ロッキンやサマソニ、フジロック、RISING SUNなど今年の夏は各地で夏フェスが無事に開催
ルールこそ厳しいが久々にまともに夏を楽しめた方が多いだろう

このように多くの地域で夏フェスが開催できたこともあり、Spitzが主催する夏のレギュラーイベントも久々に復活
東京はこれまでお世話になっていた新木場STUDIO COASTが閉館したことに伴い、今回は東京ガーデンシアターで開催

前日UNISON SQUARE GARDENのワンマンでもこの会場を訪れたので2日連続で同じ会場に出向いているが、5階建てのこの会場の特性も考慮してステージ両サイドにはモニターを設置
そのモニターには過去の新木場サンセット出演ラインナップが紹介されており、過去に参加した新木場サンセット(自分は2015と2017、2018に参加)のことを思い出させる

•ハンブレッダーズ
新木場から有明に舞台を移し、新しい歴史を歩み始めようとする今年のサンセット
移転後初のトップバッターは今やTOKYO DOME CITY HALLでワンマンが出来るようになるまで規模を拡大したハンブレッダーズ
Talking ROCK! Fes.は、でらし(Ba.)のコロナ感染に伴い出演できなくなってしまったため、ようやく再会の機会が設けられることに

サポートギターのうらくんと共におなじみのSEでキジマ(Dr.)もでらしもムツムロ(Vo. & Gt.)も一斉に登場し、昨年リリースされた傑作「ギター」から「再生」で始まるも会場の反応は少し薄い
何故か手拍子が多く「え?」となったが、この後出演するマイヘアやVaundyはフェスではメインステージ
ハンブレはロッキンだとサブステージの出演となっていたので、この日のラインナップではまさかのアウェイだったのかもしれないが、

「うるさい歌が終わるまでは 向かうところ敵なしだぜ ビートはすぐ鳴り止むけど 心臓の音が続きを刻むんだ」

の如く、轟音を鳴らしている間のハンブレッダーズは無敵
それもこの日の出演者でハンブレッダーズが1番の爆音を鳴らしていた

コロナ禍前のジャパネク、CDJに出演していた頃はほぼ毎回「弱者のための騒音を」を演奏するくらい、ハンブレはマイノリティに寄り添っていた
忘れらんねえよの柴田が対バンした際に、弾き語りでカバーしたこともあるけど、ハンブレは昔も今もマイノリティの味方
この爆音は今日も変わらず「弱者のため騒音」である

イントロのチャイム音からステージを虹色に変える「カラオケ•サマーバケーション(カラオケ用の音源も配信されたりしている)」も含め、序盤からでらしは上手を中心にステージを動き回っているが、でらしとキジマは今もSpitzのFC会員
ネタバレを阻止するべく、リハを見ないほどキジマはSpitzを愛しているようだが、ムツムロが好きな曲をアンケートすると、

でらし→「青い車」
うらくん→「メモリーズ※カスタムの可能性有」

とのことで、ムツムロはシングルコレクションに収録された「1987→」を特に好んでいるとのことだが、

「大切な曲だし、今日はやらないだろうから俺たちがやるか(笑)」

となし崩し的にカバー
しかも1曲まるまるカバーしており、Spitzへの愛は確かに感じたが、ハンブレがカバーすると泥臭さを匂わせる
自分がブレイク前夜を知っているからだろうか
4人体制だった頃のハンブレを決して忘れる気はない

コロナ禍前のCDJで新曲として演奏されたことを今も覚えている「ユースレスマシン」はでらしのベースがバッキバキに機能するが、「ユースレスマシン」に1番反応するのは間違いなくSpitzだ
出演者の中で最もCDにお世話になった世代だから(逆に翌日の出演者であるエレファントカシマシやThe Collectorsはお世話になりまくり、その前のMDプレイヤーにも)

