昨年「ジャージー」がバズると、各方面から注目を浴びるようになり、破竹の勢いで快進撃を続けているサバシスター
今年の元旦にPIZZA OF DEATHに所属、ポニーキャニオンからメジャーデビューすることを発表しサバの日こと、3/8に「覚悟を決めろ!」でメジャーデビューしたが、早くも全国ツアーを開始

神奈川はそのツアーの序盤に当たるが、会場は1月にkoboreとツーマンしたF.A.D. Yokohama
3ヶ月足らずでF.A.D.に帰還である

この日は土曜であるにも関わらず開場18時、開演19時という時間設定
土曜出勤の方にはありがたく、自分も仕事してから会場に向かったがこうなったのは開演までに参加者を余裕持って全員入場させる目的がある気がする
キャパ600とはいえ、それ以上収容している可能性もあるから

・ネクライトーキー
その時間設定は見事に成功し、19時までに到着した方はほとんど入場できた中、音出しの際からサンプラーを通してコミカルな音が放たれまくるサバシスターがこの日のゲストアーティスト
CDJ22/23のCOSMO STAGE大トリで見て以来なので、ライブを見るのは久々

バンド独自のSEが流れると共に、「可愛い〜!!」という声がやたら聞こえたもっさ(Vo.)を筆頭に次々とメンバーが表れるが、ステージが狭すぎる故、ドラムのカズマは上手後方、鍵盤の中村はやや中央より
ステージがそんなに高くないF.A.D.なのでドラムの姿は全く見えない

なので手数の多いビートを刻むカズマがどのようなドラミングを刻んでいるのか、目視できないのが残念だが新作にして傑作「TORCH」に収録された「bloom」から朝日と中村は浮遊感あるリフを鳴らし、朝日に至ってはギターソロでお立ち台に上がり、一際歓声を浴びる
自分はネクライトーキーが全国的に知られるようになる前からフォロワーさんにネクライトーキーを教えてもらい、その中毒性の高いリフに驚いた記憶がある
メジャーに移動してからも「秘密結社 鷹の爪〜」と「誰が為にCHJKAPOCOは鳴る」で手を組んだり、自分の好きな「カノジョも彼女」に「ふざけてないぜ」と癖のある曲を提供し、病みつきになってしまうロックを連発してきたがその破壊力は更に増しつつある

それを物語るように、手拍子も前から奥まで行き渡るようになり、藤田のベースラインが客席をゆっくり踊らせる「めっちゃかわいいうた」で、

「かわいいうた」

と締められる度、歓声もより大きくなるがこの日のネクライトーキー目的でチケットを入手できた方はかなり少ない
何故ならネクライトーキーの出演は、一般販売寸前で明らかになったもの
このチケットは一般販売開始日に確実にソールドアウトしている
なのでチケットを譲渡してもらったりしないと、ネクライトーキー目的の方は参加困難だ
でも盛り上がりはネクライトーキーがワンマンライブをしているかのよう
元々ネクライトーキーが好きか、サバシスターのファンがこの日のために入念な予習をしたのだろう
なおかつ「めっちゃ〜」は終盤、一気にパンクロックになる
サバシスターと親和性は実は大いにあったりする

更に藤田とカズマのリズムが鬼のように絡まり、参加者の大半が使用しただろう「京浜東北線」が登場する「こんがらかった!」で皆殺しのメロディを浴びせながら踊らせると、

「サバシスターは去年(新代田)FEVERで対バンして、「曲いいからワンマンしたほうがいい!!って伝えたんですよ。そしたら、「まだワンマン出来るほど曲出来てないんです…」と言われて、「何年くらい活動してるの?」と思ったんですけど、その翌年(2024年)にメジャーデビューして驚きました(笑)」

と去年、新代田FEVERでツーマンした際のエピソードを話すがサバシスターは結成してまだ2年
今回のアルバムでワンマン出来るようになるほど曲数は溜まったとはいえ、去年の時点ならそんなに曲数はなかっただろうか、たった2年でセルフマネジメントにも関わらずメジャー到達
シーンに与えた影響も相当なものようだ

朝日がサバシスターの「東京こえー」が好きであることを明かしつつ、「覚悟を決めろ!」のジャケットを称賛したあと、

「サバシスターはバンド好きじゃない人にも届いてシーンを盛り上げてくれるはず」

とエールを送るもっさ

サバシスターの登場はWANIMAやMONGOL800が登場した時と近い
後者の際、自分は小学生だったのでどのようにモンパチの名前が広がっていったかは分からない
けどWANIMAがお茶の間に浸透し、ドームワンマンや紅白に出場していった流れは今も覚えている
その時のように、サバシスターはロックを聞かない人間も巻き込める
そう確信しているのだらう

