昨年、Zepp Shinjukuでライブを見た辺りからSIX LOUNGEの状況は大きく変わっていった
aikoが「リカ」をテレビ番組で取り上げたことで、瞬く間に曲がバイラルヒットし、「エバーグリーン」もティックトックでバズるなど、一気に時のバンドになったからである

しかしSIX LOUNGEは全く変化せず、「ファンファーレ」は、「今の俺たちはどうです?」と言わんばかりのロックンロールアルバム
そんなアルバムを引っ提げて半年ぶりにZepp Shinjukuにツアーファイナルとして帰還

ソールドアウト公演ということで、先週の忘れらんねえよよりも歌舞伎町には音楽好きが集っているが、先週と比較すると、階段側に人を入れなせないような誘導が目立つ
ここらへんの線引きはどこが基準になっているのだろう

定刻より2分過ぎた頃、場内にはやけに派手なファンファーレが
それまでは明らかにSIX LOUNGEのルーツと思われる曲が流れまくっていただけに、どう考えても裏を感じるようなBGM
その予感は的中し、ファンファーレが鳴り止むと同時に会場はゆっくり暗転し、お馴染みのSEが場内に

先にシンタロウ(Dr.)が登場し、続いてリク(Ba.)とユウモリ(Vo. & Gt.)が姿を現したが、この時やたら黄色い歓声が場内から起こった
確かにユウモリのルックスは良いし、リクも女性から支持されそうな外見だ
でも半年前のZepp Shinjuku、ゲストアーティストがDragon Ashだったのも影響しているかもしれないが、黄色い声援はそんな大きいものではなかった
ティックトックでバズったことで、普段ライブハウスに足を運ばないものにも認知されるようになったのか?

いざ準備を終えると手始めに鳴らせるのは「俺たちのファンファーレ」
各音楽媒体のインタビューで、ユウモリ達は今回のアルバムを、

「「今の俺たちはどうです?」と判断してもらう作品」

という風に話した媒体もあったが、ある媒体では「FANFARE」のテーマを

「生きる」

とも称していた

シンタロウのビートはどう考えても心臓の鼓動を意識したようなものだし、これから「生きるためのエネルギー」を与えようとするかのようなオープニング
ロックンロールにも歌謡曲にも適応するだろうユウモリの歌声は、今日も普通に出ているように見えた
しかし、

「舞い上がってる。舞い上がってる。今日実は収録入ってるんだよ(笑)」

とユウモリが話したように、客席にはやたらカメラが入っていた
それはこの日のライブが映像になる示唆
開演前に場内アナウンスは一切無かったからこそ、歓声も大きかったが、

「本当はデカい声で言っちゃ駄目だけど(笑)」

と自虐するユウモリ(笑)
リークするも何も、察しの良い方は違和感ですぐに気づく
それすら言わないように念を押されるのは、突拍子も無くセトリを変える常習犯だから?(2022年のQUATROはいきなり「トラッシュ」が始まって、シンタロウの顔が「マジ?」状態だつたし、2022年のZepp DiverCityは勝手に「僕を撃て」2周目が始まり、照明が慌てて対応していた)

映像収録が入っていることを踏まえて、

「いつも以上に暴れてちょうだい!!」

とユウモリが煽り、リクがバッキバキなベースを鳴らす「アナーキー〜」から早くもダイバーが出現
お茶の間で演奏されたのが「リカ」だし、「エバーグリーン」のバズり具合を見ると、世間にはラブソングを歌うバンドのイメージが強いかも知れない
でもSIX LOUNGEは昔からロックンロール一筋
バラードもあったけど、ソニーに移動するまではストリングスを入れたことも4つ打ちも曲に多く絡めたことはない

「オリジナルのアナーキーで
叫ぶ歌よ届け
君の声よ届け」

の通り、飛び道具は使わず、愚直なまでに一本道を掛けてきたのがロックンロールバンドのSIX LOUNGEである

それは「僕を撃て」を聞いて尚更思う
ロッキンオン誌面で存在を知って、初めて「僕を撃て」を聞いた際の衝撃は今も覚えている
ほとんどお金も無かった6年前、なけなしのお金を使って、CDもチケットを購入
今でこそ活動再開はしたが、2016年にDOESが活動停止
その際にぽっかり空いてしまった穴を埋めてくれたがSIX LOUNGE
初めてF.A.D. Yokohamaでライブを見たときの興奮は今も忘れていない
そこからだいぶ年月は経過し、音楽的に成熟した部分もある
でも言動やスタンスは全く変わってない
「大人になってしまうなよ」の通り、青春はずっと続いている

