昨年は発声が解禁されたタイミングでの開催とはいえ、安全第一を心掛けるべく、発声は最小限にとどめた上でのの開催となったCDJ
今年はコロナ5類以降に伴い、制限はほぼ一律解除された状態での開催に
次なるパンデミックが近づいてる今、「それ大丈夫なの?」と不安にならざるを得ないが

優先エリアはロッキン同様維持されたものの、ステージ割も昨年と同じ3ステージ制
MOON STAGEとASTRO ARENAの復活はまたもお預けになってしまった

本来ロッキンオンのフェスではメインステージの前説を渋谷陽一が務めることが恒例になっているものの、EARTHの前説に登場したのはサブステージの前説を担当していた海津亮
渋谷陽一が今回のCDJに携われないが故の処置だろうが、彼はsumikaのインタビュー担当でもある
なので最終日の前説で声が潤んでしまわないか、今からでも心配になってしまう(彼の訃報を受けて、ロッキンオンのホームページでは海津がショックの余り、「現実を受け入れられてない」主軸の文章が掲載されていた


・ハンブレッダーズ[EARTH STAGE](12:10〜)

そんな中、入場してすぐに持参したパンを食していたところ、

「あと8分ある!!」

とムツムロ(Vo. & Gt.)らしき声が聞こえ、早くもリハを始めていたのがトップバッターのハンブレッターズ
開演前、以前ロッキンオンが開催していたRO69 Jackで入賞はしているものの、

「優勝させなくてすいませんでした(笑)」

と審査に関わっていた海津が当時を振り返って謝罪したが、ASTRO→GALAXYと来て遂にEARTH昇格
大阪城ホールでワンマンが決まっているとはいえ、驚くべき速さでのスピード格上げ

海津の前説が綺麗にまとまりすぎたがためか、開演時間の12:10前にSEが流れ大歓声を浴びる中で登場し、ムツムロはソニック・ユースのTシャツを着用しているが、

「スクールカーストの最底辺からきました」

というムツムロの挨拶はメインステージになっても変わらず、挨拶代わりに爆音を鳴らす「BGMになるなよ」ででらし(Ba.)やうきくん(Gt.)はステージの広さを最大限に活かすかのように、ステージを動き回り、ドラマー故に移動できないキジマ(Dr.)はその分ビートを強めに叩いているが、学校も会社からもかけ離れた幕張メッセはこの4日間は巨大なライブハウスとなる

「歪んだギターでかき消すよ
ほら何もきこえない」

のように、音楽を聞くのに適した最適な空間
つまりは、マイノリティのために音楽を鳴らすハンブレッターズが特に輝く空間

「ここに来るために、銀河高速を使ってやって来ました」

と5月のワンマンでもムツムロが見せていた話術はこの日も健在だが、情景を思い起こすようにギターをうきくんが鳴らす「銀河高速」は2019年のCDJ出演時のラストナンバー
当時のハンブレは今のように4人ではなく、サポートを入れた3人
もしかしたらその時からうきくんはサポートをしていたかもしれないが、

「どこまでも行けると思った夜だった」

のように、ハンブレはコロナ禍になってからどんどん市民権を獲得していった
キジマ以外の3人がカメラ目線でアピールする場面もあったが、スクールカーストの最底辺にいたハンブレがEARTHに立つ
オープニングにして凄まじいドラマを見せられている

「最初から踊るのは大変なので、準備運動と思ってください!!」

とムツムロは謙虚に客席に声をかけるが、直後にでらしがスラップを連発し、イントロで思わず声を上げてしまう「ワールドイズマイン」は、確かにキジマのビートに合わせて身体は揺れてしまう
つまりは準備運動に最適ってことなんだろうけど、

「お待たせしました
ド派手なエレキギター」

から入っていくギターソロでうきくんが大きく歓声を浴びたあとは、

「今日たくさん見ることになると思うのでしっかり見てください!!」

とうきくんをフューチャー
でらしが「注目!!」と言わんばかり、うきくんに視点を集めさせる場面は何処か微笑ましい

そんなハンブレは幕張メッセ近くのホテルに昨日宿泊したものの、ディズニーリゾート近くのホテルが高すぎたためにホテルの利用客はディズニーリゾートの客だらけ

「カップルが「持つ?」「持たない?」を繰り返すので、「俺が持とうか?」って言ってやりたいんですけど(観客爆笑)、そのカップルがカチューシャ着用していて、乗り込んできた客もカチューシャ着用。カチューシャの有無でマイノリティかどうか決まるような常軌になったんですが、どこで外すのが正解?ゆりかもめはセーフで、東横線はアウト?」

なんて東京ディズニーリゾート利用客を弄りだし、

でらし「電車に乗る前だと思います(笑)」

とバンドなりの見解を出す状況に(笑!)
ぶっちゃけ、舞浜駅を出た時点でカチューシャは外すべきと自分は思うが、その流れから「ファイナルボーイフレンド」は心を抉るものがある
自分は生まれて1度も、彼女がいないようなもの
彼氏になれたことはないのだ
だからクリスマスの時期は寂しさを押し殺すかのように仕事をしているのだが、来年はそんな思いをせずに幕張に帰還したい
嫉妬するのは、アニメや漫画で十分だから

「バンドって作品を発表する度に、ツアーをして作品をお客さんに届けるんですよね。それが多くの人に伝わった結果、このステージに立てている」

とバンドの状況を冷静に分析するムツムロ
普通なら浮かれていい
EARTHに立つのは凄いことだから
でも浮かれないのは、

「ここはまだ通過点。この規模で自分たちのイベントを開催できるようになったら」

とムツムロはこのキャパで自主企画をやることを目標にしているから
アリーナでワンマンが出来るようになったということは、その日は近いということだ
並びにエポックメイキング
スクールカーストの底辺が幕張で企画を出来るまでになったということだし、

「人を傷つけることも出来るけど、どうせなら人を元気にすることに力を使いたい」

と曲で人を傷つけるのではなく、むしろ動力源になることを願うようなMCから披露された新曲「グー」はタイトル通り、サビになると色んなところからグーポーズが出てくるが、それを自分たちの企画で見られたらとてもエモーショナルな景色になる
ぜひともこの幕張で自主企画を開催していただきたい