そうして轟音まみれのオルタナロックを連発している最中、変化球として「名前」が投じられるのはアニメの主題歌だったからだろうけど、あなたの味方でいることを宣誓するこの曲が響くのはインディーズ時代からハンブレを応援しているファンかもしれない
アニメを通してハンブレを知った方も多いだろうけど、「DAY DREAM BEAT」や「Crying Baby」のイメージが自分には強い
「名前」はその系譜の曲だ
やっぱりハンブレは変わっていない
ハンブレへの信頼はこのライブで更に深まる一方

ムツムロ「Spitzの何がすごいってあれだけヒット曲を出してもバンドを続けているということですよ。好きじゃないと30何年も続けませんよ」

と話したように、Mr.Childrenと共にSpitzはシーンを牽引したのでSpitzは終生、生活には困らないだろう
でもSpitzは今なおロックに拘っている
近年は同期に一切頼らずライブをしている
ムツムロの話の言う通り、ロックが好きだからバンドを継続している

ムツムロ「僕たちもSpitzのように長く続けて、新しいロックンロールを作りたいと思います。」

とSpitzの意思を継ぐことを宣言し、Talking ROCK!FesではBGMとして流された際にも盛り上がり、Spitzの盟友フラワーカンパニーズの「深夜高速」を引用したかのような、

ムツムロ「僕たちが1番届けたい曲」

であり、マイノリティのテーマソング「BGMになるなよ」でキジマが力強くビートを刻んだあと、最後はかつてシーンのトレンドだった高速4つ打ちギターロックを人力で行う「ワールドイズマイン」
でらしやうらくんのソロパートの後には、ムツムロもライトハンド奏法で対抗
背面弾きはしなかったが、マイノリティを守るための爆音オーラを客席に残していった
弱者のための騒音、ここに有り

セトリ
再生
カラオケ•サマーバケーション
1987→(Spitzのカバー)
ユースレスマシン
名前
BGMになるなよ
ワールドイズマイン

•My Hair is Bad
STUDIO COAST時代は2ステージ制となっていたためシームレスに進行できたものの、ぴあアリーナMMのようにステージを2つに分けれるほどガーデンシアターは大きい会場ではない
しかし、わずか15分足らずで転換を終える驚異的なスピードで次のマイヘアがスタート

勿体ぶることなく山本(Ba.)も山田(Dr.)も椎木(Vo. & Gt.)すぐに現れるが、3人がドラムセットの前で気合を入れた後に普段の

「新潟県上越市から来ました、My Hair is Badです!!」

という挨拶ではなく、この日は椎木の生い立ちやバンド結成の経緯をお得意のポエトリーリーディングに載せて説明
今年は普段以上にフェスに出演した気がするし、そんなアウェイでもないがこの日はやけに年齢層が高かった
普段フェスには足を運ばないような方までいたので、そうした方に配慮したのだろう

この丁寧な説明によって、客席とステージの距離を縮めることに成功したのか「ドラマみたいだ」から既に大爆発
山本がゴリッゴリにベースラインをなぞる「アフターアワー」では、

「仕事だった人!学校だった人!お疲れ!」

と参加者を椎木は労っていくが、普段やっているリハがこの日は出来てない 

そのためか、飛び切りの泣きメロが溢れる「グッバイ•マイマリー」は珍しく本編で演奏
STUDIO COAST時代ならリハする時間もあったから、STUDIO COAST閉鎖がここでも悔やまれる

ガーデンシアターでマイヘアはライブはあまりやっていないのか、椎木は客席をじっくり見渡していたが、

「もしかしたら今日は普通の平日の人もいるかもしれない。でも少しでも1つになれるように!」

と椎木は今日も熱く客席に話しかける

マイヘアを見たことない方からすれば、椎木を熱血教師や松岡修造のような熱い人物と照らし合わせたかもしれない
椎木はいつもこんな感じ
熱く語りかけて一体感を形成してきた
ちょうど昨年のこの時期に開催されていたフジファブリック主催のフジフレンドパークに出演した時もそう
いつか終わることを「告白」で悟っているから、常にノビのある豪速球を椎木は投げまくる

