長年慣れ親しんだ国営ひたち海浜公園から、会場をJAPAN JAMで使用している千葉市蘇我スポーツ公園に移転した昨年のロッキンから早1年
最終日が中止となった昨年の無念を晴らすかのように、今年も5日開催である
会場に入ると良くも悪くも雰囲気はコロナ禍前に
コロナ禍が終わったなら、喜ばしい事だけど、実際はそうじゃない
医療従事者が見たら複雑な感情を抱かざるを得ないかもしれない
開演前になると、HILLSIDE STAGEには山崎洋一郎が登場
エレカシが初回も第2回も出演している大御所であること、ゆずも実は2回目に出演していることに言及
多くの参加者が驚いた辺り、年齢層が大きく若返ったのは間違いない
・オレンジスパイニクラブ[HILLSIDE STAGE](11:50~)
そんな蘇我移転後2度目のロッキン、HILLSIDE STAGE初日のトップバッターは昨年ピンチヒッターとしてこのフェスに参加したオレンジスパイニクラブ
今年は本枠としてロッキンに出演
SEもなくすぐに4人が現れるが、最初に演奏されたのは「まあ、焦んなよ」と曲で代弁しているような「みょーじ」
この日は尋常じゃないほど暑く、快適性の欠片も無い(フェスは曇りで風があるくらいが丁度いい)
なのに「みょーじ」を最初にやること、この暑さにどれだけ耐久できるか
我慢比べ大会でも開催しているかのよう
テンポが倍速するところでようやく我慢比べは終わるが、オレンジスパイニクラブを初めて見た時、最初にやったのはこれだった
一時は「キンモクセイ」が独り歩きし、最初にやることである意味、真のファンがどれくらいいるのかリサーチするようにセトリを組んだこともあったが、3年も立てば独り歩きは終わる
なのでタイトルを見た際、「ドラえもんのひみつ道具?」と勘違いしたゆっきー(Ba.)のスラップベースが身体を直立不動状態から解放する「タイムトラベルメロン」、スクラッチを同期で多用する「レイジーモーニング」と去年のロッキン出演以降にリリースされた曲が続く
最新曲「ルージュ」も含めると、ヒップホップやブラックミュージックに傾倒している印象だ
ボーカルのスズキユウスケは、ギターのスズキナオト(この2人は兄弟)に「元気?」と今更すぎる体調チェックを行うが、ゆっきーが呼びかけたのは客席
流石に体調不良を押して、フェスに参加する不届け者はもういないと思いたい(性善説をしんじないので、1人は確実にいるだろう)
この日のロッキンは出演キャンセルのアーティストが多く、GRASS STAGEはトップバッターのHump Backが妊娠を理由に出演キャンセル(ネガティブではない、むしろめでたい!!)
それに伴いMy Hair is Badの椎木がピンチヒッターで弾き語り出演しているのだが、
「Hump Backは僕たちの1つ上のお姉さん、自主企画にもよく出てもらいました」
と接点がある事を告げ、
「Hump Backの曲、聞きたいですよね?」
と姉御のようなHump Backから「拝啓、少年よ」を引き継ぐ
自分が贔屓する福岡ソフトバンクホークスは完全に2008年に流れが似ているとはいえ、160キロ右腕の甲斐野が登場曲として使用中
そりゃあ、熱くなる訳だが1コーラスどころか、フルコーラス
定期的にカバーしているのかもしれない
ドラムのゆりとが刻む性急なビートにこちらも熱くならざるを得ない「君のいる方へ」、歌詞の題材があまりに面白すぎる中、ユウトのロックンローラー魂が炸裂する「急ショック死寸前」と中盤はパンクの本能が宿った曲を連発
この日のトリは、ゆずにback numberとお茶の間に浸透しているアーティスト
なので年齢層は幅広くなるが、Tick Tolkでオレスパを知り、深堀しなかった方はイメージ違いになっているだろう
「来年も出たいですし、何なら広いステージに出たい」
と野望をちらつかせた後、「よくその構成浮かんだなー」と初聞き時、構成に大いに関心した「敏感少女」、ラストはTick Tolkを通じてまたたく間に拡散
再生回数がど偉いことになった「キンモクセイ」
お互いに最高と認め合うようにして、2023年のロッキンが幕を開けた
セトリ
みょーじ
タイムトラベルメロン
レイジーモーニング
拝啓、少年よ(Hump Backのカバー)
君のいる方へ
急ショック死寸前
敏感少女
キンモクセイ
・Novelbright[LOTUS STAGE](12:35~)
オレスパの終了後、隣のPARK STAGEは「来年武道館ワンマンですよね?」なChilli Beans.がスタンバイ中
今年のロッキンはステージ割が若干、波乱気味となっていたがNovelbrightはLOTUS STAGEに2年連続出演かつトップバッターとしての出演
ムロフェスでちらっと見たが、ようやくフルで聞く機会がやってきた
ステージに到着すると、GRASSはまだ椎木のソロの真っ最中
ノーベルはというと、その中でもリハを行っているがボーカルの竹中はサングラスを着用
モニターはリハからがっつり活用されている
本番になると「オデッセイ」をSEに、楽器隊の4人が姿を現すも、「王道を行くバンド」のイメージと相反するように、刺青が刻まれたメンバーが多い
同時にオープニングの「seeker」、山田(Gt.)はUVERworldの彰のように、ステージにセッティングされたアコギを弾いているが、バンドの心臓と言える竹中の歌唱力はメインステージでも収まりきれてない
