タイトル∶「ジェネス

アーティスト∶SIX LOUNGE

ジュネス (特典なし)

SIX LOUNGE、昨年リリースした「3」以来となる新譜のリリース

去年は対バンツアーをやったのちに最後のSTUDIO COASTワンマンを含んだツアー、最初で最後のZepp Tokyoワンマンを含むツアーと3本もツアーをやっていた訳ですが、新譜が1年以上もリリース無し

「変だな…」と思ってましたが、ここにきてまさかのSonyにレーベル移動

移動する気配は全くなかったので、衝撃の事態が訪れたというわけです


ただ幾つかのインタビュー記事を読んでいくと背景が掴めてきました

というのはユニバーサルとの契約が終了して、どうするか3人で話し合った末にソニーへの移動が決定

しかも前作「3」は売ろうとしていたものの、そこまで良いアクションがなく、環境を変えることを決意したようです

突然Sonyに移動した背景はこうしたものがありました


しかも今回の曲、ほぼほとんどがお題を投げられて制作されたもの

これまでなかった編曲も行われている辺り、SIX LOUNGEが大きく変化しようとしているのがはっきり分かるでしょう


例えば「相合傘」

自分も参加した対バンツアーの最終日に突然披露された新曲ですが、歌謡曲の色が濃くストリングスも導入された喪失感が強めの1曲は「失恋曲」というお題をもらって制作されたもの

ロックンロールにストリングスが絡むと歌謡曲によった気はしなくもないですが、状況打開するにはチャレンジするしかありません

シンタロウがビートを柔らかく刻んでいるのもそういうことでしょう


続く「New Age Blues」も4つ打ちに和のメロディ、グルーヴィなベースラインとこれまではあまりなかったような感じ

4つ打ちは編曲には携わった野間康介が提案したようですが、確かにSIX LOUNGEってエイトビートで攻める曲が多かった

新機軸が多いこのアルバムは新鮮に聞こえてきますし、「ドレミ•ゴー」はダンサブルな曲が多いScoobie Doのマツキが参加したことでベースは歌うように、かつガレージロックが融合

ポジティブなロックンロールナンバー、「Shine」も野間康介が編曲に携わった結果、歌始まりになったりとこの作品は1つの転機作

メンバーが流行の音楽を取り入れるようになったことも影響してますが、それでもらしさは失われていないのはとても大きな安心感です


その一方、オーダーを出される前から存在していたのは昨年のワンマンツアーで最後に演奏されていた「Morning Glow」

「朝焼けプロムナード」を最初にやるために制作されたそうですが、


「それでも俺は神様じゃない どうしょうもない夜はまた来るし 痛みがのこる傷跡があるこの心は暴かないで」


というフレーズが存在するように、「朝焼けプロムナード」のアンサーソングとしての一面も

初めて聞いて、音源化を楽しみにしていましたがここまで時間がかかるとは…

素晴らしいロックバラードですし、ようやく日の目を見る機会が出来たのを嬉しく思います


でこうして新しい方向性に突っ走ると、「何か」を失うのでは?と危惧する方もいらっしゃるでしょう

でもその心配は不要です

何故なら「New Age Blues」で、


「心に正直で生きていたい 響かない?そりゃ無理 理屈ばっかうるせえ奴らに 吠え続けて」

「抗いたけりゃ飽和時代へ刻め ただ逃げてるだけじゃいられない」

 

とパンクな姿勢を鮮明に出してますし、「ドレミ•ゴー」でも、


「なぜか綺麗なものだけは 不器用に抱きしめていた 大切に抱きしめていた」


とロックンロールを大切に抱きしめていますから

それに


「あの日何度も隠れて泣いた君に この声はまだ届くかい いつかこの暗闇を抜けていくために終われないのさ まだ」

「きっと何度だってこの壁を壊して 進むんだ 今未来へ 強く前を向いてその笑顔のままで どんな困難もまた乗り越えていけるから」


と「Shine」でこの時代に立ち向かう姿勢を出してますから

SIX LOUNGEはやっぱりいい意味で大人になってないです

バンドを始めた頃の気持ちを忘れないでいます


そして最後にはユウモリの歌い出しから始まる「メリールー」の再録が収録されてますが、ソニーに移動したことでSIX LOUNGEを見かけることは必然的に増えるでしょう

UVERworldですらリリース時にほぼアニメタイアップがつけられますからね

アニメソングが必然的に増える中で流れを変えられるでしょうか?


このアルバムは紛れもなく名盤

変化しつつもSIX LOUNGEらしさはキープ出来ているからです

来年以降リリースされる楽曲たちに注目しています