決勝戦、8月6日の試合で、@横浜国際総合競技場。
NHK動画
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/65e0bb4a-7656-456a-93d9-24e7e1dc7dbe/
東京五輪に関しては、これをゲームレポートを最後にします。
次回ブログで、東京五輪のまとめを済ませ、WEリーグ開幕に備えたいと思います。
スウェーデン代表は、大会前に死の組と言われたGroup Gを、非常に強い内容で勝ち上がり、今大会最強を思わせた。
決勝トーナメントに入って、やや疲れが出ているものの、90分以内に試合を決めての勝ち上がり。
カナダは、Group Eでは、なでしこJAPANと引き分けるなど、目立たない内容だったが、辛抱強く戦っていた。
決勝トーナメントに入って、さらに辛抱は続いていた。
・ブラジル代表に120分押され、さらに、PK戦で先に止められながらも勝ち。
・アメリカ代表には圧倒的に支配されながらも、PKの1点を守っての決勝戦。
両軍ともに、決勝トーナメントに入って、連続3試合同じ先発メンバー。
試合を通して、スウェーデン代表ペースだった。
特に前半と、交代カードを切った延長後半は圧倒的だった。
シュートの状況は下図を参照ください。
スウェーデン代表は、ゲームを支配したが、カナダ代表に粘られ、フリーのシュートを複数外しての敗戦。
118分には、ゴールイン直前で10ローレンス選手にヘディングで掻き出されるし、
PK戦でも4本目終了時点でリードしながら勝てなかった。
最後までツキにも見放された決勝戦だった。
が、Group G初戦でアメリカ代表に完勝してから、決勝戦まで安定した戦いで、力量的には今大会最強だったと思う。
アタッカー陣の仕掛けが多く、相手守備陣を崩していったことが印象的だった。
連戦・移動・日本の暑さ、いずれかが無ければ、決勝だってしっかりフィニッシュを決めて勝っていたと思う。
一方のカナダは、逆に恵まれ続けての優勝。
①Group Eチリ戦で2点取ったが、他の試合はスコアレスか、1得点だけ。
②準決勝・決勝と相手ディフェンダーに迂闊なファールをもらってのPK。
③準々決勝と決勝で、PK戦逆転勝ち。
勝てるときは、こんなモノなんでしょうね。
が、この試合でも14本の相手シュートをブロック・カットし(私の非公式基準)、粘り強い守備で戦い抜いたのは立派。
特に大御所12シンクレア選手にビッグタイトルが付いたのは、女子サッカー界としても良かったと思う。
では、いつものようにコーナーキックを見ていく。
(1)両チームのディフェンスシステム
スウェーデン代表は、2-3-4-1のゾーンディフェンス。
3列目2人はマンマークで、3ブキャナン選手と12シンクレア選手をマンマーク。
カナダ代表はマンツーマンディフェンス中心で、3人のゾーン固定配置。
ただし、17フレミング選手は、スウェーデン代表の配置を見て、広範囲に位置を変えている。
ちなみに、先発選手を身長順に並べると以下のよう。
スウェーデン代表 カナダ代表
13 イレステト 178 5 クイン 177
18 ロルフォ 178 12 シンクレア 176
10 ヤコブソン 174 16 ベッキー 173
11 ブラクステニウス 174 3 ブキャナン 170
14 ビョルン 174 14 ギレス 170
17 セーゲル 173 10 ローレンス 164
4 グラス 172 17 フレミング 164
6 エリクソン 172 15 プリンス 163
16 アンイエルダール 170 2 チャップマン 160
9 アスラニ 166 11 スコット 156
GK
1 リンダール 179 1 ラベー 178
互角の範囲だが、スウェーデン代表の方が有利。
(2)統計
例によって、私が採っているSTATSを紹介します。
スウェーデン代表 カナダ代表
コーナー本数 14 5
得点(1次攻撃) 0 0
センタリング→シュート 1/1 0/1
センタリング→パス 0 0/1
ルーズボール 0 0
クリアー 4/3 2/0
キーパーパンチ 0/2 1/0
キーパーキャッチ 0/1 0
* フリー/競り合い
オフェンスファール 2 0
