東海ゴム、柔軟素材で構成した歩行アシストスーツ公開
日常的に使用可能
 日刊工業新聞より転載 2013.09.23

 東海ゴム工業は、9月18~20日開催の九州大学の山本元司教授らと共同開発を進めている「歩行アシストスーツの試作機を公開した。 

 加齢などにより脚力が低下した高齢者の歩行支援を目的としており、下腹部から膝にかけて配置したアシストベルトを、モータにより牽引することで下肢の振り出しをアシストする同スーツの着用により、歩行筋力を最大で2割程度補助し、歩行エネルギーを1割程度低減できたことを確認したという。

 また、柔軟かつ軽量な素材で構成されており、着衣の下に装着できる特徴から、リハビリ支援ではなく、高齢者が日常的に使用できるアシストスーツとして2015年度の実用化を目指す。

同社の柔軟センサ「スマートラバー(SR)センサ」の応用として開発した。静電容量を利用したセンサで、柔軟性と導電性を備える誘電ゴム層を、印刷製法により積層した2枚のゴム電極で挟んだサンドイッチ構造となっており、大面積化が容易で、かつ安価に生産することができる。

 床ずれ防止マットレスや体圧検知センサなどとして提案をしており、歩行アシストスーツでは歩行状態の検出に使用。大腿部の側面に配置し、軽量かつ柔軟なシステムに仕上げた。

 システムは、おもに腹部に配置したモータと腰部に搭載した制御回路とバッテリー、SRセンサ、アシストベルトから構成。モータによりアシストベルトを牽引することで(遊脚時の)下肢の振り出しをアシストする、

 これにより自然と長い距離を歩行できるよう促すことができる。  利用目的および歩行支援の方法は、ホンダが開発を進めている「リズム歩行アシスト」にかなり近いといえ、

 こちらでは、モータに組み込んだエンコーダにより股関節の角度および歩行周期(1歩の回転周期)を計測し、それをもとに制御CPUが指示したトルクを、モータが最適なタイミングで発生し、大腿フレームを通して大腿部の動きをアシストする。
 
 東海ゴムの歩行アシストでは、SRセンサがエンコーダの役割を果たす。ただし、リズム歩行アシスト装置では、立脚期は下肢の蹴り力をアシストして歩行の推進力も補助することができ、ここに両者の違いがある。
 ただ、歩行アシストスーツは軽量かつ柔軟な素材で構成されており、着衣の下に装着して使用することが可能。

 先行する歩行アシストスーツには、CYBERDYNE社のロボットスーツ「HAL」に代表される外骨格型(外側系)や、それとは反対の構造を持つ内側系(例えばアスカなどの「WPAL(ウーパル)」)が多く見られるが、いずれも硬いフレームで構成されるため身体への密着性に難点がある。
 
 日常的に装着して使用するのは難しいのに対し、歩行アシストスーツは身体への密着性に優れ、長期間にわたって使用できる点に優位性がある。   東海ゴムでは、こうした特徴を生かし、QOL(生活の質)の向上のためのシステムとして、2015年度の発売を目指す。

 なお、公開した歩行アシストスーツの開発は、科学技術振興機構(JST)の「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」の採択課題として進めている。
http://www.robonable.jp/news/sr_0923.png