改めて収録が入っていることを告げ、

「映っちゃうかもね(笑)」

なんて悪戯っぽくつげるユウモリ
それは誰もが周知の事実であるが、

「歌いたい時は歌ってもいいからね!!」

とユウモリは促したように、「メリールー」は、

「眠いかい?抱きしめてやる
君の小さな身体
たまに思い出す風にのって」

の大合唱

イントロでシンタロウが激しくドラムを叩いたり、リクのベースはどっしり構えていたりと満員のZeppはもちろん、ホールやアリーナで鳴らせるだけのスケールをSIX LOUNGEのロックは持ち合わせていた
そこにたどり着くまで、かなりの時間を要してしまったけど、どんなにスケールが大きくても気持ちよく聞けるのはユウモリの歌声が大きい
美しさも力強さも兼ね合わせた声はあまりに大きな武器

そんな美しい景色は、

ユウモリ「ライブハウスへようこそ」

という言葉と共に泣かせるフレーズも孕みながら美しい声と激しさが重なる「★」でライブハウスの雰囲気を呼び戻し、そのライブハウスを赤い宇宙船に変えていくのが「STARSHIP」
音楽に国境は無いとはよく聞く話だけど、もしかしたら宇宙にも音楽の国境は無いのかもしれない
存命中に宇宙に行くことは簡単じゃないと思うけど、来世に宇宙に行ける機会をいただけるなら、宇宙船内でこの「STARSHIP」を流したい所存

ただ驚いたのは半年前のツアーでは、当日に新曲として演奏された「Paper Plane」を序盤に持ってきたということ
滑走路を飛び立つようなイントロに場内は湧いたが、「Paper Plane」は「Fanfare」の世界観を総括するような曲でもあったし、

「僕らはずっと勝手をしたい王様で
また期待して、約束をしてね、
このまま
わがままで生きてよーね!」

と思えばSIX LOUNGEのスタンスを見せるような曲
「「Paper Plane」が最後でなければラストはなに?」と思ってしまう程、自分には衝撃だった

ユウモリが最新作「FANFARE」を聞いたか客席にリサーチし、「聞いた」と示すような反応を見せる客席
「アルバムのリリースツアーだし、聞いてこないのはあまりに冒険すぎないか?」と思ったりもしてしまったが、

ユウモリ「最高のアルバムだよな?全ての曲がいいから!!ガンガンやっていくからね!!」

と自画自賛するくらい「FANFARE」は最高の作品
タイアップが付いたり、アレンジャーが加わることは増えたけど、聞いてみたらどう見てもSIX LOUNGEでしかない
そんな作品、ベストスコアを更新したのだから最低な訳がない

中でもシンタロウとリクによって、普段以上に筋肉質なリズムを見せてくれる「HAYABUSA」なんて、まさにアンセム

「さあ行こうぜ何度だってSUPERFLY
劣勢は、逆転→優勢
立ち上がれ少年」

といった歌詞の数々が背中を押してくれるし、シンタロウの歌詞も抜群に良くなった
ソニーに移動したデメリットは今のところ、何ら感じない
それくらいな自明の理

音を止めずにシンタロウがビートを続け、客席からの手拍子も加わるとSIX LOUNGE史上初の4つ打ち楽曲となった「New Age Blues」へ
数年前にシーンのトレンドとなった高速4つ打ちではなく、ディスコなどのダンスロックとして4つ打ち
でもSIX LOUNGEが用いると、4つ打ちですら凄まじい破壊力を秘めた武器と化す
それはユウモリとリクが甘い歌声で歌っているのと対照的に、シンタロウが強めに4つ打ちを刻んでいるからだろうか

目の前にいる敵を次々とパンチで倒していくかのように、キメで拳を挙げまくる「ナイトタイマー」でダイバーを誘発させつつ、ギアを1段階上げると、近年のライブは3回セットがお馴染みとなっている「ピアシング」で会場は真っ赤に
怒号のように起こる合いの手は痛快だけれども、今回は3連発とは行かず
まあ参加者は、「いや絶対あとで3連発するだろう」と思っただろうし、もしかしたら突発的に「ピアシング」した可能性も、なきにしもあらずかも

