今回のアルバムレビューはandropが「one and zero」の再現ライブをする前に掲載したアルバムレビューと同じシリーズ
このシリーズは再現ライブをやる度に、行おうと今後行っていこうと思っています

タイトル∶「Too Much is Never Enough
アーティスト∶FIVE NEW OLD
Too Much Is Never Enough

 

さて今回行うのは、FIVE NEW OLDが明日「Too Much is Never Enough」のリリース5周年ライブを開催することを勝手に記念したもの
再現ライブではありません、恐らく
けれども5年前となると、自分もそうですがFiNOの事を知らなかった方がかなり多いと思われるのです

まず知っていただきこととして、この頃FiNOは3人編成でした
というのはベースが脱退して、3人編成で活動していたとのこと
SHUNは制作に関わっていたとはいえ、まだ正式メンバーではない
つまり今と違う部分が多々ありますが、このアルバムの収録曲はほとんどが今でも演奏されているものです

その代表は「Sunshine」「Ghost In My Place」
共に今でもライブでやることが多い鉄板ですが、「Sunshine」やR&Bテイストが強いもののHAYATOが中盤で迫りくるようなビートを刻んだり、「Ghost〜」はジャズの要素が強かったり他のブラックミュージックルーツのバンドとはやっぱり少し違います
これは毎回説明していると思いますが、FiNOは元々パンクだったバンドがR&Bやブラックミュージックルーツの路線にシフト
近年は原点のエモに戻った異色のバンドです
なので、この頃も相当メロディーは大事にしていたのでしょう
グルーヴは強いとはいえ、キャッチーな成分がしっかりあるのです

しかもこのアルバムが出た2018年はまだOfficial髭男dismもKing Gnuもブレイクしてない頃
米津玄師の「Lemon」はリリースされたばかりだったので、まだリズムを元にした曲作りはあまりされてない頃です
この頃のFiNOはまだ歌謡曲のテイストが入る前、けれどもグルーヴィなリズムの上に良質なメロを載せることはシーンの先を進んでいた模様と言えるでしょう

またこの頃は失恋ソングや喪失を連想させる歌詞が多い
この頃は日本語詞を取り入れてなく、ほとんど歌詞は英語詞
最近FiNOに出会った方は驚くと思いますが「Gold Plate」はブルージーなギターを響かせたり、「Dance with Misery」はエレクトロチックでメロウとジャンルには良い意味で当てはまってないというか

この頃ってシーンの主流は、ストレートなバンドサウンド
なにせMy Hair is Badが浮上してきた頃です
RADWIMPSが「君の名は。」でお茶の間に見つかって、バンドがより強くなった頃ですけれども、こうしたベクトルの音楽をやっていたのは凄いと思います

中盤の「Liberty」「Stay(Want You Mine)」もライブではお馴染み
今では「Liberty」のラップをHIROSHIが普通にやり、シティポップを更にディープに落とした「Stay〜」と今も現役バリッバリな曲が多いこと
この次の「Emulsification」で音楽性がより広まり、「MUSIC WARDROBE」で覚醒したことからここでFiONの基礎が高まったとも取れますが、驚きは「Good Life」でタイのシンガーStampとコラボしている事
合唱やカッティングがどこか南米の匂いを漂わせますが、どこで繋がれたのでしょう汗
そのうちタイでもライブするんじゃないか?と思うほどです

その上で終盤、後に「Knock Me Out」や「Trickster」でも見せ、SiMやcoldrainと親交が深いのも分かるように「My Sacred Chamber」から「Halfway Home」はエモやハードロックに通じるもの
世間がFiNOに抱くイメージはきっと「By Your Side」のようなお洒落バンド
そんなパブリックイメージからは想像できない歪みまくったロックアンサンブル
でもこっちが原点なんですよね汗
元々パンクですし
「Halfway home」と「By Your Side」を続けて聞かせて、同一バンドと信じてくれる方はどれほどいることやら…

そして最後はドラムを音を極力絞って甘いギターに注力した「Young & Dumb」、ジャジーな感じから大きく世界が広がっていくような「Gateway」で終わりますが、今のFiNOを見ているとここが土台なんだろうなと思います
ここから発展して後の2枚に繋がり、「Departure〜」でスクラップアンドビルドする
リリースから5年を記念してライブするのも分かる気がします
地盤固めが完了した1枚だと思いますし

ですが彼らはライブでかなりアレンジするバンドです
5年の時を経て、どう生まれ変わるか?
生配信もやるようですので、今聞き込んで違いを探すのは如何ですか?