一方でメジャーに行ったからといって、順風満帆に行かないことをもっさは知っている
だから

「期待されなくて辛いこともあるけど、期待されて辛いこともあると思う」

とサバシスターを気遣うのだが、そうした心境を歌った「がっかりされたくないな」はサバシスターはもちろん、バンドマン、全ての人々の琴線に触れる名曲

「折角の機会だから、こういう曲もやりました!!」

ともっさは話していたが、もっさの歌声もかなり上手くなったと思う
より人々の心に届くようになっているし、人の弱さを歌った「朝焼けの中で」とポップだけど決して明るくない曲が出来るのはツーマンの利点である
これがイベントだったら、アッパーな曲だらけで終わるが、ツーマンなら40分くらい時間がある
ネクライトーキーの隠れた面もこういう機会ならしっかりアピール出来る

もっさがお立ち台に登って、客席の盛り上がり具合、会場が熱いことを確認し合うと、

「サバシスターは歌詞に注目行く人も多いと思うけど、メロディーも素晴らしいから」

と賛辞を惜しまない朝日

ネクライトーキーも素晴らしいバンドであるし、なんなら朝日と藤田が今も不定期で活動しているコンテンポラリーな生活時代も知っている
朝日の楽曲センスはもっと評価されても良い
でも嫉妬している感情を出してもいいのに、サバシスターを称えまくるのはサバシスターのポテンシャルはこんなものではなく、更に飛躍すると確信しているからだろう
令和になって新星が次々に現れているけど、サバシスターはその中でも特に飛び抜けている
バンドマンもサバシスターの将来が楽しみなのだろう

ネクライトーキーも5月にF.A.D. Yokohamaでワンマンするもチケットは完売
朝日の誕生日である7月23日にZeppでワンマンする告知を行ったあと、再び「TORCH」から新曲「ちょうぐにゃぐにゃ」を披露するが、生で聞くと脳裏に浮かんだのはフジファブリックの名曲「星降る夜になったら」
ネクライトーキーは自主企画でフジファブリックをゲストに招いたことがあるし、アンサンブルもフジの影響がどう考えてもある
フジが20周年イヤーの今年にこのオマージュをリリースするのはきっとフジへのリスペクトだろう
惜しくもこの日はフジのデビュー記念日前日
なんらかの意図があって、「ちょうぐにゃぐにゃ」をやったように見えてしまう

朝日による合図から一体となってカウントダウンする「オシャレ大作戦」で中村がインパクト大なメロディーを飛ばしつつ、朝日は動作があまりにもコミカルになっているのだが、直後にカズマのドラムソロや中村の鍵盤ソロを見せられたらもうヘイヘイヘイしないわけに行かない

「横浜でヘイヘイヘイ」

の通り、拳を上げまくっている

そしてラストは吠えるように声もアンサンブルも激しい「遠吠えのサンセット」
個人的にネクライトーキーの出演が決まって、自分はガッツポーズした
「TORCH」でまたネクライトーキーのレベルが上がったように感じたからである
ツアーファイナルのZeppは公演日、自分の大切なバンドのワンマンが控えているので、参加は厳しい
でももう少し長くライブを見たいと思うようになった
「ふざけてないぜ」はこの日も聞けなかったが、皆殺しのメロディーでノックアウトされ、最後はやっぱりヘイヘイヘイしていた
許せサバシスター

セトリ
bloom
めっちゃかわいいうた
こんがらかった!
がっかりされたくないな
朝焼けの中で
ちょうぐにゃぐにゃ
オシャレ大作戦
遠吠えのサンセット

転換中はネクライトーキーはもちろん、ブランデー戦記も流れたりしたが自分が参加できなかったサバの日こと、3/8にSAKANAMONと共にゲストで招いたクジラ夜の街が流れまくっていた(笑)(「夜間飛行少年」、「踊ろう命ある限り」、「あばよ大泥棒」)
どんだけクジラ夜の街好きやねん

・サバシスター
そうして転換中のBGMに興奮と懐かしさの両方が混在している中、いきなりBGMが上がり、SEでビッケブランカの「Ca Va?」が流れるといよいよサバシスターの出番
先にGK(Dr.)が登場し、サポートベーシストのDくんも登場したあと、なち(Vo. & Gt.)とるみなす(Gt.)の2人は何故かブレイク前のOfficial髭男dismのように、髭を着用して即座に客席に投げるパフォーマンスを展開