そこから、

「ヒーローになれるわけではないけど、無敵になれる曲」

と紹介されたのは代表曲の「DAY DREAM BEAT」だけど、この1年前に音楽シーンは「ぼっち・ざ・ろっく!!」で大いに盛り上がっており、ムツムロもぼざろに言及していた
今年リリースされた結束バンドの新曲はSAKANAMONが提供し、SAKANAMONが再注目される契機となったが、来年公開される映画で披露されるであろう新曲はハンブレに関わらせて欲しい
「DAY DREAM BEAT」は「青春コンプレックス」の代わりになれるくらい、OP映像とも、世界観がすっぽりハマるから

そして、

「来年もたくさんギターが聞けますように!!」

とムツムロが願い、最後に響き渡るのは

「錆びついたギターでかき鳴らす もう」

と煽った直後、

「全部全部全部!!」

の合唱となる「ギター」

今年5月に足を運んだハンブレのワンマンは、まさに弱者のためにあるものだった
マイノリティはハンブレの音楽を聞いて生き延びている
弱者のための騒音は今も昔も変わってないのだ

来年には新作アルバム「はじめから自由だった」をリリース
「ギター」、「ヤバすぎるスピード」と傑作が続いている以上、期待するのみ
そう思わせる今年のCDJの幕開けだった


セトリ
SC①いいね
SC②再生
SC③フェイバリットソング
BGMになるなよ
銀河高速
ワールドイズマイン
ファイナルボーイフレンド
グー
DAY DREAM BEAT
ギター

・トンボコープ[COSMO STAGE](13:00〜)
率直に申し上げると、実はタイムテーブルが出るまで音源を聞いたことすらなかったバンドである
しかしリハが始まった時点で規制の目安になるであろう仕切りが登場するなど、注目度の高さを伺わせるトンボコープがこのフェス初登場

ステージに派手なロゴが飾られ、サングラスをかけたベースのでかそがthe band apartの原のような濃いキャラな予感を伺わせるが、ロッキンオンとトンボコープの物語の始まりを告げるであろう「ストーリーモンスター」が始まると、モニターがテレビのように加工されたり、モノクロになったりと初主演のバンドとは思えない待遇の良さ
大物アーティストの初出演ならともかく、トンボコープは出てきたばかりのニューホープ
にも関わらず、これだけ演出が凝っているということはロッキンオンはトンボコープに相当な期待をかけている
ニューカマーの大掛かりなデビュー戦、ロッキンオンのフェスでは極めて異例である

それはタイトルから個性が発揮されている「過呼吸愛」においてもそう
ロッキンオンのフェスはほぼ全てのステージにモニターが設置されているが、特殊な演出がなされるのは大体GALAXY STAGEまで
にも関わらず、モニターには歌詞が表示され、どうしてこのタイトルになったかをしっかり理解することができる
というか、COSMO STAGEでこうした演出が確認されたということは、以後出演するアーティストでも特殊演出がなされる可能性があるということ
カウントダウンを行う四星球は何か仕掛けそうな予感がしてならない

他の惑星に移住して愛を独占する発想がとてもユニークな「独裁者」はギターのそらサンダー(元ネタはブラックサンダー?)がキャッチーなリフを鳴らし、ドラムの林龍之介は跳ねるビートを刻む中、サビでは客席をワイパーさせたりと愉快にライブを楽しませるが、見た目でごっついキャラを連想してしまうでかそは、「イエー!!」を煽るあまりにもお茶目なキャラ
バンアパの原のように、独特な空気を出すキャラでは全く無いようだ

自分が初めてトンボコープと出会った曲であり、知らない人にも1回聞かせれば「これは良いバンドだね」と感想を抱かせる事が出来る「風の噂」は音源通り良質なメロを鳴らす名曲
しかしボーカルの雪村はどうやら少しミスをしてしまった模様
「そりゃあ、こんなに人が見る中でライブなんて初だから緊張するような…」と思ったが、

「次の曲で取り返すから!!」

と雪村が宣言した「喜怒哀楽」はまだ音源になっていない楽曲
合唱パートもあり、初見が多い中で見事な一体感を生んでいた
「音源が解禁されたら多くの人に受け入れられるだろうな」と思っていたところ、

「漠然と高校の頃、友達と漠然とCDJに来て「カッコいい!!」と思って音楽の勉強始めて、勉強もしていった結果、今この舞台に立てている!!」

と雪村はトンボコープを始めた経緯を話した
思えばパスピエの成田ハネダもCDJに参加したことを契機にバンドに傾倒するようになった
雪村もそうした人間だったのである
このフェスは音楽の忘年会であり、夢の始まり
トンボコープの始まりもこのフェスといって、過言ではないだろう

そして最後はこの瞬間を表現するに最適な「Now is the best!!!」
CDJは多くのアーティストの憧れの舞台
憧憬とも言えるフェスがまた新しい風をシーンに送り出した
ぜひともトリで「Now is the best!!!」をやる瞬間を見たい
そう思わせる新星の誕生だった

セトリ
SC.ストーリーモンスター
ストーリーモンスター
過呼吸愛
独裁者
風の噂
喜怒哀楽
Now is the best!!!