アリーナやスタジアムでやるために生まれた声と称するべきか
続く「Sunny drop」は太陽の日差しに照らされているこの時間がピッタリで、ノーベルが王道は王道でもロックバンドだと気づかせた
「王道」のイメージに敬遠しかけるけど、沖(Gt.)が身体の半身を曲げるようにギターソロを弾く姿に憧れを抱くギタリストもいるはず
圭吾(Ba.)とねぎ(Dr.)によるリズムの強さが強固な岩盤となる「開幕宣言」で改めてロッキンの開幕を告げるが、
「僕たちはJAM出演できなかった組」
と竹中が説明したように、ノーベルは強風直撃に伴って、JAPAN JAMに出演出来なかったアーティスト
リベンジの機会が訪れたのである
加えてノーベルは昨年ロッキンに出演したものの、その際のガイドラインは非常に厳重で発声すら出来ないもの
故にやっと本当のロッキン出演
竹中達は燃えているが、
「これフェスあるあるなんですけど、最近1番有名な曲をやると、みんな移動する(笑)。だから有名な曲は最後にやります」
と代表曲を最後に持っていく、フェスあるあるな作戦に
武道館ワンマンを行ったアーティストがそのような戦略を取らざるを得ないのはあまりに意外であり、Tik Tolkなどの弊害かもしれない
しかしあまりに挑戦的なのは、バラードをフェスで3連発した事
Official髭男dismがワンマンでバラードを3連発するのは分かるか、フェスでバラード3連発はとても挑戦的
でもその3連発、「愛だとか恋だとか」の後は客席を去る方がやっぱり多かったけど、フェスでバラードをここまで続けてやって、客席がほとんど動きもしないのは、それだけ竹中の歌声に魅了されているということ
こんなにホールやアリーナ、スタジアムが適正なミュージシャンはそういないだろう
「10年前にロッキンのオーディションに応募したけど出れなくて、やっと出演が決まったと思ったらコロナでなくなっちゃった。今回が本当のロッキン、皆さん一緒に作りませんか?」
と過去にオーディションに落ちたこと、ロッキンに出演できるはずがコロナで出演できなくなったこと、本当のロッキンをまだ体感出来てない、それらの悔しさを全て昇華し、「Morning Light」の世が明けたかのような広大なアンサンブルに爆発
今回のロッキン、発声出来るロッキンに出演出てない方も多いだろう
発声を無理に求める必要はないが、歓声を聞けるだけでグッとなる
そんな出演者も多そうである
そして最後は、竹中のハイトーンボイスか空一杯に響き渡る「walking with you」
音楽メディアで大きく取り上げられるようになった頃、自分は音源を聞くも、「どっかで聞いたことある…」とそこまでのめり込むような予感はしなかった
それがある時、音源を聞く契機が訪れ、やっとのめり込んで行くようになった
正直なところ、「青のオーケストラ」主題歌の「Cantabile」を聞きたかった
でもこれからノーベルのライブを見ていくうちに、聞ける気がする
「CDやサブスクで聞く音楽よりも生で聞く音楽は最高だろ?」
と竹中の熱さにも心を打たれ、今更ながら自分とノーベルの関係開始を開幕宣言する
そんなライブとなった
セトリ
SE.青春旗
seeker
Sunny drop
開幕宣言
愛とか恋とか
夢花火
ツキミソウ
Morning Light
walking with you
・ハルカミライ[GRASS STAGE](13:20~)
LOTUSからGRASSに移るまでの間隔はわずかに5分
カップヌードル1杯は余裕でできる時間もハルカミライは有効に活用し、リハギリギリまで橋本抜きで「ファイト!」を連発
時間の関係上、流石に4度目は無し
須藤(Ba.) 達はそのままステージへ残り、開演のジングルが鳴ると共に、ステージに現れた橋本(Vo.)が
「ロッキン〜!!」
と叫び「君にしか」、「カントリーロード」と連打するのはハルカミライの先手必勝パターン
何度かハルカミライをフェスで見ると、出だしがどんな感じか流石に把握できるが今まで自分は発声有のハルカミライを見たことが無い
合唱が無くともただでさえ強いのに、合唱も入るともう誰もハルカミライに勝てなくなる
それ程までに強い
予定通りなのか、急に決まったのか、いずれにしろリハも含めれば既に4度目となる「ファイト!」、必勝方程式のクローザー「俺たちが呼んでいる」で過去に負傷もしたのにギターの関はやっぱりアンプから飛び降り
「怖い物知らずだなー」と思いつつ、小松もいつの間に寝転がっていることに気づき、
「あのバンドが鳴らす曲やあの曲が君たちを重荷から引き払ってくれる!」
と橋本は早々に名言を決める
これが名言ラッシュの始まりを告げることになる
UVERworldの「IMPACT」のようにこの瞬間、中心地点を蘇我に定める「春のテーマ」から瞬く間に突き抜ける「フュージョン」と例のように、ショートチューンを投入した後、観客に飲み物を手に持つように橋本は促し、
「音楽に乾杯!!」
と急な乾杯を実施(笑)
去年出演したmiletも一斉に水分補給を呼びかけたが、蘇我で乾杯の音頭を取ったのは橋本が初だろう
音楽に敬意を評した後、「夏のまほろ」は高校野球児にも敬意を払ったかのようだが、去年も「夏のまほろ」は演奏されている
夏のロッキンの名物になるのだろうか?