このパフォーマンスの意図は不明だが、1月に見たときよりやや上手にポジションが移動したなちが簡単に自己紹介して「覚悟を決めろ!」で始めると、1月にこのF.A.Dで見たときよりも、2月にZepp Haneda行われたフリ放題コーリングで見たときよりもアンサンブルは別格
バンドの骨格であるGKのビートがより強くなっているが、それ以上に驚いたのは初っ端からダイブが発生したこと
1月のkoboreとのツーマンでは1人でもダイバーが出てないから(koboreは出た)

メジャーデビューしたことで音楽メディアに取り上げられる機会は増えた
でもそれだけで客層が変わるとは思えない
となると、要因は恐らくアルバム
「覚悟を決めろ!」のテーマにあるのは怒り
怒りを表現するとなると、アンサンブルは必然的にハードなものになる
いわばパンクなアンサンブルを誘発させるので、これまで届いてなかったキッズ達にも届くようになったのだろう
隠れていたわけでもなく、初期の曲から出ていた「怒り」のエネルギーがより前に出て来たという感じ

また何処か毒々しさも孕ませる「キラキラユー」も合唱が凄まじいことに
1月のツーマンも、2月のフリ放題コーリングも主催ライブではない
なのでサバシスター主催ツアーの今回と比較するのはお門違いに見えるかもしれない
けどサバシスターはここから去年よりも多くのフェス会場で見かけることになる
初めて見る人を引っ張るのは、主催ライブにも参加しているファン
F.A.D.で大きな合唱が起こるなら、フェスならより膨大な合唱が起こるはず

更にようやく音源化された「リバーサイドナイト」、1月に聞いた時よりも各々のスキルアップしているし、何よりもパンク
スケジュールが多忙で大変だろうけど、その分成長速度も大きい
時代を代表するパンクバンドへ変貌しつつあると言っても過言ではない

ネクライトーキーとは昨年の7月に新代田FEVERの企画でツーマンして以来ということをなちが話すも、やけになちを祝福する声が多い
何故ならなちは先日22の誕生日を迎えたからである
つまりこのライブ、なちが22になってから初のライブであり、なち自身も気合が入っているのだが、神奈川と言えばDくんのホームグラウンドでもある
なのでDくんへの歓声も一際大きかったりする

先程ネクライトーキーの朝日が絶賛した「東京こえー」で東京の怖さ(何年神奈川に住んでいても東京駅の人の多さには慣れない)を聴覚的に再現したあと、雰囲気を大きく変えるのはサバシスターのマスコットのことを歌った「しげちゃん」
これまでアッパーな曲を中心に歌っていたからハートウォーミングなこのバラードも際立っていくが、誰にだって成長を見守ってくれたパートナーのような存在が1つや2ついるはずである
るみなすのギターはそうしたパートナーと過ごした日々を思い出させてくれるし、会場を安らぎで包んでくれる
昔のように多くの時間を共に過ごすことは出来ない
けど自分が死ぬまで成長を見守ってくれたパートナーのことは大切にしたいと思う

そこから架空のマシーンのことを歌った「よしよしマシーン」は、次々と変わるGKのリズムと共にるみなすがワイパーを煽ったりして楽しませてくれるが、

「無条件によしよししてくれる
マシーンツタヤの100円コーナー」

のフレーズ、自分は一時期近所のブックオフにワゴンコーナーが出来た例の握手会商法を連想してしまった
なちは決して言及してないけど、例の握手会商法へのアイロニーがあるような気がしてならない
今は1曲単位で評価される時代
メインストリームとなるチャートもオリコンからビルボードにシフトしたが、近所のブックオフのワゴンコーナーは依然存在するのだろうか

るみなすが奏でるギターリフが純粋に気持ちいい「アイリー」、

るみなす「みんなが好きな曲!!」

という煽りに「なんで?」と思わずなった「ヘイママ!〜」はDくんのうねるベースラインで踊らせつつ、合唱を起こすが、「覚悟を決めろ!」のリリースツアー、関東編はこの日で一段落
これを終えると、CLUB QUATTRO公演まで当分主催ライブは無いのである
なので客席から「えー!!」となるのも致し方ない気がするが、

「その分声出しまくってください!!」

となちが煽り、音楽シーンにおけるジャージのイメージを確立させた「ジャージ」は、

「今夜はロックンロール!!」

の合唱を起こしつつ、ダイバーを誘発
まさか「ジャージ」でもダイバーが起こるなんて思いもしなかったが、「ジャージ」の根本にあるのはなちの実体験
これも負のエネルギーが生み出したのであり、やっぱりパンクなのだ
中でも、怒りが集約されているのは

