開演時間は20時30分
あまりにも遅すぎる開演時間はフリーライブを行った影響だし、去年の豊洲公演は開演19時30分とやや遅い時間だったので特に驚きはしないが、ブランクはたった1時間である  

しかしFIVE NEW OLDのファンにとって、フリーライブを終えたここからが本命の時間
何故ならメジャー1st full album「Too Much is Never Enough」の再現ライブが、豪華客演陣と共に行われるのだから 
まだ名前がシーンに知れ渡る前の作品
その頃のアルバムが曲順通りに再現されるとなると、帰宅時間が遅くなろうが参加する価値は大いにある(有料生配信が行われるのは、遠征できなかったり、開演が遅すぎて参加できない人への配慮?)

ちなみに自分がFIVE NEW OLDを始めて見たのは、16年夏のMUSIC MONSTERS(今やZeppでワンマンするIvy to Fraudulent Gameも出演、同日にはBenthamや魔法少女になり隊、ラックライフ、ウソツキなども出演し、活動を終えたShiggy Jr.やShout it Outもいた)
バズリズムでもうっすら、FiNOが取り上げられたが初めて見たduoで彼らのワンマンを見ることになるとは…

1度会場を出てから再入場するようなシステムになっているのもあり、ドリンク代はこの日2度目の徴収
周辺のO-EASTは交通系や電子マネーに対応しているので「ここら辺対応したらいいのに」と吐きたくなるが、肝心の集客具合は贔屓目に見て5-7割か
少なくともフリーライブにいた柄の悪い連中はほぼいない

ほぼ定刻にゆっくり暗転すると、「Too Much〜」をリリースした頃に使われていたSEを復刻したのだろうか、いつもと異なるSEが
メンバーが出てくる順番こそ変化はないが、リリース当時はサポートだったSHUN(Ba.)が正式メンバーになっているのがおおきな違いか
その上で最後に登場したHIROSHI(Vo. & Gt.)が、お馴染み

「いつも心に太陽を!!」

を告げて「Sunshine」から始めると、いきなり冒頭のフレーズを歌わせるHIROSHI
フリーライブならこれはあまりにレベルが高い要求だが、再現ライブは本当にそのバンドが好きでなければ見に来ない
並びにアルバムの世界観を理解するため、念入りにアルバムを聴き込むのでHIROSHIの要求にも満点回答

「We'll be alright, alright」

に合わせて客席はグッドポーズし、WATARU(Gt. & Key.)は山本がいないので鍵盤の役割が多い
けれども、WATARUがギターを弾く瞬間は太陽のように輝いてる
太陽を招くギターヒーローとして

HAYATO(Dr.)が案の定手数を増やして、リズムをどんどんパンクに変えている中、HIROSHIが冒頭に告げたように今回のライブは曲順が分かっている
これが再現ライブの特徴であり、

「こんな機会、滅多にありませんよ!!」

と話すようにレアケースであるが、「Sunshine」と共にライブの定番、「Ghost In My Place」は

HIROSHI「今日はスペシャルなゲストもお呼びしています!!」

とSANABAGUN.の谷本大河を招く特別編成
これは「Ghost〜」のアルバムver.に谷本が参加しているが故に実現したコラボだが、山本がいるいないに関わらず、「Ghost〜」でサックスが鳴る瞬間はそうない
なので谷本がサックスを鳴らした瞬間、大きな歓声が起こった
普段と異なる「Ghost〜」を体感できているが故に、こうして発声が起こったのだろう

このコラボを見ると7月のLINE CUBE SHIBUYAで再び共演して欲しいが、HIROSHIがギターを背負ってSHUNがグルーヴィなベースラインでduoをよりダンスフロアに変える「Gold Plate」は一時期イベントでも普通にやっていた曲だ
更に「Dance with Misery」はシティポップをより濃くした感じで、どんどん世界観が広がっていた「Emulsification」以降と比較すると、この頃のFiNOはどっぷりとブラックミュージックに浸かっている
今日本語詞で歌っていること、歌謡曲の要素を取り入れてくるのが想像できないように
「Gold Plate」の終盤でWATARUが歪んだギターを鳴らす辺り、差別化は計ろうとしていたようだが

一方「Too Much〜」はFiNOの音楽性の基盤になった作品でもある
なのでミクスチャー風味の「Liberty(HIROSHIはここでハンドマイクへ)」は今でも演奏されているが、普段の「Liberty」と違うのは踊Foot WorksのPecoriがゲストで登場する完全版ということ
最近はHIROSHIがPecoriのラップパートも完全に網羅しているので、HIROSHIはどうするのかと気になったが、Pecoriのラップに合いの手を入れるかのように加勢
過去の良さをそのままグレードアップするようなアレンジが施されていた

そうしたゲストとの共演を経た後の「Stay(Want You Mine)」は、WATARUが奏でているだろうメロウなメロディーが会場に浸透していくが、

HIROSHI「みんな完璧に理解しているじゃん!!」

と興奮気味に話すほど、反応は抜群
多分このライブは初見よりもベテラン組が圧倒的に多い
すなわち常連が多いから1人1人の理解度も高く、フリーライブと大きく雰囲気が変わったのだ
そうなるとHIROSHI達はとてもやりやすいだろう
ホームグラウンドも同然だから

