ロックシーンではUVERworldのTAKUYA∞が行ったのが始まりだっただろうか
生誕祭の流れはロックシーンにも徐々に浸透し、フジファブリックどころか、サンボマスターの山口隆まで生誕祭を行うということに驚いていたが、遂にはDOESのフロントマン、氏原ワタルまでもが生誕祭を開催
既に多くのゲストが発表されている故、豪華なロックパーティーになるのは間違いないけど、「去年もやれ」なんて微塵も言ってはならない

整理番号がやや早めだったこともあり、早めに会場に到着すると会場内からやたらアニメにちなんだ曲が聞こえてくる
DOESだけでなくBLUE ENCOUNT、解散したredballoonも聞こえてくることから、生演奏じゃないのは分かってる
「その正体はなんだろう?」と思い、場内に入るとDJがアニソンを次々流しているのだがあまりの爆音でイヤホン着用状態でも普通に耳に爆音到来
それ以上に「O-WESTにこんなに人入った?」というレベルで人が入るので、開演時間になっても入場が終わらない(笑)
O-EASTでも良かった気がするし、入口では使用用途が明確すぎるクラッカーが配られている

そうして次々に流れるアニソンに場内が湧きに湧き、この日セットリストから外れたであろう「刹那」や「紅蓮」、「KNOW KNOW KNOW」とキラーチューンを連打して会場を大いに盛り上げた頃、DJの合図でお馴染みのSEが流れ出すと、明後日に誕生日を迎える主役のワタル(Vo. & Gt.)、縄文人と弄られたことを知る人は今や少数であろうケーサク(Dr.)の容姿はいつになっても不変
それはヤス(Ba.)もそうだけど、この日のヤスの格好はアメリカの国旗でもある星条旗に似た印象
ある人物が登場した際、その人物が所属するあるバンドのベーシストを後に連想した人がきっといるはず

そんな今も不変な3人がシーンに姿を現した「明日は来るのか」で始まるのは珍しい始まり方
大体終わり際に演奏されたり、2016年の活動停止ライブの終演後にはいつまでも始まらない「明日は来るのか」が流れるなど、DOESにとって「明日は来るのか」は非常に大切な曲だ
でもこの日はワタルの生誕祭、最初のサビ前にためてためて、

「飛びたいですか?」

とワタルが煽り、殺伐感に満ちたアンサンブルをお見舞い
ギターを同期させることもあるけど基本的にスリーピース
されど切れ味は以前衰える気配は見せてない

この「明日は来るのか」の際、ステージを撮影しようとしたものがいたので、即座に辞めさせ、周囲に事情を説明したのでワタルのMCを聞き逃す場面が発生
それはそれで少し痛かった気がするが、「晴天」はくるりの「ロックンロール」と同じくらい青空の下で聞きたいスケール大きいロックンロール
途中ヤスが中央に出て、ベースソロを弾く場面もあったが、この「晴天」が収録された「INNOCENCE」を最後にDOESはフルアルバムをリリースしてない
新曲を制作しているなんて噂もあったが、活動再開してから来年で5年
「INNOCENCE」リリースから再来年で10年になってしまう
いつDOESの新しいアルバムを聞けるか、それも気にならずにいられない

ヤスの太いベースが牽引し、ケーサクの力強いビートがサビで炸裂する毒に満ちた「戯れ男」は、何故かイントロでワタルがヘドバンを促し、「これそういう曲だっけ?」と心の中で思ってしまったが、ケーサクのビートが曲と曲を繋ぎ、「天国ジャム」はワタルが鳴らすギターの歌声でO-WESTを天国へ
この日も与党が横暴な閣議決定をしたり、立憲民主党(特に党首。早くこの人を辞めさせてくれ)に呆れたり、相変わらず色んなところで公衆衛生の悪化を感じさせたりとイライラだけ
特にマスコミなんて、金曜日に閣議決定されたとんでもないモノに触れてないことに怒りを覚えるが、ライブハウスで爆音が鳴っている時だけは天国
ライブ会場があれば、まだ正気は保ってられる

まずワタルは自身の生誕祭に来場してくれたことに感謝を述べるが、

「SNSで銀さん生誕祭とかハッシュタグ付けられて祝福されているじゃん?だから僕も祝われたかった(笑)」

と生誕祭開催の理由を正直に語るワタル(笑)
シーンのトレンドというか、SNSでアニメキャラの生誕祭が盛り上がるのを見て、開催を決めるのはアニメをこよなく愛するワタルらしいが、

