バンド史上初のホールツアーを見事完遂

その後は各地のフェスにいつものように出演したりと、やっぱりライブをしまくっている印象が強い10-FEET

3月にはコラボアルバム「10-feat.」をリリースし、名曲たちに新たな命を吹き込んだが、今年はデビュー25周年イヤーということで25周年を祝福するアニバーサリーツアーを開催

この日のKT Zepp Yokohama公演はまだツアー序盤


この日は仕事の都合で急遽さいたままで行くことになってしまい、勤務を終えたと思いきや、通勤時に使用した上野東京ラインが遅延して会場に到着したのは開演直前

いくら地元のZeppとはいえ、開演ギリギリの到着になってしまうのは昨年のKANA-BOONを思い出す


なので2階の座席に座るとすぐに暗転

「そして伝説へ」のSEが長く聞けるのはワンマンくらいだろうし、一度10-FEETのロゴが映し出されたかと思いきや消えて、メンバーの登場に合わせて燃え上がるような照明でKOUICHI(Dr.)が現れ、NAOKI(Ba.)にTAKUMA(Vo. & Gt.)が現れ、TAKUMAが軽く挨拶すると、最近はあまりやってなかった気がする「Super Stomper」でNAOKIがゴリッゴリなベースを鳴らしてスタート

KOUICHIのドラムを聞くと今もにも飛びたくなるが、合いの手に関してTAKUMAは「心で歌うべき」と思っているのだろうか?

合いの手がないとこの曲の空白は非常に大きい

毎回のように聞いていたこの曲は、あなたの声の力がとても大きかったようだ


ライブの前に色々起こりすぎたこの日の不運を笑顔で忘れさせてくれる「Freedom」、「なんでCDJのカウントダウンでやらなかったの?」と今でも思いつつ、走るように歌うTAKUMAの姿が愛おしい「MONKEY」、間髪入れずに「SHOES」で軽快に踊らせたりと早くもワンマンでしか聞けない曲を連発する10-FEET

10-FEETはフェスとワンマンではあまりにも内容が異なり、ワンマンを見るとフェスの10-FEETは消化不良に感じることが増える

そのため機会があればこうやってワンマンに足を運ぶのだが、


「今日はよく来てくれたな」


とTAKUMAが労いつつ、ライトハンド奏法を披露する「火とリズム」では、


「Life, word, mission, war」


が非常に今の心境と重なるものの、


「ここからはひたすらトークを行います」


と言い始めるTAKUMAに「はい!?」とツッコミを入れたであろう場内

おまけにマスク着用が義務づけられていることを逆手に取って、客を弄りまくれば、


TAKUMA「ここから15分ずつトークをやって、ハードルを下げたいと思う」


なんて言い出すので、KOUICHIも思わずツッコミ(笑)

10-FEETは先月、自分がsumikaのFC限定ライブを行っていた日にぴあアリーナMMで開催されていたスパイストラベラーという番組のフェス(Dragon Ashやサンボマスター、BiSHが出演)、氣志團主催の対バンライブで神奈川に来ていることから相当神奈川に来ている模様だが、

この2つのライブに来た方は多い

そのため神奈川には10-FEETのファンが多いことを伺えるが、


「わかってねん。ライブ終えたら「あの曲やっている。ズルい」とか「あの曲やらなかった」とSNSに書かれんの!!」


と1月のLINE CUBEで似たようなことに言及していたため、相当SNSを気にしているようだが、


「今日はマニアックな曲持ってきたぞ。ロットン(ROTTENGRAFFTY)の曲かも知れへんし、dustboxの曲かも知れへん。ダイブできないからどれだけ盛り上がれるかや。出来るもんなら1人で動き回ってみせい(1人サークルモッシュのこと)」


とこの日もマニアックな曲をやる気満々

その宣言通り、インディーズ時代の「ANIXOUS」という会場認知度が50%にも満たないであろう曲をやるが、TAKUMAの指示によってあまりにもダサいイントロ(カウントをベースとドラムで行うもの)が追加(笑)

バンド経験者なら確実に絶句するようなイントロを10-FEETは平気でやる(笑)


その直後の「RIVER」ではそんな茶番を行わないけれど、この日のご当地ネタは帷子川

CLUB CITTA'で見た際は多摩川だったが、帷子川と聞くと自分の地元周辺を流れる川(というよりは相鉄線沿線沿いを流れる川)

どういうわけか親近感が湧いてくる


KOUICHIがテンポの変化に柔軟に対応し、


「弱音吐いて泣いてないで 時に逃げることも重要」


がこの時代では特に響く「4REST」と先程の寸劇を忘れさせるようにキラーチューンを連打するが、急に3人がドラムセットの前に集まると、


「2nd singleから「PLANNESS」や!!」


とKOUICHIが惚けたように叫び、「だから認知度どれくらい!?」な「PLANNESS」を平然と演奏(笑)

