08月11日(金)に行われたW杯Quater Final。@イーデン パーク(NZ)。

NHK 地上波

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グループリーグを3連勝で1位抜けし、Round of 16でアメリカ代表をPK戦で退けたスウェーデン代表。
東京五輪ではおそらく全チームで最も状態が良く、最強だったが、

今大会は、セットプレーこそ強力だが、それ以外ではあまり攻撃に良いところがない。
グループリーグ第3戦にセンターバック以外の先発を入れ替えていたものの、

アメリカ戦は厳しい戦いで、疲労感は残っているはず。

ここまで好調のなでしこJAPANのシステムは、3-4-2-1。
左WBに6杉田選手を入れてきたが、他はRound of 16:ノルウェー代表戦と同じ。
ノルウェー代表戦は90分で勝ったし、スウェーデン代表の中4日より1日インターバルが長く、かつ移動距離も短くて、コンディション的には良い状態のハズ。

格上の相手だが、東京五輪の時と違って、チャンスが有りそうだと、期待して見ていた。



 

前半、互いにシュートに至らない膠着状態だったが、スウェーデン代表が25分から怒濤の攻撃。得意のセットプレーから先制。
後半早々にスウェーデン代表がコーナーキックからPKを得て追加点。
その後動きが止まったが、なでしこJAPANの猛攻を1点に抑えて勝利している。
 

ボール支配率: なでしこJAPAN 49%-51% スウェーデン代表 (Footystats.org)

シュート状況は下図の通り。



 

スウェーデン代表は、コンディション的に厳しいにも拘わらず、ハイプレッシャーを掛けてきた。
また、パスを繋ぎつつも、時折サイドにロングボールを入れる。
高倉体制時代から、アメリカ代表・オーストラリア代表など、なでしこJAPANとの対戦数が多いチームがやる戦法を、採用したと言うこと。
そこで得たセットプレーから取った2点を守り切って勝利。
スウェーデン代表としては、プラン通りだったと思う。


結局この「対なでしこ定石」を破らないと、なでしこJAPANは再び世界1を取り返せない。

必須条件なのでしょうね。
この試合では5-4-1に変形して守っている際に引き過ぎて、スペイン代表戦で見せたカウンターと言う対抗手段を発動できず。
また、ボールを自由に回され、60分過ぎまでシュート無しに終わった。

ただ、そこを修正するだけでは、さらに上を目指すには、おそらく足りない。
カウンターを出せないときに、自陣深くからボールを繋いで行くための工夫も必要なのでしょうね。
それには、前戦でボールを保持できる選手も出てこないと、この先厳しい。
来年には11田中美選手も30歳。この10年余り永里選手・菅澤選手・11田中美選手と、厳しいなりにも機能していたTOPの人材を、この先どうするか?
若手に大型で足下も巧みなFWが見当たらない。
3・4年先に向け、その発掘も課題なのでしょう。


ではいつも通り、コーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃態勢。

なでしこJAPANは、マンツーマンディフェンス中心にゾーン固定配置2人。

スウェーデン代表は、1-1-4-3(+1)のゾーンディフェンス。
アメリカ戦では8アーツ選手・10ホラン選手に付けていたマンマークはこの試合は無しだった。

なでしこJAPANがショートコーナーを続けていたので、2人がゾーンから離れている。



先発を背の順に並べると以下の様になる。



 

毎度のことながら、なでしこJAPANにとって厳しいマッチアップ関係。



(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.なでしこJAPANのコーナーキック


a)体制


キッカーは14長谷川選手15藤野選手(右利き)。

受け手の体制は、だいたい以下のような形だったが、ショートコーナーを基本に攻めていたため、あまり「定型」と言うべきものは無かった。

・ニアへ: 11田中美選手4熊谷選手
・正面からファーへ: 3南選手6杉田選手
・GK脇: 12高橋選手
・ショートコーナー: 15藤野選手
・コボレ狙い: 7宮澤選手10長野選手
・セーフティー: 2清水選手

