1月に「Patrick Vegee」のレコ初を終えたあと、あまり間髪挟まずユニゾンは対バンツアーを実施
途中でTKOがコロナに感染してしまったため野音でのツーマンは延期となるも会場を移して無事にツアー完走
その対バンツアーの勢いのまま、4月にリリースした「kaleido proud fiesta」のレコ発ツアーへ
自分は去年の「Spring Spring Spring」の再現から5回転連続でユニゾンのワンマンをガーデンシアターで見ることに
やっぱりガーデンシアターはユニゾンの聖地となりつつある

コロナ禍初期と比較するとライブ出来るのは今や普通となった
故に開演前に話し声がするのも致し方無いと思ってしまうが、ユニゾンは未だに会話を控えるように徹底したり、来場者シートの記入が確認できて初めて入場が出来る
一見過剰に見えるかもしれない
けれどもユニゾンは少しでも感染リスクを抑えたいのだろう
もうライブ出来ない日々に戻りたくないから
その意思に共感するように、開演前のお喋りはほとんどない

定刻を少し過ぎた頃、コロナ禍後のライブでは毎回のように登場しているVINTAGE ROCKの若林氏(翌日と翌々日のイベントでも前説するのだろうか)から諸注意事項の説明がなされ、若林氏の説明が終わるとゆっくり暗転してイズミカワソラの「絵の具」が流れる場内
普段通り最初にTKO(Dr.)、不審な行動をやっぱり取る田淵(Ba.)、客席に丁寧にお辞儀する斎藤(Vo. & Gt.)の順に登場するがステージには幕が張られているため、メンバーの表情や衣装も確認できない
遠近法を用いて大きく登場したメンバーのシルエットは小さくなっていく

なのでMステで演奏されたこともある「harmonized finale」からライブが始まっても、斎藤たちの姿はほとんど分からず、サビで幕越しにうっすら3人の姿が見える程度
いつかのツアーでも幕が閉じていたり、場内が薄暗かったことはあるけど、今回の幕が示唆しているのは1度は完結した物語が再び動き出そうとしていること
きっとタイアップになっていた「TIGER & BUNNY」と絡めた(そもそも完結するタイバニの映画用に書き下ろされたのが「harmonized finale」だった)んだろうけど、Mステでも歌われて欲しかった

「今日が今日で続いていきますように」

の名フレーズが物語が再起動するトリガーとなったかのように曲終わりに、

「UNISON SQUARE GARDENです!!」

と斎藤が叫び、斎藤達の姿が明らかになった状態で「箱庭ロック•ショー」に映っていくが、TKOのドラムはより力強くなり、田淵のベースは以前よりも更にバッキバキになった
7月から始まったツアーを経てアンサンブルが更に進化した証でもあるけど、曲始まりにTKOは

「待たせたな!!」 

と言わんばかりに客席を指していた
最高のロックショー幕開けを宣言するかのごとく

初っ端からキメを連発する「世界はファンシー」で田淵はゴリッゴリでグルーヴィなベースを弾きながらステージを旋回し、コーラスでしっかり戻ってきつつ、斎藤の

「こんな世界が楽しすぎちゃって愛しすぎちゃって…ハッピー!」

に合わせて客席がピースをしている辺り、間違いなくガーデンシアターはハッピーだろう
しかし、自分がギタリストなら

「My Fantastic Guitar!」

なんて叫んでギターソロは絶対弾きたくない
他のアーティストがカバーしたらギターソロ担当者がこのフレーズを叫ばされるのだろうか

TKOのドラムを合図とする「シャンデリア•ワルツ」で幸せ空間は更にハッピーとなるが、自分がいた2階アリーナ席はイントロから揺れまくっていた
まだ序盤であるが自分のようにこの日がツアー初参加の方もいれば、複数回参加されている方もいる
この2組の共通項は「楽しみにしていた」ということ
きっとこの日が来るのを待ち遠しかったのだろう
冒頭でこんなに床が揺れまくったのは初めてのような久々のような