「嘘つきはどっかで死ぬから」

だろう

某首相は嘘つきまくるし、戦争する気満々
この歌詞通り、とっととくたばるかもう全財産を貧しい方や1月の地震で被災された方に寄付するべき
その方がよっぽど助かるし

そのうえでウルフルズの「ええねん」をオマージュしただろう「22(eillの「22」とは中身があまりに違いすぎる)」では、「22対決」なるものが行われ、ネクライトーキーのもっさと20秒をどちらが近く止められるかチャレンジをするのだが、結果はもっさの勝利
なおサバシスターはこの対決、未だに勝利したことが無い模様
サバシスターが勝てる対決を用意するか、真剣に検討しているらしい
もうそれは八百長の気がしなくないのだが(笑)

このブログでも頻繁に使用される記号をあまりにカッコよく歌う「!」でなちがお立ち台でギターソロを見せ、先程の22対決に触れたあと、

「もっささんが「期待されないのも辛いけど、期待されるのも辛いよね」って言ってくれて嬉しかった。私もそうした曲作っている。みんなが聞きに来てくれるのは愛。みんなに返そうと思います。」

と話すなち
サバシスターは今、シーンの期待を背負いまくっている
それは同時に大いなる重圧との戦いでもある
ネクライトーキーもきっとそういった重圧を受けた
だから同じようなプレッシャーを受けているなちを労った
そうやって声をかけてくれる先輩がいるのはなちにとって、大きな救いである

そういったなちのシチュエーションを曲にぶつけた「ミュージック・プリズナー」は、GKのビートが性急になった途端にダイバーが続出
それもリフトせずに、初期衝動で飛ぶダイバーだらけ
サバシスターがPIZZA OF DEATHとマネージメントを結ぶと聞いて、多くの人が「なんで?」と思っただろう
しかしこのライブを見たら、文句は無いだろう
きっと将来、PIZZA OF DEATHを代表するアーティストになる
このライブもそんな伝説へ繋がる第一歩となるだろう

なちとるみなすが背中合わせでギターを弾き、

「スタバの期間限定も
飲めないまま終わってくれ」

の部分にとても共感する「タイムセール〜」でもダイバーが続出すると、最後は自分たちが素晴らしいバンドと自画自賛するかのように、「ナイスなガール」
自由に踊らせ、パンクな曲が退場BGMとして流れると、ステージを去った

すぐにアンコールで戻ってくるが、Dくんは口を開くや否や、

「昔(所属していたバンドで)ワンマンやった時はこんな光景見られなかった。今見れてとても嬉しいです!!」

と感無量

Dくんが過去にどのバンドに属していたかは流石に分からない
でもF.A.Dを完売させないと、BayhallやCLUB CITTA、KT Zeppでワンマンなんて夢のまた夢だ
そのF.A.Dが満員
感極まって、

「Flower and Dragon!!」

と叫ぶのは大いに理解出来る

なちがステージに戻り、物販紹介した後は、

「ここは2階や3階じゃないけど、地下の駐車場まで揺らしましょう!!」

となちが煽り、「サバシスター'S THEME」ではなちがほとんどお立ち台に立って歌うハンドマイク状態の中ダイバーがガンガン飛ぶ
本当に地下にあるらしい駐車場は揺れたのでは?と思うほどの熱気である

そして仕上げと言わんばかり、最後は「サバカン」でやはりダイバーの嵐となって終了
会場を出たら汗をびっしりかいていた

1月に自分はkoboreとのツーマンをF.A.D.で見ていた
その時なちは何故かサングラスを着用してステージに登場したが、その時はほぼkoboreに持っていかれていたが、数週間後のフリ放題コーリングでは別のバンドのようになっていた
これが年内3回目
サバシスターがどれだけ進化したかは肌身で分かる

アンサンブルはパンキッシュに変貌し、至る所で起こる合唱
そして終盤のダイバーの嵐
フラッシュバックしたのはブレイク直前のWANIMA
シーンに彗星のごとく現れたWANIMAは全てを持っていき、とんでもない速度で羽ばたいた
サバシスターもいつの日か、メインステージのトリで大合唱する
そんな未来を想像出来るようになってきた

関東圏は恐らくツアーファイナルのQUATTROのみだろう
QUATROワンマンも参加したくなってきた
目を離したら遠くに行ってしまいそうだから
伝説ライブを作り上げる過程を見届けるため是非行きたい
サバシスター今日もゆく

セトリ
覚悟を決めろ!
キラキラユー
リバーサイドナイト
東京こえー
しげちゃん
よしよしマシーン
アイリー
ヘイまま!プリーズコールミー
ジャージー
22

ミュージック・プリズナー
タイムセール逃してくれ
ナイスなガール
(Encore)
サバシスター's THEME

サバカン