11月11日に鳥取で行われた試合。
 
 
ノルウェイ代表はフランスW杯ヨーロッパ予選グループリーグで、Euroチャンピオンのオランダを押しのけて1位。出場権を既に確保しています。

が、対なでしこ戦略を準備してきたとは思えない内容でした。
プレッシャーをあまり掛けて来なかったので、なでしこに中央・左右どこからでもパスによる突破を許してしまう。
また、攻撃でも、ロングパスでFWに、なでしこのサイドバックと勝負させるような、アメリカ・オーストラリア・オランダ等、なでしこと多く試合をしているチームが仕掛けてくる戦法を採らなかった。
 
 
一方のなでしこは、「普通の布陣」だったのが良かったように思う。
高倉監督はこれまで、左右を入れ替えたり、一捻りした布陣を敷くことが多かったが、各選手慣れたポジションで起用され、良さが素直に出せた。
 
4-1となでしこが完勝し、4得点全てが美しすぎるゴール。
長野選手・宮澤選手も代表デビュー。

上々の采配と内容ではあったが、この試合が強化に繋がったかは疑問。
今年の試合はこれで終わりだが、来年はフランスW杯。
この夏の、Tournament of Nationsから、アジア大会のような厳しい試合を、
集中的に企画するよう、是非ともJFAにはお願いしたい。
 
得点:
 16分(15:53~) (FK20m左ポスト前)横山(直接シュート)
 27分(26:32~) (20m左)長谷川(~25m左・15m左ポスト前)岩渕(シュート)
 55分(54:34~) (ハーフ右ライン際)横山(40m右)長野(10m右ライン際)中島
  (5m左ポスト前)岩渕(シュート)
 63分(62:34~) (ハーフ左)菅澤(40m正面)長谷川(25m右)
  籾木(~15m右切り返し・シュート)
 81分(80:08~) (右CK) レイテン(3m正面)GK(パンチング・15m左)
  モエ・ボル(シュート7m正面)有吉(カット) ボッスハル・ホーフィ
  (6m左ポスト前)ガウスダル(シュート)

その他の主なチャンス
  SB:Shoot Block S:Save FS:Fine Save B:Bar P:Post
  F:Free(GKと1対1など)

・なでしこJAPAN
 02:31~,08:35~S,14:29~
 CK49:06~,53:40~FS,56:49~,67:00~,68:22~FS,CK69:40~,70:04~
  71:21~SB,CK71:59~,72:15~S,77:12~FS,88:56~,91:48+~
 
・ノルウェイ代表
 07:14~S,CK17:47~,29:05~S,33:54~S,35:50~F,42:35~S,CK44:36~,
  45:52~
 CK50:57~,CK51:20~F_SB_B,CK52:12~,54:02~S,CK58:17~SB,
  FK85:48~S
 
では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく。
 

(1)両チームのディフェンスシステム
 
なでしこJAPAN10人守備で、マンツーマン中心の3人ゾーン配置。
 
ノルウェイ代表は10人守備で、マンツーマン中心の4人ゾーン配置。
2人をセーフティーに残して攻めるなでしこJAPANには、キッカーの他に余っている選手が1人発生する。
ノルウェイ代表は早くからマーク関係を明らかにするので、余った選手が誰か判明するのも早く、蹴る前には判っている。
その点においては、アメリカのゾーンと比べると完成度は低い。
アメリカはゴールから8mくらいの所にマンツーマン対応する選手を並べて、走り込んで来た選手のみに対応する。そのため、なかなか、余っている選手が自覚し、行動に移すのは難しい。

ゾーン配置のみ図にする。
イメージ 3
 
 
ちなみに、なでしこの先発選手を背の順にならべ、前半のノルウェイ代表の左CK2本の時のマーク関係で対比する。
ノルウェイ代表の選手の身長をweb上で探したのですが、若手はGIVE-UP。調べられませんでした。ご容赦ください。
 