ユニゾンのライブにMCはほぼない
なので沈黙を終えるとすぐに次のセクションへ移行するが、TKOがシンバルを軽く刻みながら斎藤が簡単に挨拶して「CAPACITY超える」を始めた瞬間、ガーデンシアターは大規模なジャズ喫茶となった
ジャズ調だし、ステージも真っ赤な照明が照らすので、それはほぼ喫茶店で聞いてると変わらない
流石にこんな大きいジャズ喫茶は存在しないだろうが

すると「Silent Libre Mirage」、「Own Civilzation〜」とユニゾン流のロックンロールを連発
共に「MODE MOOD MODE」に収録された楽曲たち
けれどもシンプル(ユニゾンにしては、他のバンドからすれば全くシンプルではない)キャッチーなロックンロール(「Silent Libre Mirage」)とグランジ経由の重圧感あるロックンロール(「「Own Civilzation〜」)は正反対

「We're OK」

と次への準備が整ったことを宣告し、「春が来てぼくら」のカップリングだったソリッドな「ラディアルナイトチェイサー」へとスイッチ
唐突にカップリングをやるのは今に始まったことではないので驚きもしないが、田淵がステージを爆走する「fake town baby」ではスモークが派手にステージに充満するので、こちらは驚く

「シュガーソングとビターステップ」を揶揄した

「甘いか苦いかは君が決めろよ!」

と斎藤が叫ぶ瞬間はいつ見てもカッコいい

田淵はもちろん、TKOも斎藤も一切喋らない
空白の時間はほぼ場面転換として機能しているわけだが、斎藤がセンチメンタルなメロディーを奏でたのは「5分後のスターダスト」
「ラディアルナイトチェイサー」と共に3年前のカップリングツアーで演奏されていたから「割と早い間隔で聞けた」と思ったが、「Patrick Vegee」のツアーで演奏されなかったインディーロック調から爆発する「弥生町ロンリープラネット」に続くこの流れは季節を1周させているような感じ

「5分後のスターダスト」の「秋の景色」や「金木犀」、「落ち葉」と言ったワードは身体を秋へとトリップ、「弥生町ロンリープラネット」では「寒い帰り道」、「冬の終わり」と冬から春へ移行
そこで思い出して欲しいのがこのツアーは夏に始まっているということ
すなわちこのツアーの時間軸は夏
要するにこの2曲であっという間に1年を通過したということだ
最後は、

「そしてぼくらの春が来るよ」

で終わるも、「春が来てぼくら」は演奏されることはなし
「Patrick Vegee」の特徴だった見事な曲の繋ぎはツアーではほとんど再現されないようだ

再び長い静寂が訪れると斎藤がブリッジミュートを弾き始め、レスポンスを返すようにTKOはドラムを叩き、また斎藤にパスするセッションを開始
恐らくこれがツアー恒例であるTKOのドラムソロの代用なんだろうけど、時にTKOは立ち上がってシンバルの上に設けられたパーカッションを叩いたりもしてた
もしかしたらこのセッションのためだけにセッティングされたものかもしれないが、このセッションに関わらない田淵が観客のようにステージ下手から流れているのはシュール(笑)

このセッションを終えると大方予想していた通り「ワールドワイド•スーパーガール」で踊らせるが、最後のサビ前にTKOが叫びすぎたのか明らかにタイミングがずれていた
斎藤はTKOの方を向いたので、TKOのシャウトにビビったのかもしれない(というか笑っていた?)
このハプニングの原因を招いたTKOは「ナノサイズスカイウォーク」のタイトルコールを平然としているけど、ループミュージックのように同じリフやメロディーを繰り返す中で突然手数を増えすのがTKO
ほぼリフで踊らせるようなセッションに結果的になったが、ワールドワイドからナノサイズまでユニゾンのロックンロールは変幻自在に伸縮している

オレンジの照明の元、簡単にセッションを行ってからTKOのタイトなドラムを中心に

「はい!」

を合図に一斉に飛び上がる「サンポサキマイライフ」でステージに用意された柱がカラフルに輝かせた後は、バンドの分岐点となった「オリオンをなぞる」
思えば「TIGER & BUNNY」との長い付き合いの始まりはここからだったし、ユニゾンがアニメと大きく結びつくようになるのも実質ここから(最初のアニメタイアップは「カウンターアイデンティティ」)
あまりにポップすぎて賛否両論だったし、ネットではアニソンスクエアガーデンなんて言われたり、挙げ句の果てには「なぞらないじゃねーか!!」となるボケがニコニコ動画で生まれていた
でも「オリオン〜」がなかったらユニゾンは今も活動してなかったかもしれない
「オリオン〜」の前にリリースされた「スカースデイル(何故か「カウンターアイデンティティ」がカップリングだった)」で田淵は自分の曲が表題曲にならなかったことにショックを受けていたし、作詞家を付けることも検討されていた時期に「オリオン〜」がヒットし、バンドを救った