そうして熱い印象を客席に浸透させた上で、Mステで演奏されたことによりお茶の間にも浸透した「真赤」を山田が力強いビートと共にステージを赤く照らすが、もう季節はほぼ秋である
あまりに暑すぎて、最寄り駅に到着するまでに水を1本飲み干してしまうような灼熱の暑さは疾うに消えた
しかし「真赤」は四六時中、夏の匂いを漂わせる
懐かしい夏の思い出も連れて

「真赤」の最中、

「ラブソングに賞味期限はない!」

と椎木が叫んだのは、椎木なりにSpitzを称賛したのだろうけど、

「思い出も消えないけど、俺たちは年を取る!俺も山本もやまじゅん(山田)も!」

と永遠はないことを椎木は悟り、瞬間風速の如く一瞬で駆け抜ける「クリサンセマム」、今年に入ってから突然演奏機会が急増した「ディアウェンディ」では、

「どんな子が好き?」

と即興で歌詞を書き換え客席に問いかけつつ、

「バンバンバン 銃が撃たれて」

よろしく、一撃必殺とも取れる重い直球をどんどん客席に投げ込む
セットリストはビバラロックとあまり変わらないので新鮮味はあまりない
しかしマイヘアは同じ攻め方は決して行わない
かつてロッキンオンが「再放送のないリアルドキュメント」と称したり、その場で今しか見れないライブを形成する
故に今日もどんどん客席を巻き込んでいくが、

「今やった曲(「ディアウェンディ」)で自分は「無責任でいい」と話したけど、あなたに対しては違う。周囲から敵に見られようが俺はあなたの味方でいたい。隣で喧嘩ふっかけて来るやつがいるなら勝てばいいんだろ?俺はあなたの味方。側にいたい。」

とオブラートに包まず、むき出しの言葉であなたへの思いを椎木が伝えた後はあなたへの「味方」を宣言

昨年のフジフレンドパーク、フジファブリックが「味方」をカバーしていたことを今も覚えているが、

「君が笑えば 何もいらない 君がいれば 僕は負けない」

は最強のパワーワードだろう
ハンブレッダーズは轟音を鳴らすことで無敵となるが、マイヘアはあなたがいるだけで無敵となる
2組の強者が無敵となって、ガーデンシアターに君臨しているだけでロックシーンはこれからも安泰
そう自身を持って宣言できる

「SNSで色んなことを知ることが出来るけど、自分に関係あるのはほんの一部。これが現実だよ!SpitzやVINTAGE ROCKがこういうことやってくれるのが凄い。洗濯や掃除とか面倒くさいでしょ。でもきちんと掃除しないと部屋は臭くなってしまう。けど、その先にこういう楽しいことが待っている。そんな日を増やしていきましょう!!」

と現場こそが現実、この現実を作ってくれたSpitzやVINTAGE ROCKを称賛し、この日のような1日を増やしていくことを宣誓しあうと、最後はこれからもドキドキを手に取り、大好きなものを見つけに行くことを言い聞かせるような「歓声をさがして」で終了
速攻でステージを出ていこうとするも、つまずきかけた椎木の姿に場内は笑いが起こっていた

これまでマイヘアのライブで定番だった「フロムナウオン」はこの日も無し
それは少し寂しいけど、「フロムナウオン」無しでもマイヘアはやっぱり熱い
その熱さを持っている人間がこうしてフレンドリーに接してくれているのを見ると、どこまでもついて行きたくなる
そろそろセトリ変わって欲しいけど

セトリ
ドラマみたいだ
アフタアワー
グッバイ・マイマリー
真赤
クリサンセマム
ディアウェンディ
味方
歓声をさがして

•Vaundy
このブログを日頃から読んでいらっしゃる方には察すると思うが、意図的に見るのを避けてきたVaundy
見るのは去年のTalking ROCK! Fes.以来だが、開始前は苦手意識が消えてないまま