ディフェンスファール 0 0
キックミス 0 0
ショートコーナー不発 0 0
時間つぶし 0 0
直接ゴール 0 0
オウンゴール 0 0
フリーになった選手 1/0 0
(ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む 0 0
(成功/失敗)
(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー
A.スウェーデン代表のコーナーキック
a)体制
キッカーは9アスラニ選手(右利き)。
受け手は以下の体制で、始まっていている。
・ニアへ:-
・正面からファー:-
・ニアポスト前:6エリクソン選手・10ヤコブソン選手・13イレステト選手
・GK脇: 11ブラクステニウス選手
・正面:17セーゲル選手・18ロルフォ選手
・ショートコーナー: 16アンイエルダール選手
・コボレ狙い:4グラス選手
・セーフティー: 14ビョルン選手
b)結果概要
1本目 (01:47 ポインタ12:07) 左CK 密集陣形 9アスラニ選手→GKラベー選手パンチング。スローイン。
2本目 (10:30 ポインタ20:50) 右CK 9アスラニ選手→12シンクレア選手ヘディングクリア
⇒16アンイエルダール選手回収→14ビョルン選手フィード。大きくてGキック。
3本目 (12:20 ポインタ22:40) 右CK 9アスラニ選手→12シンクレア選手ヘディングクリア。11ブラクステニウス選手ファール。
4本目 (31:58 ポインタ42:18) 右CK 9アスラニ選手→12シンクレア選手ヘディングクリア
⇒4グラス選手回収→14ビョルン選手→11ブラクステニウス選手ヘディング→10ヤコブソン選手・5クイン選手→13イレステト選手シュート。外れてGキック
5本目 (40:57 ポインタ51:17) 右CK 9アスラニ選手→17セーゲル選手ヘディングシュート。外れてGキック。
6本目 (44:04 ポインタ54:24) 右CK ショートコーナー 9アスラニ選手→16アンイエルダール選手クロス→16ベッキー選手ヘディングクリア
⇒4グラス選手回収・シュート→2チャップマン選手ヘディング
⇒13イレステト選手回収→18ロルフォ選手ドリブル(10ローレンス選手カワシ)→10ヤコブソン選手キックアウト→17セーゲル選手ロングシュート。外れてGキック。
7本目 (52:38 ポインタ1:18:22) 左CK 密集陣形 9アスラニ選手→GKラベー選手キャッチ。
8本目 (61:43 ポインタ1:27:27) 左CK 密集陣形 9アスラニ選手→GKラベー選手パンチ。10ヤコブソン選手ファール。Fキックで再開。
9本目 (80:10 ポインタ1:45:54) 左CK 密集陣形 9アスラニ選手→GKラベー選手パンチ→11スコット選手ヘディング
⇒9アスラニ選手回収・クロス→12シンクレア選手クリア。スローイン。
10本目 (96:31 ポインタ2:13:23) 右CK 9アスラニ選手→ 19ハイテマ選手ヘディングクリア
⇒14ビョルン選手回収シュート。
11本目(107:27 ポインタ2:26:29) 左CK 9アスラニ選手→3ブキャナン選手ヘディング→11スコット選手ヘディング
⇒4グラス選手回収→9アスラニ選手ドリブル・17フレミング選手カット。スローイン。
12本目 (110:03 ポインタ2:29:05) 右CK 9アスラニ選手→8フルティング選手ヘディングシュート。左へ外れてGキック。
13本目 (113:49 ポインタ2:32:51) 左CK 9アスラニ選手→19ハイテマ選手ヘディング・ルーズボール・クリア・4グラス選手ブロック。スローイン。
14本目 (117:03 ポインタ2:36:05) 右CK 9アスラニ選手→9レオン選手・混戦・2チャップマン選手クリア
⇒4グラス選手シュート・3ブキャナン選手ブロック→10ローレンス選手クリア。スローイン。
c)全般的な印象と特記すべきプレー
ア)ゴール前密集陣形を使っている。
スウェーデン代表はこの試合14本中5本で、4~6人をGエリア内に配置してきた。
対ゾーンディフェンスでも対マンツーマンディフェンスでも、高頻度でゴール前に密集を作っているので、