「今日のドレスコードは物販で売ってる服。君は正装。君はそうじゃない(笑)」

とドレスコードは厳しめ
かと思いきや、

「ここに来ている人はみんな正装です!!」

と結局は肯定
ユーモアあると言うべきか、お茶目と言うべきか

でも本質はやはりロッカーであり、「陽はまた昇る」のパンキッシュなサウンドは新しい朝を迎えさせるもの
以前と比較すると音数も増えた気がするが、

「ふいに昔の歌が聴こえて
あの日の想い掠める」

のように、昔の曲が頭に流れる瞬間は今でもある
かつてのアニソンやロック、パンク
種類は多岐に渡るけど、その中にDOESももちろん入ってる
かつてサークルでコピーするほどリスペクトしているバンド
そんな彼らのアンサンブルは不安な夜を壊す
音楽はあらゆる人が次の朝を迎えるためのエナジー

直後には、

「春になりましたね」

とワタルが告げ、「「三月」やるのか?」と内心思ったが、

「3月は僕たちの季節ですね」

とそんな早く来る事はなく、銀魂の映画主題歌でもあった「僕たちの季節へ」

DOESの楽曲は至ってシンプル
楽器初心者も数カ月練習すれば出来るような曲が非常に多いけどロックンロールに和のテイストや歌謡曲を上手く混ぜ、お茶の間にも届くようにするのは簡単に見えて難しい
でもDOESは「銀魂」の力を借りて、ロックンロールを、それも日本語ロックを世間に届けた
やっぱり

「君の世界が僕の世界を変えてしまったよ」

のように、DOESは自分の世界を変えてくれた
DOESがいたからこそ、ロックをここまで愛するようになったと言っても過言ではない(何度も書いたが、Mステで「バクチ・ダンサー」のパフォーマンスを見て、翌日即座にTSUTAYAに駆け込んだ。こんな初期衝動的に動いたのは依然経験が無い)

この日は事前にゲストが参加することが予告されており、まず最初に登場したのはa flood of circleの佐々木亮介と解散した爆弾ジョニーのギタリストだったキョウスケ
かなり久々にキョウスケの名前を聞いた気がするが、3ヶ月連続で出会った亮介はワタル以上に目立つし、リハに来てないかからか譜面の設置に手間取ったりとキョウスケからツッコミを入れられ放題(笑)(なおDOESの3人はここではける)
しかし爆弾ジョニーの「イミナシ!」をカバーすると、亮介の声はやっぱり化物みたいに飛び抜けているし、1回聞いただけで痛烈なインパクトを残す
キョウスケも歌詞に合わせてアクションし、「まさかここで爆弾ジョニーの曲を聞けるとは…(たまに忘れらんねえよもリハで「終わりなき午後の冒険者」をやる」となったが、ほとんど音を切らさずに、DOESの「サブタレニアン〜」までカバー
原曲よりもBPMが早くなっていたが、亮介は流石と言わんばかり、自分のものにしていた
フラットは活動停止中も活動再開後もDOESを自主企画に呼んでくれた
その点で亮介には頭が上がらないし、初めて見る方も、この亮介のパフォーマンスを見て、フラッドを聞くきっかけになって欲しいと強く願った

ただ亮介はワタルのマイクスタンドを強引に下げていたため、

「この状態で歌おうかな(笑)」

とボケに走り、ステージドリンクが切れてしまい、持ってくるためにケーサクを1人置いてけぼりにしたりと笑わざるにはいられない時間が続く
活動停止前のラストライブからは想像できない状態
空中分解しかけたことはあったが、幾度も書いたように、あのライブは実質的には解散ライブ
「活動停止」は復活の可能性を残すためだった
あの時、「解散」にしていたら復活することはあっただろうか
やっぱり0.1%でも可能性を捨てては駄目だ

cinema staffのクノがアンコールでやる開封の儀のようなものを行って、ここからはアコースティックセットに移行するのだが、

「この年にもなると、チョコもほとんどもらえない。だからせめてみんなにはチョコをあげようと。そしたらメリーチョコレートとコラボした曲がありました。みんな、明日からメリー以外チョコを買っちゃ駄目だよ(笑))」

とチョコレートをもらえる年頃は今や過ぎ去ってしまったことや、翌日から購入するチョコレートを限定させるハラスメントまで発動させたが、DOESから少し遅いバレンタインとして届けられた「チョコレート」はワタルも話していたように、滅多にやられない楽曲
ライブファンズの記憶が正しければやるのは実に11年ぶりとのこと
元々チョコレートメーカーどのタイアップソングだし、「トーチ・ライター」と同じでバラードだから、セトリに組みにくいのもあるかもしれない
けれども生誕祭を毎年やるようになれば、毎年聞けるようになるかもしれない
それだけで生誕祭をやる価値もグッと上昇する

アコースティックセットはもう1曲行われ、ワタルが宇宙に旅立った犬の話をしたので、すぐに「ライカの夢」だと分かったが、プーチンやそのプーチンの支持者を批判
プーチンを支持しないものを庇いつつ、