あまりに不穏なSEが流れる中で先にバンドメンバー(Dr.がフジファブリックのサポートをしていたBOBOであることははっきり分かる)が登場し、Vaundyも後から姿を表すもモニターにはロゴが映されるのみでVaundyの姿は見えない鬼畜仕様
「なんのためのモニター?」と思ってしまいつつ、「不可幸力」から始まるも何度聞いても自分にはサザンオールスターズの「愛の言霊〜」にしか聞こえてこない
配信を含めてライブで聞くのは3回目だけれども、一向に認識は変わらない

「踊ろうぜ」

とVaundyが煽り、愚直までにストレートなベースラインで踊らせる「踊り子」と2曲やった時点でこの日1番盛り上がっていることは誰の目にも明らか
老若男女が踊っていることは広大な市民権を得たれっきとした証明である

「Spitzの前に疲れさせちゃおうかな〜」

とMCでもVaundyはドS魂を見せるが、この日の出演者では最年少
JAPAN JAMでは煽りすぎて、少し炎上していたが、どう考えても参加者平均年齢高めのこのイベントでこの発言は大したものである

キャッチーなメロが広大に響く「恋風にのせて」もやっぱり聞いたことあるメロ(清水翔太と加藤ミリヤがコラボした「Love Forever」にメロディーが似ている)で「う~ん」となりつつ、ストリングスとギターリフ、BOBOの力強い16分ビートがスケール大きいポップを構成する「mabataki」を聞いていたが、

「物心付く頃からSpitzは歌っていました。僕はSpitzの曲と仲良いんですよ。アコギの練習をSpitzの曲でしていたんで。そんなSpitzのイベントに出演するなんて凄いことですよ。」

とSpitzとの関係性を説明するが、

「準備運動は終わり!!」

とメジャリーガー前田健太のマエケン体操のように肩を回す姿はシュール

けれども「裸の勇者」が始まった途端、自分は無意識に手拍子を始めていた
曲はともかく、歌声は化物みたいに上手い
そう評価していた人物が意識せずに拳を上げている
これには参った
自分が完全にVaundyのライブに巻きこまれていたから
全く予想しなかった事態である

あいみょんの「愛を伝えたいだとか」に曲調は似ているものの、ブラックミュージックをこれだけポップに出来ていることに感心する「東京フラッシュ」を終えると、

「優しい視線を感じる…」

と違和感を拭えないVaundy
煽りまくっているのに、向けられるのが暖かい目線なのは、Vaundyを子供のように見守っている方が多いのだろう

「次Spitzですよ(笑)盛り上げましょうよ(笑)」

とそれでも煽るのを止めず、同期のホーンの音色が陽性な「花占い」で更にポップな世界を見せるが、

「まだ隠してやがるな…(笑)出しきろうぜ!!」

とVaundyにはやっぱり力を温存しているようにしか見えず、総力最大を求め大衆にもきっと届いたであろうスタジアムアンセム「怪獣の花唄」を終えると、Vaundyは足早にステージを後にした

Vaundyはこのライブを見るまで苦手だったものの、これで完全に苦手意識は吹っ飛んだだろう
積極的に見る訳では無いが、「Vaundy見ないとならないのか…」という理由で参加を断念していたイベントに参加する機会は増えるだろう

相変わらず訴えられてもおかしくないような曲(最初からサンプリングやオマージュを公言すれば良かったものの、しないからアンチの数をどんどん増やしている )だらけだが、こうなるとこの方向性でどこまで行けるか見たくなってきた(FIVE NEW OLDみたく堂々と参考にした曲を紹介すれば良いのに…)
そしてあの歌声は誰が何と言おうが、圧倒的なもの
頼むから喉を潰しませんように…

セトリ
不可幸力
踊り子
恋風邪にのせて
mabataki
裸の勇者
東京フラッシュ
花占い
怪獣の花唄

•Spitz
Spitzの自主企画なので当然トリを飾るのはSpitz
今年は久々に春フェスに積極的に出向いたが、トリではなくトリとしてSpitzを見れるのはレギュラーイベントのみ

