストラリア、なでしこ vs 北朝鮮
 韓国が勝った場合。(北朝鮮がタイ戦で大勝し、韓国との得失点差8を逆転しない限り)
Case2  北朝鮮 vs なでしこ、オーストラリア vs ウズベキスタン
 ① 中韓戦が引き分けの場合と、
 ② 中国が勝っても、ウズベキスタン代表が得失点差で上回った場合。
Case3 オーストラリア vs 北朝鮮、なでしこ vs 中国
 中国が勝って、ウズベキスタン代表を得失点差で上回った場合。

エ)ただ、ウズベキスタン代表が引き分けか負け、中国vs韓国戦が引き分けなら
Case4 なでしこ vs オーストラリア、北朝鮮 vs フィリピン
となり、これも十分あり得る。

 

他にも、Case5 北朝鮮 vs オーストラリア、なでしこ vs 韓国 の可能性も僅かにある。

私のイメージでは、Case1~順に、30%・20%(①18%②2%)・40%・10%・極小。

 

もし、ウズベキスタン代表がなでしこJAPANに6点差で負けていたら、

フィリピン代表とウズベキスタン代表の得失点差同点で、それ以上ならひっくり返っていた。

ひっくり返った場合の可能性をイメージすると、各条件を省略するが、

Case1~順に、30%・10%・40%・20%(①20%②極小)・極小。

 

なでしこJAPANが回避したかった、なでしこ vs オーストラリア(Case4)になる可能性は、ボール回しをしたおかげで、20%→10%になったイメージを私は持っている。



話は変わるが、
そもそも論を言えば、2位から1チームだけ上がれるというレギュレーションと、

最終戦が同時刻開始ではなく、各組とも2階建て(第1試合終了後に第2試合)で、かつ、

時差もあって、最も西の開催地:ウズベキスタン代表は、他の全ての試合結果を見て、ラストマッチを行えるのは、明らかな不公平である。

誰が決めたのか知らないが、有利不利ができるだけ少ないシステムにしてもらいたい。

 

 

 

なお、中国のマスコミが憤慨しているのは、上記のことも根底にあるのだろう。
勝ち点6で並んだ時に、得失点差でウズベキスタン代表が上回る可能性が生じたからだ。

とはいっても、現時点で中国代表の得失点差+2、ウズベキスタン代表は得失点差-1。
ウズベキスタン代表は、インド代表から最低4点差の勝利が必要。でも両国の今年2月の対戦は3-2だったし、Ranking的にも11位差と小さく、相当厳しい条件である。

それに、そもそもそんな心配をしなければならないのは、北朝鮮に負けて、タイ代表から3点しか取れなかった中国代表の不甲斐なさで、なでしこJAPANのボール回しに責任を転嫁するのはおかしい。