タイトル∶「Journey through the new door

アーティスト∶BLUE ENCOUNT

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ブルエン、ミニアルバムとしては「SICK(S)」以来のリリース

それもこのアルバムは昨年の終わり頃に急に発表されたもので、新曲は2曲だけ

にも関わらず、リリースして数日のこのアルバムの記事を武道館当日に投稿するのはご存知の通り、武道館ワンマンをもってしばらくベースの辻村はライブに参加しなくなります


ブルエンにとっての区切りの作品になる

だからこうして突貫工事であることを承知しながら記事を執筆した次第です


なのでどうしてもレビューの中心になるのは「vendetta」と「DOOR」になってしまう訳ですが、コードギアスシリーズに登場するルルーシュへのレクイエムである「Z.E.R.O.」は聖歌を装いながらもスケール大きいラウドサウンドをぶつける壮大なトラックですし、「終火」は90年代のJ-POPへ回帰するようなノスタルジックなバラード

辻村渡米へのカウントダウンが始まる昨年、2022年から出し惜しみや悔いのないよう活動をしていたことをきっと思い出すと思います

次を始めるには「零になって壊す」しかありませんし


一方新曲の「vendetta」はブルエンが得意とするミクスチャーロック

高村が刻むパワフルな16分ビートの上に辻村がファンキーなベースライン、江口がメロディアスなギターを奏でるブルエンのスタンダードナンバーになりうるポテンシャルを秘めた1曲とも形容できそうですが、今回「Journey〜」がリリースされる際にTwitterには田辺自身によるライナーノーツが掲載れており、その内容は「怒りが溜まったとき、引き連れて逃げた先に出会える快感が歌われた曲」というもの

つまり日々の苛立ちや怒りを持ち込んでそれらを曲に落とし込む田辺の日々が描かれたようなものであり、


「さぁ

何百回も血流して 何千回も気狂って

健全ぶった世界を暴いて砕くよ

何万回も裏切って 何億回も愛し合って

最高な逆襲を完結せよ

いかれたままでいい 覚悟決めろ」


という考え方はパンクや音楽に導かれたからこそ生まれたようなアティチュードだと思います

正常である必要はないと、今の日本社会を皮肉るようにも聞こえますね


その上でこのアルバムの肝はやっぱり「青」

「青」がリリースされたあとに辻村の渡米が発表され、辻村へのメッセージと共にリスナーの背中を押す曲と印象付けられた訳ですが、アンサンブルをこうして聞き直すとそれぞれの楽器がとても主張しています

渡米前の集大成と思えるかのように

だから


「史上最低だった日々を越えて

最大だった危機を越えて

僕たちは「生きる」を重ねる

最愛なんだ現状(じんせい)は

だってちゃんと戦ったその先で

あなたと出会えたから」

「離れたって

はぐれないように

ずっとここで待ってる

だから

青に染まれ

青を宿せ

あなたらしく

青に挑め」


のフレーズは映画のエンドロールのように流れていましたが、本当のエンディングポジションは去年の11月に生まれた「DOOR」

このミニアルバムに収録するもう1曲がなかなか決まらず、ELLEGARDENのライブに見たことがこの曲を生むターニングポイントとなったようです(去年のLINE CUBE SHIBUYAでもそのこと話していたような…)が、雑誌のインタビューを読んでいくうちに、「これエルレやん(笑)」と遅ればせながら気付きました

田辺達がエルレに似せるように作ったので、オマージュっぽいところもあるのでしょう

その「DOOR」に出てくる


「太陽に塞がって 雨に乾きを知った

出来損ないのメロディ

自由に歌えば良いんだ

光に逆らって 闇に強さを知った

足りないものは次の扉の前にあるから

扉は開けておくから」


は、「いつでも帰ってこい」と示唆しているかのようです

江口が奏でるメロもそう

旅立つような音で終わるのもいつでも帰りを待っているということでしょうから


このミニアルバムとこの後の武道館を持って、BLUE ENCOUNTはまた1つの区切りを見せます

武道館ライブを受けて、感情がごちゃごちゃになってしまう前にこのレビューを書きました


武道館の後、ブルエンはどうなるのでしょう?

サポートに誰が参加するのか?

サポートを入れずに4人でライブするブルエンが一端終了する前にこのレビューを書かせていただきました