イントロで4人が、
「ただ僕は 正体を確実を知りたいんだ」
と力強く歌唱する「PEEK'D YELLOW」でギターと須藤は自由奔放に動き、単純でありながら、一度聞いたらそう簡単に忘れられない
「へいへいほー」
のコーラスはようやく生で聞くことに
文字で書いたら弱そうなのに、合唱したらあまりにもたくましく
合唱の凄みを見せるが、新曲の「YEAN※軽く一言も書く」は先日リリースされたばかりなのに、昔からあった曲のように演奏するのが恐ろしいところである
そのうえで橋本はロッキンの裏には多くの人が関わって成り立っていることに言及し、
「目一杯楽しむことが音楽への恩返し」
と遠慮しないで楽しむように促し、「世界を終わらせて」を歌おうとするが、何かをひらめいた橋本は、
「花のような 星のような 君の小さな小さな涙はとても綺麗だったんだ」
とHump Back「小さきもの」のフレーズを歌い上げ、更にSUPER BEAVERの「名前を呼ぶよ」も歌う
以前、マイヘアのピンチヒッターとして出た際にはマイヘアのありとあらゆる曲のフレーズをあげていた
そうやって出演できなくなったアーティストの曲を歌うのが橋本なりのリスペクト
共に戦っている、そう見せるかのような
そして「アストロビスタ」の前には、
「眠れない夜に私 ロックインジャパンで聞いた曲を聞くのです」
に歌詞を変え、
「普段仕事帰りに曲聞くでしょ?その曲が、今生で流ている」
と人生のパートナーであろう曲がこの場で鳴っていることに気づかせながら、
「流れ星が夏フェスの他愛ない話を持ってきてくれる」
とロマンチックな事を
流れ星は願い事の象徴と自分は考えているが、橋本は思い出を運ぶモノと考えているのだろう
楽しい思い出を呼び戻す星として
そうして美メロの洪水、「アストロビスタ」から「To Bring BACK MEMORIES」で閉めようとするも、時間が終わった以上は終わるに終われないのがハルカミライ
なのでショートチューン祭りに入るが、
「俺たちはもう「ファイト!」の安売りはしないって決めたんだ!!」
と須藤がキレるも、
「SUPER BEAVERの分」
と結局、倍速で「ファイト!」実行(笑)
見るたび見るたび、伝説を作るし、橋本は名言製造機で脱帽するばかり
次見る時も100%伝説を作るんだろうなあ
セトリ
SC①ファイト!
SC②ファイト!
SC③ファイト!※倍速
君にしか
カントリーロード
ファイト!
俺たちが呼んでいる
フルアイビール
春のテーマ
フュージョン
夏のまほろ
PEEK’D YELLOW
YAEN
世界を終わらせて〜小さなもの(Hump Backのカバー)〜名前を呼ぶよ(SUPER BEAVERのカバー)
アストロビスタ
To Bring BACK MEMORIES
ファイト!
Tough to be a Hugh
ファイト!
・sumika[camp session][LOTUS STAGE](14:05~)
本来この時間は、Superflyが出演する予定だった時間
しかしボーカル、越智(知っての通り、フジファブリック・金澤ダイスケの奥さんの喉の調子が悪く、出演は見送りに
それに伴い、sumikaにピンチヒッターが回ってきたのだが、バンドセットではなく、アコースティック編成の[camp session]で出演
意外な形で[camp session]をみる機会が訪れた
なお前日キャンセルとなった先輩こと、SUPER BEAVERのピンチヒッターも務めるので、去年のハルカミライのように1日2回出演
本来の出演日も入れると、3回出演
恐らくロッキンオンのフェス史上初の快挙だと思われる
アコースティック編成なので、片岡(Vo. & Gt.)も座席にくつろいでいるが、妙な帽子を被り、眼鏡を着用しているのは「sumikaとは少し違うよ」と形でアピールしている感じ
なのでやるのも「知らない誰か」と本体ではやらない、camp session用の楽曲
ポップなイメージを抱かれやすいsumikaの中でも、よりポップなsumikaが開放されている
なのでsumika本体でもやる「Lovers」はよりポップなベクトルへ
本体とcamp sessionでは音作りも別
親しまれやすい「Lovers」がより愛されやすい「Lovers」になっている
片岡によって今回の出演が、Superflyのピンチヒッターによるものだと改めて説明し、
「新人バンド」
と称するのは、本体とライブの本数があまりにも少ないから
横浜スタジアムで久々に公の場に現れていたように、sumikaのファンでなければ気づかない存在である
片岡はサングラスを着用したり、奇妙な帽子を着用したりと、キャラが定まってないのが見え見えだったが(笑)
それ故か、横浜スタジアムでワンマンをしたバンドと思えない程、客席はやたらと空いているのだが、「ユートピア」を聞けば、ここでも小川(Key.)の鍵盤が中心となっているのは、分かりやすいこと
同時に未だ恋人が出来ず、人生を送る自分はより「恋をし」たくなる
近頃流行りのタイムリープが出来るなら、学生時代に今すぐでも飛び移りたい
そのうえで片岡も発声できなくなる時期があり、その際は小川がボーカルを担当したことが、7月頭に公開されたドキュメンタリーフィルム内で触れられていたが、
「僕も声を出せなくなった事があったけど、その時は世界が閉ざされたようだった。また出るときは戻ってくる覚悟できたということ」
と同じ経験をした片岡だから、発声できなくなるとはどういうことかに言及した
並びにステージにカムバックすることの意味を片岡なりに再現し、
「二人で写真を撮ろう」
とSuperflyの「愛をこめて花束を」をカバーした
Superflyの思いも受け継いで、立っているこのステージへ
戻ってくる覚悟が出来るまで、ここを守り抜くと言っているようにも見えた
更にコロナ禍を通して、存在感を増した「ファンファーレ」はバンドセットのような勇ましさはないが、
「夜を越えて
闇を抜けて
迎えにゆこう」
は、SuperflyのみならずSUPER BEAVERも迎えに行こうとしている
今年、sumikaには悲しい出来事があった