そんな特別な曲だから、ラスサビに入る前にステージにはキラキラと星が輝く
それはもう幻想的な光景だったけど、

「僕がいて あなたがいて それだけで 十分かな」

はユニゾンと我々の関係を更に強くする
派手な装飾はなくても構われない
音楽がユニゾンと我々の結びつきを更に強くするから

空前絶後の新未来を願ったあとは、

「ココデオワルハズガナイノニ」

よろしく、終わるはずもなくTKOがヘッドホンを装着して、

「かくして またストーリーが始まる」

とユニゾンとあらゆるものとのストーリーが再び歩み始める「kaleido proud fiesta」は、バンドのロゴをステージにもたらし、祝砲を鳴らすと言わんばかりの幸せな音色
発声が解禁されたらきっとこの曲で大合唱が起こるだろう
今回ほど合唱出来ないのを恨めしく感じたことはないが、

「きれい過ぎて忘れられないような ような 景色」

がその気持ちを少し抑えてくれた
早くこの曲を合唱したい

そしてサイダーのように爽やかな音色が浸透していく「to the CIDER ROAD」で

「もう迷わないで 早々に出かけよう」

と我々を全肯定したあと、

「ラスト!!」

と斎藤が宣言したのは、TKOが多岐多様なリズムを刻みながら、田淵がステージを暴れまわる「10% roll, 10% romance」
相変わらず田淵は暴れ回っていたけど、全く疲れを感じさせない運動量を見せ、客席も負けじと踊りまくって終了
間奏で「USG」の文字が輝くのがとても綺麗だったが、田淵はお約束のようにベースをスタッフにぶん投げてステージを後に

客電が付いた状態でアンコールを待ついつもの光景を経て、すぐに斎藤と田淵は戻ってくるがTKOは着用していたコートをあえて投げるパフォーマンス
この意図は不明だが、準備を終えると特に説明するまでもなく、

「君がもっと嫌いになっていく もっと嫌いになっていく」

訳もなく、むしろもっと好きになる「Cheap Cheap Endroll」をファストに叩きつけると、TKOがヘッドフォンを装着する「シュガーソングとビターステップ」ではいつにも増して、田淵は動き回っている
コロナ禍になる前よりも運動量が増えた気がするが、客席中が飛びまくっている光景を見るとユニゾンのライブに参加することは「死ねない理由」や「生きていく理由」になっている
世界中を驚かせてしまう夜になっていたとしても

そして最後はまたも訳のわからない声を叫ぶTKOに吹き出しつつ、田淵もステージを暴れまわることで完全燃焼を誓う「場違いハミングバード」
演奏後に田淵はやっぱりベースをぶん投げたけど、これだけ踊りまくった場違いなハミングバードにも帰れるおうちがある
これは本当に素晴らしいことである
終演後にはしれっとこのツアーの映像化も発表されていたが、自分にはまだライブハウスツアーがある
去年3月のKT Zepp以来だから久々
そちらも楽しみにしつつ、さあ次はどこへ向かおうか


セトリ
harmonized finale
箱庭ロック•ショー
世界はファンシー
シャンデリア・ワルツ
CAPACITY超える
Silent Libre Mirage
Own Civilzation(nano-mile met)
ラディアルナイトチェイサー
fake town baby
5分後のスターダスト
弥生町ロンリープラネット
ワールドワイド•スーパーガール
ナノサイズスカイウォーク
サンポサキマイライフ
オリオンをなぞる
kaleido proud fiesta
to the CIDER ROAD
10% roll, 10% romance
(encore)
Cheap Cheap Endroll
シュガーソングとビターステップ
場違いハミングバード


 



※前回のワンマンのレポ↓