・reGretGirl[COSMO STAGE](14:00〜)
昨年は年越し後のCOSMO STAGEに出演し、過呼吸愛ならぬ酸欠寸前になりそうなくらい、集客してしまったreGretGirl(それがトラウマとなり、今回は年越し後moon drop以外、COSMOは全て断念)
「そろそろGALAXYあるかな?」と思ったが、今回もCOSMO STAGEの出演
去年程ではないが、トンボコープより明らかに人は入っている
なお翌日12/29はボーカル平部の誕生日だったりする

昨年のロッキンやCDJで発声出来ないのを逆手に取り、リハで同じ曲を3連発する謎行為は流石に終わったが、これまで本番でやっていた「Shunari」がリハへ移動
セトリの変化を予感させる中、本番になってモニターにバンドのロゴが出現
トンボコープが特殊演出でモニターを活用させたように、モニターの利便性が向上していることを参加者に周知した形になるだろう

いつものように鍵盤とギターをサポート加えた5人編成で登場するが、のっけにバラードの「デイドリーム」を持ってくるのは意表を突かれたと書くべきか
シーンには幾多の失恋バンドが存在し、代表格であるback numberは原点がオルタナロック
後日出演するThis is LASTはメタルをルーツした音圧強めのアンサンブルが特徴であり、reGretGirlの武器はベース十九川とドラム前田が形成するグルーヴの強さ
もう1つはなんと言っても平部の歌唱力の高さにある
フェスはアッパーな曲が重視されがちだけど、ボーカリストの歌声が魅力のバンドなら話は別
reGretGirlのファンは平部の抜群な歌唱力を聞きたくて、この時間を選んだ方も多いと思われる
だから初手、バラードが許される
あまりにも強すぎる武器である

平部が煽りまくって、平部がつけているピアスが元ネタになっている「ピアス」からはアッパーなモード
そこからはフェスらしいアップテンポな曲が続くが、昨年のCDJ後にフルアルバム「tear」をリリース
ロッキンオン誌面では初めてロングインタビューが敢行されたように、クオリティーも状況も良くなっており、

「男とか女とか関係ない!お前ら全員可愛いぞ!!」

という謎の煽りはともかく、ロカビリーテイストな「KAWAII」がセトリに入ったのは、バンドのモードが変わったのを明確に示すもの
実際「tear」は、「こんなに歌とグルーヴが素晴らしいバンドだっけ!?」と見違えるくらい傑作
月間ベストアルバムTOP5に選出するほどだった
どんどん後続の失恋バンドが現れ、飽和状態になりつつあるけど、reGretGirlはそんな団子状態から抜け出そうな予感がしている
back numberが国民的バンドに進化した時のように

そのうえでreGretGirlには、「背中をそっと押す音楽」というテーマがあり、

「悲しいとき、近くには何があった?俺には音楽があった。誰かが頼れるような音楽を。」

と平部が話したことが全て
演奏されてない曲だと「サムデイルーザー」が近いが、

「自分のために」

と自分を救うために音楽をやっていることを明かしながら、

「アルバムで1番優しい曲」

と演奏された「tear」は傷心した方々、孤独に怯える方に寄り添うような曲で、十九川だけでなく前田もコーラスしているのが印象的だ

ギターソロでは平部が前に出てきて、ベースソロでは十九川が変わって出てくる場面もあったが、

「いなくならないで忘れないで
気を使わないで怒ったっていいぜ
散々だってオレがいるって
ひとりだと思わないためのうた」

は3人だけでなく、サポートも一緒に
その光景はモニターに映されていたし、直後には平部が、

「1年間色んなこともあっただろうけど、よく頑張った!来年もまた会いに来い!!」

とサンボマスターの山口隆や10-FEETのTAKUMAを憑依させたように熱いMCを叫ぶ
これで平部に惚れた方々は一気に増えただろう

そうして熱くなった平部が客席を煽り、最後に演奏されたのはもちろん「ホワイトアウト」
でも発声出来なかった去年と異なり、発声出来るようになった今年
最後のサビは客席から合唱が起こる壮観な景色が生まれた
その景色はreGretGirlがいつまでも側にいて欲しい
大切なバンドになったと思われるようになったであろう瞬間だった

5分残っていたので「「remind」行けるだろ」と内心思わずにいられなかったが、いつまでも側にいてくれよ

セトリ
SC①soak
SC②Shunari
SC③ルート26
デイドリーム
ピアス
KAWAII
tear
ホワイトアウト

・the quiet room[COSMO STAGE](15:00〜)
reGretGirlに続きCOSMOはまたも失恋バンド
それも昨年最終日に、COSMOのトップバッターで登場した際には海津亮から

「失恋バンドの元流」

と前説で紹介されたクワルーが2年連続で出演

トンボコープ、reGretGirlで人が埋め尽くされていたフロアは嘘のようにスペースに余裕が出来たのは裏が強力アーティストだったこともあるのだろうか
そんな豪華メンツを差し置いて、クワルーを開演前より見に来てくれた方のためにリハで何曲か演奏
後、女性サポートドラマーのぴのりを迎えたいつもの編成で登場するが菊池(Vo. & Gt.)はギターを背負うことなくハンドマイク状態
これに「ん?」と思っていると、かつてこのフェスにイトヲカシとして出演したこともレフティが編曲で参加した「Tsubomi」で始まる意外な始まり方
reGretGirlに続き、クワルーもまたモードチェンジを果たした模様であり、もともとキャッチーで馴染みやすいのがクワルーの世界観
それにレフティが加わることで、更に親しみやすいサウンドになっている
髭男のサポートであり、sumikaの楽曲にも携わった男
次第に名プロデューサーとしてレフティの名前を聞くことになりそうなほど、レフティの名前をよく聞くようになったのは髭男がライブ出来ない影響もあるのだろうか

菊池がギターを背負うようになり、陽性なフェス空間に打ってつけな「Fressy」からは鉄板のフェス仕様
キャッチーなリフを手掛ける斉藤(Gt.)はベースの前田と共にどんどん前に出ていくようになるが、失恋バンドでありながらもクワルーのリズム隊はパンクバンドのように、ゴリゴリなベースと強めなリズムが絡み合う
なんだかんだ、毎年見ているバンドなので、分かってはいるが、「やっぱりカッコいいな〜」と思う
セールスが伸びないのが不思議に思うほど

斉藤のキャッチーなリフやドラムの高速4つ打ちでリリース当時は注目を浴びた「Instant Girl」で軽快に踊らせたあと、菊池はこのフェスに出るのが2回目と告げるが、