だからこうして、より救いの手を差し伸べようとしているのだ
ただ時間配分はあまり上手くなかったのか、ステージでバロン(Dr.)含め、3人はやや慌て出した
そんな喋ったわけでもないのに、カツカツになるのは相当曲をやろうとしたのか
こんな状況でも、片岡は帽子を着用するか、しないかが全く定まらず、ノープランのロケ番組を放送しているような感じ
でも「Summer Vacation」で片岡がアコギを弾きながら歌唱する姿はそう見れない
「会いたい」季節になったから、見ることが出来たもの
sumikaのスタイリストがやっている会社名をタイトルにした「IN THE FLIGHT」をじっくり堪能させたあと、
「ロッキンに出るようになってから7年か、こうやって頼られるよう間柄になれてよかった」
と最後の曲の前に告げる片岡
初めてロッキンに出た際、sumikaはBUZZ STAGEと今となっては、考えられないステージにいた
そこから少しずつ階段を登り、今やトリを任せられることもある
ロッキンオンを代表するバンド
そうなったことを改めて、伺わせる場面だった
そして最後、「雨天決行」を行ったが、
「良い曲はすぐ書ける。良いメンバーはすぐ見つからない」
という言葉に、客席はきっと黒田を浮かべただろう
黒田が亡くなったとき、ロッキンオンでsumikaのインタビューを担当している海津亮が相当凹んだのを今でも覚えている(巨漢な彼が「現実を受け入れたくない」とブログで吐露したほど)し、ドキュメンタリーフィルムで小川やバロンもすぐには受け入れられてない様子だった
亡くなった人は戻ってこない
でも亡くなった人がいたバンドを「素晴らしいバンド」だったとバッドエンドからハッピーエンドに変化させることは出来る
様々な界隈に向けて止まらないこと
守り抜くこと
それをアピールしたような40分となった
セトリ
知らない誰か
Lovers
ユートピア
愛をこめて花束を(Superflyのカバー)
ファンファーレ
Summer Vacation
IN THE FRIGHT
雨天決行
・緑黄色社会[GRASS STAGE](14:50~)
ここからこの日のタイムテーブルは、お茶の間にも浸透しているアーティストが多く続く
その中でも、紅一点的立ち位置も占めている
サポートドラムにお馴染み修(Dr.)を迎え、
「誰だってneed youだ
君のことがとても愛おしいんだ
いつだってneed you
そこら中にありふれたキャラクター全てに
意味があるから」
と参加者全員を肯定する「キャラクター」はもう見慣れたもの
今日も壱誓(Gt.)のファンキーなギターは輝いていたが、周囲から長屋(Vo. & Gt.)に向かってやたら
「カワイイ〜!!」
という声が響く
トリにゆずやback numberがいたからだろうか、蘇我の舞台にリョクシャカは何度も立っているのに、この日はとにかく初見が多いイメージ
去年参加してない客が相当いるのだろう
けれども昨年は「Actor」のモードだったのに対し、今年は「pink blue」モードに既にチェンジ
peppe(Key.)が鳴らす80年代を連想するシンセリフに、真吾(Ba.)がゴリッゴリにベースを鳴らす「ピンクブルー」と早くもエンジンを入れ替えている
テレビへの露出も多く、タイアップも多い
なのにアルバムを出す度、リョクシャカは今までにない姿を見せる
スケジュールはきっとタイトだろうに、この4人はあまりにハイスペックすぎる
男子だけでなく女子からも「カワイイ〜」という声が上がり、「こんな愛され方をするバンドだっけ?」と自分は困惑(ちなみに壱誓や真吾は、長屋やpeppeを「推し」として見ていることが、HYのYou Tubeチャンネル出演時に語られている)
「いつも見ている人達どこ行った?」と思いながら、長屋が取った行動はハルカミライの橋本と同じく乾杯の音頭(笑)
同じステージ、それも連続して
2組続けて乾杯の音頭が取られるなんて、思いもしなかっただろうけど、
「フェスって「お互いを知りたい!」って思えるようになる場所」
と長屋はあえて説明した
フェスとは、色んなアーティストを知る場所である
リョクシャカも昔はロッキンオンが主催するJAPAN'S NEXTに出演したことがある
だからフェスとはどういうものが、よく熟知しているはず
そんなフェスの何たるを知るリョクシャカが、リョクシャカを知ってもらうために届けたのは既に解禁されている新たなナツウタ「サマータイムシンデレラ」と「マジックアワー」
ポップなリョクシャカとロックなリョクシャカ
この2つが対比されたような新曲だ
CDJやJAPAN JAMのように、今回は最前エリアにいないので、音圧は大きく異なるけど、修のビートの大きさ
壱誓のギターが爆音だってことは、後ろからでも分かる
単にお茶の間でよく見かけるバンドではないのだ
そのうえで個人的に意外だったのは、壱誓が作詞作曲した「ジブンセイフク」
こうしたピアノバラードをフェスでも出来るのはあまりに強いし、
「brother
さて僕はどうするか
また何度も変わりない日々を
繰り返してしまうのか
いやそうじゃない
いいかい?
ここが真ん中だ
宇宙の核なのだ
手始めに、出たら目に、自分征服をしよう」
は自分に言い聞かせているようにも
まだリョクシャカは変化しようとする
その野心が常に「こう来たか!」という感想を我々に抱かせる
そしてお茶の間に、リョクシャカの名前を浸透させた「Mela!」になるとサポートの修も入れて、4人でソロ回し
それはリョクシャカがロックバンドである偽りのない証明である
なんなら、修のビートは非常に力強い
これで修のドラムに「凄い!」と思ったのなら、彼が所属していたSchool Food Punishmentも聞いていただきたい
そして最後は、過去を想起して前に進もうとする「あのころ見た光」
どうも長屋(もしかしたらpeppeも)の仕草に注目が集まっていたようだが、やっぱりリョクシャカはロックシーンのヒーローである
セトリ
キャラクター
ピンクブルー
サマータイムシンデレラ
マジックアワー
ジブンセイフク
Mela!
