まともなサッカー経験の無い私が書くのはおこがましい内容ですが、
ちょっとコメントしたいと思います。

1.現地7月2日の試合結果:川澄選手が渡米いきなり2ゴール!!
 
NWSL(米女子サッカーリーグ)再デビューを果たしました。
合流してから4日間で、2年近く離れていたチームで先発フル出場し、Player of the Game。
ベスト11に選出された2014年の活躍で得た監督やチームメイトの信頼が大きいから、
先発できたのだし、そして、その信頼に即時に応えたのですから、「あっぱれ」です。
 
YouTubeにフルゲームが
Seattle Reign FC vs. Boston Breakers
に有りますし、
HIGH-LIGHTも
Seattle Reign FC vs. Boston Breakers: Highlights - July 2, 2016
にUPされています。
 
川澄選手の2得点は、いずれも、相手の守備が整わない状況で長目のボールを受けてドリブル後、13分の1点目はスルーパス→こぼれ球を押し込み、62分の2点目はミドルシュートと、川澄選手のスピードが生きた得点でした。
 

2.川澄選手活躍の期待
 
オリンピック期間までは、かなり活躍できると思います。
川澄選手の活躍パターンが今のSeattle Reignには揃っているからです。
 
 
⑴川澄選手の力が発揮される環境:3TOPと強力なMF陣
 
思い起こせばINAC神戸が圧倒的に強かった2011~13年、チ・ソヨン・澤・大野各選手が中央を支えていた。
また、2014年のSeattle Reign はレギュラーシーズンをブッちぎりで1位通過したのですが、Little(スコットランド代表)、Fishlock(ウェールズ代表)両選手が中央を支配していました。
両者ともリーグベスト11に選出され、それぞれ得点王&MVP、アシスト王に輝いています。
(2015年もリーグベスト11。ただし、NWSLでは、頻繁に米・加・豪などの代表選手が抜けるので、リーグMVPやベスト11は立派ではあるものの、ちょっとミソが付く。)
 
要するに、2011年~14年秋口まで、
 川澄選手はセンターサークル付近を圧倒的に支配できるチームで、
 4-3-3の右FWで、
 手薄になったサイドのスペースを気持ちよく走り回っていた。
と私は解釈しています。
 
 
⑵2014秋以降の川澄選手の停滞:前にボールが来ない
 
しかし、2014年秋帰国してから、なでしこ代表やINAC神戸では、
川澄選手は4-4-2の右SHでしたが、
 少し下がり気味のポジションであるし、
 中央を支配できている訳で無く、
 動くタイプの2TOPのため、前が詰まり、
機能しきれていなかったと私は分析しています。

結果、川澄選手は代表落ちし、INAC神戸でもスタメン落ちすることが多くなった。
ですが、この試合のように条件がそろえば、活躍できることを見せつけたのだと思います。
川澄選手の「特徴的な」、厳しい言い方すれば「限定的な」「芸域の狭い」プレイスタイルをSeattle Reign の監督・選手がよく理解していたので、合流即スタメン、即2ゴールとなったのでしょう。
特に2点目は逆サイドからの展開で、それが顕著に表れたのだと思います。
 
⑶当面の川澄選手の期待度:高いが、割り引いて評価すべき。
 
ところで、この時期のNWSLは米・加・豪などのナショナルチーム所属選手たちが
オリンピックに向け不在で、メンバー的に手薄な状況です。
そんな中、Seattle Reignの屋台骨Little・Fishlock両選手は、オリンピックには不参加です。
また、NWSLのSBは、川澄選手のような典型的なウィングに対しては、
そもそも人材豊富とは思えません。
 
ですから、オリンピック終了までは、川澄選手は好き放題やれると思います。
逆に言えば、川澄選手の当面の活躍は割り引いて見るべきで、
本当に評価されるべきはオリンピック明け。
復帰したナショナルチームクラスのSBに対しどれだけできるかが、見所になると思います。
 
 
⑷代表復帰には**:ウィング専門だけではなくて・・。
 
川澄選手はそんなSeattle Reignの環境で、
ウィングとしてMAXの働きを期待されているので、
駆け上がりやクロスボールを上げることが主な仕事なるのでしょう。
 
しかし、今後の代表復帰のためには、何か別の味を出せるかどうか、
「限定的」な活躍ではなく、プレーの幅を拡げることが、
ポイントになるのだと思います。
だいたい、今後長く現役を続けるつもりなら、
年齢的にもプレースタイルのモデルチェンジに着手すべきだとも思います。
 
例えば、
 サイドラインから離れチームに流動性を持たせるとか、
 密集を細かなドリブルやトリッキーなトラップで抜け出すとか
 大きな展開をするとか
 ディフェンスを背負ってボールキープするとか(岩淵選手はうまくなりましたね)
などが、その具体的なプレーなのでしょう。
 
しかし、おそらくSeattle Reign では、それらのプレーはあまり期待されてはいません。
試す機会が少ない中で、結果を残していく必要があると考えます。
結構険しい道になるのでは?

3.宇津木選手の活躍期待
 
フルタイムのYouTubeで、最後のコメンテーターの話によると、今週合流予定とのことですが、まず、どういう使われ方なのか?ちょっと難しいと思います。
 
今シーズンSeattle Reignは、この試合を勝って4勝3敗4分けで、順位はリーグの真ん中:5位です。2014年と2015年のレギュラーシーズンを共にぶっちぎりで1位通過したチームとしては、苦戦している状況です。
その理由の一つにFishlock選手のプレータイムが少なかったことが上げられます。
宇津木選手はそのための補強だと私は思っていたのですが、
今日のようにFishlock選手が動けるのであれば、宇津木選手移籍の第1目的は??
 
Seattletimesの記事
2016.07.02:Nahomi Kawasumi scores two goals in return as Seattle Reign beats Boston Breakers, 2-0
の終盤、
 
Fishlock選手の談話によると、完全復活のような言い分です。
繰り返しますが、中盤にはLittle・Fishlock両選手が君臨して、
このチームの核を成しています。
宇津木選手は、2人が健在ならば、中盤のアンカー的な役所か、
左SBということになるでしょう。
しかし、アンカーのWinters選手は主将でバランスをうまく取る、
縁の下の力持ち的な選手で、チームに調和しています。
左SBは手薄ではありますが、本人的には、どうなのでしょう。
 
宇津木選手は日本人としては珍しくフィジカルが強く、バランスの良い選手です。
できるポジションが多い故に、監督がどのポジションを与えるのか、ちょっと私には予想できません。
いずれにせよ、持ち前のフィジカル・テクニック・展開力を発揮して、
川澄選手を走らせるシーンを沢山見られることを期待しています。
 
以上です。
 
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ブログ内関連記事
 
 
参考記事
 
Football ZONE WEB 2016.06.17
シンデレラ・ガール復活なるか 高倉ジャパン復帰に川澄が選んだシアトルという選択肢
 
Yahoo 松原渓 2016.07.01
川澄奈穂美、2度目のアメリカ挑戦へ。揺るぎない覚悟と神戸への思い
 
スポーツ報知 2016.7.03
川澄、米シアトル・レイン復帰戦であいさつがわりの2ゴール
 
Seattletimes 2016.07.02
Nahomi Kawasumi scores two goals in return as Seattle Reign beats Boston Breakers, 2-0
 
Nwslsoccer.com 2016.07.02
REIGN FC SHUT OUT BREAKERS, 2-0, AT MEMORIAL STADIUM
 
Yahoo コラム 松原渓 2016.08.25
シアトル・レインFCで「らしさ」が復活 。移籍後5試合で川澄奈穂美が見せた躍動感溢れるプレー