「来年も出したいと思えるライブをしないと…」

と思わず口にするのは、RO69 Jack王者でありながら、初出演するまでかなりの時間を要したこと、後続バンドの勢いが凄まじいからだろう
今回のCDJにはかつて当たり前のように出演したストレイテナーやACIDMAN、フジファブリック、ROTTENGRAFFTYがいない
GALAXYが当たり前だったバンドでも出演が安泰な時代ではもはや無い
ましてやクワルーは出演出来るか出来ないかの当落選上
だからこそ本音が漏れた
来年も幕張で年の瀬を迎えたいから

でも昨年に続けて出演できた結果、発声可能なフェスに参加できる権利を得た
だからガッツリと前田のぴのりからなるリズム隊が絡み合ってから斉藤のギターで陽気に開放する「(168)日のサマー」は、合いの手が入ることで更に陽性に
発声が入ることでクワルーのライブは楽しいものだと、初めて見る方にも伝わるし、菊池がアコギに持ち替えた「パレードは終わりさ」は合唱があってこそ
ネガティブに見えても歌詞は明るく暗い曲ではない
多くの人が幸せになれる名曲である

そして最後はバンドの最新モードを示す「Nowplaying」だが、次のアーティストを見る関係上、まともに聞くことが出来ず
年明けには初のZeppワンマン
SNS受け狙いで作った曲を生み出すバンドよりも断然良い曲を持つバンドだから、更に良い状況に変わることを祈っている

 セトリ
SC①Number
SC②平成ナイトコウル
SC③You
Tsubomi
Fressy
Instant Girl
(168)日のサマー
パレードは終わりさ
Nowplaying

・DISH//[EARTH STAGE](15:25〜)
その次のステージで見るバンドとは、昨年初出演ながらいきなりEARTHへ出演していたDISH//
シーン各方面から「ロックバンド」として見られるようになったDISH//が1年の時を経て、CDJへ凱旋

準備が少し遅れたからだろうか、開演時間が若干遅れ「クワルー最後まで見れたかも」と後ろめたさを感じてしまったが、サポートギターとベーシストを迎えた6人編成で開演のジングルが鳴った途端に姿を現し、「僕のヒーローアカデミア」の主題歌だった「No.1」で始まるのは、これまでロッキンオン主催のフェスで見た時と同じ
すっかり恒例になったことで客席からはこの日もたくさんのNo.1ポーズが出現するが、去年見た時よりも明らかにアンサンブルは進化を遂げた
どう考えてもグルーヴが良くなっているし、ドラムの泉大智が前よりも感情を出してビートを刻むようになったのも大きいだろう
ちなみに匠海(Vo. & Gt.)の容姿は、俳優で活動しているとは思えないような容姿に
パンクスピリットが宿ったというか

主なリフを奏でる矢部昌暉(Gt.)とサポートギターがいることで匠海は歌唱に専念する場面も多く、「Get Power」では橘(Key. & DJ. & MC)がスクラッチを刻みまくって、DISH//のオリジナリティを初めて見る方々にもレクチャーしていくが、今年リリースされた「TRIANGLE」は「No.1」を除くと全てメンバーの自作曲
匠海が自宅にミニスタジオを所有していることを以前インタビューで明かし、そこでじっくり曲を練ったんだろうが外部提供曲がほぼ無くなったことでようやくDISH//は、真っ当なバンドとして戦えるようになった
並びにメンバー全員で作曲した「HAPPY」は、泉のビートを中心にスケールの大きさ体感させ、参加者1人1人の生き方を肯定する
アリーナやスタジアムでも鳴らされてもおかしくないサウンドスケープを手にし、昨年よりも遥かにバンドはスケールアップしているのである

そんなDISH//のCDJ出演は今回が2度目
パンパンに入った客席を、

「CDJ人が凄い。海のようだ。」

と匠海は独自の感性で表現するが、去年は「名前は聞いたことあるし、見てみるか」な客が多かっただろう

でもどんどんタイアップソングは増え、各地のフェスにも呼ばれるようになった
だから物見遊山客はそこまでいない
故に去年は最後、すなわちバンド切り札だった「猫」を序盤に投じることが出来る
橘の鍵盤が美しいし、夕暮れをイメージさせるアニメーションに歌詞を映す演出もいいのだが、去年よりも匠海は感情の強弱をつけて匠海は歌うようになった
ライブが今年相当増え、過去1番多忙だったかもしれない
でもその過酷なスケジュールが匠海の歌声をワンランク上に持っていった
これは経験から得た宝である

次に新曲「Dreamer Drivers」が続くが、橘が鍵盤を弾きつつ、スクラッチも出来るのはあまりに大きい
DISH//らしさをスクラッチで捻出することが出来るから
最新フルアルバム「TRIANGLE」は、スクラッチがあるのが最後の曲だけ
物足りなさを感じていたので、RIP SLYMEやDragon Ashなどを聞いて育った人間だから「スクラッチないと〜!!」なんて思っちゃったりもする

そのうえで匠海がギターを背負い、シュールなPVをモニターに映す「万々歳」はファンキーなカッティングやリズムで踊らせたり、合唱させるが一体感が最高潮に達するのはやはり「JUMPer」
3人によるマイクリレーが巧みで、橘のラップもキレッキレ
曲名通りにもう跳ねまくるしかないのである
そうして3人がマイクリレーしている際、ドラムは正確にリズムを刻んでいたが、フェスの舞台で彼も歌う曲が出来る日は来るのだろうか
トラックメイカーとしては、素晴らしい才能を発揮しているだけに

去年は初出演ゆえ、緊張もあっただろうか

「1年の終着点はここ!!」

と匠海が断言してしまうくらい、匠海達はもうCDJの虜

年の瀬で既に2キロも太ってしまったことを暴露し、「一体何を食べればそうなるんだ…」と気になってしまったが、最後は1年の感謝を告げるように「沈丁花」
発声が出来るようになったから、お互いに感謝の言葉を伝えられるようになった
だから「ありがとね」と歌ったし、そろそろワンマンに参加することも視野に入れたいと思った

