アマゾン倉庫で働いてみました | servantleadership

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IT技術系マネジャー → タクドラ。
ブラックな環境に嫌気がさし、自由なタクドラへ。
全社組織改革活動リーダーを経験したので組織マネジメントには興味があります。英治出版の「ティール組織」はバイブルです。

タクシー乗務員で数年働いてやっと慣れてきた2020年春頃、

コロナ禍によるゴーストタウン化が始まりました。

 

前年11月のラグビーワールドカップの

フィーバーが噓のようです。

 

インバウンドで訪れた外国のお客様を

ホテルまでお送りする間の会話が楽しくて、

 

IT企業時代の膨大なメールの処理と、

社内政治に明け暮れていた頃が遠い過去となり、

後数年はタクシー乗務員を続けてもいいか、

と考えるようになった頃でした。

 

それまで一晩の売上が平日6万円前後だったのが、

2万円以下になりました。

 

この先どうなるか不安だったのですが、

過去の売上に応じて補助が入ることになったので、

転職するよりはまだまだ高給で安心しました。

 

ただ気分的に、

ゴーストタウンを空車で走り回るのも退屈になり、

お客様を探すために変な姿勢で走り回ったせいか

元から悪かった腰がさらに悪化しました。

 

一旦コロナが明けるまで、

気分転換に身体を鍛える仕事をしてみようと思って

求人広告を見ていたら、

2020年秋にアマゾン倉庫が大量募集しており、

説明会参加、即働くことになりました。

 

アマゾン倉庫と言えば、小田原倉庫で体調を崩した

ワーカーの救急搬送が遅れて亡くなられたとか、

様々な悪い噂が流れているところです。

 

半ば怖いもの見たさで体験しましたが、

結論から言うと、噂は本当でした。

 

一種独特の価値観の世界で、

合う合わないが明確に出ます。

 

 

生産性がすべて

ワーカー個人の作業生産性順位が昼と夜に貼り出されます。

基準以下だったり、ミスが多いと黄色やピンクのタスキの

着用を強要され、見せしめ状態になります。

 

トータルの生産性を向上させるため、

生産性が良いワーカーは良条件の作業環境をあてがわれ、

出来の悪いワーカーは暇なときは別部署の応援に行かされたり、

隙間を埋めるような雑な使われ方をされます。

 

この生産性さえ上位を維持できれば、

居心地は大きく変わります。

 

作業状況を細かく監視

ワーカーのスキャナー操作がすべて記録されており、

休憩時間が規定より多いとすぐ注意されます。

 

パワハラ、モラハラは多い

アマゾン本体社員の指導は許されるギリギリの線を

越えないように気を付けていることが伺われ、

 

基本的にあからさまなきつい怒鳴り声は一切なく、

常に冷静な会話がなされます。

 

ただ、アマゾンの指導を受けて現場を仕切るリーダークラス

(多くはワーカーから成りあがった者)が、

マネジメント力不足のせいもあり、

気遣いが不足した不愉快な会話を行い、

結果的に気分が下がる職場になっています。

 

 

運動になる

最初シップドックという、アマゾン倉庫で最も過酷な

部署に配属になりました。

 

ベルトコンベアーに段ボール箱や封筒が流れてきて、

指定された大きなケージに積み木のように整理しながら

積み込みます。

 

急に大量の箱が集中して流れてくるときは、

対応しきれなくなり、予備のケージに一旦入れます。

 

それでも対応しきれなくなると、

最後はブザーが鳴りラインが止まります。

 

別に叱られるわけではないのですが、

つい頑張ってしまい、汗だくになります。

 

万歩計をつけると、一日45km歩いていました。

ピーク時は、軽くジョギングしているようなペースです。

 

一つのラインは3人のワーカーが作業するように

設計されているのですが、

平均値の生産性から算出したワーカー数は

ライン当たり1名ぐらいです。

 

つまり、雪崩のように段ボール箱が来るときに、

1人で対応しないといけないのです。

 

同じ日に配属された同期2人は体力が続かないと、

1か月ぐらいで辞めていきました。

 

1か月必死で頑張り、8k痩せました。

腰の具合も良くなりました。

 

ただ3カ月目に、肘の傷みが取れなくなり、

診断書を出して、親身になって対応してくれた

安全担当の方の計らいで、体力的に楽な別の部署に変えてもらい

結局その後2年間働きました。

 

長く続いた理由は、

たまたま関係した周囲の担当者がいい人達で、

嫌な思いをすることが少なかったせいです。

 

また、老若男女様々な人達が働いており、

すぐ辞めていくコミュ障の人達が

常に一定の割合いるのが難点ですが、

意外と普通の人達が多く、

(本業が収入減で副業で来てる人とか)

会話が楽しかったせいです。

 

離職率が高く、

悲惨な職場と見られがちなアマゾン倉庫ですが、

職場の管理者の当たりはずれが、

もし当たりならば、

 

運動神経や体力に自信がある方は、

ジムに行って給料をもらうと考えれば、

アリかなと思います。

 

アマゾンはブラックか?と聞かれたら、

「黒に近いグレー」と答えます。