 4 熊谷    173      (ゾーン配置:正面)
 2 宇津木  168       (ゾーン配置:ニアポスト前)
 3 鮫島    163     14 Ingrid Syrstad Engen         イングリッド・シルスタ・エンゲン
 5 市瀬    160     15 Kristine Bjørdal Leine         クリスティーヌ・ビョールダル・レイネ
 22 清水   160      25 Stine Hovland                   スティーヌ・ホフラン
 7 中島    158  171  11 Lisa-Marie Karlseng Utland リサマリア・カルルセン・ウトラン
 14 長谷川 157       8 Vilde Bøe Risa                   フィルデ・ビョーエ・リサ
 8 岩渕    156  166  16 Guro Reiten                      グロ・レイテン
 17 三浦    156     18 Frida Maanum                   フリダ・レオンハルセン・モーヌム
 20 横山    155        (ゾーン配置:ニアポスト脇)
    (キッカー)     178 10 Caroline Graham Hansen      カロリーヌ・グラハム・ハンセン
      (セイフティー) 164   2 Ingrid Moe Wold                 イングリッド・モエ・ボル 
    (セイフティー)  169 17 Kristine Minde                   クリスティーヌ・ミンデ
 
高倉JAPANは小型選手が多く、さらに、普段相手のエース級をマークする宇津木選手をゾーン配置で使ったこともあって、なでしこJAPANはかなり苦しい戦い。
 

(2)統計

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。

               なでしこ  ノルウェイ
 コーナー本数        5      7
 得点(1次攻撃)        0      1
 
 
 
センタリング→シュート  0/2     1/2
センタリング→パス      0        0
ルーズボール           0         1
クリアー              1/1      0
キーパーパンチ         0      0/2
キーパーキャッチ        0       0
オフェンスファール        0       1
ディフェンスファール       0       0
 * フリー/競り合い
 キックミス                0       0
ショートコーナー不発      1       0
 
 
フリーになった選手     1/4     0/1
    (ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む    0        0
     (成功/失敗)
 

(3)特記すべきプレー
 
なでしこJAPANが5本。ノルウェイ代表が7本。
 
なでしこJAPANはショートコーナーを交えて攻めたが、
うまくいったとは思えない。
 
ノルウェイ代表はオーソドックスだが、なかなか効果的だった。
 
 
A.なでしこJAPANのコーナーキック
 
キッカーは左CKを横山・中島・坂口選手で各1本、右CK2本を籾木選手。
いずれもインスイングで蹴った。
 
5本の内容は以下の通り。
 1本目(49:06) 左CKを5m左ポスト前。市瀬選手がダイビングヘッドも浮いてクリア。
 2本目(68:59) 右CKをショートコーナー。籾木選手長谷川選手で2対2を挑むが
   詰まって、バックラインへ戻す
 3本目(69:40) 左CKをショートコーナーを受けた長谷川選手が戻して、30m左から
   鮫島選手がクロス。8m右ポスト前で、クリア。
 4本目(71:59) 右CKを10m正面。菅澤選手が競りに行くがクリア。
 5本目(78:40) 左CKを5m左ポスト前。長野選手が走り込んで合わせるが左へ外す。
 
前述のように、ノルウェイ代表がなでしこの攻撃選手を1人余らせて居る。
だが、余った選手がボールを呼べていない。
 
特に、中島選手が余ったこともあったが、アピールしなかった。
自分がキッカーなら、余っている選手が呼べばそこに蹴るのに、
受け手になったら、アピールしないって、どういう了見?
ちゃんとやりましょうね。
 

