CDJ1718にて「これは化ける!!」と確信したのも束の間、直後に「関ジャム 完全燃SHOW」にて蔦谷好位置に「Tell Me Baby」を絶賛されたこと、更に「ノーダウト」がドラマ主題歌に抜擢されたこともあり、昨年一気に飛躍を遂げたOfficial髭男dism
そんな彼らは昨年からずっとツアーを回っているのだが、今回のツアーは「Stand By You E.P.」リリースに伴うものではなく、その前にリリースされた「エスカパレード」リリース時に発表されていたもの
キャパシティは過去最高となるNHKホールでのワンマンである
昨年、自分は「エスカパレード」をベストアルバム1位に認定したが、ワンマンに行くのはこれが初

ステージに幕がかかっている開演するまでは全貌が見えない模様の一方、開演ギリギリになってサウンドチェックを始めたため、暗転したの定刻から大きく遅れた19時15分頃
幕に様々な模様が投影され、メンバーのシルエットが映ると大きな歓声が上がるが、ステージの全貌が明らかになると、サポートに鍵盤のみならずパーカッション、ホーン隊の3人も加えた9人という大所帯に
鍵盤の存在はぴあフェスでも確認していたが、キャパと共にバンドもここまで巨大化するとは…

だがホーン隊が加わるということは音の厚みが格段に増す
なのでオープニング、Earth, Wind & Fireへのオマージュと藤原が公式に認めている「ESCAPADE」は音源以上のポテンシャルを発揮

「偶然見つけた神様 手を取り合って踊りませんか?」

なんてフレーズが曲中には登場するが、その前に誰もが踊ってしまっている(ミラーボールもフル回転)

蔦谷好位置に絶賛された「Tell Me Baby」は2曲目
ライブならではの装飾が加わっているとはこの登場は「早すぎないか?」と思ってしまうが、生で聞いてみると小笹の爆音ギターが火を吹いており、R&B色の強いこの曲がハードロック要素まで取り込んでしまっている
それにとどまらず終盤にはダンスも
これはジャクソン5にインスパイアされたのだろうか 

グッドメロディーとは裏腹に恋に破れた男性の悲哀を描いた「バッドフォーミー」では歌詞の様子を再現するように、怪しげな照明が会場を照らすと、

「最大キャパでのワンマンとなります。皆さん楽しむ準備は出来てますか?(この間にミラーボールが引っ込み、ホーン隊も一時退却)」

と藤原がお客さんを煽ると、

「踊れ~!!」

と言いながら「Sweet Tweet」では手拍子がフレデリックの「オドループ」並に揃う一体感
ただ今回から自分のようにワンマンに来た方が多いのだろうか、合いの手が若干ずれているのは少し気になってしまう(かつてNICO Touches the Wallsのファンがフェスで「THE BUNGYは裏拍で!」と書いた横断幕を持ってきていたらしいが、この光景を見るとそのような行動に移したくなるのも理解できる)

「例えば 明日僕が会社を休んだら そしたら 「代わりはいるさ」と笑い出すのか?」

と「コーヒーとシロップ」で社会に毒を吐くと、沈黙が少し続き「115万キロのフィルム」では最初と最後を伸ばすことによって幸せなストーリーを拡張するアレンジを行うが、ここからなんとバラードを4曲続けて演奏してしまう

「「最低でクズな男になった気分はどうだい?」」

と度肝を抜くフレーズで始めながらも最後は、

「サンキューグッバイ」

と涙ながらに送り出す「相思相愛」、終盤にホーン隊が加わることでより暖かみが増す「Trailer」、キーを変更しホーン隊も加わることで全体的に構成が見直された「LADY」とインターバールを起きながらもこのバラード連打
他のアーティストのワンマンでは経験したことがない(あっても3曲が限界?)

