昨年リリースされた傑作「MUSIC WARDROBE」のリリースから1年

個人的今年最重要アーティストとして1年の動向を注目しているFIVE NEW OLD

4月下旬に新曲「Happy Sad」をリリースし、その勢いでツアーが始まったものの、ツアー終盤にベースのSHUNがコロナに感染してしまい、一部公演が延期

このZepp公演は千秋楽から中盤という扱いになった


ライブの参加ペースが3年前と同じくらいのペースに戻りつつあるので、「前回この会場にはいつ行ったのかな?」と思い出すのも困難になりつつあるが、このZepp DiverCityはドリンク代を遂にPayPayで決済できるように

今はなきSTUDIO COASTも実はPayPayに対応していたが、DiverCityが対応できるようになったということは他のZeppにも変化が生じるかもしれない


PA卓後方は封鎖されているものの、1階は7割型は贔屓目に見ても埋まっている実質満員の状況で定刻を少し過ぎた頃に暗転

ツアー専用のSEが流れる中、これまでのライブと大きく異なるのは様々なミュージシャンのサポートをしている山本健太がキーボードとして参加していること

山本健太はステージ下手後方に陣取っており、それに伴い普段はステージ後方にいるSHUN(Ba.)が上手

HAYATO(Dr.)はステージ中央に移動し、HIROSHI (Vo. & Gt.)は普段ならセッテイングされている鍵盤がなし

変わってないのはWATARU(Gt. & key.)くらいでフォメーションは大幅に変化している

普段はHAYATOがWATARUを見るようにドラムを叩くのでこれだけでも大きな変化


SEが鳴り終わり2月にリリースされたばかりの「Rhythm of Your Heart」から始まるが、リキッドルームの際と異なり、鍵盤は山本健太が務めることで鍵盤もバンドの1つであるように認識させ、SHUNとWATARUからなるリズム隊は非常に強い

この曲の説明文だと「シンセリフが印象的」なんて書かれていたが、このリズム隊によってシンセリフよりもグルーヴの方が目立つ

こうなるは元がパンクバンドだった所以だろう


HIROSHIがハンドマイクに持ち替えて、「Shout to The Top」のオマージュを公言している「Hallelujah」はいきなりクライマックスが来たかのように照明が虹に輝くが、去年のベイホールで聞いたときよりもロックに聞こえる

山本の有無であまりに差が大きい気がするもこの曲が出たとき、思わず自分は「セルアウトしたか…」と心で思ってしまっていた

その後にリリースされた「MUSIC WARDROBE」があまりの傑作で掌返しをしたけど、当時の自分に対しては「アルバム出るまで黙ってみてろ!!」と口を塞ぎたくなるほど猛省してる


HAYATOが刻むリズムに早々と反応した客席が手拍子を刻む「What's Gonna Be?」でHAYATOが手数を増やしまくって、SHUNもステージを飛び出すようなイメージで演奏をすれば、このバンドのパブリックイメージであるブラックミュージック色が強く出た「Hole」では美しいハーモニーと共に客席をじっくり揺らす

このようなアクションを出来るということはSHUNにそこまでプレイの影響は出てないということだろう

病み上がりなので心配ではあったが、その不安は少し取り除かれた形に


「僕が、私が、映画の主人公になったような体験をしていただきたいと思います」


とHIROSHIが導入文のように告げ、山本の鍵盤から導かれるように、HIROSHIが踊Woot Worksのパートも自身でこなす「Liberty」ではWATARUが甘いカッティングギターで魅せると、HAYATOがR&Bテイストの曲とは思えないくらいにドラムを叩く「Stay(Want You Mine)」で漂わせるのは甘い雰囲気

世間がFIVE NEW OLDに対して抱くような曲が続くが、近くにいた方が驚くようなアクションを示したのは「Too Good To Be True(と思われる、自信はあまりない)」

WATARUもSHUNも鍵盤を用いて、HIROSHIはギターを背負った中でこの曲を演奏するが、HAYATOが正確なビートを刻む中、終盤にWATARUのギターが加わるのは絶妙

まさかこれを聞けるとは思わなかったが


「午前中は雨でしたが午後はすっかり晴れました。僕たちは雨バンドですね!!」


とHIROSHIが話したように、この日の午前中は雨、それも「台風が接近したのでは?」と思わずにはいられない豪雨と強風が襲来していた

でも昼頃になると天気は一変、快晴となった

そうなるとHIROSHIは快晴を呼び込む何かを持っているのかもしれない


HIROSHI「今日はなにか始めるのに向いている日とのことで…」


と告げたように、この日は特に良い日だったようだが、そんな良い日を逃さないと言わんばかりに新曲の「Happy Sad」を演奏(ここからステージ後方にバンドのロゴが現れる)

爽やかでかつ暑苦しい(褒め言葉)のは、WATARUのギターリフや山本の鍵盤メロが見事に調和しているかだろうけど、ここに来てパンクやオルタナによった曲が増えてきた

もちろん基盤となっているのは、SHUNとHAYATOが織り成すR&Bやヒップホップのリズムだが、HIROSHIがあんなに気持ちよくギターを弾きまくる場面はなかなか見れるものではない


更に一足先に夏の訪れを告げるような「Summertime」では、サビでHAYATOが気持ち良い顔になるのも頷ける轟音を鳴らしていくが、HIROSHIがハンドマイクにスイッチするといきなり新曲を演奏