B.ノルウェイ代表のコーナーキック
 
左CKをグラハム・ハンセン選手、右CKをレイテン選手が蹴った。
いずれもインスイング。
 
7本の内容は以下の通り。
 1本目(17:47) 左CKを3mファーサイドへ。ウトラン選手が、中島選手を押してファール。
 2本目(44:26) 左CKを5m右ポスト前。モーヌム選手に当たってファーサイドへ抜ける。
   ウトラン選手が拾って、15m右ポスト前で走り込んだモエ・ボル選手
   シュートしたがオーバー。
 3本目(50:57) 右CKを3m正面。GKがパンチング。市瀬選手に当たって再CK。
 4本目(51:25) 左CKを3m正面。ビョールダル・レイネ選手をかすめて、
   右ポスト前で長野選手の前を取っていたウトラン選手の前に来るが、
   2m左ポスト前に弾く。横山選手がクリアしたが10m右ポスト前で
   モエ・ボル選手がシュート。長谷川選手がゴール直前でカットし、バーニ当たって再CK。
 5本目(52:12) 左CKを3mファーサイド。ウトラン選手がヘディングシュートするが、
   被りすぎて右へOFF。
 6本目(58:17) 右CKを3m右ポスト前。グラハム・ハンセン選手が競って
   ヘディングシュートも、三浦選手ホフラン選手と当たって、右へ外れる。
 7本目(80:08) 右CKを3m正面。GKがパンチングで弾くが、15m左で拾った
   モエ・ボル選手がシュート。10m左ポスト前で有吉選手が触るが、
   8m正面でボッスハル・ホーフィ選手が反応し、
   6m左ポスト前でガウスダル選手がシュート。得点となる。
 
 
ゴールに近いところを狙ったオーソドックスなコーナーキックだが、得点のチャンスが多く有った。
 
単なる高さだけではない。ポイントを上げるとすれば2つ。
 
① GK山下選手を自由にさせない。
 それは8ビョーエ・リサ選手のポジショニングが絶妙だったことによる。
 ボールには行かず、場所取りに専念、ノーファールでGKの動きを
 阻害しているのは、実に渋い。
 特に4・5・6本目は、GK山下選手がずっとゴールの中に入ったまま
 出られないのである。
 おそらく、GK山下選手とマークの長谷川選手は相当な「やられた感」を
 持ったと思う。
 
② 熊谷選手を自由にさせない。
 G正面にゾーン配置されている熊谷選手は、言うまでも無く、
 なでしこJAPANの要。
 必ず1人は熊谷選手のそばで場所を取るか、走り込んで競り掛ける。
 
 
a)4本目52分(51:25)のコーナーキック
 
8ビョーエ・リサ選手のポジショニングの「妙」を、4本目で図にしておく。
しかし、図では表現困難なので、ビデオを残しておられる方は、是非ともよく見ていただきたい。
特に、ゴールに近いところを集中して狙うという点で作戦が一致する、F日体大のコーチや選手は、よく研究するようお勧めする。
8ビョーエ・リサ選手は74分に交代するまでの6本全てで、良い仕事をしている。
イメージ 1
 
なお、このプレーに限らず27長野選手のディフェンスは甘い。
前を容易に取られるし、ボールにだけ目が行って、マークマンに離されてしまう。
なでしこJAPANらしく守るには、相当な修行が必要だ。
 

b)7本目(80:08)のコーナーキック
 
得点になったので図にしておく。
ポイントは、GKがパンチングで弾いたところが、2モエ・ボル選手の前だったこと。
9人目の攻撃選手の2モエ・ボル選手には、3人ゾーン配置しているから、
なでしこのマークが居ない。そのため、フリーでシュートを許した。
 
その後は、28宮澤選手27長野選手がシュートブロックに行って、6有吉選手がシュートに足を伸ばして、もうマーク関係はごちゃごちゃ。26ガウスダル選手にボールが到達した時点で、完全にフリー。止めようがなかった。
 
このプレーでGK山下選手の横に立っていたのは、20ボッスハル・ホーフィ選手
ボールに行った所に17三浦選手が競り掛けて、GK山下選手のスペースが空いた。
フリーで飛べていて、キャッチも出来たし、パンチングもコースを選べたと思う。

8ビョーエ・リサ選手なら、ボールに行かずに、GKとボール落下点の間に入って場所を取っていただろう。その残像が、この余裕のないパンチングに繋がったのかも知れない。
イメージ 2
 
 
 
 以上です。

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