「醒めない」の頃から起用されているお馴染みのSEでサポートのクージー(Key.)と共にマサムネ(Vo. & Gt.)たちが登場し、初っ端からマサムネがギターをかき鳴らし、

「君のために何でもやる 意味なんてどうにでもなる
力ではもう止められない」

とどんな状況下でもロックを止めないことを宣誓するソリッドな「恋する凡人」、崎ちゃん(Dr.)が正確なツービートを刻みクージーがアコーディオンを弾く「野生のポルカ」と定番曲を連打

去年のアリーナツアーで「恋する凡人」は聞けなかったのでクージーの鍵盤リフは新鮮で、足を上げながら「野生のポルカ」でやっぱりステージを動き回る田村
最後のサビで合唱出来ないのは残念だけど、アンサンブルは下降線をたどることなく進化を今尚続けるのがSpitz
マサムネの声に衰えも全く見られない
曲がりくねった道を歩み続けるバンドは後退を感じさせない

田村のうねりまくるベースは必然的に参加者を踊らせる「ラズベリー(「空の飛び方」収録曲)」を終えると、マサムネは挨拶するが、

マサムネ「有明ガーデン…」
テツヤ(Gt.)「違う。東京。」
マサムネ「ああ、そうだった(笑)」

と会場名を間違えてしまうマサムネ

イベント名義が有明なので、有明アリーナで開催と勘違いされていたフォロワーもいらっしゃったが、今後もガーデンシアターでやっていく訳ではなく、○○サンセットと会場が毎年変更になる可能性があるとのこと
そうなるとぴあアリーナMMでも開催されそうな予感はする

このサンセットシリーズでは、マサムネが毎回出演者の感想を丁寧に説明していくが、

「新木場サンセットにも出てもらったけど、前よりも凄くカッコよくなっている。影響受けないように、聞かないようにしていたけど、次のアルバムでそれっぽい曲あったら見逃して(笑)」

と成長を感じつつ、影響を受けないように聞かないようにされていたハンブレッダーズ

マサムネ「椎木くんは世界で1番レスポールが似合う」
テツヤ「俺じゃないの?あ、今違うギター(ジャズマスター)(笑)」

とMy Hair is Badは、世界1ギターが似合う男と椎木がマサムネに称賛されたが、

「若手は伸びしろあるよね(笑)俺たちはずっとキープしているだけだから(笑)」

とマサムネが告げた瞬間、Creepy Nutsの「のびしろ」が脳内に響いたのは自分だけではないだろう
現状維持を続けながら、進化を止めないSpitzも凄いのは言うまでもないけど

Vaundyに関しては、「あんな声聞いたことない!」と絶賛し、

「コロナ禍でVaundy聞きまくって、「東京フラッシュ」から入った口だけど、ロックな曲多いね!!」

とやっぱり褒めちぎり
流石は「ロック大陸漫遊記」でありとあらゆる音楽を紹介するラジオパーソナリティである

「いつものように合唱や歓声を挙げられなくてごめんね。でも楽しい時間にするからさ!!」

と謝罪を入れつつ、いつもの決め台詞をマサムネが叫んだあと、「ここでこれやるのか!!」となったのは、テツヤが爽やかにカッティングを奏でる「夏が終わる(「Crispy!」収録)」
この数週間で「いや、もう秋です」と心で何回ツッコミを入れたのだろうか
何回もツッコミを入れたくなってしまうほど、気候はすっかり変化した

