カナダ女子W杯でなでしこJANANは準優勝。よくやってくれました。
決勝戦、アメリカに開始16分間で4点失点。
その中でも最初の2点は、セットプレーからの失点で、見事にしてやられました。
この2点について、各メディアの論客の方々が解説しています。
legends Stadium 『決勝まで課題が見つからなかった』という課題
https://www.legendsstadium.com/news/nadeshiko/7254/
Huffington Post なでしこジャパン、連覇の夢をくじいたアメリカの秘策 セットプレーに仕掛けられたワナとは?
http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/07/nadeshiko-america_n_7742352.html
Sponichi 必殺セットプレーは“一夜漬け”だった 米国W杯制覇の陰に北欧の智将
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/07/17/kiji/K20150717010753050.html
しかし、サッカーよりバスケットやアメフトの方が詳しい私には、ちょっと違う見方がありました。
結論から書きますと、なでしこ各プレーヤーは忠実にコーチの言いつけを守りそれを実践、その結果、連続失点をしたように思いました。
決勝のアメリカには、概略以下の要因で2失点につながります。
①アメリカの戦略(配置)で、ゴールエリアのニアサイドにスペースを作った。
②1点目は配置で開けておいたニアサイドのスペースに、
岩清水選手を振り切ったロイド選手が走り込み決められた。
③2点目はニアサイドのスペースに、ピックプレーを使って大儀見選手の
マークを外したジョンストン選手がヒールキック。
流したこぼれ球を、再びロイド選手に決められた。
④細かく見ると、アメリカの各選手は単に走り込むだけではなく、
ディフェンスを混乱させるため、ピックプレーを使っている。
特にモーガン選手とヒース選手は、ピックプレーに対する理解が
深いように私には見える。
一方日本の選手は、チェンジすることなくマークマンに付いていたので、
教科書通りピックプレーに嵌っている。
ピックプレーとは、(主に)オフェンスの選手がより効率よく、
マークマンを外すために使う技術です。
味方の選手や相手選手を使って、マークマンが理想の走行経路を
走れないようにするのです。
スクリーンプレーとも言いますし、その代表的なパターンには。
「ループ」や「プルアウト」「クロス」などど呼ばれています。
良く伝わらなかった人は街でイメージして下さい。
攻撃選手が幅1m未満の路地に入り込めば、マークマンは建物に阻害され、
後ろから付いて行くしか無くなります。
路地から抜けたところにボールがあれば、攻撃選手は必ず先着できます。
建物の代わりに、マークマン以外の守備選手、静止した攻撃選手、
時には審判を使えば、より効率的にフリーの選手を作ることが出来ます。
この考え方(技術)は、アメリカンフットボールやバスケットボールでは
頻繁に使われています。
例をお示ししましょう。2015年2月に行われたNFLスーパーボール・シアトル(緑:オフェンス)対ニューイングランド(白青:ディフェンス)戦、第3Qから。
映像は下のリンクをクリック下さい:
手前側にセットしたオフェンス85番ボールドウィン選手が、ディフェンス24番レビス選手を振り切るため、審判を使っています。
NFLやNBAを見慣れていて、文化となっているアメリカには、日本の数倍の素養があると思われます。カナダ杯決勝では、その素養の差が最初の2失点、特に2点目に出たように私は考えています。
以上です。