あのころ見た光
・優里[LOTUS STAGE](15:35~)
ロッキンオンがかつて行った配信フェスで見たことはあるものの、生で見るのはこれが初めて
去年はサブステージの出演となっていたが、今年はメインステージへの出演に
刺青がはっきり見えるようなファッションで登場し、サポートメンバーを交えた状態で「飛行船」から始めると、「思った以上にロックだな」と感想を抱く
一応彼がリリースしている曲は常々、チェックはしているが、良いとは思ってもハマれない
そんな曲が多かった
でも生で聞けば非常にロック
ロックシンガーであると確信できる
配信ライブで初めて見た際、
「にっちもさっちもいかない?
綺麗事に踊り踊らされ
大人の言う常識なんてものは
丸めて捨てちまえ
ピーターパン症候群と指をさされ
罵られようが
おとぎ話みたいなハッピーエンドを
思い描いて生きていくんだ」
にパンクスピリットを感じた「ピーターパン」、海外のブラックミュージックを邦楽に昇華しつつ今にも歌いたくなる「花鳥風月」とフォークだけではない、多岐多様な優里の姿を見せていく
モニターに映し出される紙芝居風のPVが、ストーリーテラーとしての優里の才能を垣間見させる「アストロノーツ」を終えると、早くも代表曲である「ベテルギウス」へ
優里が、
「もう少し遅い時間に出してもらえませんかね…」
と話したように、屋外、それもまだ夕方にもなってない時間
優里がこう懇願するのもよく分かるし、
「なんでindigo la EndがGALAXYで、優里がEARTHなんだ」
と昨年のCDJ、タイムテーブル発表時に言われていたけど、インディゴのライブが終わってふらっとEARTH STAGEを覗いた際、EARTHはパンパンに埋まっており、その中で演奏される「ベテルギウス」は壮観だった
今はまだ昼間だけど、そのうち夜に「ベテルギウス」を聞ける日が来るかもしれない
しかし、この日の優里のライブはハイライトは「ドライフラワー」
なんとパンク風にアレンジするこの日だけのサプライズをみせたのである
まさか「ドライフラワー」をこうもアレンジするなんて
サポートギターのソロも良かったし、初見ほど優里のパフォーマンスには舌を巻いているのでは?
飛び抜けてアッパーな「ヒーローのいない街」、「カルピス」が歌詞に出てきながらもカルピスのCMになってないのがあまりに意外な「告白直前酸欠状態」と続けたあと、最後に演奏されたのは、
「老人が君に言いました
『残りの寿命を買わせてよ
50年を50億で買おう』
人生をやり直したいと」
という始まり方が非常に印象的だった「ビリミリオン」
個人的に優里の曲の中でも特に気に入っている曲
人生の価値はお金では決められないといった内容が強く心を打ったから
「頑張ろう 頑張ろう 頑張れ
頑張ろう 頑張ろう 頑張れ」
の合唱もそう
イラストは陽キャ向けで自分には合わなかったが、お互いにエールを交換しあうような素晴らしいラストになったのではないだろうか
セトリ
飛行船
ピーターパン
花鳥風月
アストロノーツ
ベテルギウス
ドライフラワー
ヒーローのいない街
告白直前酸欠状態
ビリミリオン
・エレファントカシマシ[GRASS STAGE](16:20~)
今や22回の歴史を持つロッキンだが、かつての皆勤賞ことDragon Ashは2019年を持ってロッキンを卒業
20回連続出演継続中のPOLYSICSもピンチヒッターで呼ばれることがなければ、遂にその歴史が途切れる
それ故、エレファントカシマシは今回のロッキンにおいては歴史の証言者という立ち位置での出演になる
サポートメンバーにソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉(Key.)、Aimerのサポートギタリストとして知られる佐々木”コジロー”貫之(Gt.)を招いた6人編成で登場すると、アリーナツアーでスキンヘッドだった石くん(Gt.)は暑さ対策もあってか、帽子を着用
この間はソロコンサートをしていた宮本(Vo.)は少し髭が目立つが、いきなり「今宵の月のように」スタートで会場は大盛りあがり
自分はエレカシの際、この日唯一の優先エリアで前方にいたが、周囲を見渡すと非常に老若男女に富んでいる
宮本のソロ活動を通して、エレカシを知るようになった方も多いのだろう
「次は会場の皆さんがとびきり、気にいるようなバラードを持ってきました」
と宮本は解説するも、大体こういうとき演奏するのは「デーデ」だし、宮本が椅子に腰掛けた時点で「珍奇男」というのはすぐに分かる
やっている途中に、名物
「お尻出してブー!!」
をかますが、途中でエレキに持ち替えてあまりにも広すぎる声域を見せるからこの方は凄すぎるのだ
衰えの知らぬレジェンド
50代というのが信じられない程に
コミカルな演技は程々に、「悲しみの果て」からは名曲モード
宮本はギターを背負ってもすぐに手放したりするので、「ギター持つ必要有ります?」と毎度ながら思うが、ギターを一切弾かない「RAINBOW」の声量はあまりにも凄い
これを宮本以外、誰か歌えるのだろうか
しかもキーを下げることも一切してない
大ベテランのように若々しく
それがエレカシに似合う言葉だと思う
その若々しさは「yes. I. do」にも出ており、メンバー4人で作り上げたこの曲もまた名曲
宮本がソロで武者修行し、その間も待ち続けていた3人と共にこの名曲が生まれた
「ソロで成功しなければ、エレカシは再開しない」
昔、宮本はインタビューでこう言い切ったこともある
47都道府県ツアーで疲弊した3人は完全に修復され、クールにベースを奏でる高緑は表情こそ変えないけど、冨永は以前よりも表情を出して叩く場面が増えた
「いつまでソロやるの…?」と思ったこともあった