変わってシンタロウが獰猛にドラミングする「モモコ」、リクのグルーヴィなベースラインと共に二日酔いをここまでキャッチーにしたてるユウモリ達の制作スタイルに驚く「宿酔」とロックンロールを連打
「ピアシング」が起こした爆風は、まるで無かったようにしているが、モニター演出も出来るZepp ShinjukuでSIX LOUNGEは一切モニターを使用してない
アンサンブルと歌唱力だけで勝負
それはよほど自信がなければ出来ない
仮にアリーナでワンマンすることになった際、ユウモリ達はモニターを使用しない予感もしなくもない

インターバルを置くかのように、無音が少し続いたあとは「骨」で「動」から「静」へ
元々は「キタカゼ」のカップリングといえども、「これをカップリングにするのは勿体なくないか?」と思っていた
だから入るべくして、「FANFARE」に収録
ユウモリの歌声は更に柔らかくなっているが、シンタロウはユウモリの歌声の邪魔をしないようにと、優しくドラミング
SIX LOUNGEで作詞の8割近くを担っているドラマーだからこそ、どこに力を入れるか、どこを優しくドラミングするかは十二分に理解している 
作詞家としての観点が曲をより良いものにさせていると言うべきだろうか

「気持ちいい歌歌えてるな〜。そういう歌聞いている時、みんな歌いたくならない?」

と話すくらいユウモリは機嫌が良く、声もよく出ているのだが、ユウモリの合図で合唱が起こり、そのまま始まった「エニグマ」も「静」の部分
しかもSCOOBIE DOのマツキタイジロウが編曲で関わったのもあり、ロックンロールというよりはスクービーが得意とするファンクなテイスト、どこかシティポップや郷愁を漂わせている
となると、屋内よりも屋外で聞いてみたい
昔はロッキンオンのフェスに出てたりもしたけど、今年は呼んでくれるのだろうか

普段は「俺のロックンロール」で見せる荒々しい歌唱のように、荒ぶっているイメージがあるシンタロウがユウモリのメンバー紹介に笑顔を見せる意外すぎる場面を見せ、カウベルも用いた「恋人よ」で軽快なロックンロールを行ったが、どういうわけかリクがステージの袖まで行って、「DO DO IN THE BOOM BOOM」では「恋人よ」とは正反対に力強くシンタロウがビートを刻みつつ、

「風が吹いたら それが合図さ
生きてみたいと 最近思う」

がとくに際立つ
「天使のスーツケース」のカップリングながら、indigo la Endの「夏夜のマジック」のように、表題曲よりも目立つようになってきたが、普段よりも「DO DO〜」は勇ましく見えた

「エニグマ」と同じくマツキが編曲に携わった「アジアの王様」は

「ロックンロールだぜ!踊ろう!!」

とユウモリが煽りつつ、ダンサブルなカッティングリフと共に踊らせるが、猛獣突進のスピードの如く爆速で駆け抜ける「スピード」からは会場を揺らしまくりつつ、一気にダイバー続出
初期衝動全開な「トラッシュ」も続き、合唱やダイブを起こす参加者は年齢が若返ったかのようだ

そのうえでリクのベースソロが導いたのは今度こそ本番であろう「ピアシング」
1回目とは打って変わってガンガンがダイバーが客席を転がる中、シンタロウのドラムソロわ途中で挟み、2回目へ進むのはいつもどおり
しかし3回目、気がつくとユウモリはボーカルを放棄(笑)
途中から慌ててシンタロウがボーカルを取る事態になったが、昔、ユウモリが歌うように指示されたにも関わらず、全く歌えなかったリクと異なり途中からでもしっかり歌えていたのは流石バンドのリリックメイカー
ユウモリはまた怒られそうな気がしてならないが(笑)