「昔ロシアが宇宙調査のために、ロケット打ち上げて。そのロケットに乗っていたのが「ライカ」なんだけど、すぐに亡くなったんだよね。可愛そうだなと思って、作った曲」

と曲のバックボーンをワタルは話したが、もしかしたらASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ライカ」とテーマは同じでも、解釈は少し違うかもしれない
お互いの歌詞を照らし合わせたくなった

アコースティックセットを終えると、2組目のゲストとして活動を再開したばかりのグッドモーニングアメリカから金廣真悟が登場
あまり接点がないイメージなので少し意外な気もしたが、「そして今宵は語り合おう」を弾き語りし始めると、「以前よりも上手くなってない!?」と驚かざるを得なかった
というのはグドモの活動停止前、金廣は途中から声が出ている時とそうじゃない時がハッキリしていた
自分が最後に見たのは忘れらんねえよとのツーマンか、ロッキンだと思うけど、その時から見違えるように声が出ていた
強弱が弾き語りとは思えぬほどはっきりしていたから
だから自分は思わず1人拳を挙げてしまった
金廣の完全復活に気持ちが抑えられなくなってしまったからだ

更にDOESサイドから許可が降りたことで「未来へのスパイラル」も弾き語りするが、グドモはキャッチーな曲調に反し、シリアスな世界観が特徴だった
混沌としたこのご時世、グドモの楽曲は更に刺さるようになってしまった
グドモは今再評価されるタイミングを迎えていると言っても過言ではない
既にムロフェス出演もアナウンスされているが、この時点では流石に出演日は分からない
とりあえず自分が参加できる日に出演してくれることを切に願っている

再びワタル達がステージに戻ってくると、

「桜をテーマにした曲を2曲を」

とライブのタイトルにもなってる「三月」を鳴らすが、3月と言えば春歌や桜ソングが流れ出す季節
ロックシーンだとUNISON SQUARE GARDENの「桜のあと〜」やフジファブリックの「桜の季節」のイメージだが、DOES流の桜ソングこと「三月」は最初から最後まで歪んだギターをワタルが流しまくる
「春をテーマにした曲でここまで荒々しいのある?」と思うほど
しかもこの直後にリリースされたのがあの「修羅」
リリースされる順番が逆だったら、「三月」は世間で大いに評価されたかもしれない

そのうえで桜ソングが続く故、照明はピンクに染まっているが、ワタルが話したもう1つの桜ソングとは「春」のこと
「そう言えば「春」ってあったな…」と聞きながら思い出していたけど、セルフタイトルに収録された曲だから演奏頻度はそんな多くない
そこまで話題になってないが、実は「チョコレート」と共になかなか聞けないレア曲と気づいたのはライブ終了後かもしれない(というかDOESで「桜」といえば、「劇場版銀魂新訳紅桜篇」を連想する)

ワタルによってライブが後半戦に突入したことを告げ、ワタルは客席を煽りに煽りまくるがこうなるとここから投じられるのは、DOESのライブで着火剤となってキラーチューンの数々

ケーサクのビートを皮切りに、「銀魂」と初めてタッグを組んだ「修羅」はワタルがギターを弾くたびに照明がバチバチと輝き、

「誕生日の夜には〜」

と歌詞を変えて客席は大いに湧き、サビの爆発力は今なお健在
特殊なギミックもないけど、このスリーピースが発するアンサンブルはやっぱりカッコいいのだ
だからこそ全員でカウントして、最後に叫ぶ瞬間は気持ちいい
同時に客席にいたまだ名も知られてないバンドマンは、「こんなシンプルでこれだけ沸かせられるのか…」と嫉妬したかもしれない

更にワタルの煽りは激しくなり、「レイジー・ベイベー」はミラーボールが回転する中、ヤスが回転しまくるどころか、客席も踊らせまくり
ロッキンやイベントでDOESを見る方の大半こ目当ては銀魂3部作
それはワタル達も承知しているが、DOESのライブにおいて「レイジー・ベイベー」は絶対欠かせない
これこそがライブにおける必殺ナンバーだから
故に気がつくと、暴走してしまいそうなくらいに飛び跳ねてしまう
踊らずにはいられない程に

本編ラストは、ケーサクが手数の多いビートを刻みまくる「バクチ・ダンサー」
去年のWWWワンマンではセトリから外されて呆気に取られていたが、ゲストで出演してくれた亮介の所属しているa flood of circleの曲で例えるなら「シーガル」と同じくらい欠かせてはならない曲
やらないのは出し惜しみしているようなものである

前述通り、「バクチ・ダンサー」をMステで見たことは今でも自分にとっては大きな出来事
ビルボードチャートがほとんど普及せず、ヒット曲の基準だったオリコンがアイドルにまみれていく中でリリースされた「バクチ・ダンサー」
「ロックはまだ死んでない!!」と勇気づけさせてくれたから
そうして火力大なアンサンブルに踊りに踊らせたあと、ワタル達は楽器を下ろしてさらっと本編は終了