でもそのソロ活動が無ければ、今こうしてエレカシは綺羅綺羅と活動出来てないだろう
しかしこの日、宮本がとくに気合を入れているように見えたのは、ツアーで演奏されてなかった「ガストロンジャー(高緑のベースもここで活かす」
至る所でアクセントを入れまくり、今日の心情を全てぶつけているように見えた
ツアーでやった「奴隷天国」程の殺伐間があるわけではないが、
「化けの皮を剥がしに行こうぜ」
は近年、「ガストロンジャー」を生で聞けてないからかなり印象に残った
アリーナツアーをきっかけにフェスセトリに戻り、奥野の鍵盤と冨永のドラミングがマッチした「So Many People」を経て、最後は近年のエレカシ最大のヒット曲「俺たちの明日」
宮本は石くんのサングラスを拝借したと思いきや、返却して前に出て弾くように促す
一見他愛ないことだが、何気ないこの景色はエレカシでしか見えないもの
久々にロッキンに戻ってきてくれて良かった
海外のシーンにはローリング・ストーンズという紛れもないレジェンドがいる
日本にも小田和正や矢沢永吉のようなレジェンドがいるが、バンドのレジェンドはと言われたら自分はエレファントカシマシを上げるだろう
同期のMr.ChildrenやSpitzももちろん凄い
でもここまで刺激的にロックを聞かせている存在は誰かとなると、やっぱりエレファントカシマシだろう
日本版ローリング・ストーンズは、間違いなくエレファントカシマシだ
セトリ
今宵の月のように
珍奇男
悲しみの果て
RAINBOW
yes. I. do
ガストロンジャー
So Many People
俺たちの明日
その後、SUPER BEAVERを見る予定だったが、前日に出演キャンセルへ
それに伴い、sumikaがこの日2回目の登場
それもビーバーのSE「Tokyo」を使用しての登場
一瞬、sumikaに心は傾きかけたが…
・ストレイテナー[HILLSIDE STAGE](17:05~)
しかし自分の中では、「これならテナー見れるんじゃない?」と思い、予定を変更してストレイテナーへ
ムロフェスから僅か2週間足らずでの再会
GRASS STAGEから距離のあるHILLSIDE STAGEに到着したタイミングで「STNR Rock and Roll」がSEとして流れるものの、去年に引き続きホリエ(Vo. & Gt.、この日も鍵盤はセッティング無し)以外のファッションはヤクザ
あのシンペイ(Dr.)ですらサングラスを着用し、OJ(Gt.)はチバユウスケにも、任侠映画に出てきそうなヤクザにも見える
そんな刺激的ファッション
「VANDALISM」でもやってきそうだが、実際はそんな事無くメロディーの良さが随所で際立つ「彩雲」
やたら高い位置にシンバルを設置したシンペイはそのシンバルを多用し、ひなっちは低音の聞いたベースを鳴らす
そのうえでOJがノスタルジックなギターを弾くわけだが、ムロフェスといい今回のロッキンといい、夕暮れ時に「彩雲」はとても向いている
以前より持ち時間は少ない
けど出演時間は考慮してくれているかもしれない
その持ち時間に力を使いきんと、シンペイがめいいっぱいにドラムを叩きながら、
「誰かのために ぼくらは生きる
きみがきみでいなきゃ ぼくもいないんだ」
とお互いの存在が生きる原動力となることを伝える「Graffiti」とメロウ寄りな曲を続けるが、
「じっとしてないで身体動かそうよ!」
とただ日差しを浴びるよりも、身体を動かすべきとホリエが提言し、「Melodic Storm」では実際に身体を動かす客も多くなる
ちなみにひなっちやシンペイはこの辺りでサングラスを着用
だがOJはサングラスを着用したままなので、「アウトレイジ」のキャストと勘違いされてもおかしくはないのたが、ただでさえ持ち時間が限られている中、ホリエが発したのは、
「この先明るくなる予感しかしないでしょ!」
とポジティブな未来展望
別のバンドのツアーと日程が重複した関係で、テナーのツアーには参加できなかったが、ようやく発声できるツアーを行えた
思えばテナーはコロナ禍初期から早めにツアーを再開していた
その分ライブ本数も多く、制限下のライブも多く体験している
だから前向きに未来を考える事ができる
その1つの答えとなるのが、新曲の「Silver Lining」
近年のテナーで多用されるシーケンスは活用しているものの、中身は正攻法のギターロック
思えば「Crank Up」からオルタナ方向に戻ってきたけど、次の作品はオルタナロックに回帰する作品になるかもしれない
個人的に早く配信してほしいけど
季節柄、「この時期にやる?」と思いながら、バチバチとぶつかる音達が今年は打ち上げできない花火の役割を代わりに果たしているかのような「冬の太陽」を経て、最後はOJ が美しい音色を奏でる「シーグラス」
裏がsumikaだったこともあり、動員はやや苦しいものがあった
でも最後に4人はいつものように肩を組んで去る
それは未来に悲観してないことの証明
3度目の武道館を見据えた、テナーの未来はシーグラスのように輝いている
セトリ
彩雲
Graffiti
Melodic Storm
Silver Lining
冬の太陽
シーグラス
・ゆず[GRASS STAGE](17:55~)
ロッキンに出るのはこれが4回目
しかしトリを務めるのは意外にも、ゆずはこのフェスでは初である
前回出演時は、北川悠仁と岩沢厚治の2人による弾き語りセットでトップバッターだったが、今回はバンドセットでの出演
開演のジングルが鳴ると、前回のロッキン同様今回もラジオ体操から開始
2019年のロッキン、朝一からラジオ体操をやられるのはシュールだったが、今回もやらされるとは
しかもこの数日後には、XIIXのツアーが控えている須藤優、XIIXのサポートドラムを務めた経験もある、よっちこと河村吉宏も交えたバックバンドやダンサーもラジオ体操を行っている