突然昔の曲をやるのは今に始まったことではないが、フェスだとこの遊びは絶対見られない

それどころか、10-FEETも一部の方には「フェスで見れればいいや」という認識になっていると思われる


確かにフェスの10-FEETもいい

でもワンマンで10-FEETを見るとずっともう引き返せない

ワンマンがフェスを大きく上回ってしまうから

それほどまでに10-FEETはワンマンで見るべきバンドだし、来てくれたファンのために3人はサービスをする

この信頼関係は絶対に崩せないほど固い


懐かしの「PLANNESS」の後には、ヤバイTシャツ屋さんが「10-feat.」でコラボした「JUST A FALSE!JUST A HOLE!」を間に挟んでシーケンスを用いた「アオ」と「ハローフィクサー」を演奏

照明が曲名通りアオに染まり、TAKUMAの心を赤裸裸に歌った「アオ」とノイズパンクと言わんばかりにシーケンスが爆発する「ハローフィクサー」は世界観こそ真逆だけど、音楽性は非常に近い

音源ではバンド色の音も積極的にも活用しつつ、ライブでは同期を一切使わないやり方は今のSpitzそっくりだった

けど、10-FEETのここ数年の曲はがっつりシーケンスを用いてライブでもそのまま演奏している

気づけば「Fin.」から5年経過しようとしているのでそろそろ新作が出る予感もするが、その新作はこれまでになくシーケンスが活用されそうな予感

つまり大変革作品となりそう


そんな中でTAKUMAは自分のことを陰キャと称した

ステージ上で常にハイテンションで騒ぎまくっている姿を見ると想像ができないが、


「たまに「わあああ!!」みたいに叫ぶけど、俺はみんなに笑ったり楽しんだりして欲しいねん」


とそれは多くの人に楽しんでもらうための行為

TAKUMAがコロナ禍になってかなり参ってしまったことは「アオ」のインタビューで話していたが、TAKUMAは普段からこんなに活発な性格ではないようだ(福岡ソフトバンクホークスの熱男こと松田宣浩に近い。試合中は明るいものの、本当は非常に暗い性格であることをローカルテレビで公言していた)


陰キャという言葉には暗いイメージが付きまとう

フィクションでもそのように描かれる(最近だと「かぐや様は告らせたい」の石上優が有名)ことが多いが、


「陰キャって言葉はネガティブっぽく聞こえんけんど、俺はそうは思わへん。むしろ他の人よりももっと幸せになれると思うとんねん」


とTAKUMAは決してネガティブに考えない

むしろもっと幸せになれる要素と考えている

このようなポジティブシンキング思考があるからROTTENGRAFFTYやUVERworldとは親交が深いのではないだろうか


「陽キャな人は凄い。いるだけで人を幸せに出来るから。音楽好きな人には陰キャが多いかもしれへんけど、ネガティブに捉えずに必要はあらへん。」


とTAKUMAのポジティブ論は陰キャ以外な人にもとどまらず肯定しつつ、


「もうすぐコロナも終わる。コロナなんてパッパッパーやから」


という比喩は意味不明すぎて笑いが起こっていたが、


「制限された状況を楽しもうや」


とやはり前向きに捉えて、


「夜が明けるまでもう少し」


の「Fin.」にうまく繋げていく


TAKUMAのポジティブ論が強く出ている「2%」でより背中を押すと、早くも半分を切ったことを明かされるが、この時点で14曲

このツアーのセトリ23-24曲演奏されていることが公式から明らかになっているため、「まだ折り返しなのか!!」とむしろ興奮するKT Zepp Yokohama


「言葉よりも行動。やらなければ0%になってしまう。俺がみんなの力になってやる。」


と告げたTAKUMAは、


「Be Brave Be Brave この一瞬だけ どうか勇気を与えてくれ Be Brave Be Brave 運命を変える勇気をくれ」


を合図に、NAOKIのバッキバキのベースがネガティブな気持ちを打ち砕く「hammer ska」を捧ぎ、夜のみなとみらいを駆け抜ける「goes on」はこの日も座らせてからジャンプ

コラボアルバムでは氣志團が原曲に忠実なかばーを行ったと見せかけて、最後のサビを英訳せずにそのままの歌詞で歌うボケを行ったのが記憶に新しい


普段通り喋りまくるTAKUMAは、戦争やコロナに言及しつつ、


「言葉が簡単に地球の端まで届くようになって、便利な世の中になったけど、人の秘密を暴露したり傷つたりする奴がおる。そういう一時的な快楽に陥ってはならん。たとえ必要だとしても。」