だが、Official髭男dismの音楽性は藤原が「あって欲しい」と思う音楽を作ること
それは裏を返せばライブも「あって欲しいライブ」を実現させることに繋がる
そうなると髭男のライブは毎回、何が起こるか分からないと考察することもできる
その上で実力が伴っているのだから恐ろしい

と考えていると、楢崎がステージから一度去ってサックスに持ち変える演出が行われ(何か言っていたが、さっぱり聞き取れず)、「ブラザーズ」ではホーン隊と小笹、楢崎がステージを駆け回り、サウンドもビックバンド仕様となる変貌ぶり
楽しくステージを回っている姿はまさにブラザーズと言ったところ

楢崎「俺、これからもっとサックス上手くなるから!!」
藤原「もう1フレーズ毎にベースとサックス切り替えたら(笑)」

と軽快なトークを交わしつつ、

「あの中(ホーン隊)に居たら、上手くなる気しかしない!!」

と楢崎が興奮ぎみに話しつつ、藤原とドラムの松浦がメンバー紹介を行うと、怪しげなイントロから一気に高揚する「FIRE GROUND(火柱まで出現!!)」から後半

「渋谷 NHKホールで」

という今日ならではのフレーズをイントロに盛り込んだ「Clap Clap」でタイトルの如く、手拍子させると、タイトルだけでもインパクト抜群なのに飛び抜けたポップサウンドが追い討ちをかける「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」では虹色の照明
こんな曲聞かされたら喧嘩する気なんて一切わかない

イントロから大歓声が起こり、特効まで発動した「ノーダウト」では、

「目を覚まして 笑って」

の直後にミラーボールが華々しく回転
その美しさ、何に形容すればいいのやら

「ツアーも終盤戦ですが、NHKホール公演楽しみにしてました。またここでライブしたいですね。紅白にも…!!」

と今後の活動に期待を持たせると、最後は希望もモヤモヤも全て祝福のメロディーに変える「Stand by you」(後半からはバックがシャンデリアに)
この曲の背景にあると思われるのはヒップホップから影響を受け生まれたと言われているトリップホップ(藤原はサマソニでチャンス・ザ・ラッパーを見てヒップホップにはまっていた)
そこに合いの手を加えることによって、完全に髭男のオリジナリティとなる
そこから発せられる手拍子や合唱に誰もが楽しそうに反応していた

アンコールでメンバーが戻ってくると、楢崎と松浦がコントのように並んで話す2人に藤原が突っ込むと、

「ワンマンってあっという間だよね。だから、ツアーやります!!けど既にZeppDiverCity公演は完売しているんだよね…。だから、追加公演やります!!」

と藤原が発表するとステージ中央にバンドのロゴが出現、メンバーの合図でカウントダウンを行うと、

「7/8。日本武道館公演決定!!」

の垂れ幕が出現
祝福の声に包まれるが、垂れ幕が下がった状態でやるのか?という不安が浮上
悩んだ末に、藤原が「上がれ!!」と叫ぶ、垂れ幕は「お役御免」と言わんばかり、上に戻っていくこの様子は実にシュール

藤原の合図でサポートメンバー(なぜか鍵盤とパーカッションは電車ごっこの真似をして登場)が再度ステージに現れると、今までレコーディングで呼んでいたサックス奏者を今回サポートでようやく呼べたこと、自分が実現させたいと思っていたサウンドをこのように形に出来たことを嬉しそうに報告
その上で「日曜日のラブレター」で日頃のマイナス面を浄化し、ラストは会場一体がステップを踏んだ「異端なスター」でロングシャウトを決めて終了
最後には、

「日本武道館だって横アリだってたまアリだって、ライブできればどこだっていい!!皆さんのモヤモヤを消せるように1日でも多くバンドをしていきたいと思います!!」

と藤原が頼もしい言葉を
でも髭男ならたまアリ超えて、東京ドームでワンマンやりそうな予感すらする

髭男の今の立ち位置はかつてのくるりに近い
J-POPでありながら新しい音楽を次々に発明していく
髭男は今のJ-POPシーンに残された稀有な発明家である

音楽シーンももう開発されつくしているし、アジカンのゴッチも

正直、サウンドに関しては画期的なものは出尽くしている。」

と認めている

ただなければ作ってしまえばいいのだ
自分の描くあって欲しい音楽を

そんな彼らがNHKホールを完売させた
常々、彼らは次の国民的ロックバンドと言われているがそのためには東京ドームでライブが出来るまでにならなければ
彼らの発明はまだまだ続く

セトリ
ESCAPADE
Tell Me Baby
バッドフォーミー
Sweet Tweet
コーヒーとシロップ
115万キロのフィルム
相思相愛
Trailer
LADY
たかがアイラブユー
ブラザーズ
FIRE GROUND
Clap Clap
犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
ノーダウト
Stand by you
(Encore)
日曜日のラブレター
異端なスター

Next Live is ... fhana @中野サンプラザ(2019.1.27.)