なのでサボることは一切できない(打首獄門同好会のスクワットよりはマシ)
そんな疲弊しきった身体にムチを打ちかねないラジオ体操が終わると、「夏色」をSEに北川と岩沢が登場
まずは歌わせることを前提にモニターに歌詞が表示される「虹」からスタートするが、前回は弾き語りセットでの出演に対し、今回はバンドセット
途中から2人の奏でるギターにバンドアンサンブルが加わると、輝きが一層増す
昔と今でゆずの曲作りは多いに異なり(昔は弾き語りでも成り立つ曲が多かったが、今はバンドを加わることを前提にしている)、今のゆずの魅力はバンドによって最大限に発揮されてるとも取れる
ライブ定番の「少年」で北川が一人芝居をするかのように、
「回っている」
に合わせて回転し、近年リリースされた「公私混同」は、天才バカボンを彷彿させる映像と共に
「これ「天才バカボン」と関係あるのか」と今になって知ったが、こういうアッパーな曲を2人で成立させるのは難しいだろう
XIIXやfhánaのレコーディング時にリズム隊を担うこの2人を含むバンドがそれだけ強すぎるということだ
北川と岩沢のリサーチによって、70代の参加者が会場にいることが発覚
会場が騒然とした後、「サヨナラバス」以降は、サザンオールスターズのライブのように、モニターに歌詞が表示されるが、
「色んな人に聞いてもらってきた」
と北川が話したように、反応した人によって年代が分かるし、2013年にリリースされた「友〜旅立ちの時〜」は卒業式で歌唱した人も多いだろう
自分は「またあえる日まで」を小学校で歌唱した世代
初見の方でも、ゆずは1度は通ってきている
そんな偉大なアーティストなのである
腕を交互に降ったり、カニ歩きしたりするシュールな振り付けがこちらを笑顔にする「タッタ」、モニターに投影される映像が非常に派手な「RAKUEN」を経て、恒例の「夏色」はバンドメンバーもダンサーもいるので、2019年に見たときよりも派手(北川が岩沢に「サブリーダー」、岩沢が北川に「リーダー」と呼びかけるのが面白い)
一時期シーンで話題となった高速4つ打ちのアレンジが施されているが、北川による逆ギレ茶番の前には北川自身が持っているうちわに「もう1回」と書かれて、アンコールを先導
しかも、
「馬鹿野郎!!初見多いのに!!」
と例の如く逆ギレした後、北川は
「ロッキン!ロッキン!!」
とレスポンスさせたあと、
「祭りだ祭りだ!!」
なんて言い出すから、この後出演するあのバンドを連想した
しかもアンコールを2回もやったので、バンドメンバーも慌てたらしい
そして締めはこれまでのロッキンと同じく、「栄光の架橋」となったが、歌詞がコロナ禍での北川と岩沢の心境を表現しているようだったし、
「いくつもの日々を越えて 辿り着いた今がある
だからもう迷わずに進めばいい
栄光の架橋へと…」
と様々なガイドラインなどで発声が封じられた日々を超え、ようやくたどり着いた今回のロッキン
そう考えると、過去最高に「栄光の架橋」はエモーショナルだった
山崎洋一郎が朝の前説で話したように、ゆずはロッキンの第2回に出演した経歴がある
それからしばらくは出なかったけど、2017年以降はまたこうして出てくれる
北川と岩沢も、また声を掛けてくれるなんて思わなかったはずだ
出演枠の関係で毎年出演してくれる訳では無いのは分かってる
けど、出たらこうして参加者と出演者を結ぶ栄光の架橋を築いて欲しい
セトリ
虹
少年
公私混同
サヨナラバス
友〜旅立ちの時〜
タッタ
RAKUEN
夏色
栄光の架橋
・back number[LOTUS STAGE](19:05~)
JAPAN JAMやCDJではトリを務めたことがあるものの、ロッキンはこれが初
LOTUS STAGE初日のトリは7年ぶりにロッキンに帰還したback numberが務めることに
サポートを3人招いた編成で登場するのは、以前見たときと変わらず
依与吏(Vo. & Gt.)や和也(Ba.)や寿(Dr.)の容姿も大きな変貌を遂げた訳では無い
なら何が変わったかと言うと、バンドを取り巻く環境
先陣を切るように演奏された「アイラブユー」を筆頭に、お茶の間まで浸透するヒット曲が大いに増えた
出ていない間には、2度もドームツアーを行うほどキャパは強大に
名実ともにback numberは国民的バンドになったのである
それを証明するように、寿が打ち込みのビートを用いて和也がバッキバキにベースを鳴らす「大不正解」はこの日出演したアーティストで1番のアンサンブル
アリーナ•スタジアムクラスに進出したアーティストのグルーヴはそうじゃないアーティストとグルーヴに大きな差が出る
back numberが繰り出すグルーヴもドームツアーを成功させたアーティストにしか出せないもの
ライブを見てない6年の間に、バクナンは大いに進化した
「これぞドームアーティスト」と言わせるほどに
センチメンタルな鍵盤の音色と共に和也の歌心あるベースラインが聞き手の心を癒やす「SISTER」、オルタナロック時代の名残を感じるように依与吏がギターを鳴らす「ハッピーエンド」と格の違いを見せるようにヒット曲を連発するが、
「生きている間に夏は何回も来る。けど何回も来る夏の中で特別な1日にしたいと思います」
と話す依与吏
もう無理にバクナンはフェスに出る必要はないが、ライブがどれだけ特別なものかはよく理解している
つまりこのライブ、当たり前ながら一切力を抜いてないということ
夏の1日を使って、はるばる蘇我に足を運んでくれたリスナーの心を奪わんとするエレクトロチックな「怪盗」、ストレイテナーの「冬の太陽(余談だが、back numberは以前テナーのトリビュートアルバムに参加し、「シーグラス」をカバーしている)」と並んで季節外れだけど、ただクリスマスを祝福するだけでなく、依与吏の人間性も出ている「クリスマスソング」ときて、意外だったのは「世田谷ラブストーリー」