ただ近年のDOESは、最初からW アンコールすることを前提にしている
なので速攻で戻ってくると、

「道楽したい?」

とワタルが煽り、今度は令和版「バクチ・ダンサー」とも言える「道楽心情」へ
坂田銀時やマダオこと長谷川さんをイメージさせるフレーズが出てきたりと、「ワタルは本当に銀魂が好きなんだなー」って感心させられるけど、

「闘う君の詩を僕は絶対笑わない
胸を張って生きるんだ」

の部分にはグッとなるし、

「道楽心情制御不能 パーティーは盛大(イェイェイェ)
カタい衣装は着替えなせえ 楽に行こうぜ(オオオ)」

はまるでワタルの生誕祭のことを歌っているかのようだ
もちろんDOESはまだ終わらない
だからこのバカ騒ぎにもまた何処かで会える

そうしてまた出会えることを願って、もう1つのアンコールとして「今を生きる」が鳴らされる
「KATHARSIVILIZATION」はあまりにポップすぎて、未だに浮いている気がするけど、「今を生きる」の力強さは全然浮かない
時代が混沌になればなるほど、「今を生きる」の力は増す

「僕らの日々が
明るい光で包まれてゆく」
「僕らの存在が嘘にならないように
消えてしまわないように」

とポジティブなフレーズで我々を肯定したあとは、

「今生きて誕生日を迎えられて良かった!!」

と終わりのような台詞を吐くも、ワタル達はやっぱりステージへカムバック

ワタル「二十代の頃は福岡でバンドに打ち込んでいたけど、お金も無くて希望も無かった。福岡にいた頃はオリコンなんて知らなかった。「ブルボンみたいなもん」って考えていたからね(笑)でも音楽が希望をくれて、三十代でメジャーデビュー。「銀魂」のお陰で8位3位お売れてしまった。音楽とみんなに感謝しかないです」

と過去を振り返りながら、音楽や銀魂、ファン全員に感謝したあと、最後のゲストとして君臨するはSPYAIRを卒業したIKEとかつて「雪のツバサ」や「銀色の空」で銀魂の主題歌を担当した元redballoonの村屋光二
IKEはステージを歩き回り、村屋は今月誕生日を迎えることでW生誕祭となったあと、

ワタル「俺達の「トドメの一撃」をくらえ!!」

と「SPY × FAMILY」の主題歌だったあの曲名を引用すると、最後は村屋やIKEも加わった「曇天」のスペシャルバージョン
IKEが1サビで速攻間違えたので「オイ(笑)」となったが、こんな豪華なコラボ、これから何回聞けるか分からない
来年以降もみたいトドメの一撃になった

Wアンコールを終えると、バースデーソングが流れワタルを祝福
ただそこから記念撮影の流れは一気にグダり、IKEの仕切りによって事なきを得ていた(笑)

記念撮影を終えると、入口で配られたクラッカーを最後に全員で鳴らすが、

「生きなちゃ駄目だからね!!」

と再会まで生き延びるように客席に命じた
当然まだ死ぬつもりはない

ワタルも本編で自虐していたけど誕生日は3/4
つまり本来なら月曜日である
土曜の方が多くの人が来られるから月曜にしなかったんだろうだけど、

「友達少ない」

なんて自虐しても、ワタルを祝福するべく盟友が次々に登場する姿を見るとワタルは愛されているなと思う
去年ビレッジマンズストアのツアーにも招かれたし、翌月にはFLOWのツアーに参加する
愛されてなければ、こうして招いてもらえない

まだその先の予定は不明
フリーランス故、動きにくいけどツアーはやって欲しいし、新曲も聞きたい(ましてや来年、銀八先生のアニメ化も控えているのだから主題歌をやらない選択肢はない)
まだまだ僕ら風に吹かれてバカ騒ぎを

セトリ
明日は来るのか
晴天
戯れ男
天国ジャム
陽はまた昇る
僕たちの季節
--- 佐々木亮介(a flood of circle)&  キョウスケ(ex.爆弾ジョニー)---
イミナシ!(爆弾ジョニーのカバー)
サブタレニアン・ベイビー・ブルース(DOESのカバー)
---佐々木とキョウスケ去り、アコースティック---
チョコレート
ライカの夢
---金廣真悟(グッドモーニングアメリカ)---
そして今宵は語り合おう
未来へのスパイラル
---DOES復帰---
三月
修羅
レイジー・ベイベー
バクチ・ダンサー
(Encore)
道楽心情/
今を生きる/
(W Encore)
曇天 w/IKE、村屋光二(VIVACE /ex.redballoon)



※前回のDOESのワンマンのレポ