セトリ
No.1
Get Power
HAPPY
Dreamer Drivers
万々歳
JUMPer
沈丁花

・緑黄色社会[EARTH STAGE](16:30〜)
2週間前には横浜アリーナでワンマンを見たばかり
この日の出演者で最も直近で見たばかりで紅白にも出演する緑黄色社会が今年もEARTH STAGEに登場である
去年と違って、優先エリアはゲット出来なかったが(というかハンブレッターズ以外、この日は確保出来ず。翌日に至っては1組も確保出来てない)

アリーナツアーはレポを見て頂いた方なら分かる通り、ストリングスにホーン隊も帯同している
夏のロッキンではsumikaがホーン隊を胎動させて大所帯編成だったので、リョクシャカはどうかというと、リハの「Sabotage」で5人以外の姿は無し
どうやらフェスは普段通り修をサポートドラムにむかえた5人編成で行く模様だが、いざ開演時間を迎えると、長屋(Vo. & Gt.)がエレアコを背負う「サマータイムシンデレラ」で幕開け
アリーナツアーのように終盤でもなく、ホーン隊もいない通常営業
化粧で例えるならすっぴん、料理で例えるなら調味料もドレッシングも自然のままの料理を頂いている感じだが、生身だから爽やかさもエモさもありのままが伝わる
長屋の歌声も非常に調子が良さそう

ワンマンではないので、初期の「アウトサイダー」のような驚く選曲はない
具体的に話せばリョクシャカ入門なセトリであるが、「あの頃見た光」はアリーナツアーと異なりモニターに歌詞が表示され、真吾(Ba.)はスラップベースをワンマン以上に入れまくっている印象
袖から中央に戻るステップも独特で、長屋が煽った合唱以上に脳内に入り込んでくる感じである

改めてライブの始まりを宣言するような「始まりのうた」はpeppe(Key.)の鍵盤が元々コズミックなので、いつかはトップバッターとしてこの曲でフェスの幕が開ける瞬間に立ち会ってみたい
並びに壱誓(Gt.)は、やっぱり上手奥まで動き、猛スピードで自身の歌唱パートに間に合わせる脚力を発揮
案外足が早いので徒競走でタイムを計測していただきたい所存

長屋は生活風景がだいぶ元に戻ったことに言及しつつ、

「音楽を愛するみんなが大好き」

と参加者に敬意を払うが、2023年、全員が上手く行ったわけではない
全員がみんな幸せに翌年に行くのは困難だから

なので、

長屋「やり残したことがある人には最高の思い出になりますように」

と願いを込め、peppeの鍵盤が際立つデジロックの「Shout Baby」に繋ぐが、タイアップになっていた「僕のヒーローアカデミア」はクライマックスに入りつつある
本誌は毎週毎週一瞬も気を抜けないような展開が続いているが、長屋といっせいがハモる場面、直後の壱誓のギターは学園祭編のラブラバのことを思い出させる
あのキャラは後にとんでもない活躍をすることになるのだが

長屋がハンドマイクに持ち替えると、歌謡テイストが強い「LITMUS」は照明でステージを真っ二つした上でじっくり聞かせるが、リョクシャカは長屋の歌のみならずミクスチャーバンドのようにアンサンブルが強靭
いわゆるバラードも修や真吾のベースがロックに昇華し、いっせいが仕上げをするようにエモなギターを鳴らす
ありとあらゆる曲がロックになる
リョクシャカはあまりに得意範囲が広すぎる

そうして持ち前の歌唱力を魅せたあと、今年の紅白歌唱曲となった(選考委員ナイス!)ダンサブルな「キャラクター」で参加者を

「誰だって need you だって need you
だって need youだ」

と肯定し、peppe以外の3人は綺麗にステップを踏んでいくが、アリーナツアーではモニターに歌詞は表示されてない
それは立ち位置が違うというのもあるだろうけど、年の瀬で抱え込んでいる参加者が多いと考えての演出だろうか

更にミステリアスな「花になって〜」を続け、リョクシャカの最新モードを見せるが、ワンマンと比較すると合いの手は控え目
裏を返せば参加者の身体が適応した際伸びしろは大きいということだけど、長屋が猫猫に向けて書いたであろう

「笑って」

は、ここでは参加者に向けたものになる
しがらみが無いんだから、もっと楽しんで笑っていいんだよと

そして最後は、

「EARTH STAGEのヒーローになりたいのさ〜!!」

と既に国民的バンドになっても、今この瞬間だけはEARTH STAGEのヒーローになることを宣誓する「Mela!」
長屋がpeppeと背中合わせで歌ったり、いっせいと真吾が楽器バトルをしたりと視覚面で楽しませ、幸福な合唱が場内に響く
間違いなくリョクシャカはEARTHのヒーローになっていた

セトリ
SC.Sabotage
サマータイムシンデレラ
あの頃見た光
始まりの歌
Shout baby
LITMUS
キャラクター
花になって -Be a flower
Mela!

・MAN WITH A MISSION[EARTH STAGE](17:35〜)
ライブを見るのは恐らく昨年の有明2days以来
まさかの紅白出演も決まったマンウィズが2年ぶりにCDJに出演

昔は本番前にリハを行うのが当たり前だったマンウィズが昨年のロッキン同様、リハは無し
並びにお馴染みのSEもなく、「ん?」と思っていると昨年のロッキンのように先にスペア・リブ(Dr.)とサンタ・モニカ(DJ)が登場
セッションを始めて「Between fiction and friction I」に繋げるスタンスであり、徐々にカミカゼ・ボーイ(Ba.)やサポートのイー・ディー・ヴェーダさんも合流
無論、ジャン・ケン・ジョニー(Vo. & Gt.)やトーキョー・タナカ(Vo.)も終盤に加わるが、

「最初から飛ばすぞ!!」

とジャンケンが煽ったように、いきなりの「FLY AGAIN(だから最初から炎が上がる)」スタート
フェスはもちろん、昨年参加した有明2daysでも最後に投じていた切り札を最初に投じる
つまりは先手必勝で流れを掴もうとしているも同然だ

