踏み込んでくる。
遠慮がない。
甘く、
パワーがあって、
「デラウェアだぞ」と
余すところなく主張してくる香り。
少し酵母。
無濾過ゆえか、
ほんのりビールの気配もある。
――これは、甘いぞ。
そう身構える。
ところが、
口に含んだ瞬間、
裏切られる。
シャープ。
静かな日本刀。
輪郭は驚くほど明確で、
ドライさとキレで
骨格が立っている。
例えるなら、
アイススケーター。
細身で、
骨があって、
リンクの上で
きちんと立つ強さがある。
今まで飲んだことがない。
素直なのに、
あまのじゃく。
「こうあるべき」という
白ワインの型から、
一歩、はみ出している。
飲み終えたあと、
もう一度香りをとる。
すると、
さっきまで気づかなかった
シャープな輪郭が
ふっと立ち上がる。
なんだ。
お前、
最初から
そこにいたのか。
人間はおもしろい。
印象ひとつで、
香りの感じ方まで
変わってしまう。
ワインは、
ただワインとして
あり続ける。
でも、
それをどう感じ、
どう解釈するか。
この一本は、
その“哲学”を
突きつけてくる。
おいしいのは、
間違いない。
ただ、
美味さで
記憶に残るのではない。
インパクトで、
記憶に残る。
人に例えるなら、
小倉優子さん。
天然、
と言われてきたけれど、
実は切れ者。
見た目(香り)からは
想像できない要素を
内側に隠しているところが、
不思議と、重なる。
※このワインの背景や
生産者については、
3部目でしっかり触れます。
少しだけ、
楽しみにしていてください。
wine by @紀乃國ワイン工房
