午前1時のシンデレラ★かぼちゃシスターズのブログ -3ページ目

午前1時のシンデレラ★かぼちゃシスターズのブログ

FM世田谷83.4MHz「午前1時のシンデレラ」番組サポーター&レポーター「かぼちゃシスターズ」が、「夜」と「かぼちゃ」にまつわるあれやこれやをお伝えします。

第三十二夜

「久美起きて、電車に遅れるよ!」

久美は遥か遠くから聴こえてくる有里の声に目を開けた。
天井から天使のようにも見える褐色の紋様が微笑みを浮かべている。

『いま自分はどこにいるの?』

久美はベッドから起き上がると、キョトンとした眼差しで辺りを見渡した。

「久美、おはよう!よく寝たね」

有里は窓のルーバーを一気に開けた。
きらきら光る陽射しと共にヒンヤリした空気が久美の記憶をよみがえらせる。

「おはよう、有里。昨日はたしかワイン飲みながらイイ気持ちで…」

「そうだよ。アパート連れて来るまで大変だったんだよ!
   雪降ってるし、荷物はあるし、久美は千鳥足で石畳で座り込むし…」

久美は少しづつ昨夜の情景が頭の中に浮かんで来た。

「ごめん!何しろ久々の開放感で、飲み過ぎちゃった!?」

「とにかくこれ飲んで目を覚まして、着替えてね。今日は約束のベネチア行きだよ!」

有里はコーヒーカップをベッドサイドに置くと、扉を閉めた。
久美は背伸びして天井を見上げた。
電話では聞いていたが、17世紀のフレスコ画が色あせてみえる。
壁厚が1メートル近くあるこの建物は15世紀の修道院跡だったらしい。
久美は窓辺に立って大きく深呼吸した。
教会の鐘が、中世の街並に響きわたった。

こんにちは!
パンプキンズ16号、ヨガインストラクターをしていますMihoです

今回は、皆さんお馴染みのヨカ゜について、古くから伝えられていることや、
簡単な呼吸法をお伝えします。

毎日5分でできる呼吸法は、体だけでなく心もすっきりリフレッシュできること
間違いなし!です。

放送は、23日金曜日午前1時です。
どうぞ、お楽しみに!!

「ワインといい、パスタといいホント美味しいね。流石イタ~リア!
         
Scusi,Vorrei ordinare!(スクージ、ヴォレイ オルディナーレ)」

ほろ酔い気分の久美は、大声でウェイターに叫んだ。

「お!調子出て来たね 久美。
  そう、ここのお店はリストランテというより
    トラットリアなんだけど味はコモでも3本の指に入るかな。
      それにここのシェフがイケメンでさ。
        アレッサンドロと言うだけど…
          この間ね、そこのスーパーでばったり会って…
             あれ?久美、大丈夫?」

久美は有里の話を子守唄に、いつの間にか睡魔に襲われている。

「まあ無理も無いか。日本からの長旅だしね」

有里は、起こすのをやめてウェイターを手招きした。

「Buonasera  Yuri, Come va ? (ブオナセーラ ユリ コメ ヴァ?)
                                   Cosa desidera?(コザ デズィーデラ?)」

小太りでスキンヘッドのウーゴが久美に視線をやりながら注文をとりに来た。

「Ciao  UGO, Va bene! Due espresso, per favore 」

有里は、久美に声をかけたそうにしているウーゴを制して、

エスプレッソを二つ注文した。

その時テーブルに置かれた久美の携帯が鳴り響いた。

むかし懐かしい黒電話のベルだ。

それでも久美は目を覚まさない。

有里は、意を決して携帯をとると、応答ボタンをおした。

「Pront!」
  「Buonasera !村野です。金子さん? 
     金子さんの携帯ですよね?」

有里が黙っているので不安げに聞いてくる。

「はい、久美の携帯ですが、今ちょっと出られなくて…どなたですか?ご用件は?」

「そうですか…では、     
   急遽ミラノへ行く事になったので、会いたいと伝えてください!
      また電話すると…」

有里は携帯を元の位置に置いた。

まだ久美は気持ち良さそうに寝入っている。

「久美が?まさか…」

有里は、赤ワインを一気に飲み干すと久美の肩に手をかけた。