タイトル︰「document

アーティスト︰cinema staff


document

 

cinema staffといえば年中、至るところでライブをやりまくる生粋のライブバンド

並びに常に色んな時期の曲もやるバンドとして知られており、その姿勢は後続バンドにも受け継がれていったのですが、そんなシネマでも完全に全ての時代の曲を網羅できるわけでは無い


なのでその補填兼新規ファンにも古参ファンにも嬉しい企画として、不定期ながらも開催されるのが「前衛回顧主義」

今回は「Drums,Bass,2(to) Guitars」が対象ですがこのアルバムは全体で40分弱

1枚でワンマンをするのはかなり困難です


なので各会場毎に、もう1枚テーマとなる作品が掲げられるのですが東京はシネマ初のミニアルバムとなる「document」
2016年の前衛回顧主義でもピックアップされましたが、今回改めてビックアップされるということで折角なのでフォーカスすることにしました

さてこの「document」、今でもライブで演奏される「AMK HOLIC」や「優しくしないで」、「KARAKURI〜」などが収録されている作品
シネマの原点といってもいい1枚ですが、代表曲の1つである「AMK HOLIC」といえばベースがうねりまくって、パンキッシュでありながらもポストロックは1曲

「最後はいつでも単純な結末で どうして大人になることが怖い?
最後はいつでも単純な結末で どうしてここから出ることが怖い?」


なんて青さを感じる部分もありますが、これが放たれたのが今から16年前のこと
この頃からシネマは才能を発揮していたのです
その頃僕中学生ですよ(笑)
恐ろしいなんてレベルじゃありません
しかもこの頃のシネマは大学を卒業する前後の年なんです
尚更恐ろしいというか…

4つ打ちを軸にしながらメロディアスなギターやダンサブルなベースラインで踊らせる「ローリング」、1日の時間の流れをアンサンブルで現し、

「息が止まりそうで 不安なんだよ
繋がることはない 期待なんだよ」


と人間らしさが描かれた「サイクル」と初のミニアルバムとは思えないクオリティーを出してしますが、それらを超越するのはやはり「優しくしないで」
これをやると毎回雰囲気は一変します
そりゃあ性急だったり、大人しくなったり、シャウトしたりと悠長に見せられませんからね
なんと凄まじいポストロックですし、

「傷つくのは当たり前さ めちゃくちゃに歩いて戻ろう」


と客観視出来ているのも凄いというか


22前後になると精神はだいぶ落ち着きますが、それでも人間は簡単には傷つきたくない
1度転倒したら起き上がれない人もいますから
その事実を冷静に見つめる
今でもシーンで活動できるのがわかる気がします

そのうえでこのミニアルバムに収録されている隠れ名曲は「部室にて」

「正解はないよ そこには正解はないよ あるのは矛盾です」

後悔はないよ そこには後悔はないよ あるのは呼吸です」


と歌詞はまるで哲学的な言葉が羅列されてますが、面白いが曲調が少しずつ変わり、それに応じるようなその場面のメインも変わっているという
こんなテクニカルな曲、よく作ったなあと思いますし、今と比べて青さは濃いです
でもこの頃から片鱗は見せまくっているわけですよ
そりゃあ長期に渡ってシーンで活躍できるわけです
一時はロッキンに何年も連続で出演したほどですし

そして最後にキメ全開でありながら、ギターがベースラインのような役割を発揮する「KARAKURI in the skywalkers」で終わり

もう最初のミニアルバムから凄い個性を発揮している
そう書かずにはいられませんよ
それくらい凄いもんもこれ
岐阜のシーンは当時、大騒ぎとなったんだろうなあ

こうやって過去の作品を振り返るレビューは不定期でやりたいと思いますが、本題は今回の前衛回顧主義の対称である「Drums,Bass,2(to) Guitars」


次回はその「Drums〜」について掘り下げたいと思います

※画像はAWAからです