この戦法自体に優位性が有ると考えているようである。
ただ、準決勝(オーストラリア代表)のレポートでも書いたとおり以下の点は気になる。
①ゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスで、特に差の無い攻め方をしているのは、工夫が無い。
②なでしこJAPAN相手に使わなかった理由は謎。
イ)メインターゲット
配置とキックに対する動きを見ていると、この試合はニア狙いのようだった。
だが、カナダ代表のニアポスト前のストーン(ゾーン固定配置)の12シンクレア選手と19ハイテマ選手に4本、GKラベー選手に4本処理されている。
11ブラクステニウス選手や17セーゲル選手らが場所をとって、動きを規制しているのだが不十分。
自由に動き回られて、ボールに到達されていた。
ウ)12本目 (110:03 ポインタ2:29:05)
最もうまく行ったプレーだったので図にしておく。
このプレーでは、14ビョルン選手が、良い壁になっていて、19ハイテマ選手をボール落下点に近づけていない。
10ローレンス選手を振り切った8フルティング選手がヘディングシュートをフリーで打てている。
B.カナダ代表のコーナーキック
a)体制
キッカーは、16ベッキー選手・9レオン選手(右利き)。
受け手は以下の体制で始まっている。
基本的には準決勝のアメリカ戦と似たような配置と動き。
・ニアへ: -
・正面からファー: 14ギレス選手
・ニアポスト前:5クイン選手・12シンクレア選手
・GK脇:3ブキャナン選手
・正面:15プリンス選手
・ショートコーナー: 17フレミング選手
・コボレ狙い: 10ローレンス選手・11スコット選手
・セーフティー: 2チャップマン選手
b)結果概要
1本目 (06:28 ポインタ16:48) 右CK 16ベッキー選手→14ギレス選手ヘディングシュート。外れてGキック。
2本目 (19:27 ポインタ29:47) 右CK 16ベッキー選手→13イレステト選手
⇒11スコット選手ミドルシュート。外れてGキック。
3本目 (49:58 ポインタ1:15:42) 右CK 9レオン選手→GKリンダール選手パンチング→15プリンス選手・混戦・11ブラクステニウス選手クリア
⇒2チャップマン選手回収→9レオン選手クロス→15プリンス選手→7グロッゾ選手シュート。外れてGキック。
4本目 (69:03 ポインタ1:34:47) 右CK 9レオン選手→7グロッソ選手ヘディング・流し・9アスラニ選手ブロック
⇒9レオン選手回収・クロス→7グロッソ選手シュート・13イレステト選手ブロック・12シンクレア選手→17フレミング選手シュート。ゴールを越えて、Gキック。
5本目 (92:24 ポインタ2:9:16) 右CK ショートコーナー 9レオン選手→17フレミング選手→9レオン選手クロス→13イレステト選手ヘディング
⇒10ローレンス選手回収クロス→2アンデション選手クリア→
17フレミング選手回収→7グロッソ選手ドリブル・シュート。GKリンダール選手キャッチ。
c)全般的な印象と特記すべきプレー
配置と動きを見ていると、3・4人がファーポスト前で溜めて待っていて、
その辺りを狙っていたようだが、キックが届かなかった。
もっとも、相手はスウェーデン代表。ファー側は薄いと言っても、十分高い。
また、12シンクレア選手と3ブキャナン選手にはマンマークが付く。
数的有利を作るとすれば、5クイン選手や15プリンス選手が、ファーポスト前よりさらに大外へ回るなどすべきだったと思う。
以上です。
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東京五輪_HP
結果 - 女子決勝戦
https://olympics.com/tokyo-2020/olympic-games/ja/results/football/results-women-fnl-000100-.htm
NHK動画
サッカー 女子決勝 スウェーデン 対 カナダ
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