タイトル︰「ぼちぼちベテラン
アーティスト︰打首獄門同好会
ぼちぼちベテラン

 

生活密着型ラウドロックバンドという独自のジャンルを確立して、老若男女に支持されてきた打首獄門同好会

思えばサークルの後輩が演奏会で、ブレイクする前に「フローネル」をコピーしたことをきっかけに知って、最初はやっぱり「なんというバンド名だ」と思うわけですよ

ところが、「日本の米は世界一」をリリースした辺りから急に流れが変わり、武道館ワンマンもソールドアウトするわ、junkoさんが還暦だって判明するわ、更には「布団の中から出たくない」が世界中にバズるわ…
もう次々から予想しなかった事案を引き起こす存在になってしまったのです
Mステも出たし(笑)(そして忘れらんねえよの柴田隆浩の予感は現実に(笑))

そんな打首も今年で結成20周年
47都道府県ツアーが始まる寸前に、このレビューが投稿されていると思われますが、1/3に久々のアルバム「ぼちぼちベテラン」を発表(前作は「2020」)
…いや、20年目ってもう大ベテランだからね!
福岡ソフトバンクホークスのわっちこと和田毅とほぼ同じキャリアだよ!!(なお和田は、チーム内だと有原航平に次ぐ勝ち星…。東浜巨や石川柊太は奮起してくれ)

とまあスポーツ好きにはツッコミ所満載なこのタイトル
しかも何かメッセージ性の強い曲が入ってるかと言えば、それは最初のブロックのみ
あとはいつものように生活密着型ラウドロックバンドらしい曲ばかりです(笑)

なので序盤の曲をあえて、後の方に紹介するのですがラウドと歌謡が上手く混ざっているのに、「死亡フラグを立てないで」は歌詞が死亡フラグの寄せ集め
「なぜ今日天気が悪い」がアンサンブルがメタル風なのに、中身は天気ネタ
変わりません、打首は色んな意味でブレません(笑)

しかも新曲サイドはというと、ファンキーな感じで間奏のギターが良かったりするのに、フランダースの犬ネタが途中で入ったり「そこでシャウト入れるの!?」な「クッチャネ」、イントロがヤバイTシャツ屋さんの「あつまれ!パーティーピーポー」の元ネタでLMFAOの「Shots feat. Lil Jon€っぽく、ヒップホップっぽいはずが部長にぷっちょを勧めるし、「ぷっちょのタイアップ狙ってる?」な「部長ぷっちょどう?」
最後の「KOMEKOMEN」なんて、もはやシュール
「もののわすれ」は物忘れを明るくキメの多い曲調でネタにしていますが、このアルバムはおそらく何も考えずに聞くのが正解なんでしょう

ある意味アトラクションです(笑)
聴覚型遊園地なんですよ、このアルバム(笑)

なおこのアルバム、先行シングルは全てリマスターサれているらしいですが、「SAMBA MIX EDITION」なる副題がついた「地味な生活」はどれくらい派手な生活になっかは不明
「カンガルーはどこに行ったのか」に至っては、しまじろうのうた・ダンスフェスで1位になってるという…
もうカオス、カオスです

そうしたカオスな作品ですが、序盤はそんなことはないです
ファンキーなテイストが徐々にテンポアップする「20!+39!=59!」はオープニングなので、ほぼ歌詞に意味はないのですが、和のビートとパンクを混ぜた「フワフワプカプカ」には、

「たびたび生じる自己紹介に ジャンルで説明できたらいいけど
当てはまらない はまる物が無い
生活密着型なんたらと作ったところで 他に使うやつ誰もいない」

と会長の内心が吐露されています

打首のジャンルは打首だけのもの
オンリーワン故に孤独を抱えているのです
でも打首がここまで来れたのって、

「あーでも おかげさまで ここまでやってきました
なんのかんのでもう 20年」

とたくさんの人に知ってもらえたからだと思います

打首って、昨今のバンドでファミリー席を設けた最初のバンドと自分は思っています
キュウソネコカミや緑黄色社会など、ファミリー層に支持されるバンドは他にもいますが、その始まりは打首だと思うんです
アンサンブルはれっきとしたラウドロックなのに、子供にも支持される
これってとてつもない強みですよ
子供に支持されたら、色んな方々に支持されますって

そしてむしろ最後にすべきなのは「少年よ、君に伝えたい事がある」
よく「モテたいからバンド始める」なんて人がいますが、これはそうした人々の目を覚まさせるとんでもない曲
パンクロックって優しいはずなのに
真実の教科書となっている
あまりに重いパンクとして

でも、

「それでも 君の ひたむきな姿が
懸命に 進み続ける輝きが
誰かの心を 動かすかもしれない」

と決してやることは無意味ではない
そう伝え、

「少年よ 君に幸あれ」

と締めています

でも最後にするべき曲を最後にせず、「KOMEKOMEN」がラスト
本当に謎です

今回のアルバムレビューはインタビュー記事とか、一切読まずに執筆したので、インタビューを読んだら印象は変わるかもしれませんが、最後はこの一文で

打首獄門同好会はどこへ向かうのか
※画像はAWAからスクリーンショットさせていただきました
駄目なら消します(もとい、テスト)