うっすらとしたレモンの中に、

ぽんかんや温州みかんのような

爽やかさと糖度を併せ持った

少し重量のある、ゆるやかな香り。


ただし、

その香りは放胆ではない。


受け入れやすく、

あっさりとした表情で

すっと入ってくる。


あっさりしているのに、

どこか重さを感じる。

この矛盾が、まずおもしろい。



香りの印象に違わず、

口当たりはあっさりしている。


しかし、

しっかりと重量がある。


そして、

香りとは対照的に

味わいは辛口。


レモンの皮と果肉だけで作った

レモネードのようなニュアンス。


かんきつの酸味。

皮由来の、わずかな苦み。

その奥に、

ほんのりと感じる

レモン由来の糖分。


本当に

ブドウからできているのか、と

一瞬疑うほど、

かんきつの存在感が強い。


まさに大人のレモネード。


でも、

このワインの一番の特徴は

香りや味そのものよりも、

情報量だと思う。


ワイン全体が、

シチリアを主張してくる。


レモン。

太陽。

海。


そういった要素が、

概念ではなく、

香りや味わいとして

こちらに情報を渡してくる。


私は

まだシチリアに行ったことがない。


だから、

頭に浮かぶのは

自然と瀬戸内の風景だ。


それでも、

このワインが

「どこかの海沿い」であることだけは、

はっきりと分かる。