なのでカミカゼの目が光るギミックも序盤から発動
「最後以外に発動したらずっと覚醒状態なの?」と気になっていた方もいるだろうが、「FLY AGAIN」が終わると覚醒は終了
最後が「FLY AGAIN」であり続けた理由をここで大勢が理解しただろう

野球でいうクローザーを先に投じたことで、「どの曲が締めを飾るんだ?」とうっすら参加者は思い始めただろうが、次なる一手は昨年のライブガイドライン緩和の際、有明2日目に

「今こそ25%ルールを使う!!」

とジャンケンが発声を真っ先に求めた「Raise Your Flag」
発声制限が無くなってからマンウィズがロッキンオンのフェスに出るのはこれが初
となればより発声を促す曲をやるだろう
なにせ、サビが

「声の限り 声の限り 声の限り叫んで
きっといつか いつか何処か 辿り着くと信じて」

「発声してくれ!!」と暗示するにはある意味打ってつけだ
なので当たり前のように合唱が起こるし、ようやく発声出来るようになった昨年のライブも蘇る
なんで発声制限が25%だったか、理由は今も不明のままだけど

しかしこの日1番の謎、それはジャンケンが、

「先程はお野菜バンドが出てましたが、こちらはお肉バンドです!!」

と過去最大級に意味不明なMCを始めたこと
しかも、

「きちんとバランスよく食事してますか?」

と「お肉ばかり食べているあなた方がそれ言います?」なMCまでする始末(笑)
最前エリアにいないし、狼の表情を我々人類は感じ取ることは出来ない
だが客席もタナカ達も「何言い出してるのこの人…!?」とフィーリングはきっと一緒なはず

なので本来は熱いラウドナンバーな「Blaze」はこの日、冷却状態となってしまった会場を強制解凍する役割を担うことにもなっただろう
久々に聞いたので「これフェスでやるようにもなったのか!!」と驚く一面もあったりする

するとここで和のメロディーが同期で流れ、紅白でmiletと共に披露する「絆ノ奇跡 」
マンウィズは「database」を10-FEETのTAKUMAがいなくとも、普通にやるのでmilet無しでもやるだろうとは思ったが、LiSAといいAimerといい、タイアップアーティストは軒並み紅白に出演を果たしている
狼が紅白に出演する日が来るとは…
四星球の北島は出演発表時、

「こんな暴力するバンドを紅白に出演させてはいけません!!」

と盛大に弄っていたし、「あなた勝手にマンウィズ名乗って、Twitterで公開説教されましたよね?」と過去の出来事をフィードバックさせていたが(笑)

今となっては懐かしい実写版「いぬやしき」の映画主題歌に起用されていた「Take Me Under」で参加者の覚醒を促すも、

「このままでは食事のMCが締めの挨拶になってしまう(笑)」

と先程のMCを猛省するジャン・ケン・ジョニー(笑)

昔、Dragon Ashとタワーレコードが共同主催したBowlineのPR動画でジャン・ケン・ジョニーは、自らを

「食品衛生委員会のものです」

と称していた
あれがフラグになるなんて、誰も思わないし、既に公開終了している動画だから、知らない人だらけである

なのでライブのガイドラインが概ね解除されたことに言及し、

「皆さん我慢した甲斐がありましたね?」

と労いの言葉をかけるジャン・ケン・ジョニー
そのおかげか、「しゃくれ」弄りが消えた気もする

ジャン・ケン・ジョニー「来年も色んなフェスやライブハウスで会えますように!!今年も1年ありがとうございました!!」

とバンドを代表して挨拶し、届けるはバンド屈指の名バラード「Remember Me」
メロディーがただでさえ素晴らしいから、合唱は無くても成り立つように見えるけど、タナカはサビが終わるごとに合唱を促していた
その合唱が名バラードの良いスパイスになるのだろう

そして気になっていたラストは、「そう来たか!!」と思わず反応してしまった「Emotions」
このレポが載った記事は紅白放送前には投稿されているだろう
紅白に興味を示してない人間なので、紅白をたとえ親族が録画しようが見ないが、子供たちは狼を怖がらないか心配である

セトリ
Between fiction and friction I
FLY AGAIN -Hero's Anthem-
Raise Your Flag
Blaze
絆ノ奇跡 
Take Me Under
Remember Me
Emotions

・ano[GALAXY STAGE](18:35〜)
夏のロッキンでは2日目のクロージングアクトを担当し、そのポテンシャルに多くの人が驚愕しただろうあのちゃん
彼女も紅白出演組だが、CDJはGALAXYへの出演
裏はマカロニえんぴつと厳しいシチュエーションながら、初出演でトリ前である

ベースレスでギター(TAKU INOUE )とドラム(西浦謙助)のみ、ステージに「ano」のロゴがあるのはロッキンと変わらないが、いざ定刻になるとあまりに不穏なSEが流れる
「何が起こるの!?」と心の中で戦々恐々せざるを得ないくらい、不気味なSEだが、リリースされたばかりの「猫猫吐吐」のオープニングでもある「猫吐極楽音頭(ステージモニターは専用のロゴが出現)」が始まると、あのちゃんは神輿に乗ってダンサーと共に登場する「嘘だろ!?」な登場方法
かつてHYDEも神輿に乗って、ロッキンオンのフェスに登場しているが、anoちゃんはダークなSEに反して、お祭り騒ぎに神輿で登場
ど偉いギャップである(笑)

神輿から降りてダンサーが去ると、ロッキンでは新曲だった「涙くん、今日もおはようっ」で客席にま「おはようっ〜」と律儀に挨拶
時間的には「こんばんは」の時間だが、これをあのちゃんと共に手掛けたのは神聖かまってちゃんのの子
最近すっかり名前を聞かなくなっていただけに、の子が手掛けたことを知った際には「マジ⁉」となった

1人にさせない音楽を歌ったあとは、客席に挨拶しこれが初のCDJ出演であることを参加者に伝えるが、あのちゃんは表裏を隠されない人物
なので初のCDJ、それも恐らく最大キャパでのライブだから明らかに緊張していた
言葉が上手く回ってなかったし