とTAKUMAは1月のLINE CUBE同様、SNSに警醒したが、このMCが示すのは例の暴露系YouTuberだろう


TAKUMAは決して誰かは明言してない

けれども10-FEETの立ち位置はマイノリティサイド

弱者に寄り添うバンドだし、言葉を大切にするクリープハイプの尾崎とも親交が深いことから分かるように言葉で傷つける行為をTAKUMAは絶対許せないのだろう


自分もTAKUMAと同じ考え

人の秘密を暴露する行為は言葉で相手を傷つける行為

例のYoutuberは著名人の秘密を暴露しまくってPVを稼いでいるが、そんなことで得たお金なんてなんの価値もない

人の不幸で食べる飯なんて吐き気しかしない

それに同乗して叩く人々も同罪

一瞬の快楽に便乗することで傷つけられた心は簡単に戻らない

スポンジのように跳ね返してくれるわけではないのだから


加えて「ありがとう」という言葉もイントネーションによって受け止め方が変わってしまうこともTAKUMAは告げ、


「ライブって1時間も2時間も音楽で言葉を伝えられる。音楽って凄いわ」


と話すが、音楽を通して言葉や思いを長時間伝えられるライブは確かに凄い

長時間多くの思いを伝えることができるし


「世界中に伝わるようになったおかげで「救援物資が届きました」とか、「命が救われました」で出来るものもある。言葉を大切にしようや」


と言葉の重みを伝えてから「シエラのように」、まさかここで聞けると思わなかった「LITTLE MORE THAN BEFORE」とテンポ遅めなシリアスな曲を連発

更にはフェスでほとんどやらないのが不思議な「ライオン」を2曲の直後に演奏するが、


「一体何の為の嘘なんだ! もう僕は何処にもいないんだ 何のために生きているんだろう? 叫んだ 心の形が変わっても全てを犠牲にしてもいい そこにあなたと愛があるなら叫んで」


は、まるでTAKUMAの歩み方

TAKUMAは自分の全てを絞り出すかのように歌っている

だから時に苦しそうに歌っていることもあるが、それはあなたに必死に届けたいから

あなたを楽しませる、笑わせるために献身的にTAKUMAはライブをする

ならば届けたいのも必然である

このライブに参加された方はTAKUMAの本心を知っただろう

それほどまでにこのライブは分岐点となる


近年の10-FEETはアンコールをせずにライブを終えるので、残り曲数を宣言されると終わりはもうすぐそこ

なのに、KOUICHIとNAOKIにジャンケンを強要して負けたKOUICHIがTAKUMAになりきってタイトルコールさせることがいかにも10-FEET


しかしサビで拳を上げまくるのが非常に忙しい「VIBES BY VIBES」やHakubiによるカバーも素晴らしかった「蜃気楼」と終盤も出し惜しみなく名曲を連発

ギターはここまで一番激しく鳴っているし、その激しさは当然ながら心を打っていく


そして「その向こうへ」では、NAOKIがサビでジャンプを決めながら演奏し、


TAKUMA「陰キャじゃなければ、コンプレックスがなければバンドはやらへんかった。お金を稼ぎたいからじゃない。バンドをやって色んな仲間やみんなと会わせてくれた。出会ってくれてありがとな。」


と陰キャであることがバンドに導いてくれ、その上多くの仲間と出会わせてくれた

陰キャであることを誇りに思うように告げ、最後は絶対やると思っていた「ヒトリセカイ」で出し切る…かと思いきやNAOKIがやけに身体の柔らかさをアピールし始めるし、曲が終わるとTAKUMAは、


「2階にピックが届くまでやめへんぞ!!」


と叫んで、2階に届くまでピックを投げ続け、挙句の果てには


「俺はスティック投げへんからな!!」


と言って、NAOKIと共に先に帰ったはずのKOUICHIのスティックを勝手にTAKUMAが客席に提供し、


「大切にしろよ!!」


と戻ってきたKOUICHI本人が告げる「打ち合わせしただろ!!」と思わずを得ない爆笑の終わり方だった


「RIVER」でシーンへ大きく羽ばたいた10-FEETはデビューしてから今年で25年 

高校の頃から名前は知っていたし、「hammer ska」は毎回CDを購入しているとはいえ、もうそんなに年を重ねているなんて思いもしなかった


今でこそパンクシーンの中心に君臨し続けているけど、


「Dragon Ashのkjが「RIVER」聞いていると聞いて、「嘘だろ!?」と思った」


と話していた時代もあるし、ツアーを全公演延期してしまったこともある

レコード会社によってベストアルバムを勝手にリリースされたこともあれば、京都大作戦だって何度も中止になった

TAKUMA本人が今回、陰キャと公言したことで恐らくこうした出来事が起こるたびにとても落ち込んできたことは予想される


でも陰キャをポジティブに捕らえて歩みを止めなかったから今の10-FEETがいる

ヤバイTシャツ屋さんのように10-FEETの影響を受けたバンドも沢山いるだろうし、多くの仲間に出会えたのも続けてきたから

ポジティブシンキングで動いてきたから10-FEETはシーンの中心にいる


こうしてワンマンを見ると、6月にやるZepp Haneda公演も可能ならば行きたくなってきた

0%に近いとはいえ、自分が好きな「OVERCOME」を聞ける可能性にかけたい

10-FEETと出会ったこれまでの日々を愛そう愛そう愛そう愛そう愛


セトリ

super stomper

Freedom

MONKEY

SHOES

火とリズム

ANIXOUS

RIVER

4REST

PLANNESS

アオ

JUST A FALSE!JUST A HOLE!

ハローフィクサー

Fin.

2%

hammer ska

goes on

シエラのように

LITTLE MORE THAN BEFORE

ライオン

VIBES

蜃気楼

その向こうへ

ヒトリセカイ