一方で「Good Life」にはタイのシンガー・ソングライターStampが参加しているが、流石に今回は来れず(HIROSHIはここでアコギを背負う)
その代わりを担うのがWATARUならぬWatampという訳だが、Watampがかき鳴らすリフにサッカーのチャントを思わせる合唱は南国の空気をタイから日本に持ってきたかのようだ
Stampを招いた完全場は聞きたい
けれどもこういった合唱は初見も巻き込みやすい
発声が解禁された今だから、存在感が増して行きそうな予感がする

インターリュードのように流れ、途中から生に切り替わる「My Sacred Chamber」でHIROSHIがエレキにスイッチ
曲順通りなので「Halfway Home」にシフトするが、こんなにもギターを鳴らしまくった曲は当時これくらいではないだろうか
近年のアルバムなら浮くことはないだろうけど、ブラックミュージックが濃い「Too Much〜」では話が別
「もっとギター歪ませていいのでは?」と思うほど
もしかしたら、HIROSHI達は当時のライブの雰囲気も再現してたのかもしれない
ルーツミュージックを中心に踊らせていたFiNOの世界観を

依然として反応が良いのか、HIROSHIの喜びは止まらず、

「みんなを全国に連れていきたい!!」

とまたも興奮気味に話してしまうほど
それはWATARUも同感のようだが、当時メンバーじゃなかったSHUNについて、

「いつの間にかメンバーになっていた(笑)」

と弄るHIROSHI
実際はSHUNの口に合う店を探していたようだが、

「小さい頃からロックスターになりたいと思っていて、「Too Much〜」出したとき、やっと認められた気がするけど、音楽で飯を食っていける人はほんの一握りで。俺たちは「Departure」も入れると4枚のフルアルバムやEPをたくさん出しているけど、当たり前じゃないんだよね。」

とHIROSHIはここまでの道のりを振り返り出した
FiNOは途中、トイズファクトリーからWARNER MUSICにレーベルを移籍している
レーベルを移動した結果、タイアップが一気に増えて2021年に至ってはバンドのタイアップソング上半期最多獲得をしたようだが、メジャーで数枚リリースしてインタビューに戻り、そのまま消えていったアーティストをもう何組も見た
こんなにたくさんアルバムをリリースして、再現ライブも出来る
これはとても恵まれているのだ

「これからも俺たちの旅は続くし、相棒になる曲を作り続けるけど、みんなも俺たちの相棒でいて」

とHIROSHIはこれからも共に支え合う相棒関係でいることを願い、この日2度目の「By Your Side」を行ったが、HAYATOのドラムはフリーライブの時よりも強めに
HIROSHIがSHUNと肩を組む様子はまるでバンドに正式加入した瞬間を再現しているよう
そんな中、冷静に演奏しているWATARUの凄さと来たら

HIROSHIがアコギを背負い、夕暮れを意識させるような照明と共に仲間が少しずつ加わっていくように音が重なり合うのが哀愁を感じる「Young & Dumb」をじっくり聞かせたあと、曲順通りのセットリストなので最後は視界がじっくり開いて様子を肌身で感じられる「Gateway」
最初に鍵盤を弾いたWATARUが途中でギターにシフトし、ホールやアリーナが似合う曲調にどんどん変化
ここからまた新しい日々が始まることを連想させるようなエンディングだった

しかしアンコールを求める手拍子が大きく、戻ってくると、

「もうアルバム再現終わったよ(笑)」

と毒を吐くHIROSHI(笑)
普通なら「Please Please Please」、もしくは「Undercover」でもやるのかと思ったが、「Too Much〜」の再現ライブだからか、「Sunshine」をもう1度(笑)
HIROSHIの煽りも全く同じだったが、インターバルをほとんど挟まないで20曲前後やっている中で疲れを見せないのは凄いこと
「Sunshine」の後、さらなるアンコールを求める声もあったが、まもなく22時に迫る時間だったので今回はここまで
1月末にduoでやったイベントは22時30分近くまでやったが、

四星球北島「地方の人は終電を知りません!!」

と口撃したのが今になってフラッシュバックしてきた(笑)

「Good Life」でStampが登場できなかった点を除けば「Too Much〜」はほぼ完璧に再現されたと言っていい
強いて言うならば、無料ライブの開演時間を早めて、こちらの開演も早められた
そうすればアンコールをがっつり出来たと思う
andropが「one and zero」の再現をした際、アンコールは4曲行っていた

LINE CUBEのキャパは2000人
ここをソールドしないと次の道へは進めないだろう
残り2ヶ月弱、ここからさらなる追い込みが必要だ
既にチケットは確保しているけどどうせなら最高の形でLINE CUBEを迎えたい
だからこれからも支えるよ
I'll be by your side.

セトリ
Sunshine
Ghost In My Place w/ 谷本大河
Gold Plate
Dance with Misery
Liberty feat. 踊Foot Works
Stay(Want You Mine)
Good Life
My Sacred Chamber
Halfway Home
By Your Side
Young & Dumb
Gateway
(encore)
Sunshine



※この直前に行われていた無料ライブのレポ↓

※初めてFIVE NEW OLDを見たときのことに言及されている記事↓