故にMCがグダグダになってしまったが、クリープハイプの尾崎世界観が制作した「普変(印象的なギターリフは同期、INOUEはリズムギターを担当)」が始まるとあのテンパリは嘘のよう
モニターに表示される歌詞に合わせて、アクションを取っているし、日頃のモヤがここで発散されているかのよう

逆に「AIDA」になると演出は夕暮れを思わせる照明くらい
演出をスリム化するのは歌にフォーカスさせるためだろうが、恐らくこれは虎徹とバーナビーの関係がテーマなんだろうけど、あのちゃんの信念が詰まった曲でもある
だから優しく歌い上げる
同時にあのちゃんの歌唱力の高さが分かる場面だ

そんなあのちゃん、前日放送されたSASUKEに出演し、タイムアップにはなったものの、難関フィッシュボーンを突破する快挙を成し遂げたが、

「山田勝己と同じところまでいった」
「長野誠(SASUKE2人目の完全制覇者)に勝った」

と若干、調子に乗り気味
長野のあれは完全に事故(スプレーがクワッドステップスに引っかかった)だし、「ケアレスミスしなければクリア出来る」と往年のSASUKEファンとしてツッコミを入れたくなった(なお同大会はバーティカルリミットの進化に視聴者も挑戦者もドン引き)が、ダンサーが再び登場した「スマイルあげない」は、昔存在したマクドナルドのゲームやスーパーマリオのオマージュがあったりと映像がユニーク
時間が時間なので、飯テロ行為にもなっている

今回のCDJにも出演しているすりぃが楽曲提供し、「ガンジー」が出てくる歌詞があまりにユニークな「絶対小悪魔コーデ」を経て、

「皆さんよくぞ、ここまで残ってくれました!!」

とあのちゃんが感謝した後は、お待ちかねにして紅白歌唱曲「ちゅ、多様性。」をダンサーと共に
振り付けと共に歌詞も中毒性抜群
そんな「ちゅ、多様性。」の共同制作者は集団行動の真部修一
そりゃあ、耳に残るわけだ
仕事先で流れてきた「スーパーミュージック」にイチコロだったから
あのちゃんが苦手な親父がどう反応するかも色んな意味で楽しみ

そしてラストは画面が歪み、あのちゃんの狂気な一面がシャウトと共に炸裂する「F Wonderful World」
多方面で活躍できるくらい、あのちゃんは才能豊か
でも、美声もシャウトも堪能できるライブこそがあのちゃんが最も輝く場所だろう
I'Sも素晴らしいバンドだし、来年もあのちゃんから目が離せない

セトリ
SC.絶対小悪魔コーデ
猫吐極楽音頭
涙くん、今日もおはようっ
普変
AIDA
スマイルあげない
絶対小悪魔コーデ
ちゅ、多様性。
F Wonderful World

・SUPER BEAVER[EARTH STAGE](19:45〜)
夏のロッキンは出演キャンセル
毎年100本近くライブをこなすSUPER BEAVERは初めて赤坂BLITZでワンマンを見た際、

「会場、持ち時間が違えどやる事は同じ」

と断言していただけにロッキンを直前でキャンセルしたのはあまりに悔しかっただろう
そんなビーバーが初日のEARTH STAGEトリ
ロッキンサイドがビーバーにリベンジの機会を与えたもの
参加者やファンは恐らくそう受け取っただろう

本番前にセッションをしながらサウンドチェックし、本番は「Tokyo」をSEに登場するのは今までと変わらないし、

「レペゼンジャパニーズポップミュージックフロム東京!!ライブハウス出身、4日間のベストアクトを取りに来ました。SUPER BEAVERです!!」

と派手な化粧を身に着けた渋谷が登場早々に挨拶するのも変わってないが、ライブを見るのは、昨年のCDJ22/23以来
毎年参加出来ていたワンマンに今年は参加出来ず、フェスで邂逅することもなかったので、過去に類を見ないほどビーバーを見る感覚が空いてしまった

しかもリリースペースがただでさえ早く、既に来年新作「音楽」のリリースを発表
だから1年も見なければ、セトリも相当入れ替わるわけで、冒頭の「グラデーション」から初体験
同じ時期にKANA-BOONも表記は違えど、「ぐらでーしょん」をリリースしたので内心「ややこしすぎる…」と思っていたりもした(それから少し時間を置いてHEY-SMITHが「Say My Name」をリリースし、「SUPER BEAVERにインスパイアされた?」とネットで憶測が飛ぶことに。なお猪狩はタイトルをつけてからSUPER BEAVERの「名前を呼ぶよ」を思い出したらしい)が、渋谷が

「じゃあ どんなつもりだった!?」

と叫び、藤原(Dr.)が思い切りドラムを叩くと、レーザーが飛ぶようになり一気に景色が変化
ライブハウスだろうが、ホールだろうが、求められたらどこでもライブをやる
そうすることで経験値を得られるのは渋谷達4人だけではない
PAや照明、演出も多大な経験を頂いている
そうした結果、生まれるグラデーション
チームSUPER BEAVERが得たものが集大成ではないが、ここで一気に抽出されている
嬉しそうな顔が見たい
笑い合いたいがために

「俺たちの戦い方を教えましょう」

と自慢げに渋谷が話し、叩きつけるのはビーバーのパンクな一面が出る「正攻法」
上杉(Ba.)と藤原(Dr.)が生むリズムはあまりに強く、柳沢(Gt.)が

「飛び跳ねろ!!」

と煽ることはなくとも、4つ打ちに合わせ飛び跳ねるのは必然
SNS映えなんて意識せず、愚直なままにライブ1本
そうしてライブを積み重ねたことで、たくさんのあなたと出会い、1番広いステージのトリに立つようになった

「真剣勝負のドキュメント」

とどんなライブも手を抜かずに歩んできたビーバーにとって、「正攻法」はビーバーの生き方を示す鏡
嘘つきの言葉を信じなかったビーバーの結晶体だから、レーザーは終盤虹のように輝いたのは錯覚か