「またひとつ夏が終わる 音もたてずに 暑すぎた夏が終わる 音もたてずに 深く潜ってたのに」

が補足説明するように
きっと来年もまた暑すぎた夏になるだろう
でもそれは暑いだけでなく、心も熱い夏
牛歩行進だって少しずつ良くなっている
来年は更に良い夏となる

テツヤ十八番のアルペジオやクージーの鍵盤が壮大で美しいアンサンブルを築く「正夢(何気にこの日初のシングル曲)」を経て、Spitzが今年夏に結成35年目を迎えたこと
マサムネが自身の年齢が分からなくなり、やっぱり坂上忍の年齢をウィキペディアで調べて確認していることで笑わせたあと、このガーデンシアターで以前、「猫ちぐらの夕べ」が開催された開催された際にはハーフキャパだったのが今フルキャパで開催できていること、Spitzが夏になると毎年カバー曲を演奏していることを簡潔に説明
今回カバーしたのは浜崎あゆみの「Boys & Girls」で「誰が予想出来んねん!!」と心で叫んだ人多数
崎ちゃんはサビで気持ち良そうにシンバルを叩き、オルタナアレンジが施されたあゆの名曲が聞けるのはこの夏のみ

このロックの流れに便乗するように、シングルver.のイントロから始まり毎度のようにキメを連発する「メモリーズ•カスタム」
間髪挟まず田村がバッキバキなベースをイントロで弾く「けもの道」は、

「東京の日の出」

と珍しく歌詞はそのままだが、お茶の間にはポップの優等生に見えるSpitzの本領はやっぱりロックにある
田村の動きはいつもと比較すると大人しめだったが、50を超えてもステージを動き回りあんなバッキバキなベースを鳴らしたいと思うベーシストは多いはず
この日の出演者だとハンブレッダーズのでらし
でらしも運動量の多さはひょっとすると田村の影響があるのではないだろうか

マサムネ「楽しい時間でした。ありがとう!!」

と簡潔に感謝し、最後は世間がイメージするSpitz像に照らし合わせているものの、やっぱり一筋縄ではいかないポップを描く「大好物」
こうしてレギュラーイベントを開催できるようになったことはSpitzにとって1つの「冬の終わり」
まだ完全体ではないけど、

「取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう 続いていく 色を変えながら」

とコロナ禍になって触れた音楽たちも連れて、楽しむことを誓うように本編は終了

アンコールで戻ってくると、田村やクージーにそれぞれ感想を伺いつつ、テツヤは連ドラで放送されている「ちむどんどん」に言及するが、

「いつもだったらライブ後に打ち上げするんだけど、今回は出来ません。僕たちは妄想で打ち上げします。ホテルの大広間を開けているので、みんなも来てよ!!」

と打ち上げはしないと断言
その代わり妄想で打ち上げするとのことだが、こうして制限された中でも楽しませるのがロックンローラー
Spitzは最高のロックバンドである

Spitzがロックに回帰した「醒めない」から

「コピペで作られた 流行りの愛の歌」

が毒づく「グリーン」を崎ちゃんのタイトなビートと共に届けて、最後はマサムネがアコギを背負って軽快なカッティングをかき鳴らす「スパイダー」
千の夜を飛び越えても走るのを辞めないSpitz からのメッセージを示唆させるようにライブが終わった

セトリ
恋する凡人
野生のポルカ
ラズベリー
夏が終わる
正夢
Boys & Girls(浜崎あゆみのカバー)
メモリーズ•カスタム
けもの道
大好物
(encore)
グリーン
スパイダー

実質今回が10回目の開催
コロナ禍によってSpitzのライブ本数は更に少なくなってしまったので、このサンセットシリーズですらSpitzを見る貴重な機会となってしまった

ただこのサンセットシリーズの醍醐味はアーティストを知ることだろう
2018年の新木場サンセットではミツメを、2017年はGLIM SPANKYを初めて見れたし、今回はようやくVaundyの苦手意識が消えた
マイヘアの椎木も話していたけど、Spitzほどのバンドがこうした機会を設けてくれるのが凄いことだ

来年以降ももちろん参加希望
もう一度キラキラの方へ登っていく




※前回参加した新木場サンセットのレポはこちら↓

※昨年のツアーのレポはこちら↓


※前回ガーデンシアターで行われた有観客ライブのレポはこちら↓