b)結果概要

1本目 (00:46) 左CK ショートコーナー 14長谷川選手11田中美選手→(14長谷川選手)23ルベンソン選手カット
15藤野選手回収・クロス・19カネリード選手ブロック→14ビョルン選手19カネリード選手11田中美選手。スローイン。
2本目 (70:56) 右CK ショートコーナー 15藤野選手14長谷川選手15藤野選手クロス→9アスラニ選手ブロック。スローイン。
3本目 (73:16) 右CK ショートコーナー 15藤野選手14長谷川選手15藤野選手クロス→23ルベンソン選手ブロック。スローイン。
4本目 (90:36+) 右CK 15藤野選手9植木選手シュート→GKムショビッチ選手ファインセーブ→16アンイエルダール選手13イレステット選手ヘディング13イレステット選手クリア。スローイン。




c)全般的な印象と特記すべきプレー

ショートコーナーを多用したなでしこJAPAN。と言うより、手が無いのでしょうね。
スウェーデン代表のような身長が高いチームに、ゾーンディフェンスを敷かれると、ゴール前に走り込んで勝負できるのは、ニアでの合わせくらい。
(ノルウェー代表戦と同じ書き出しです。)

その唯一の形が、4本目の9植木選手のシュート。
でも、GKムショビッチ選手が横跳びでパンチング、防いでいる。

良いシュートだったんですが、9植木選手は今大会「普通のツキ」が無かったですね。
PK外してもGKが前に出すぎてやり直せたり、
シュートブロックされたボールがゴールになったり、
ちょっと「美しくない」ツキは有ったのですが・・・。


でも、このプレーを含む4本のコーナーキックは、ストーリー性が有りました。
連続してショートコーナーを使うことで、2人ゾーンから引っ張り出しておいて、
薄くなったところをニアで合わせる。
チームのプランとして、良かったんじゃないでしょうか?

ただ、2本目・3本目は単に守備陣形の様子を見ながらのショートコーナーで、1本目のように突破を狙ったモノだったら、さらに良かったと思います。



B.スウェーデン代表のコーナーキック

a)体制

キッカーは2アンデション選手(左利き)20ベニソン選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: -
・正面からファーへ: 6エリクソン選手18ロルフォ選手
・ニアポスト前: 14ビョルン選手13イレステット選手11ブラックステニウス選手
・GK脇: -
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 9アスラニ選手16アンイエルダール選手
・セーフティー: 19カネリード選手23ルベンソン選手

b)結果概要

1本目 (14:26) 右CK 複数ニアP前配置 2アンデション選手→。直接Gラインを割ってGキック。
2本目 (47:32) 右CK 複数ニアP前配置 2アンデション選手11田中美選手ヘディング→10長野選手ハンド。PK。16アンイエルダール選手ゴール。
3本目 (95:04+) 左CK 20ベニソン選手9植木選手ヘディングクリア
16アンイエルダール選手回収・ドリブル→17清家選手カット・クリア→GKムショビッチ選手。再組み立て。




c)全般的な印象と特記すべきプレー

2本目 (47:32)のPKになったシーンでは、犯人捜しをすれば、4熊谷選手の責任ですね。
ニアを固めたイタリア代表のゾーンディフェンスの中で、高さ・強さを見せつけ2点取った13イレステット選手をマークしていたのですが、剥がされています。
代わりに11田中美選手が競りに行ってヘディングでギリギリ勝つのですが、擦らしただけになって、10長野選手の手に当たってPK。
10長野選手はマークしていた6エリクソン選手のニア側を抑えて、先にジャンプ。マーク戦として基本通りに戦えていたので、責めるのはかわいそうかなと。
もし、4熊谷選手が遅れずに13イレステット選手と競れていたら、もっと余裕の有るクリアが出来ていた・・・、と言うことでしょう。
4熊谷選手、最近あまり平面戦で厳しく守れていなかったのは、気になっていたのですが、
大事な場面で出ちゃいましたね。



 以上です。


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目次 1.概要(アメブロ版)

4-291 東京五輪 スウェーデン代表 3-1 なでしこJAPAN 2021/07/31




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女子W杯 準々決勝 8/11(金)16:30 イーデン パーク 日本女子 1-2 スウェーデン女子
https://soccer.yahoo.co.jp/japan/category/women/game/2023081102/summary?gk=59

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サッカーデータと順位表 › 国際試合 › ワールドカップ › 日本女子代表 vs スウェーデン女子代表
https://footystats.org/jp/international/sweden-womens-national-team-vs-japan-womens-national-team-h2h-stats#7155859

JFA_HP 
【Match Report】なでしこジャパン、スウェーデンに敗れ4強入りならず FIFA女子ワールドカップ2023
http://www.jfa.jp/nadeshikojapan/news/00032633/