改めて自己紹介した渋谷は、あなたからの歓声や拍手の大きさに納得がいかず、もう1度自己紹介しよりデカい歓声や拍手を起こした上で、

「こんな時期にわざわざ音楽を聞きに、こんな所まで来ていただきありがとうございます」

と忙しい時期に時間を作ってくれた事に感謝を伝えるが、

「今日色んなところで、こんな一言聞いてきたでしょ?「嫌な感情は置いていってください」その必要はないです。それはあなたが得られるもの。来年に持って行ってください!でもその作業は骨が折れる。俺たちはそのお手伝いをしにきました!!」

とリョクシャカの長屋が話した言葉の真逆をゆく渋谷
別に長屋の事を否定するつもりはないだろうか、渋谷は

「1年で感じたことをあなただけのものだから置いていく必要は無い」

そういうアチチュードなのである
全ての経験があなたを形成するというような

並びにビーバーはあなたも含めてSUPER BEAVERと考えている

「俺たちはあなたを楽しませに来ましたが、俺たちも楽しみたいんです。そのためにはあなたの力が必要なんです!あなたも含めて俺たちがトリを任せられたんですからね!!」

と話すように
求める一体感はこの日の出演者で最大
それも客席も出演者と言わんばかり

だから始める前に両手を頭の上に大きく掲げせる「美しい日」で、渋谷は動きながら客席を見るや、

「サボらない!!」

と傍観者にさせる思考はなし
あなたと共に音楽を作ることが最高の思い出への近道だから
サビが終わる度に、客電がつくのは美しい日になっているということ

その直後には先月配信されたばかりの新曲「決心」

「未来とはあなた自身だ」

と心に刺さるフレーズをはじめ、「あなたを戦える身体にして送り出す」ビーバーにふさわしいタイトルであるが、ここでも渋谷は合唱を求める
昔のライブで渋谷は、

「バンドは慈善事業じゃない。俺たちも楽しまないと」

と話していた
渋谷達からすれば、自分たちが編み出した曲であなたが合唱してくれることは、美しいし楽しいと感じる瞬間
そうして楽しいと思えた時間に得られたエネルギーがビーバーが新しい音楽を生み出す動力源になり、それはイントロで歓声が湧いた「ひたむき」もそう
柳沢のリフが心を湧き立たせつつ、

「いつだって〜」

の名フレーズが渋谷や柳沢の声、後ろのスクリーンに現れた後、

「音楽作りましょう」

と大合唱
決して忘れたくないモーメントになるであろうワンシーンである

渋谷「これが102本目のライブ。一本も力を抜いたつもりはない。あなたに向けてライブをやって来ました」

と今年もとてつもない本数、その百戦錬磨ぶりにはいつもながら感服するが、

「別に出たいフェスのトリをやるためにやって来たわけじゃない。ライブハウスで全部やればいいと思っているから。」

と話したのは、これはロッキンのリベンジという認識でやっている訳ではないと説明したかったからだろうか
持ち時間短くとも、優劣無く大切な1本であることを理解してもらうため

ただ、

「…でもこの4日間を作るために、多くの人の血が通っているのを知った。だからこういうのも悪くないかなと思った。」

とCDJもそうだし、多くのフェスはたくさんの人間の協力の元で成り立っているもの
こういう機会を与えてくれたことに渋谷はリスペクトを示し、

「俺たちとあなた、俺たちに出来ること、それはこのフェスを作ってくれた人たちに拍手すること」

と拍手でロッキンオン、並びにCDJ関係者へ最大の賞賛を送った
己の時間を使ってこの音楽空間を生み出していることへの

「俺たちはこれからも全力であなたに向けてライブするだけ。ここからも本気でやります」

と渋谷はこれからも変わらない姿勢でライブに臨むことを約束
すなわち不変であり続けるということだが、その後の「儚くない」はあまりに重い
アリーナツアー、富士急ハイランドのワンマン
間違いなくバンドの状況は今が1番
だけれども、そうやって幸せであること死や喪失への恐怖も大きくなる
永遠ではないと分かっているから
でもそこで悲観的にならず、ビーバーは

「一緒に生きていこうよ」

と声をかける
いつか会えなくなるからこそ
自分にとって最悪な年だった2016年、ライブよりも再就職を優先すべきなのに自分はライブを見ていたが、その中にはビーバーもいた
ビーバーのライブを見たから、今もこうしてライブを見れている
だから可能な限り、ビーバーのライブを見ていきたい

「新しい年になったら新しいことを始めようとする人もいるだろうけど、別に今から始めてもいい。ここから新しい年を始めましょう」

とやりたいことを今からでも始めていいと渋谷が告げる
このマインドは盟友であるUVERworldのTAKUMA∞に似ているし、だからこそ盟友と呼びあえる存在なんだろうけど、勝手に新年の幕開けを宣言した「青い春」はもう年が明けたように特攻炸裂
ビーバーは数年前に年越しを担った事があり、自分もその現場にいたがその際はサブステージ
発展途上している最中だった
だから今、ビーバーがカウントダウンアクトを担ったらどんな年越しを見せてくれるのか
EARTHでもGALAXYでもいい
今のビーバーなりの年越しアクトを見てみたい

「アンコールありませんからね!!これが最後の曲!!」

とかつてサブステージのトリを担った時のように、アンコールをやらないことを渋谷は宣言し、最後に鳴らすのはビーバーからあなたに愛を届ける「アイラヴユー」
かつて「愛する」であなたを愛そうとしたバンドは今、なんの躊躇いもなくあなたを愛することが出来る
自発的ではなく、自然に
だから客席から特大の

「愛してる」

の合唱が起こった
愛には愛で返すのが礼儀だから

でもこれで終わらなかった

「サクッと終わらせて帰ります。」

と予定通りか、想定外かは判断しにくいけど、迫りくる2024年に向け、最後は絶望とおさらばする「さよなら絶望」

2023の絶望にサヨナラし、2024を始める 
今年102本目となるSUPER BEAVERのライブは、そんな美しい日のライブだった

セトリ
グラデーション
正攻法
美しい日
決心
ひたむき
儚くない
青い春
アイラヴユー
さよなら絶望