かつてフェスを行脚していた時代に演奏してる訳では無いこの曲
「なんで今?」と思いつつ、寿の手数多いビートを聞いていたが、
「もう終電に間に合うように 送るようなヘマはしない
もうしないから」
のように、最後まで心を鷲掴みにする
その以降を曲で示したのではないだろうか
途中では返さないと言わんばかりに
そのうえでこの日のハイライトとなったのは、先月辺りからバクナン関連の写真や映像が怪獣に侵食されるというユニークなプロモーションの元、前日にリリースされた新曲「怪獣のワルツ」
小林武史プロデュースと聞くと、昔なら寒気を呼び起こす名前だったが今はそんな事無く、しかも寿がモータウン調のビートを用いることでセンチメンタルながらもダンサブルな作風を導いた
怪獣が大暴れするPVも面白かったけど、
「嫌だ!嫌だ!君をよこせ!って
言えばよかった」
と怪獣が反抗する景色を分かりやすい言葉で表現するのが、依与吏の凄さ
今まで聞いてきたバクナンの曲で1番
今もまた、バクナンは1番を更新し続けている
しかしその直後、依与吏は、
「自分の人生に満足してない人だらけだと思うけど、俺もまだ満足してない」
と告げた
セールス面も集客も今や日本ではトップクラス
にも関わらず、依与吏はまだ満足してない
依与吏が描く「スーパースター」とはまだまだ先なのか
そんな衝撃告白から2020年に中止になったインターハイへ依与吏が優しさを込めて送った「水平線」を経て、最後は神聖なイントロからやりきれない思いをアッパーに昇華する「高嶺の花子さん」
一時はback numberも後発バンドとして出てきたreGretGirlやmoon dropのように「失恋バンド」のカテゴライズを受けるバンドだった
それを変えたのが、この日はやってないけど「青い春」、並びにこの「高嶺の花子さん」だった
ロッキンに出演しなくなる前、バクナンを見ていた方には懐かしく思えたのではないだろうか
しかしこれで終わらず、アンコールで戻ってくると、
「みんな…もう歌えないから…力を貸してくれ…」
と助力を求め、和也と寿のリズム隊が屈強だと示す「MOTTO」で終了
正直あれだけの成功を収めている、依与吏が「まだ満足してない」と話すのは驚きだったし、一体彼はどこを目指しているのだろう
その真相は依与吏しか知らないだろうが、バクナンのこれまでは「大不正解」ではないと言い切れる
セトリ
アイラブユー
大不正解
SISTER
ハッピーエンド
怪盗
クリスマスソング
世田谷ラブストーリー
怪獣のサイズ
水平線
高嶺の花子さん
(Encore)
MOTTO
・KEYTALK[PARK STAGE](20:10~)
昨年からロッキンでは、混雑緩和の観点から新たにクロージングアクトとクロージングDJが導入
しかしこの日は混雑緩和なんて出来ず、むしろ「大混雑の要因になってない?」と思ったのは、3月に2度目の武道館を行ったKEYTALKがクロージングアクトとして出演するから
今年はPARK STAGEでクロージングアクトが行われるものの、収まりきらずHILLSIDE STAGE側まで参加者は広がり、back numberを終えて来た方は、モニターすら見えにくいとんでもない事態になってる
なので巨匠(Vo. & Gt.)達がどんな容姿か、それすらも分からない状況となっているが、義勝(Vo. & Ba.)が「MATSURIBAYASHI」でスラップベースを鳴らしまくっているのは流石に分かるし、それに応戦するように武正(Gt.)がギターを弾いているもの分かる
ゆずの北川が「祭りだ祭りだ!!」と煽っていたことで、「祭りだ祭りだ」をこの日2回聞くことになってしまったが(笑)
義勝のベースと八木(Dr.)のドラムが絶妙に絡み、初日が終わってしまうという現実から脱走したくなる「大脱走」、ようやく適応するシーズンが来たことを嬉しく思う「君とサマー」と次々にキラーチューンで踊らせるが、
「夏の大先輩、桑田佳祐さんから」
とまさかの「波乗りジョニー」カバーも
昔巨匠は桑田佳祐のみならず、Mr.Childrenの桜井和寿の真似をして、ビバラロックにおける名物イベントだったビバラアンセムズのバンドメンバーをドン引きさせたことがある
なので一瞬「ネタか?」と思ったら、しっかり1コーラスまで歌いきった
これだけでもこの日のKEYTALKを見る価値はあったと言える
しかし持ち時間30分はあまりに短すぎて、今年に入ってからやたら聞く機会が増えた「バイバイアイミスユー」から、最後はEDMも交えてどんちゃん騒ぎする「Summer Venus」で本編はあっという間に終わり
でもこれで終わることはなく、アンコールで戻ってくると最後は「MONSTER DANCE」で躍らせまくって初日を大団円とした
会場を去る最中、「もうこのキャパでKEYTALKを出しては駄目」と思ったのは、自分だけではないはず
F.A.Dで見たときよりも見にくかった
このステージ割はどう見ても、成功とは言えない
でもそのお陰でゆず→KEYTALKという夏アーティストリレーが出来た
夏を彩るアーティストでロッキン初日は幕を閉じたのだった
セトリ
MATSURIBAYASHI
大脱走
君とサマー
波乗りジョニー(桑田佳祐のカバー)
バイバイアイミスユー
Summer Venus
(encore)
MONSTER DANCE
終演後は何度も蘇我でロッキンオン主催のフェスに参加していることから、迂回ルートで素早く帰宅を目指すも、大船駅で電車と電柱が衝突するあの事故が発生し、帰宅したのは予定の1時間後
しかもその翌日の帰り、さらなる恐怖が襲うなんて思いもしなかった