そうしてまたもやらかした訳だが、ユウモリは説教されるなんて思いもせず依然として上機嫌だし、

「良い未来にしかならないでしょう」

と宣言し、喝采

その言葉の通りに未来が進んでくれると言いたいのだが

そのうえで本編最後、

「大切な曲を最後にやって帰ります」

とユウモリが宣言したのはティックトックで大反響となった「エバーグリーン」
音源のようにストリングスは入ってないが、アンサンブルやユウモリの歌声だけで芸術的で壮大
会場にいる全ての参加者を抱擁するような声が包み込んでいったが、それだけでは終わらない
音源のようにストリングスを用いた「merry bad end」がエンドロールのように演奏されていくから

こころに残るような言葉を残したわけでも、感動的な映像体験をさせたわけでもない
ただただ爆音でロックンロールを鳴らしてステージを去っていった

しかしアンコールで戻ってくると、

「いっぱい怒られました(笑)でも楽しければいいよね?」 

とバックグラウンドを暴露するユウモリ(笑)
映像収録をバラすし、勝手に「ピアシング」をやるし、ユウモリはボーカルを放棄するわ、もはや怒られる要素だらけ
それはいくつになっても変わりそうにない

そのうえで

「昨日やることが決まった」

とユウモリが明かすも、緊張しているのはユウモリのみ
リクとシンタロウはその様子を楽しんでいるように見えたが、いざ披露された新曲「サーチライト」はストレートではあれど、何らかのタイアップがついていることを伺わせるような歌詞が印象に残った
「キタカゼ」が「僕のヒーローアカデミア」タイアップとなり、知名度が大きく浮上したのは言うまでもないが、それに匹敵するか、それ以上の大型タイアップが控えているのだろうか

無事に新曲を終えてユウモリがホッとした後は、今や「僕を撃て」以上に代表曲となった「リカ」を演奏するも、ユウモリは若干声が出てない感じがした
もしかしたらペース配分を間違えてしまったのかもしれない
それにしても、何故か一時期某サブスクのみ聞くことが可能で知る人ぞ知る知る曲だった「リカ」が全国区になるとは…
aikoは一体どこで「リカ」を見付けたのか(念の為、じゅじゅつかいせんのリカちゃんとは一切関係ない)

「もう少しやります」

とユウモリが宣言してやったのは、「リカ」と同じくインディーズ時代の楽曲ではあるものの、初期を代表する曲、並びに自分が初めてSIX LOUNGEを見た際に最初の曲だった「ふたりでこのまま」
ずっとこのままライブが続けばいいのに
そう思った人もいただろうが、我々は旅立たなければならない
このままではいられない

とはいえ、最後

「Zepp Shinjuku!!」

と叫んだあと放れたのは、本日5回目となる「ピアシング」(笑)
もはやカオスで笑うしかなかった

終演後に会場を出たらSIX LOUNGEの次なるツアーの告知
赤坂BLITZでワンマンした際も、終演後に唐突にSTUDIO COASTワンマンを出口で発表したことがあったので、驚きはしなかったが、東京は遂にLINE CUBE SHIBUYA
都内初のホールワンマンである

昔ロッキンオン、それも雑誌初インタビューで

「いつかはホールツアーやりたい」

と話していたけど、現実になりつつあるようだ

「どこが舞い上がっているの?」と思うくらいユウモリは声が出ていた 
終盤、バテている場面もあったけど全く問題ないし、 やはりSIX LOUNGEは無敵と感じた怒られるのはそろそろ辞めたほうが良いと思うけど(笑)

SIX LOUNGEがソニーに移籍して1年が経過した
タイアップだらけになることも危惧したし、最初のメジャーに行く前のSUPER BEAVERの話もあるから、不安しかなかったけど、かなり上手くやれていると思うし、明らかにスケールは増してきた

ホールワンマンがどうなるかは未知数
でもそれを超えた先には、きっとアリーナワンマンも待っているだろう
そんなことばっか考えざるを得なくなってきた
だとしてもこれからもわがままで生きてよーね!

セトリ
俺たちのファンファーレ
アナーキー・イン・ザ・人生
僕を撃て
メリールー
STARSHIP
Paper Plane
HAYABUSA
New Age Blues
ナイトタイマー
ピアシング
モモコ
宿酔
エニグマ
恋人よ
DO DO IN THE BOOM BOOM
アジアの王様
スピード
トラッシュ
ピアシング
ピアシング
ピアシング
エバーグリーン
merry bad end
(Encore)
サーチライト※新曲
リカ
ふたりでこのまま
ピアシング



※前回見たSIX LOUNGEのライブレポ↓