WATARUもSHUNも鍵盤を弾き、HAYATOも打ち込みのビートを鳴らすこの曲はEDMテイストが非常に強いダンスナンバー

ありとあらゆるジャンルを横断するバンドなので、こうした曲が来るのも不思議ではないが、HIROSHIは上着が脱げそうになるくらいアクティブに動く

バンドの新機軸になるかもしれない曲に驚いていたところ、山本による長い鍵盤ソロも導入され、5人によるセッションも展開

そうしてアンサンブルの凄さに見せられていると、HIROSHIがアコギに持ち替えて「Moment」を演奏

バンドの中で特に芸術的な曲をやるのは意外だったが、


「どんな時も 側にいるよ」


という裏表ないこのフレーズはぐっと刺さる

良いこともあれば辛いこともあるのが人生

そんな人生を乗り過ごすにはたくさんの味方が必要で、FIVE NEW OLDの音楽もいつまでも味方

1ドリップされた音楽はあなたの生活を変えるファクターになってくれるはずだから


「今回のツアーはDepartureということで出発点がテーマになっているんだけど、自分の出発点ってなんぞや?と思って。みんな頑張って勉強や仕事していると「何のために頑張っているんだろう?」と思うことあるじゃん?僕は好き勝手音楽やっていたら周りの人が褒めてくれて、周囲がどんどん大きくしてくれた。」


とHIROSHIは出発点を振り返っていくが、おそらく多くの方にとっての出発点は自分が好き勝手にやり始めたところからだと思う

それがいつの間に大きくなっていくのだから

このライブに来た方も何かしらの出発点は持っているはず

その出発点を大事にしなければ


山本がホーンの音を鍵盤で鳴らし、HAYATOがパンキッシュにドラムを叩く中で、HIROSHIによる


「Stay out! My way there's nothing holding me back!!」


が我々とバンドの前に立ち塞がる障壁を破壊する「Breathin'」、間髪挟まずに演奏されるアレンジとなって山本の鍵盤がステージと客席の距離を縮める「By your side」と一気に人気曲を連発する終盤

後方にあるバンドのロゴも曲に合わせるように様々な色で照らされていくが、HIROSHIがSHUNや山本に寄り添うに歌う「Ghost In My Place」は鍵盤が2台用いられることによってより感情豊かになりつつバンドのロゴも幻影のように新たに現れる驚きな演出がなされる

後ろのロゴはただ表示されているだけではない

そうした活用法もあると示すかのように


そして、


「自分らしさを肯定する手助けになれば」


と最後に演奏された「Don't be someone else」は山本の鍵盤によってニューウェーブが強くなる中、SHUNのスラップベースで踊らせつつ、


「まだ帰りたくない…」


と告げたHIROSHIの煽りによって、演奏は更にヒートアップ

一足先にHIROSHIが帰ったあと、WATARUがギターを弾きまくって本編は終了


アンコールでステージに戻ってくると再び新曲を演奏

先程演奏されたEDMテイストが強かった新曲と異なり、こちらはオルタナにR&B、そして歌謡曲が混じったバンド色が強い曲

「夢」というフレーズも用いられていたが、この曲では山本健太が不在

何故ならばこの曲は曲名どころかレコーディングもされていない曲だから


「早く聞かせたかった」


ということで、演奏されたようだが、山本健太が戻ってくるとHIROSHIからお知らせがTwitterに告知

その告知とは


①9月に「Departure∶My New Me」リリース

②10月から全国ツアー開催(東京は11月24に過去最大キャパであろう豊洲PIT)

③ビルボードツアーを7月に開催


の3つ

しかもこのツアーはアルバムのレコ発ツアーの前半戦であることが判明して驚いてしまった


当然HIROSHIは更に大きな場所へ向かう野心をギラつかせいたが、そのキーポイントは次のアルバム

このアルバムの完成度次第では豊洲も完売させることが出来る

今の彼らの状況なら実現不可能ではない

それだけにアルバムがどのようなものになるか気になる所存


そして本編最後の曲はやはり「Please Please Please」

余韻を噛みしめるようにWATARUはギターソロを決める中で、HIROSHIは終わってほしくないのかギターを弾きまくっていた


アレンジ力が尋常ではないほど高いバンドであることは重々承知承知している

過去に2回見た主催ライブでもアレンジがとてもつないものであったから

でもキーボードに山本健太を加えた5人編成になるとFIVE NEW OLDはさらなる力を発揮する

鬼に金棒とはこういうことであろう


ツアーの後半、豊洲PITはもちろん行く予定だけどロッキンでも彼らを見たい

今の彼らは多くの方を巻き込めるから

そうして気持ちいいBreathin'を多くの方に感じていただきたい



セトリ

Rhythm of Your Heart

Hallelujah

What's Gonna Be?

Hole

Liberty

Stay(Want You Mine)

Too Good To Be True

Happy Sad

Summertime

新曲

Moment

Breathin'

By Your Side

Ghost In My Place

Don't be someone else

(Encore)

新曲

Please Please Please


この日タイムテーブルが出たSiM主催のDEAD POP FESTiVAL初日にFIVE NEW OLDは出演する

決してアウェイではない

彼らは元々パンクバンドだから

その点はMAHも知っているだろうし、京都大作戦にも呼ばれている

彼らの歴史は非常に特殊なものなのだ


それに彼らの音楽は簡単に生み出せるものではない 

様々なジャンルを横断しているからあのとてもつない音楽が生まれるのだ

 油断していると痛い目遭うから絶対見るべき